インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
皆は予感を信じるだろうか?いやある程度の人は気のせいか、として無視していることが多いだろう。だがその予感は当たっていることが多い。
それが今俺に起こっていた、コアとの会議から目覚めた俺は二人の機体の行方を追っていた。もちろん千冬には黙ってだ。まぁ仮本部が二人の状況を監視しているだろうし、これがバレてしまうのは時間の問題だろう。
ハイパーセンサーによる二機の捜索を開始しつつも、想定外の敵に出くわさないように警戒をし始める。超音速加速はこの機体では出来ないがそれくらいの速度を出すことは出来る、逃げられたら追いつけないだろうな。
「発見……あいつ無理しやがって!」
拡大表示された三機の状況は酷いものだった、特に白式は装甲があまり無く織斑を守れて居ない状況だった。だがその後ろで篠ノ之を守っている、守るために自己犠牲か……
気が付けば俺は福音に対して狙撃を行っていた、それに気がついたようで福音も回避に専念し始めた。
「織斑!篠ノ之!」
二人の安否を確認するために近づく。織斑は篠ノ之に抱かれる形で気絶し、皮膚が焼けてしまっている。ISでもカバーできないほどだったか。
対して篠ノ之、気絶した織斑に必死に呼びかけていて軽いパニックを起こしている。紅椿はまだ少しだけのエネルギーが残っているが戦闘続行は不可能だ、だがこのままにしておくわけにもいかない。
「篠ノ之、退却しろ」
「織斑!目を開けろ!」
「……篠ノ之!」
「はっ!」
「退却しろ、今そいつに呼びかけても無駄だ。今すぐに寮に戻って治療してもらえ」
「で、でも!」
「いいからさっさと退却しろって言ってんだろ!」
俺は強制的に篠ノ之を寮へと戻した、さてさて?軍用ISの実力見せてもらおうかな?少なくとも戦術を間違えたら死だ。
第四世代の力を持ってしてもここまでダメージが与えられないと思わなかった、それほどまでに高性能で回避特化か。スラスターは砲口になりそこからは羽の光弾が放たれる、何砲口あるのか詳しいことは不明だがあれが主力武装なのか?
『黒式、データ表示できるか?』
俺は何も居ない空間に話しかけた、勿論黒式は何も話してくれない。だがそれに答えるように黒式はいくつかのパネルを表示した、それはどうやら白式と紅椿が交戦した際に得たデータのようだ。
なるほど確かに軍用ISらしい数値だ、射撃特化の機体だが回避にもパラメータを振っている。大型スラスターは広域射撃武器と融合させた新型か、高出力の多方向推進装置……逃げられたら面倒だな。
「十分だ」
全てのパネルを閉じ俺は福音と向かい合う、悪いがここから先は通行禁止だ。俺の退屈しのぎになってもらうぜ!
「織斑先生!」
「あいつ……!」
大画面には福音と戦闘を続ける黒い機体が映し出されていた、福音にはまったくかなわないスペックの黒式でなにをするつもりなのか。確かにあの機体にも雪片は積まれている、だが白式程の力は無いんだ。
私は直ぐに下がるように無線をつなごうとした。しかし「相手はこちらからの通信を拒否しています」と電子音が流れた、どうやら徹底的に交戦するつもりのようだ。そっちが万全になるまで俺が時間を稼ぐというのか?無謀だ。お前は直ぐにそうやって犠牲になろうとする、VTシステムのときもそうだ。
「どうして、どうしてそれしか」
「織斑先生、今は織斑君の治療を!そして作戦の再構築が必要です!」
「わかっている。わかっているが……」
こちらの二人は満身創痍。白式は特に酷く、束によると完全復活させるには一時間掛かるようだ。それはかまわないのだが操縦者である一夏が意識不明の重体である事が問題なのだ、白式は基本的に織斑にしか扱えない。
こんな状況下でどうすれば……
「織斑先生!黒神さんとのコンタクトが取れました!」
「なに!?」
「ただあちらの声は一切聞こえません、それに謎のデータが大量に送られてきます!」
