インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了)   作:灰崎 快人

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トーナメント
因縁のトーナメント


「副教官、いらしていたのですね」

 

「間に合わないかと思って、かなりあせり散らしたけどな」

 

俺はラウラと同じピットに立っている、そして反対側のピットでは織斑とデュノアが待機している状態だ。お互いにISの装備を確認し連携をどうするかの確認も行う、あっちは事前に練習などをして連携を取れている。しかしこちらは事前準備なしの状態だ。

 

「連携は……難しいか?」

 

「昔のようにとは行きません。副教官、ここは私にまかせていただけませんか?」

 

ラウラがそう言うのであればそうするが、連携はどうする?連携なしで相手を二つに分断する作戦で行くか?可能かは分からないがそれにかけて見るとしよう。

 

「じゃあラウラは織斑についてもらうか、俺がバックアップを担当するデュノアを追い詰める。その作戦でどうだ?」

 

「問題ありません、織斑一夏を排除し次第そちらの援護に回ります」

 

「俺から見て危険だと思ったら、お前の足にワイヤー引っ掛けて無理やり後ろに下げる」

 

「分かりました」

 

「逆に俺の身が危険だと思ったら、ラウラもそうしてくれ」

 

お互いにワイヤー搭載の機体に乗っている、お互いにそれの特性はしっかりと把握しているからこそできる荒業なのかもしれない。互いに確認が取れたところでアナウンスが入る、ピットに足をセットしアリーナへと出撃していく。もちろん反対側からはあいつらが出てきた。

 

「一回戦目で当たるとはな。手間が省けたということか」

 

「そりゃあ何よりだ。こっちも同じ気分だぜ」

 

「織斑君、冷静に行こうね?」

 

「ラウラ、さっきも言った通りお前は織斑をやれ。デュノアは俺が相手をする」

 

「了解」

 

試合開始の前にお互いのチームが発表される。

 

『これより第一試合。男性操縦者ペアvs師弟ペアを始める』

 

ペア名って決めてあったか?それともあっちが勝手に決めているのか?間違ってはいないからいいか。

 

『―――解説に織斑先生をお呼びしました。よろしくお願いします」

 

『よろしくお願いします』

 

『今回は先生の幼馴染である黒神さんと実の弟である織斑一夏君の直接対決であり、男性ペアと師弟ペアになりますね。織斑先生の評価はどうお考えでしょうか?』

 

『織斑のペアは男性同士ということもあり、連携の練習などを積み重ねている。反対に黒神のペアはここまでに何も打ち合わせなどはしていないだろう、しかしあいつらは昔もっとも連携が取れていたペアでもある。どちらが優れているかは連携とISの操縦技術で判断することができるだろう』

 

『なるほど、ありがとうございます』

 

俺とラウラがしっかりと連携が取れるかは別問題だぞ?連携が取れていたのは過去の話なのだ、今はどうなのかさっぱり分からない。それでもやるしかないのが現状なんだけどな。

 


 

『試合開始まであと五秒。四、三、二、一―――開始!』

 

「「叩きのめす」」

 

織斑とラウラの言葉はくしくも同じだった。試合開始と同時に織斑は瞬間加速(イグニション・ブースト)を行う。この一手目が入れば戦況はこちらが有利に大きく傾く。

 

「おらぁぁ!」

 

「ふん……」

 

ラウラが右手を突き出す。AICか―――忠告はしたぞ?

