インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
翌日、朝のホームルームには彼女の姿がなかった。それもそのはず、なぜならば彼女は今日からこのIS学園に在籍するのだから。
「あれ?シャルルはどうしたんだ?」
「あぁ、彼は少し国に用事ができたらしいぞ。だから昨夜このIS学園を旅立った」
「はぁ!?何だよそれ!それなら早く教えてくれればよかったのに!」
お前に教えたところで何の意味があるんだ、ただでさえ彼女の頭を悩ませていた存在だと言うのに……
「とりあえず席に座れ、もうそろそろHRだからな。話はそれからだ」
納得がいっていないようだがどうでもいい、あとはデュノアが無事にこの学園で生活を送ってくれればそれでいい。それにしてもラウラが居ない、流石に身体に響いたか?
「皆さん、おはようございます」
山田先生が教室に入ってくるがかなり疲れているようだ、昨日の一件がかなり響いているようだ。正直山田先生には感謝しかない。
「今日は皆さんにお知らせが二つあります。一つ目はシャルル・デュノア君のことです。デュノア君は本国から帰国命令が出たので昨日このIS学園を退学しました」
その言葉を聴いたクラスの女子からは悲鳴が上がる、織斑に先に伝えておいて正解だったと心の底から思えた。
「そんな……もうクロシャルが見れないなんて」
「シャルイチでしょ!」
クロシャル?シャルイチ?何を言っているのかさっぱり分からん。
「そしてもう一つのお知らせは転校生の紹介です、それじゃあ入ってください」
「失礼します」
うん聞きなれた声が聞こえるな、他の奴らも困惑気味だ。
「シャルロット・デュノアです。皆さんよろしくお願いします。」
スカート姿のシャルロットがぺこりと礼をする。俺以外のクラスメイトがぽかんとしたまま、シャルルとシャルロットの顔は瓜二つ。いや全て同じだろう。
「えっと、シャルロットさんはシャルル君の代わりにこのIS学園に在籍します。デュノア君からある程度のことを聞いているとのことなので、皆さん仲良くしてあげてくださいね~」
これで俺とデュノアは部屋を変える事になった、流石に年下の女子と一緒と言うわけにはいかないからな。織斑は同年代だから良いだろう。となると俺はまた千冬と?いやいやそろそろ一人部屋が欲しいところだ。
「
「はい、
「気にしなくて良い、これからよろしく頼むぞシャルロット」
「よろしくお願いします、千春さん」
これで少しは怪しくないだろう、デュノアが双子であったと言うことにしておけば何も問題は無いだろう。フランスに行くことなんてほぼ無いだろうからな。
「遅れました……」
声のした方に視線を動かすと、そこには包帯に巻かれたラウラの姿があった。絶対防御の機能の遮断、強制的に意識の遮断。それだけでも深刻なのにもかかわらず彼女は無理やり身体を動かしてここまで来た、足元がふらついてしまっている。
彼女の足が縺れ倒れそうになる、幸い近くに居たことで何とか身体を抱えることができた。彼女をこうしてしまった原因は取り除いたが、専用機である「シュヴァルツェア・レーゲン」はコアを残して全ての装甲が解けてしまった。
幸いなことにドイツ軍のクラリッサとコンタクトを取ることができた為、予備パーツを送ってもらえることとなった。
「いくつかに分けてそちらに送る」
との事なので、ラウラのISを元に戻すのには時間がかかりそうだ。
「大丈夫か?無理しなくても良かったのだが」
「問題ありません、この程度っ!」
問題はないと言っているが彼女は表情を歪めていた。全く……この歳で無理してはいけないだろうが!
「無理するな、お前はまだ若いんだかな」
彼女を抱きかかえて席まで移動する、ある程度は手助けしてやらないと苦労が絶えないだろうからな。
「副教官……私のせいです。私が無力なばかりにこのような自体を引き起こしてしまいました、私にはその責任があります」
「あまり自分を責めるな」
「けじめをつけます、副教官私を嫁にしてください!」
うん何言ってるのかなこの子は?そんな事しなくても良いってば、それに俺よりいい人見つけてくれれば良いからな。人生100年って言うからな。と言うか誰がこんなこと教えた?責任の取り方など他にもあるだろうに……
「誰からその作法を知った?」
「クラリッサからです」
そういえば彼女は日本のことに興味心身だったな、どこから仕入れた情報なのか分からないが歪んでいるというか偏っていると言うか……一度しっかりと教えられたら良いんだがな。
「全く、あまり変なことを言うなよ?好きでもないやつの嫁になんてなりたくないだろ?」
「私は好きです」
うんド直球だね、そんな面と向かって言われると困るな。それに好きも沢山あるし……まだ決まったわけじゃない。
「ボーデヴィッヒ、そんな事私が許可すると思うのか?」
気がつけば千冬も教室へとたどり着いたようだ、そして話を聞かれたらしい。
「諸君も同様だ、恋愛するのであればある程度の知識を学んでからだ」
まぁ勉強できなければ強制退学だからな、恋愛は二の次と言うことだろう。
「そもそも相手いないから恋愛どころではなのでは?」
そんな事をいうと織斑を除くクラス全員がこちらを見てきた、何だと言うのであろうか?
