インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
千冬達が作戦会議をしている中、俺は部屋に戻り負傷した箇所の治療と破損したパッケージの修復を行っていた。
あの機体が多少は制御されていたとしても、真正面から喰らってしまえば致命傷になりかねない。絶対防御の重要性が良く分かる、俺のIDにも部分的な絶対防御をつける必要があるな。
「さてと……黒式、少し相談させて貰うぞ」
黒式のコアと出会えることを信じながら、俺は軽く眠りについた。
目を開けるとそこは青い空が広がっていた。あたり一面は水面であり青空が綺麗に映し出されていた。
どうやらまたあの場所に来る事が出来たみたいだな、あとは彼女を探すだけだ。
「誰を探してるって?」
探さなくても良かったみたいだな、それに前にも居たメンバーがいるし見たことも無いコアもいる。赤と白と銀、それとオレンジ、うん絶対あいつらのISコアの人格だ。なにこれここまで繋がってる場面に出くわすことがあるとは思わなかったんだが、こういうこともISならありえるのか?シェアリングとはまた違う状況なのかもしれないな。
「銀の福音を止める為だからね、私たちも集まっておかないとね?」
「作戦会議しつつも世間話をしたりするんですよ」
なるほど、そういうものなのか。ISの人格も人間と変わらないな。それに可憐な少女たちだし。
「可憐だなんてそんな~」
あぁもう俺の心は皆に筒抜けなのね。なんでなの?なんでここまで簡単に読まれるの?ISだからじゃないよね絶対、それ以外のシステムか?いやそんな分けないなということは顔に出ていたのか?
「簡単ですよ?」
「そうか」
なんか辛いな……もういいけど。それにしてもこの中では白と黒、赤が大人びているな、やっぱり創られたコアごとに年齢が変わるのか?
「貴方が好む体系になっているだけよ」
「そうかそうか、じゃあ最初は子供系が好みだと思われていたってことか~ぶっ飛ばすぞ」
「まぁまぁ落ち着きなさい、それで貴方があったことのないコアたちだけど。左から紅椿、白式、弐式、リヴァイヴよ」
白式と紅椿以外幼すぎるだろ!どうなってるんだよ小学生か?まだそのくらいしか経っていないと言うことなのか?
それで作戦会議といっていたが、具体的な作戦はあるのか?
「その前に紅椿と白式、弐式が言いたいことがあるんだってさ」
「三人が俺に?」
余り身に覚えが無いのだが、特に白式。俺とはほとんどかかわりが無いはずだ。弐式と紅椿はなんとなく分かるが、白式お前は一体何なんだ?
「では私から、貴方のおかげで簪の元までたどり着けたこと、設計通りに開発してくれたことに感謝しています」
「いやあれは完全に企業の責任だった、長いこと待たせてしまってすまなかった。俺がもう少ししっかりしていればあんなことにはならなかった」
「いいんですよ、結果的に本来のスペックよりも格段に良くなりましたし。設計段階から問題のあった箇所も改修が施されてます。これは黒神さんの腕の力ですよ」
そう言ってくれるだけありがたい、俺がしてきたことは間違いではないということなのだろうから。これからもよろしく頼むと伝え、彼女と手を交わした。簪に似てまじめな子でよかった
「じゃあ次は私ですね、紅椿と言います。束さんに開発された第四世代型ISのコアであり―――」
「赤月?」
「憶えてくれてたんですね!」
その言葉に彼女は驚いた表情をしていた、第一世代型IS『赤月』。それは束に開発された最初期のISの一つである。これの搭乗者は誰だったか……忘れてしまったがこの機体はかつて千冬の愛機だった『暮桜』を損傷させてしまった。
赤月の単一仕様能力は「全てのISの弱体化」でありこれは強大すぎるため、封印することととなった。最初期のIS、そしてその能力それはまるで王のようだった。
さてなぜその機体のコアを俺が知っているのかだが、実は赤月は俺が止めたんだ。正確に言うのであれば止まってくれたの方が正しいかもしれないな。
「王だなんてそんな……」
照れているのか、だが今は違うはずだ。赤月は解体されたはずだしもう機体は残っていない、コアだけはこうしてちゃんと残っていたみたいだな。
「それで、俺に一体?」
「黒神さんの身体にまた傷をつけて!申し訳ございませんでした!」
それは見事な土下座だった、額を地面にこすり付けてしっかりと反省しているかのようだった。だが彼女に謝られる理由は無い、あれは完全にこちらの判断ミス。こちらに問題があったのだ彼女が気にする必要は無い。
「しかし!」
「いいの!もう傷口は治したから謝らなくていいの!」
「しかしあれは動こうと思えば動けたんです!ごめんなさい!」
「良いって、気持ちだけで十分だ」
