インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
時間はあっという間に過ぎていき、気がつけば夜の7時半となっていた。大広間を三つ繋げた大宴会場で、俺たちは夕食を取ることとなった。
「うん、美味しいな。刺身が出るなんて豪華なことだ」
「昼もお刺身でしたよ、IS学園って羽振りがいいですね」
俺の隣にはシャルロットが座っている、だが浴衣姿であった。どうやらこれは旅館の決まりらしく、『御食事中は浴衣着用』とのことだ。まぁその方が雰囲気が出ていい感じだからな。
ずらりと並んだ一学年の生徒は座敷なので当然皆正座だ。そして一人一人に対して膳が置かれている。
メニューは豪華なもので、刺身と小鍋。それに山菜の和え物が二種類、それに赤だしの味噌汁とお新香。刺身はカワハギという魚だ。簡単に説明すると夏が旬の魚であり、釣りや籠漁などで一年を通じて漁獲される。釣りの場合、小さな口で餌を削ぎとるように食べるので釣り人に当たりが伝わりにくい。このため釣り針を上げて魚の口に引っ掛ける合わせのタイミングを逃し、餌だけ取られることも多く、釣り上げるには高度なテクニックが必要とされる。このため引っ掛け釣りなどの釣法も普及しており、釣りの対象としても人気が高い。
この刺身には肝がついており、カワハギの肝は美味で珍重しこってりした旨みと甘みがある。
ちなみにカワハギは高級魚であり、一匹千円以上するものもあるようだ。
「うん癖がない。それにこのわさびも本わさびだ、高校生の臨海学校とは思えない豪華さだな」
IS学園に入ってよかったと思えてきた、まぁここに入らなければ彼女たちと再会することもなかっただろう。
「本わさ?」
「本わさび、西洋わさびに対して日本原産のものを『本わさび』って言うんだ。学園で出ているのは『練りわさび』と言ってワサビダイコンなどを着色したり、他のものと合成したりして見た目を似せたものなんだ」
「じゃあいつも食べてるのは偽物?」
「偽物っていえばそうだが最近は本わさびと混ぜたものもあるから一概に偽物というわけではないぞ」
気にする人は気にするがおれ自身はあまり気にしない、美味しければ何でもいいと言うことだ
「そうなんだ~あーん」
「おっと、シャルロットそれだけを食べるわけじゃないからな?」
わさびをそのまま口に入れようとしている彼女の手を止める、後もう少しで悶絶していたところだろう。
「まず刺身の片側にワサビをつけて、逆側に醤油をつけるんだ。 こうすれば醤油にワサビが溶けることはないからな」
「なるほど」
「あまり辛いのが苦手だったら使わなくても良いからな?」
「分かりました」
教えた通りに刺身を嗜むシャルロットの表情はとても幸せそうだった、良かった良かった
「ラウラは大丈夫か?」
「問題ありません、あのときから練習しましたので」
「それなら良かった」
このIS学園は世界中からISを学びに入学希望者が居る為、生徒教師共に多国籍だ。そのため箸や正座に慣れていない人達の為にテーブル席などが準備されているのだ。だがその心配は二人にはなさそうだ
セシリアは正座がきつかったらしくテーブル席に移動している、織斑の隣には篠ノ之と凰が居るし問題はないだろう。セシリアの表情はちょっとばかり寂しそうだけどな
「この席を手に入れるためにかかった報酬ですので」
「どういうことだ?」
「千春さん、女の子には色々あるんですよ」
色々ね……この席は会場に入ってきた順番に座っただけなのだが?それに何がかかったのだろうか?
シャルロットが呟いた言葉に対面の女子たちもうなずいている。なるほどつまり
「なるべく近くでってことか」
彼女たちの肩がビクッとしたのを見逃さなかった、そういうことなら確かに大変だな。織斑の方もおそらくそうだろうし。本当に見えないところで彼女たちは苦労しているんだな
他の料理も下手にしつこくない味付け、深みのある味わい……参考にしてもよさそうだな
食事を済ませた俺は温泉に移動していた、普段では味わえない贅沢な状態だ。
海を一望できる露天風呂に一人だけ、織斑は先に上がってしまった。少し話したいことがあったのだがな……仕方ない。
のんびりと海の夜景を眺めていると、ガラガラと戸が開いた音がした。おかしいこの時間に入ってくる人は居ないはずだ、織斑が入りなおしに来たとも考えにくい。と言うことは侵入者か。しかも織斑ではなく俺が目的で入ってきっている、手慣れか?
