インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
俺はこれから親子喧嘩を見ることになるだろう、なぜかといえば答えは簡単だ。理由も話さずにこのIS学園へと突き放した馬鹿な社長と、その娘が未だに分かり合えていないからだ。
はっきり言って今回の件について非があるのは親のほうだ、しっかりと説明をしていれば、まだ状態は悪化しなかったかもしれない。いやそれ以前から悪化はしていたが……
「少し手荒なことになっても俺はかまわない、相手もそれは承諾しているからな」
「父と話すことなんて……」
「例え君が無くとも、俺と彼には話したいことがあるんだ。すこし我慢してくれ」
「はい」
そうして俺達はアルベールが待機している部屋へとたどり着いた、周囲に人は居ない。いや居ない状態を作ってもらったというほうが正しいだろう。
デュノアの性別を隠すためにも、何故隠していたのかそれを外部に漏らすのはあまりに危険すぎる。万が一知ってしまった、または聞いてしまった場合は……脳に刺激を与えるしかない。
「ここだ、入ってくれ」
「わかりました」
室内に移動すると、そこでは椅子に腰掛けているアルベールの姿があった。しかし社長らしからぬ表情を浮かべており、少し刺激を与えてしまえば泣き出しそうであった。
「顔ひどいぞ」
「いやだって急に避難してくださいって言われて、大丈夫だと思ったらボロボロになった君が救護室に連れて行かれたんだよ!?心配にもなるでしょう!」
「あー心配かけましたね、体のほうは大丈夫なので問題ないですよ」
「なら良かったよ、将来の娘の旦那さんが居なくなるのは勘弁してほしいからね」
旦那って……まだそんなんじゃないっての、シャルロットが困惑してるじゃねーか。その話は控えろ。というか今はこんなことを話したくて呼び出したわけではない。
「さてと本題に入ろうか」
三人とも椅子に腰掛けた状態での話し合いとする、俺がアルベール側にいるのはシャルロットが凶暴化し父親に暴力を振るった場合、すぐさま押さえ込む必要があるからだ。
「シャルロット、何故お前の父親がこのIS学園に男性操縦者として入学させたのか。その理由を知っているか?」
「同じ男性操縦者のISデータを盗み、デュノア社へと持ち帰ること」
「まぁそれだけしか話してないからそれしか知らないよな……アルベール、本当の目的を話してやれ」
「あぁ」
今まで黙っていたアルベールはゆっくりと重い口を開けていった。
「デュノア、私がお前をIS学園に入学させたのは、お前の身を守ってもらうためだ」
「守ってもらう?」
「デュノア・グループでシャルロットを排除しようという動きがあった。もっとも単純な方法、暗殺と呼ばれるものだ」
「そんなこと聞いてない!」
いや本当になんで重要なことを話しておかないのかな……そうすれば多少は良くなったかもしれないのに。
「IS操縦者は世界でもっとも保護された存在だ。だからこそ私はシャルロットをリヴァイヴに乗せた、IS学園となればデュノア家の圧力は影響しない。万が一お前の身に何かあった場合も考えたが、幸いなことに黒神が居てくれた」
保険として俺は利用されたわけか、まぁいい。それでデュノアの反応は―――あっ怒ってますね!
「言葉足らずの馬鹿親!」
「だって言ったら「大丈夫です……」とか言って拒否するじゃないか!それに男性操縦者として送り出す際に、黒神がIS学園に在籍していることを知ったら二つ返事で向かったじゃないか!」
「なっ!千春さんは関係ないよ!」
そういって殴りかかった、うん多少は妥協してるから大丈夫だろう。軽くアルベールの顔面が凹むくらい、パイルバンカー打ち込むくらい……いやそれはだめだ!
「デュノア待て!それは流石に死人が出る!殺したいほど憎いのはわかったから、とりあえず落ち着け!」
ISを部分展開している彼女を何とか抑える、アルベールは完全に怯えきっている。お前のせいでこうなったんだけどな!
「とりあえず、今回の件は完全にアルベールにある」
「知ってます」
「だからこいつを……どうしようか」
正直何も考えていなかった、デュノアが満足する事ってなんだろうか?考えたことも無かった、何か要望があれば応えてあげたいんだが。
「何か要望はあるか?明日から女子としてこの学園に入るわけだが……」
「えっと、じゃあ後で大浴場に行きましょう」
大浴場か~まぁお風呂入りたいよな、今日のこともあるししっかりと疲労を取って明日からしっかりとこの学園に入ってくるからな~
「問題ないぞ、俺は風呂入らないけど」
「えっ何故です?」
急にシャルロットの声が低くなった気がした、それに目に光がなくなった気がした。えっ何か不味い事言ったかな?