それよりも今後のことが問題だ、銀の福音を止めるのに対して彼女を使わなければならない。紅椿と白式のSEをなるべく減らさないようにしなければ、あれを停止させることは不可能だろう。ただ搭乗者は織斑と篠ノ之だということだ、織斑は普段の成果が出ているのかかなり操縦技術に磨きがかかって来ている。遠距離と近距離を同時に相手することには未だに粗い場面が見られるがそれでも確実に成長の兆しが見えている。
対して篠ノ之だ、彼女は専用機をつい数時間前に譲渡されたばかりだ。全ての機能を理解していたとしても、扱いきれるとは限らないのだ。そして彼女の考え方も問題だ。打鉄に搭載されているアサルトライフルを一切使わない近接戦闘特化型、それを見越してのあの刀の能力だろう……任意のロック機能がついているのが救いだろう、縦横無尽になぎ払っていたら二次被害どころではなっただろう。それだけはナイスだ束。
「そしてお前は……」
「そう私だ」
「こうして会うのは何年ぶりだろうな」
「あの事件以来だろう、随分と成長したな」
頭を撫でてくる、コアは知能を得ることは出来るが見た目は変わらないんだな。まぁおばちゃんになっている白騎士は見たくないかな。このコアの人格と出会うのも二度目だ、最初にあったのは白騎士事件の前日だ。何故あったことがあるのかと、それに答えるのであれば「白騎士は俺が整備していた」からである。だがその時俺はISを動かすことは出来なかった、これには色々と理由があるのだがそれはまた別の機会に話すとしよう。
白騎士は最初に作られたISではあったが、世代的には暮桜と赤月が第一世代型に該当する。白騎士はISでありISではないという複雑な立ち位置である。
「なんとなく察してはいたが、白騎士のコアが白式に使われていたか」
「私もまさか織斑姉弟に使われるときが来るとは思わなかったがな」
「今の操縦者はどうだ?」
「ハッキリ言って弱いな、どうしても織斑姉と比べてしまうが……全てにおいて下回っている、伸び出ている能力もあまりない。総合的な技術不足だ」
やっぱりあの領域までは時間がかかるか、世代による差があるとしてもそこまで人格に言われてしまうとは。織斑臨海学校終わったらトレーニング三倍だな
「それより撫でるのやめてくれないか?」
「良いじゃないか~久しぶりに会えたのだから~」
やめろって言ってるだろ、それに周りの目が辛いんだよ。特に黒式は凄い睨みつけて着てるからな?理由はまったくわからないけど!それにこの歳で撫でられるのは心に来るものがある
「白騎士、今はそんなことをしている場合ではない。今はあいつを停止させるのが先決だ」
「勿論わかっている、だが正直言ってしまうとこの作戦は失敗すると思う」
そんな事はないと言いたかったが心当たりなどがさまざまある、だがこの作戦が失敗したらどうすればいい?超音速飛行をすることが出来るのは今のところブルー・ティアーズのみ、パッケージを開発するにしても三十分でというのは不可能だ。出来るとするのであればTパッケージのビットを全てスラスターに転用した後、別のパッケージに交換しながら戦うくらいだろう。だがこの作戦は勝てることが前提だ、全てのSEを使い切ってしまったときを一切考えていない。完全に特攻だ。
「私はその考えに反対、絶対に反対」
「私もです」
「同じく」
勿論反対されているのはわかってた、だがこれを実行することが出来れば残っている専用機持ちに情報を与えることが出来る。自身の犠牲を持って
「絶対に駄目だ、自己犠牲など無駄だと理解しているだろ!」
「いや無駄な犠牲と、無駄ではない犠牲もあるんだ。俺が成そうとしているのは無駄ではない」
「どうしても考えを捨てる気はないのね?」
「あぁ」
勿論だ。それに一人の命で済むものなのであれば良いじゃないか
「でもそれをする前に私たちで終わらせれるように考えましょう」
「……そうだな」
今は二人を信じるしかないのだから、俺が出るのはもしもの時か
「それじゃあこの作戦で行くぞ」
「わかった、紅椿も頼んだぞ。万が一操縦者が意図しない場面に出くわした際は」
「わかりました」
「そしてその他の皆は伝えた通りに頼む、きっと彼女たちは止まらないだろうから」
彼女たちには緊急事態の際に行ってもらうことを、紅椿と白式には操縦者の安全優先と銀の福音の停止、最悪の場合はコアの破壊。
あの操縦者にはなにも責任はない、だから死なさず殺さずを貫いてもらうことにした。そして黒式には万が一の場合に備えての作戦を伝えることにした、彼女は納得することは最後までなかったが……これだけは譲れない。俺の性格を知っているのであれば最低限はついて来てほしい。
「それでは解散!」
コアの人格と別れ意識を目覚めさせた頃には、既に三機の機体が銀の福音に向かっていた。