「誰だ!」
俺は侵入者に向けて構える、接近戦遠距離戦にされたとしてもここには使えるものがたくさんある。やれるものならやって来い
湯煙で相手が隠れている、姿が見えるまで逆に相手が姿を見せるまではおとなしく慎重に。的確に相手を戦闘不能にする。
そうして湯煙がはれた時、相手の姿が露になってきた。相手は女性でタオルすら身に着けていなくて……ウサミミだった。
「じゃーん束さんでした!」
「じゃーんじゃない!」
この状況突っ込まずには居られない、そもそもどうしてここまで来た!?他でも出会える場所はあっただろう!?
「まぁまぁくろちー、今は温泉を楽しもうよ~」
「いやタオルしてくれよ」
「タオルつけながら温泉に入るのは禁止なんだよ?」
そうだけど!そうなんだけどね!?
「千春!いつまで入っている!」
あーもう最悪だ、最強と天災が集まってしまった。温泉が戦場に変わる……
「やぁちーちゃん」
「束!?何をしている!」
「くろちーの背中流してあげようかと思って~」
いやそんな事言ってなかっただろう、完全に別件だよね?
「嘘を言うな!お前がかかわりだすと大体おかしなことがおきるんだ!」
「とりあえず束、一回出るから部屋で話しようか?」
「えー折角昔みたいに三人で入ろうと思ったのに!」
何年前の話だよ。もうお互いそんな年じゃないだろ?千冬も少し考えてるじゃないか!……なんで考えてるんだ?おいまてまさかとは思うが?
「仕方ないどうせならこの景色を楽しみながら話すとしよう」
「千冬?」
「生徒も居ない、問題ないだろう」
俺に問題があるんだが?いや待て待て!脱ぐな脱ぐな!刺激がきつい!
「あっ……えっ」
「あはっくろちー戸惑ってる」
「こうして裸の付き合いは久しぶりだからな」
お前ら俺の反応楽しんでないか?
「勿論だ、さぁ夜景を楽しむとしよう」
「おー!」
もうどうにでもなれ
「それで束、お前は何をしに来たんだ?また白式と黒式のデータ取りか?」
「それもあるけど本命は違うよ」
束はにこやかにそう言っているが俺は気が気でなかった。両隣には裸で身を寄せている幼馴染二人が居るのだから、身体が密着していて二人のイイ匂いが鮮明に伝わってくる。話どころではない。誰か助けてくれ……
「本命は箒ちゃん!あの子の専用機を造って来たんだ!」
「なんだと!?何故そんな事をした!」
「だって可愛い可愛い箒ちゃんの頼みごとだし?断る理由がないかなって~」
「なんということだ」
なんということだろう、千冬が興奮して詰め寄ったことで俺の身体にダイレクトにやわらかいのが伝わっている。san値がどんどん削れていく……san値ピンチsan値ピンチ!
「それで性能は?」
「なんとこの束さんが造った世界初の第四世代型ISだよ!」
「「はぁ!?」」
俺と千冬同時に驚く、それもそのはずだ第四世代などまだ空想の物であり世界でも開発が進んでいないのだ。ただでさえ第3世代でも問題があるというのに、それを超越した第四世代が彼女の手によって開発されてしまっているのだから。
「冗談だろ!?」
「本当だよくろちー、だけど問題が一つだけあってね~」
「なんだ?」
「操縦者は箒ちゃんだから、下手に扱わないか心配なんだよ~」
「ならリミッターをかければ良いだろう?操縦者の技術に合わせてな」
「そんな事したら怒っちゃうよ!」
「器の小さな人間が大きな力を持ったところで扱えるか!その人の技量に合わせるべきだ!」
俺と千冬の猛反発により、箒のISは下方修正されることとなった。得体の知れない第四世代型IS……危険すぎる
「それはさておき、三人でこうして入るのは久しぶりだね~」
「何年前だろうか?私たちが小学生の頃だからな」
ざっと十数年前、俺と彼女たち二人でお風呂に入っていたときがあった。ただその時は皆純心無垢だっただけであり、今となっては色々と知ってしまっているわけで……
「くろちーも立派になったよね」
「それは私たちもだ、こいつに支えられたからかな?」
「うっさい」
「照れているのか?昔のお前は―――」
「あー!聞こえない!何も聞こえない!」
照れくさい話をぶり返されてたまるか!そっちがその気ならこっちだって話すぞ!お前ら二人が泣きべそかいてたり、料理が少し苦手だったり!えっと……そのほか色々!
俺は二人が思い出話に浸っている中、羞恥心で一杯一杯だった。