「何でなんですか?要望があるから言ったんですけど?」
「いや、今日はちょっと無理なんだよ。傷口が閉まってないし変に動かしたら広がる可能性があるから、そういった意味があるかちょっと厳しいな」
実際に今回の戦闘はかなり厳しかった。救護室で診断を受けていたが、骨折していないのが不思議なくらいだったと言われた。その代わり切創などが多く見られていた、肉がえぐられていたようなところは無いが……死ななくて良かった。
「うそつき」
「だが……状況が状況なのだ、黒神が出来なくとも仕方が無いだろう」
「ちょっと黙って」
実の父親に黙れってやばいぞ?少しさっきが漏れ出している、最悪の場合駄々を捏ねてしまうか?いやそんな歳ではないよな?そうだよな?頼むからそうだと言ってくれ。
「千春さんはうそつきだったんですか?」
あっこれ絶対にいかないと解決しないやつだ。というかそれ以外の選択しないわ。何だったかな、選択し間違えると死ぬゲームみたいだな。
「わかった、一緒に行こう」
その言葉を聞いた彼女はとても嬉しそうだった、好感度のメーターがもしあるとすればきっと20から30くらいに上がったんだろう。
「それで明日、というか今日の夜なんだが。風呂に入った後、シャルロットは一回「シャルル」としてこの学園を去る手続きをしなくてはいけない。そのあとはシャルロットとして在籍する手続きをする、と言っても写真をとって生年月日を記入し生徒手帳を作るだけだがな」
「そこまで準備整っているんですね……」
「いろいろと掛かったけどな、特に織斑先生にはな」
本当にしんどかった。最初は何を馬鹿なことを……みたいな表情を浮かべられたからな
「さてとアルベール、帰っていいぞ」
「いやせめて別日の試合くらい見ても―――」
「帰れ」
そう言うと彼はしょぼんとした表情を浮かべていった。帰ってさっさとデルタの開発をしてくれ。
さてと、とりあえず二人のことは終わったし風呂行くか~そう言えば
「シャルロットは少し時間ずらさないとだめだな」
「何でですか?」
「いや織斑に女だってバレたら不味いだろ?それに俺も居たら気まずそうだし」
女性一人で大浴場を使用するのは寂しいかもしれないが、状況的には仕方が無いだろう。
「え?僕は千春さんと一緒でも大丈夫ですよ?」
さらっととんでもないことを言うね君は、そんなのだめに決まっているでしょ。そういうものはね好きな人であり尚且つ将来を誓い合った人くらいじゃないとだめだよ?そうじゃなきゃ軽い人だと思われたりするんだからな。
「いや駄目だろ」
「大丈夫です」
「いや駄目だっ「僕が大丈夫って言ってるんです」いやそういう問題ではないんだが……」
若い子の思考が今一わからない……今度千冬に乙女心と思春期の気持ちについて習ってみるか、この学園で生きていくにはもっとも必要なことかもしれないからな。
「わかった、君がそこまで言うのであれば一緒に行こう」
「ありがとうございます千春さん」
理解はした、だが問題はもっと別の場所にあるものだ。
「という事で風呂に入る許可を頂きギャァァァァァ!!!!」
「駄目に決まっているだろうがぁぁぁ!」
事の発端はわかるだろう。ズタボロの状態である俺がシャルロットの要望に応えるために、風呂に入る許可をもらいに来たからだ。ただ千冬が怒っている理由がどちらなのかわからない、一つは未成年であるシャルロットと混浴することが駄目なのか?それともこんな身体で風呂に入ろうとしていることが問題なのか……とにかく俺は今現在彼女にアイアンクローを決められていた。
「痛い!痛いから!」
「度が過ぎた願いくらい駄目だといえんのかお前は!ともかくそんなことは許可できない!そしてお前の身体はズタボロだ!機体だって修理にどれだけかかると思っている!」
知ってた。確かに俺の身体はボロボロ、そして黒式も大破している状態だ。これを修理するためにはまず俺が万全な状態に戻ることが前提だ、それまでは千冬の手元に置かれている状態になる。これは彼女のように機体のデータを盗まんとするやからがいた場合を考えてのことだ。
「デュノア、お前がそんなくだらないことをするのであれば……今回のことはすべて取り消しとするが?」
「うっ、すみませんでした」
「おとなしく部屋で寝ていろ!」
まぁ仕方ないな、最初から駄目と思っていたからな。仕方がない今日はお風呂抜きだ。
「じゃあ部屋に戻るか……正直眠くなってきた」
「はい……」
残念そうだ。しかし言われてしまったものは仕方がない、俺は安堵感を覚えながらも部屋へと戻っていった。
「シャルロット……また明日」
「はい、また明日」
彼女と言葉を交わした後、俺たちはゆっくりと眠りについた。