「お前は……そうか自身は恋愛の対象にはならないと思っているのか。そうかそうか」
「いやだって普通青春というのは―――」
「まあいい、ただこれからは気をつけろよ」
どういうことだろうか?千冬が呟いたその言葉を俺はしっかりと受け取ることができなかった。それともう一つセシリア、ラウラ、シャルロットの怪しい視線に気がついていればと、この時ほど思ったことは無いだろう。
「うーん……」
あたり真っ暗の部屋であった。
部屋の至る所には機械の備品と思われるものが転がっており、ケーブルがまるでタコ足……いやそれすらも超えるように広がっていた。机の上には食べかけであろうかインスタントラーメンの器が広がっていた。
こんな異質な部屋に住んでいるのは探しても一人しか居ないだろう。そうここは
「なるほど、くろちーはコアの人格と会えたんだね」
モニターには黒式のデータが表示されていた、黒神の戦闘データを取りながら新たな武装を開発しようとしているのか。それは天災である彼女にしか分からない。
「もう少ししたら第二フェイズに移行しても良いかな~」
彼女の脳裏にはなにやら計画があるようで、不審な笑みを浮かべていた。そんな時端末から「デェェェェン」とまるでメイトリックスが完全装備を完了したかのような音声が流れてきた。
「こ、この着信音は!」
椅子から飛び上がり端末に飛びつく。部品などが激しく散らばるが、束にとってはそんな事同でもいい。すぐさま端末に耳を当てる。
「もしもし?マイエンジェル?」
ぶつっ。瞬間的に電話が切れた。
「待って待って!」
彼女の願い叶ったのか分からないが、端末が再び鳴り響いた。デェェェェン!
「はーい、篠ノ之束さんですよ~なにかようかなちーちゃん?」
「その名前で呼ぶな」
「はいはーい。それで何の用かな?」
「今回の一件、お前が開発した基地を破壊したようだな」
「くろちーに言われたからね~」
「どうやって場所を突き止めたんだ?」
「突き止めたのは私じゃないよ、突き止めたのはくろちー」
「なんだと?」
そんな事ができるのか?あの戦闘時か?それとも確信をもったそのときから?
「とか考えてるでしょ?実際は何処で分かったのか私にも分からないんだよ」
「勝手に人の心読むな。まぁいい……用件はそれだけだ」
ぶつっと電話が切れた。今度はかかってくることは無いだろう。彼女は名残惜しいそうに端末を眺めたが、しばらくした後にそれを放り出した。
「ちーちゃんは相変わらずだったな~」
束は腕を組んでうなずきながら笑みを添えていた。
彼女と織斑千冬、そして黒神千春の出会いは小学生時代まで遡る。以来ずっと同じ学校同じクラス、もちろんそれは束がそうなるようにしていたからである。このことを千冬は知っているが千春は知らない。
他にも三人の関係はある。
三人が高校生の時にISが発表され、以降数年間千冬はISの操縦者として、千春はIS開発に協力していた。つまり、千冬と千春は元々知識ベースからして他の操縦者よりも一枚も二枚も上手、理解のレベルがハナから違うのだ。
さらに千冬は訓練と独自の戦術。IS世界大会『モンド・グロッソ』で第一回優勝者に輝いたのは不思議でもなんでもない。当然の結果である。少しでも壊れたら優秀なメカニックによって完璧に修理された。
「しかし、ちーちゃんは引退なんて惜しいことしたね~」
そう、千冬は第二回モンド・グロッソで優勝した後現役引退をしている。はっきりいって今現役に戻っても第一線で活躍は可能だろう、むしろ負けるほうが難しい。
しかし人の心は複雑なものだ。天災的な頭脳を持っていたとしても、その深さを全て知ることはできない。―――だからこそ
知りたい。世界で四人だけの束の興味対象なのだから。
その夢は こころの居場所~♪生命より 壊れやすきもの~♪何度でも 捨てては見つけ~♪安らかに さぁ眠れ~♪脈打つ衝動に 願いは犯され~♪忘れてしまうほど また想い出すよ~♪
突然の電話着信。しかしどこか聞いたことのある声の歌である。『美しき残○な世界』と言うタイトルのようだ。いったい何の曲なのだろうか?
その着信音を聞いた束は千冬以上の反応を見せる、なにせこの電話が鳴るのは今回が初めてなのだから。相手は、出る前から曲を歌っている人からして分かっている。
「やあやあ!久しぶりだね!ずっと待ってたよ!」
「―――姉さん」
「うんうん、用件は分かってるよ!欲しいんだよね?専用機、
―――『
扱えるかは別だけどね?