インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
黒式とレーゲンの修理から数日後、新たな月日となった。今月には学校行事である臨海学校がある、だがその前にやることが一つだけある。それはテスト。そう!テストなのである。
入学してから早二、三ヶ月。ある程度の知識を詰め込むことが出来ただろう、俗に言う中間テストと言うことだ。教科はISの知識技能を合わせて全十四教科になる、数学、英語、現代文、古文、地理、倫理政経、現代社会、世界史、日本史、生物、物理、化学、地学と一般的な教科も入っているのはありがたい。例えISに関する職に就かなかったとしてもある程度の知識はつけることが出来るだろう。
それで現在何をしているかと言うと……
「千春さん!ここ教えてください!」
「この計算式はどうなっているんですか!?」
「クロさん~助けて~」
食堂はテスト勉強をする生徒たちで溢れ返っていた。皆それぞれ苦手な教科が違うため、沢山の単語が飛び交いあう。
篠ノ之は現代文など国語が得意なようだが、英語にはどうやら疎いらしく頭を悩ませていた。凰はある程度いける様だが計算だけは駄目なようだ、なんと言うかイメージ通りだな。セシリア、シャルロット、デュノアに関してはやはり日本の言語が難しいらしい。日本の言語は海外の人からは難しいと思われているようだが、まさにその通りだということを目の当たりにしている。
そして問題は織斑一夏。試しに5問のテストを作って渡して見ると、回答しあっているのは一問有るか無いかという状態だった。はっきり言おうこれは大問題だ。ここまで頭が悪いとは想像していなかった完全に想定外、かと言って見捨てるわけにも行かない為死力を尽くして教え込むことにした。
「織斑、『がいしゅういっしょく』は書けるか?意味は鎧の袖が一度触れたくらいで、敵を簡単に倒すことだ。」
「千冬姉ってことか?」
「いや四字熟語……いいから書いて見ろ」
「鎧って漢字がわからねぇ!」
もう本当に馬鹿!確かに最近は装甲とか言うけどな!戦国時代に侍たちが鎧を着て戦っていたとかそのくらい書いてあっただろ。
「次だ!数学!因数分解してみろ、比較的簡単だと思うからな」
これを解くことが出来なければかなり難しいだろう。さて俺はセシリア達に現代文を教えてあげないと……
「三人とも大丈夫か?」
「なんとか、ラウラが少し日本に詳しくて助かったよ~」
「あぁクラリッサから学んでいた日本の知識が役に立った、彼女には感謝しなければ」
クラリッサが教える日本の知識は少し偏っているが、それでもある程度の知識にはなるようで安心した。日本語が読めているあたり問題はなさそうだな、問題は漢字が読めるかどうか。大体の問題文は基本的に漢字を使われていることが多いが、読めるかどうかで回答が変わってくる。
例えば「隴西の李徴は博学才穎」これを読めるかで変わってくる。ちなみにこれは山月記に出てくる。有名なのは「その声は我が友李徴子ではないか」というフレーズが頭に残っている人は多いのではないだろうか?
