インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
まずこの機体のスペックを確認する。オルレアンの乙女であるジャンヌ・ダルクを元にしているためか、旗をモチーフとした近接装備が搭載されている。先端は槍のように鋭く造形されており槍として使用することが出来るだろう。
腰には生前のジャンヌ・ダルクが持っていたと使用したといわれている「フィエルボアの剣」が装備されている。これで近接装備が二つあるな。
次に中遠距離装備を確認するとしよう。この機体にはマントを模した装甲が搭載されている、そこに4×4のミサイルポッドが内蔵されている最大16発のミサイルを使用することが出来るが、世界のIS装備からするとかなり少ない部類だ。
あとは遠距離武装でライフルが搭載されているくらいだ。この機体のもとになっていたリヴァイヴでは多様性があったがこの機体には一切無い、拡張性皆無ということだ。出力上では俺の黒式を超えているものの、あくまでスペックの話であるためデータが無いことが問題だ。
「さて、日本のIS開発者の実力見せますかね!」
俺は機体を分解し再設計に乗り出した。
正直言ってリヴァイヴのカスタム機体でもそれなりに使用は可能であるが、それが第三世代型になるかといわれたらそうではないと言えよう。後継機であれば可能かもしれないがな。ということで俺が造るのはリヴァイヴの後継機だ、あの機体の特徴を引き継ぎながらもしっかりと第三世代型に対抗できる機体に仕上げなければならない。勿論簡単に出来るものではないが、それなりに形にする事は出来るだろう。
「装甲全てを剥ぎ取ってみると完全に骨組みはリヴァイヴだな、これは利用できるから問題なし。あとは装甲とジェネレーター出力の割合だな。リヴァイヴの三倍の出力があるのなら、全て機動力にまわしておいて装備の方に小型ジェネレーターを搭載すればいいか」
装備に別の物を搭載させれば機体の出力を下げなくて済む、あとはコストパフォーマンスの点だがそこは大丈夫だろう。なんせリヴァイヴは有り余っているからな。
私は彼の手を汚してしまった、彼が銃を握り締めて戻ってきた姿を見たとき。あの時のことを思い出してしまう。あれはシャルロットがまだ9歳だった頃初めて彼がこの場に来たときのこと。
「初めまして私は黒神千春と申します」
「君が客人か随分と若いな、いくつなんだい?」
「今年で17になります」
「フランスに一人出来たと聞いてはいたがまさかそこまで若いとはな、私の名はアルベール・デュノア。そして左に居るのが私の妻であるロゼンタ、右に居るのが愛人のドミニクだ。彼女にくっついている子は私の娘であるシャルロットだ。」
「よろしくお願いします。私が今回貴社を窺ったのはインフィニット・ストラトス通称「IS」の利便性を伝える為です」
彼はアイエスと呼ばれるものを伝える為に世界中を回っているらしい、日本人である彼がそこまでして伝えたいものは一体何なのか、私は興味がわいてきた。
「それで?ISとは一体何なのだ?」
「ISは宇宙空間での活動を想定し開発したマルチスーツです、今はまだ試作段階ですがいつの日か世界中で使用されるものになります」
彼が言うISは世界で開発されているロケットや宇宙服をはるかに越える代物であった、だが何処の企業もこの話を信じてはくれないようだった。それもそのはずただでさえ昨年地球に変わる惑星の発見がされたばかりであり、そこにたどり着くまでにさまざまな苦労があったのだ。それを簡単に超えてしまうモノの存在など誰も信じられるわけ無かった。それをうちの会社で開発設計をしないかという話だった。
「すまない。そんなものうちに言われても不可能だ、私の会社では何も出来ないからな」
「くっ……やはりそうですか」
目の前の少年は悔しそうに嘆く、私の会社では機械類の開発は何もしていないだからこそ彼の言葉は聞けないのだ。
「すまないな少年、他を当たってくれたまえ」
「悔しいですがそうします。それではデュノアさんありがとうござい―――」