モニターを見ると無数のシステムデータと思われるものが送られてくる、こういうのに詳しいのは大体束だ。これは束に頼るしかないだろう。
そう思い声をかけようとすると、既に彼女は事態に取り組んでいた。データを解析解読している彼女の額からはうっすらと汗が流れている、どうやら莫大過ぎて対処するのが遅れ始めているらしい。
「織斑と篠ノ之を除いた専用機持ちは集まれ!再度作戦を立てる!束、データの解析が終わり次第伝えろ!」
「勿論!」
おそらく私の予想からして送られてきているデータはあのISのデータだろう、それをあいつは戦闘を続行しながらも送り続けている。むちゃくちゃだな。
モニターに映っている彼の姿を見れば、羽の光弾を打ち消しながら的確に回避行動をしている。黒式の見た目が異なっているがおそらくパッケージを変えているのだろう、オルコットのティアーズに似たデザインになっている。紅椿戦によってウイングが破壊されたが、何とか修復が済んだようだな。
BT兵器を使用しながら相手の退路と光弾を消して行く、それでも相手の弾幕のほうが凄まじい……やはり耐久戦になればなるほど苦しいのはこちら側か。
使い勝手が良いパッケージだがその分使用者の負担も激しいようで、千春からは苦虫をつぶしたような表情が伺える。
片手からまばゆい光が放たれる、どうやらBTだけでは流石に無理なようで銃を二つ取り出した。ひとつはカノンだがもうひとつは一体なんだ?自動拳銃型だが……
「コマンド。徹甲弾を打ち出せる小型拳銃、だけど緊急用の装備だから弾薬はそこまで作ってないはず」
束が解析を進めながら武装の解説を行う。こいつを開発したのは束だったな、詳しくて当たり前か。だがあのウイングは知らなかったようで少しばかり戸惑っていた、千春が勝手に外装パッケージとして開発していたり改修を加えていると言うことだろう。
「それでも、状況は依然変わらない。あいつが苦しいままだ!」
「わかってるよ!だから今必死に治して解析しているんでしょ!」
「二人とも落ち着いてください!」
言い争いになりそうな私たちを山田君が止めてくれた、後ろに居るラウラ達は画面に映る千春を心配そうに見つめていた。
頼むから前回のようにならないでくれよ!千春!
BTから僅かだが光が出始めている、これはエネルギー切れの前兆。30分も最大火力を維持していれば切れても仕方ないだろう、まだまだ改良が必要だな……
「Laa♪」
勝機と見た福音は一気にこちらに加速してくる、確かに従来のISでは活動限界の合図になるだろう。だが俺のはちょっと違うんだよな!なぜなら切れたSEはパッケージ分だけだからな!
「慢心ほど酷いものは無いんだよな」
零距離で止めを刺そうとしてきた瞬間、俺の黒式が輝きだした。これは絶対防御の一種であり黒式にしか搭載されていないものである、部分的にしか展開は出来ないがその分目くらましにも使えるかもしれない。
突然の光に驚いた福音だがそれはこちらにとって絶世のチャンスだ、換装したRパッケージに搭載されているパイルバンカー《神殺し》を腹部に押し付け12発全てを叩き込む。流石の福音もこれには悲鳴を上げる、だがまだまだこの状態は保たせてもらう。パイルバンカーの次は20ゲージのショットガンを連射する。これに対抗するように光弾をぶつけて来るが、自分の装甲にも光弾が当たってぼろぼろになっている。我慢比べってか?だがその前に搭乗者の安全だけは確保させてもらうぜ!
「悪いけど少し福音とは分かれてもらうぞナターシャ!」
俺は福音から操縦者を引き剥がす、これをするためには
チャンスは勿論一度きり、純正の剥離剤とは違うため副反応が起こってしまうかもしれない。ISコアの人格が一人歩きし暴走してしまえば、対処しづらくなるのは当然のこと最悪の場合コアを破壊しなければならなくなる。
貴重なコア……黒式たちと同じ少女?を殺したくは無い。せめて何かしらの対話が出来ればいいのだが。