インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
それにしてもVTシステムの起動キーは一体なんだ?まるで配線の見えない時限式爆弾を弄っている気分だ。ドイツのやつらも、このシステムを埋め込んだと知らないんだろう……だが国内で行われているのであれば確実に犯人を潰す。教え子の機体にそんな駄作を組み込んだことは絶対許さん。
ということで束には既に確認を取ってもらっているし、なんならそこに向かってミサイルでもぶち込んでもらおうかと思っている。
「システム再構築、起動まであと三分―――」
何かわからないシステムが表示されるが全てデリートする、無駄なシステムを表示させたところで意味は無い。とりあえず彼女の様子でも見ておくとしようかな。
『千春、そんな装備と状態で大丈夫か?』
突然千冬からプライベート・チャンネルが送られてくる、そこまで心配しなくても身体には問題はないはずだ。多分だけどな。
『大丈夫だ問題ない』
『ならばいい、だがお前のIDは特殊なんだそれなりに安全を考慮しておけ』
『わかっている、これで通信を終わらせる』
そう言って俺は一方的にチャンネルを閉鎖する、千冬があとで何か言いそうだがそれはまとめて言ってもらうことにしよう。
「これで決めるっ!」
零落白夜を発動した俺は、勝負をつけるべくラウラへと直進する。
「触れれば一撃でシールドエネルギーを消し去るとは聞いているが、それならば当たらなければいいだけだ」
ボーデヴィッヒのAICによる拘束攻撃が連続で襲い掛かる、だがこの能力には特性がある。右手と左手をかざす事で発動する、だがこれだけでは回避することは出来ない。視線などをよく確認し俺は急停止・転身・急加速を用いてなんとかかわした。
「ちょろちょろと目障りだな」
立て続けの攻撃にワイヤーブレードも加わる、その攻撃は熾烈を極めて襲ってくる。だがこちらも一人で戦っているわけではない。
「織斑君!前方から二時の方向に突破!」
「わかった!」
射撃武器でボーデヴィッヒを牽制しつつも、俺へのサポートが抜かりがない。つくづくデュノアと組んでよかったと思う。もし敵だったらと考えるだけで恐ろしい。
「小癪な……」
ワイヤーブレードをくぐり抜け、俺はあいつの射程圏外へと収める。
「そんな事をしても無駄だ、貴様の攻撃は読めている!」
「普通に斬りかかればだろ?―――それなら!」
俺は切っ先を起こし、体の前へと持ってくる。斬撃が読まれているのなら突撃で攻める。読みやすさは変わりはしないが単純に腕の軌道は捉えにくいはずだ、線よりも点のほうが捕まえるには圧倒的に難しい。
「無駄なことを!」
身体全体の動きが凍りつく、あいつのAICの縄が俺の体を完全に固定した。
「腕にこだわる必要はない、ようはお前の動きを止められれば同じことだ」
「おいおい……忘れてるのか?俺たちは二人組みなんだぜ?」
その言葉を聞いたボーデヴィッヒは慌てて視線を動かす、だがもう遅い。零距離まで接近したデュノアが素早くショットガンの六連発を叩き込む。次の瞬間、ボーデヴィッヒの大口径レールガンは轟音と共に爆散した。
「くっ……!」
やっぱり、デュノアの言った通りだ。あいつのAICには致命的な弱点がある。それは『停止させる対象物に意識を集中させなければ効果を維持できない』ことだ。現に俺への拘束は解除されていた。
「織斑君!」
「わかってる!」
再度、雪片弐型を構えなおす。今度こそ避けきれまい!絶対必殺を確信した一撃を放った―――はずだった。
ギュゥゥゥゥン………
「こんなときにエネルギー切れかよ!?」
途中で受けたダメージが大きかったらしい。零落白夜のエネルギー刃は音とともに小さくしぼんでいき、そのまま消えてしまった。
「残念だったな」
ボーデヴィッヒの声が近い、視線を戻すと懐に飛び込んできているのが見えた。その両手にはプラズマの刃が展開されている。
「限界までSEを消耗してはもう戦えまい、後一撃でも入れてしまえば私の勝ちだ!」
彼女の言うとおりだ。俺はおそらく後一撃でも受ければSEの残量は0になり負けが決まるだろう。俺はとにかく彼女からの攻撃を避けるために雪片を利用して弾き返し続ける。
「やらせないよ!」
「それはこっちも同じだ」
援護に入ろうとしたシャルルにワイヤーブレードが発射される、これはラウラからではなく地上へと墜ちていた千春からの攻撃であった。あそこからここまで精確にシャルルを狙っている攻撃で、改めて相手の技量の高さを思い知ることになった。
「シャルル!」
「墜ちろ!」
被弾した彼に気を取られすぎていた、その瞬間を逃すまいと彼女の攻撃は俺の体を正確に捉える。強い熱源のような感覚、それに電撃のようなものが走り体が痺れる。それらはダメージを受けてしまったということであった。