 


 

俺(織斑一夏)はボーデヴィッヒと戦ったセシリアと鈴の意見を聞いていたときのことを思い浮かべる。

 

「AIC?なんだそれ?」

 

「シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代兵器よ。アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略。慣性停止能力(かんせいていしのうりょく)」

 

「へー」

 

「ちなみに織斑さん、PICはご存知ですわよね?」

 

「知らん」

 

「基本でしょうが!基本!全てのISはこのパッシブ・イナーシャル・キャンセラーによって浮遊、加速、停止をしているの!」

 

「どこかで聞いたことがあると思ったらそれか」

 

「あんたねぇ……」

 

「とにかく対策を考えますわよ。正直わたくしも実物を見るのは初めてでしたが、あそこまで完成されているとは思いませんでしたわ」

 

色々とあったが結局確実な手段で慣性停止能力(AIC)を破る方法は思いつかなかった。それなら手段は一つ。―――意外性で攻めるしかない。

 


 

「くっ……」

 

しかし、その程度の戦略など読まれていたのだろう、俺の体は腕を始めに、胴や脚とAICに捕まえられる。何をしても動かない。見えない何かに捕まったように、身動き一つ取れなくなってしまった。

 

「開幕直後の先制攻撃か。単純だな」

 

「そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」

 

「ならばわたしが次にどうするかもわかっているだろう」

 

分かりたくはないが想像はつく、ガキン!と大きなリボルバーの回転音が轟、白式のハイパーセンサーが警告を発する。

 

『敵ISの大型レールカノンの安全装置解除を確認、初弾装填――警告!ロックオンを確認――警告!』

 

慌てるな、一対一で訳ではないんだ。

 

「させないよ!」

 

シャルルが俺の頭上を飛び越えて現れる。同時に六一口径アサルトカノン《ガルム》による爆発(バースト)弾の射撃を浴びせた―――はずだった。

 

「これは二対二なんだ、一人に集中していては駄目だぞ?デュノア」

 

千春はシャルルが手にしていた銃口を無理矢理俺の背中に向けていた。体に多段の衝撃が走るがAICで捕まっているため逃げることも出来ない。

 

「シャルル!?」

 

「ごめん!」

 

焦ったシャルルはその状況を良いように利用した千春によって腕を掴まれ地面へと急降下していく、俺はボーデヴィッヒからの砲弾を直で喰らってしまった。

 

「クソッ……」

 

「どうした?まさかこの程度なのか?」

 

「まだまだぁ!」

 


 

「邪魔をしないで千春さん!」

 

「断る。これはそういった類のものなんだからな。そもそも俺がデュノアとこうして一対一で戦っていること自体稀なことだ、そうでなければ俺は織斑を早々に退場させている」

 

正直不味い。このままじゃ僕達の負けは確定する、織斑君がやられた後間違いなく二人で僕のことを追い詰めてくる。二人を捌けるほどの力を僕は持っていない。それに千春さんの搭乗しているISの見た目が変わっている、第二次移行ではないと思うけど……装備を換装しているのかな?この日のために隠しておいたって事?それに今手に持っている武器だって違う、あの時は日本刀を模した装備だったのに彼が手にしているのは薙刀だ。

 

「まぁそこまで俺も鬼じゃない、一度だけチャンスをやるよ」

 

「チャンスですか?」

 

「あぁ。俺がワザと吹き飛ばされてやる、その瞬間にラウラを攻撃して織斑を救い出して見せろ。できなければ止めを刺してやる」

 

目が本気だ、この試合を本気で楽しんでいるということなんだろう。

 

「―――わかりました。」

 

今日の千春さんは何を考えているのかよくわからない。どうして僕にチャンスを与えてくれるのだろう?普通は勝ちたいと思うはずだ、それともそこまでのハンデをしても余裕であるといいたいのだろうか?

 

「それじゃあいくぜ?」

 

そう言って彼は僕に向かって薙刀を突いてくる、しかしそれは僕に当たることなく虚空を切り裂いた。その隙を見逃さず僕は彼に12ゲージの弾丸を浴びせた、約束通り彼はその衝撃で吹き飛び僕との間に大きな距離が生まれた。彼の腹部から若干赤いものが見えた気がするが気のせいだと思い込み、僕はボーデヴィッヒに近づき照準を合わせる。狙いは肩のカノン、あれがもう一度火を噴いたら彼は間違いなく交代せざる終えないだろう。

 

「そこっ!」

 

銃口から放たれた弾丸は肩のカノンに直撃しずらされ、彼に向けられた砲弾は空を切る。さらに畳み掛けるように弾丸を浴びせる、ラウラは急後退をして間合いを取った。

 