ちなみに俺もこのフレーズが頭から離れない、近年のネットではオリジナルの設定をつけられたイラストが出回っているため、目に入りやすいのもその原因の一つだろう。
「それじゃあ問題。山月記より、李微の性格を答えてくれ」
ちなみにこれは本文の中の「性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く」から答えが出せるものだ。ちなみにもう一人の登場人物である袁慘の性格は、李微と袁慘がもっとも親しいともになれた理由から理解することが出来る。
「プライドが高く自信家?」
「狷介とはなんだ?」
「頗る厚くはえっと……」
やっぱり読めるか読めないかで解答がかなり変わってくるものだな。ちなみにシャルロットの正解。ちなみに狷介とは「頑固で自分の信じるところを固く守り、他人に心を開こうとしないこと」と言う意味を持つ。文中の「性」は性格を現しておりこれと合わせると「頑固で人と心を通じ合わせず、その上プライドが高い」という中々な性格である。少し前のまるでセシリアのプライドとラウラの頑固を合わせたようなものだ。
「正解はシャルロット、李微の性格はプライド高い自信家。簡単に言えばそういうことだね」
山月記は今の高校生に人気なのかな?それは分からないが俺の時代では面白い話だと思ったがな。
「では次の問題。李微は虎になりました、本文から「これは恐ろしいことだ」と言っていますが、「恐ろしい」とは何を言っているでしょうか?」
これは李微が発狂し虎になってしまった後に、虎の本能で獲物を捕らえてしまったことで起きてしまった。李微が気がつけば目の前が血だらけであったと言うのは恐ろしいほか無いだろう。
虎の本能のままに動いてしまったと言うことは、人間の心からの考え方から発想が少しずつ虎よりになってしまっていることが理解できる。
つまりこの場合の答えは「人間の心からの考え方ではなく、虎の側からの発想になっていた点」が模範解答になる。
「虎になったことで本能が変わり始めた?」
「凶暴性があがって動物を殺してしまったから?」
「人間としての自覚が無くなりつつあったからだろう」
全体的に合わせたら答えにたどり着きそうだな。確かに本能は変わり始めたし人間の自覚が薄れてきているのは確かだから……
「全体的に惜しいかな、全体的にまとめてみて?」
「全体的に?」
「人間としての自覚が無くなって虎としての本能に変わり始め、動物を殺してしまったから?」
ちょっと長いけど全体的にはあっているような気がするから問題は無いか。
「では次。「だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。」とあるがその理由を簡潔に説明せよ」
模範解答は「完全な虎になってしまうことで、人間だった記憶を一切失ってしまうことんあるから。」である。ちなみにこの直後には「人間だった記憶の無くなることを恐ろしく思っている」と言うことが書かれている。なので意外と簡単な問題でもある。さて解くことは出来るかな?
「「「完全な虎になってしまうことで人間だった頃の記憶を全て失ってしまうから」ですわ」かな?」
うん全員分かったみたいだね。それなら良かったよ。あとは漢字が理解できれば問題は無いだろう。
「さて織斑、現代語訳できたか?」
俺が織斑に出した課題は李微が袁慘に書き取らせた詩の現代語訳をさせていた。内容は以下の通りだ。
災患相仍りて逃がるべからず
今日の爪牙誰か敢て敵せん
当時の声跡共に相高し
我は異物と為る蓬茅の下
君は已に軺に乗りて気勢豪なり
此の夕べ渓山 明月に対して
長嘯を成さずして但だ嘷を成す」
これを現代語訳すると
災難と病とが重なって逃れることができない
今の私の爪や牙には誰もかなうまい
あの頃の君と私は共に評判が高かった
だが私は獣となって草むらの中におり
君は既に車に乗る身分となって羽振りが良い
今夜、山渓を照らす明月に向かいながら
私は詩を高らかに歌うこともできず、ただ哀しく吼えるばかりだ」
難しいかな……この詩は李微の気持ちを表現した詩になる。李微は「自分が虎になってしまったこと」を嘆いている、第一句と第二句では虎になったことは運命であると捉え、三句と四句では昔と今の境遇が異なることを述べている。第五句六句では自身と友である袁慘境遇の違いを述べている。そして七句と八句では詩を吟じたくても吟じることができない今の境遇を嘆いている。
悲しい人間の末路である。俺も死ぬときとか蒸発するときは詩でも書いておくかな?
「全く分からん!」
とか言っている割には二句まではしっかりと訳されている。三句目はそのままだから問題は無いだろうが、四句目が読めないのが問題だろうか?
「最初はあってるな、その調子で頑張れ。ちなみに三句目の誰か敢て敵せんは、誰もかなわないと言うことになる。と言うことは前の方は?」
「爪と牙……今日は?」
「今と言う意味だ。」
「今の爪と牙には誰もかなわない?」
「誰の爪と牙だ?」
「李微だな、これはこいつのことを「私」といえばいいか?」
「それでかまわないぞ」
「今の私の爪と牙には誰もかなわない」
それでいい、では後は自力で頑張ってくれ。
「千春さん!ここ教えて!」
自身の勉強が出来ないのが難点だが、こうして年下に勉強を教えるのも悪くないだろう。千冬が教師になった理由もなんとなく分かるかもしれないな。
ちなみにこの後織斑に英語を教えたが……セシリア、シャルロット、ラウラが織斑の発音が酷すぎるのにキレて訂正を何度も行ったことで、織斑の脳内がショートしてしまった。