そうして彼が頭を下げようとしたとき、部屋に覆面を被った人物たちがなだれ込んで来た。手にはナイフや銃が握られており私たちは閉じ込められてしまった、彼も何が起きているのか分からずに戸惑っている様子だった。勿論私たちもそうだった。私の隣には妻であるロゼンダと愛人であるドミニクが座っている、さらにその隣では私の娘であるシャルロットが飲んでいたジュースを零していた。
「何者だ!?」
「貴様らに危害を加えるつもりは無い、そこに居る小娘を渡すのであればな!」
侵入者の狙いは娘のシャルロットだった。だがこの子が狙われる理由が分からなかった、私は娘を別邸で生活させているためほとんど何をしているか知らない。彼らが何者か知らないが娘を渡すわけにはいかない、私は彼女たちを護るために必死に抵抗をした。だが私なんかでは相手にならず地面に叩き付けられてしまった、おのれの不甲斐なさを自覚しながらも私は地面に顔を押し付けるしかなかった。
「客人も居たのか、丁度いいお前も来い!」
彼らは客人である黒神と私の娘を連れ去っていった。数分した後警察が駆けつけてくれたが時既に遅く、彼らの足取りが何もつかめない状態であった。私たちに出来るのは彼と娘の無事を願うことしか出来なかった。
そこから5時間がたったとき、娘が発見され病院に運ばれたとの報告を受けた。私たち家族は急いで娘の待つ病室へと駆け込んだ、幸いなことにシャルロットは軽いスリ傷を負っていただけだった。私は娘が無事だったことに安心し涙を流していた。そこに一人の警察官が入ってくる、そこで伝えられたのは客人であった黒神が侵入者を全員刑務所送りにしていたことであった。しかし侵入者どもは一方的に彼が殴りかかってきたと証言していた、警察官は彼を犯罪者として処理をしようとしていたがシャルロットが彼のことを「ヒーロー」だとい言った。それを受けた私は彼がシャルロットを護る為に自らの手を汚したと思ってしまった。
その証拠に彼が持っていた日本製のお守りをシャルロットは持っていた。娘を逃がすために、万が一自分自身が戻らない人になってしまっても構わないように。
私は彼が無実であることを証明し彼を釈放してもらった、彼は自らその手を汚したことに後悔はないと語ってくれた。その瞬間私は罪悪感で押しつぶされた。彼は大丈夫だとにこやかに返してくれたが心に深い傷を負っていることには間違いないだろう。
「私は彼に何もしてあげられないままだな……彼は成長しここまでの力をつけているのに私は変わらないままここで見ていることしか出来ない」
私は無力だった。それはこれから先変わらないだろう。
「よし、ある程度は完成したな。あとは稼動データを作るだけだ、アルベール!IS操縦者を呼んでくれ!こいつの性能を試したい」
「それは構わないが、このISを満足に動かせるか分からないぞ?」
「それに関しては問題ない」
どこか彼は自信満々であった、目の前にある機体はどこかリヴァイヴに似ているようで似ていない機体だった。機体色はネイビーカラーであり、腕部や脚部などさまざまなところにハードポイントがつけられている。おそらくこれを利用して機体の汎用性を活かしているのだろう、またこの機体にはビーム系統の装備が一切成されていない。彼によれば「この機体のビーム兵器には別のジェネレーターを組み込む。」らしい、それではコスト面で高くついてしまうと思ったがそうでもないらしい。わが社で造っている小型のものが使用できるみたいだ。
「問題ない?どういうことだい?」
「俺がこのISに乗って稼動データをつくるからな、男性操縦者が開発・テストパイロットをした機体と成ればある程度お墨付きになるって事だ」
彼自身がこの機体を稼動させる、そう聞いたとき私は彼の意図が分かってきた。彼は娘だけではなくデュノア社までも救い出そうとしている、彼にこれ以上のことをさせたくは無い。だが私はその考えを口に出せず、会社に居るIS操縦者を呼び出すことにした。
殺してない殺してない、そうバレなければ犯罪ではない