「逃がさないよ!」

 

僕は即座に銃身を正面に突き出した突撃体勢へと移り、左手にアサルトライフルを呼び出す。光の糸が虚空で集まり、一秒と掛からずに銃を取り出した。これは僕が得意としている「高速切替(ラピッド・スイッチ)」である。事前呼び出しを必要としない、戦闘と平行して行えるリアルタイムの武装呼び出し。これは器用さと瞬時の判断力があってこそ行える。

 

「よし!俺も!」

 

織斑君もラウラへと追撃を開始する。好き勝手やらされた分返してやると言ったところなんだろう、だけど勿論そんな都合のいいことが起きるわけが無い。突然彼の背後から衝撃が伝わる。

 

「敵に背を向けるなんて馬鹿なことするとはね」

 

振り返るとそこにはアサルトライフルを持った千春さんの姿があった、手に持ているのは打鉄のものと酷似している。それの改良型なのかもしれない、彼ならそれくらいいともたやすくないだろう。

 


 

「あんたと戦ってる暇は無い!さっさと片付けさせてもらうぜ!」

 

「口で言うのは簡単だ」

 

俺は雪片を千春に向けて突撃する、相手もブレードを展開して身構えている。ガギンッ!と大きな音を立てぶつかり合って火花を散らす。なんとか相手の隙を窺って攻撃を入れようとしているが、全てにおいてこいつは隙が無い。多少無理やりにでも隙を作らせる為にスラスターの推力を上げる、加速度を増した斬撃は徐々にこいつを後方へと押していく。

 

「…………」

 

押されているのにも関わらず千春は黙ったまま俺を見据えている、不気味なやつだ。

 

「シャルル!」

 

「うん!」

 

左手を添えて真横にした《雪片弐型》で俺は千春の一撃を受け止める。その刹那、俺の背後で戦っていたシャルルが両脇から手を伸ばす。その手に握られていたのは面制圧力に特化した六二口径連装ショットガン《レイン・オブ・サタディ》二丁。この距離ならまず外さないだろう。千春の表情は変わらないままだがもう遅い、シャルルは引き金を引いた。

 

「副教官!」

 

突然目の前から千春が消える。ショットガンの連射はむなしく空を切った。何が起きたんだ?

 

「ナイスだラウラ」

 

声のした方へと振り向くとそこには千春とボーデヴィッヒの姿があった。よく見るとワイヤーブレードの1つが千春の脚へと伸びていて、アリーナの脇ほどまで引っ張られていたようだ。先の緊急回避はそのワイヤーによる牽引だったらしい。

 

「ラウラお前は引き続き織斑を相手しろ、俺はあの金髪だ」

 

「了解」

 

またも一対一の戦いになりそうだな。だが油断はしない相手の戦力は十分理解しているはずだ、油断せずしっかりと見極める必要があるんだ。

 


 

『シャルロット。俺と1つ賭けをしないか?』

 

突然千春さんからプライベート・チャンネルが開かれる、賭けといわれても何をするのかわからなかった僕は黙って話を聞く。

 

『内容は簡単だ。俺と勝負して負けたほうが相手の言うことを聞く、シャルロットには無理なこともあるだろうからそこまで重いものは言わない。だがシャルロットお前が勝ったら俺に何をしてもいい、どんな願いを言っても構わない。一緒に寝たいといえば寝るしシャワーを浴びたいといえば浴びる。制限無く俺に命令できる、魅力的な賭けだろ?』

 

確かに魅力的ではある。だけど僕が彼に勝てるかどうかはわからない、千春さんの言うことが本当なのであれば僕は彼とあんなことやそんなことをしたい放題ということに―――

 

『鼻血出てるぞ』

 

『考えてたらつい……その賭け乗ります!』

 

『ならかかって来い!』

 

プライベートチャットを切って僕は千春さんとの賭けの勝負を始めた。勝ったら何してもらおうかな?




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