ゆっくりと俺の体、そして白式からの力が消えて俺はゆっくりと墜ちていく。
「私の勝ちだな」
高らかに勝利宣言をする彼女に対して、超高速の影が突撃してくる。それは―――
「まだ終わってないよ!」
一瞬で超高速状態へと移ったシャルルだった。
「『
ラウラの表情には狼狽がみえる。事前のデータにはデュノアがこれを使えるとは書いていなかったのだろう。驚きもするだろ、俺も知らなかったんだからな。それに織斑でさえ知らなかったらしい。
彼女の器用さというものはただの特徴ではないようだ。これはもう技能の一つと言ってもいいだろう、とすればワンオフ・アビリティーと呼べるだけのものかもしれないな。
「しかし私の停止結界の前では無力だ!」
そういってラウラがいつものようにAIC発動体勢へと変わる。その瞬間に動きが止まったのはデュノアではなく、ラウラ自身だった。
「特訓の賜物か……」
いきなりあらぬ方向からの射撃を受けた彼女は視線を巡らせる。そして織斑と視線が交わる、そこにはデュノアが真下に捨てた残弾ありのアサルトライフルを構えている織斑の姿があった。
織斑とデュノアが訓練をしていたとき、射撃訓練を行っていたのは確認している。しかし装備の特性として仕様許可が下りなければその装備を他が扱うことが出来ない、だが織斑はそれをあつかうことが出来ている。ということはあれはあの時に使用していた銃と言うことだ、彼女だ立てた作戦は自身が突っ込んでいる間に織斑に射撃を行わせるという二段構えだったということだ。
いやこんなこと冷静に読み取っている場合じゃない、ラウラの援護に回らないと!
「これならAICは使えない!」
「この……死に損ないが!」
吼えるボーデヴィッヒだが、案の定冷静さは失っていなかった。元軍人それだけのメンタルを持っているということだろう。命中率の悪い俺の射撃は無視してシャルルに集中してAICの矛先を再び向ける。
「でも間合いに入ることは出来た」
「それがどうした。第二世代型の攻撃力では、このシュヴァルツェア・レーゲンを墜とせるものか!」
そう簡単な攻撃なら彼女を墜とすことはできないだろう、しかしシャルルの装備には第二世代型最強と謳われる装備が内蔵されている。そしてそれは、ずっと彼が装備していた盾の中に隠してあったのだから。
「この距離ならAICは張れないな!」
盾の装甲が弾け飛び、中からリボルバーと杭のようなものが融合した装備が露出する。六十九口径パイルバンカー《
「『
初めて彼女の表情に焦りが見えた。それだけは絶対に受けてはならないということを一番理解していたからだ。
「うおおおお!」
シャルルは左手の拳を強く握りしめ、叩き込むように突き出す。それは俺が行ったのと同じ、点の突撃。しかもさっきとは違い瞬間加速によって接近している。全身停止は間に合わない。ピンポイントでパイルバンカーを止めなければ直撃コースだ!
彼女はその目を集中して、一点に狙いを澄ました、が外したようだ。
一瞬、ほんの一瞬だがシャルルの顔が笑みを浮かべる。それはさながら死を宣告する死―――天使のようであった。
ズガンッ!と重い一撃が彼女の腹部に叩き込まれる。ISのSEが集中して絶対防御を発動して防ぐものの、その分のエネルギー残量をごっそりと奪われる。しかも相殺しきれなかった衝撃が深く体を貫いたのだろう。彼女の表情は苦悶に歪んでいた。
しかしこれで終わりではない、
しかし次の瞬間、何処からか放たれた紫の光りによりパイルバンカーが破壊された。
「まぁ流石にここまで無理させてしまったんだ、次は俺がやらないと駄目だよな」
何とか黒式を起動させた俺は瞬時にライフルを展開し、デュノアが次弾装填しているパイルバンカーを破壊する。流石にこれ以上ラウラに負荷をかけさせるわけにはいかないからな!俺はワイヤーを彼女へと発射し戦線を後退させる。
「大丈夫かラウラ、またせて悪かったな」
「副教官……私はまだ戦えます!」
「そうか、だがここからは俺の戦いだ。お前は休んでろ」
俺がへまをしたばかりにコイツをここまで追い詰めてしまったんだ、大人としてパートナーとしていろいろと責任を感じてしまうところがある。ならばその分は頑張らないといけないよな……
「さぁ第二ラウンド始めるか」
俺は再び薙刀を手に、デュノアと織斑に向かっていく。ここから先は俺の時間だ、何処まであいつらを追い詰められるか試すのも悪くない。
『副教官……私は!』
『大丈夫だ。お前が努力したのはしっかりと見ている、しっかりと理解している。だから安心して下がっておけ。例えお前のほうに銃弾が降り注いだとしても、俺が必ず護り抜いてみせるからよ!』
ラウラの過去に触れます
最近誤字脱字が酷いので、修正をちょこちょこしながら頑張っていきます。