インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
「くそっ!しっかり当たってるのに!」
「どうなっているんだあいつは!?」
「破壊するまで収まりませんてことね……」
福音には何度も零落白夜を当てているのにも関わらず、福音は機動を停止しない。
ここまでの執念をISから感じることになるとは思わなかった、もし白式がこれと同じようになってしまったらと考えると恐ろしくてたまらない。
「白式の残りエネルギーは!?」
「あと二回分だ!」
このままでは同じになる。なにか、なにか他に武器は無いのか!?
白式が第二形態になったときに増えた装備はこの雪羅だけ、だがこれだけでも白式の戦闘能力は比較的に上がったはずだ。
それでもあいつを倒すには不十分だ。第四世代の紅椿も性能面では引けをとらない、だけど十分に活かしきれていないせいか福音よりも劣っているように見えた。
「来るわよ!」
考えている暇は無かった。
「デュノア、今から福音まで飛べるか?」
突然千春さんからそんなことを言われた。
勿論断った。今の彼があの場に行った所で何も出来ない、むしろ足手纏いになって的にされかねないから。もしかしたら福音に自身を狙わせて隙を作り出す作戦を出すかも知れなかった、また千春さんが血だらけになる姿は見たくない。
「駄目です、おとなしく旅館に戻ってください」
「頼むデュノア、福音を止めるにはこれを使うしかないんだ」
そういって彼が取り出したのは《
「チャンスは一度きりだが、それでもやってみるしかない」
「何をするつもりなんですか千春さん!」
「慌てなさんな。これを扱うのは俺じゃねえ、織斑だ。織斑にこれを使ってとどめを刺してもらう」
確かに破壊力はある、だけどそれを本当に織斑くんが扱えるのか?それだけが心配だった。その装備の許諾はおそらく降りているのだろうけど、それ以前の問題だった。それに千春さんの性格からして大人しく旅館へ戻るとも思えない、何かしら隠している。そう僕の中では思ってしまった。
「……何するつもりですか」
「なにって、これを織斑に扱ってもらって倒すだけだ」
「千春さん自身がですよ」
「俺はあいつの気を引く。相手を釣るには餌が必要だからな」
千春さんの言っていることをまとめると「福音は俺が引きつける。その間に織斑による射撃で破壊」ということになる。
だけどこの作戦は無茶苦茶なものだ、仮に千春さんが福音を引きつけられてとしても織斑くんがそれを外してしまったら?発射速度よりもアレが反応するスピードが速かったら?そう考えると一筋縄ではいかない。
それ以上にも千春さんがボロボロになっている姿をこれ以上見たくない、だから僕は千春さんの意見に反対した。
目を閉じて首を振ったとき、唇に何か柔らかいものが当たった感触がした。目を開けると僕は千春さんにキスをされていた。
俺の願いをことごとく打ち砕いていく。そこまでしてシャルロットは俺を前線に立たせたくないようだ、だがこれをしなければあいつを倒すことは出来ないだろう。それ以外でも何かしら方法はあるかもしれない、例えば未だに単一仕様能力が芽生えていない機体たちの突然進化。特にこれは紅椿に期待している、未だ未知数の第四世代型だ。進化する可能性はいくらでも秘めているだろう。
「ダメなのか?」
「ダメですよ・・・・・・」
シャルロットが呆れたように首を振る。こうなってしまっては仕方が無い、少し大人の権利を利用させてもらうとしよう。
彼女が目を閉じた瞬間、俺は彼女の唇と合わせる。逃げられないようにしっかりと右腕で頭を掴む、咄嗟にされてしまったことでびっくりしている彼女の姿が脳裏に浮かぶ。だがそんなことお構いなしだ、俺は俺自身が提案した意見を無理矢理でも通させてもらう。少しの時間キスをしてゆっくりと唇を離していく、彼女は何をされたのかわからないようで表情を浮かべていたが、その顔はしっかりと赤く染まっていた。
「お願い聞いてくれるかな?」
「ふぁふぁい……」
「ありがとう」
これは正直汚いと思うけど俺の考えを押し通すためだ、手段は選ばないさ。
彼女のファーストキスが俺になってしまった可能性は、どこかでしっかりと埋め合わせと償いをしなければならないな。
あとは多分これを知ったかもしれない二人にもなにかしら埋め合わせをしておかないと……
「それじゃあ頼んだぞ」
「はっはい!」
俺はリヴァイヴの装甲にワイヤーを突き刺して移動を開始した、関節がおかしな方向に曲がってしまった腕や足を無理矢理元に戻してなんとか動かせるようにした。右腕とライフルだけを展開した状態、これを生かして福音を破壊する。彼女のISデータを盗み更新しつつ作戦を練る、リブァイヴにと新たに搭載されているのは防御パッケージ「ガーデン・カーテン」だけ。
どうやらこれは実体のシールドを二枚、エネルギーシールドを二枚を駆使しして防御機能を向上させるようだ。
彼女の特性であればこれを利用しての防御の間攻撃に転じることも可能だろう。
これを発展させればいろいろと便利な機能になりそうだ。
「目標の状態はどうなってる?」
「無人機になって無差別に攻撃を開始ししています、織斑くんもなんとか復活しましたけど……押されている状態に変わりはありません」
「やっぱりダメだったか、織斑はいい線言ってると思ったが相方がやはりまだ不十分か」
紅椿のポテンシャルに制限をかけたのか、それとも未だに何か発揮されていない能力があるのか?束……もう少し情報をこっちに渡してほしかったな。
「見えてきましたよ千春さん!」
「気をつけろシャルロット、あいつの狙いはおそらく俺だ。俺を運んでいる君も狙われるからな!」
「はい!」
うっすらと見えてきた福音とそのほかの状態は随分と酷いものだった。福音は確かにその両翼をもがれているのにもかかわらず、機動を止めようとしない。
白式から紅椿までの装甲は削り取られており、戦闘続行は可能だろうがあと数分持つかどうかわからない状態だ。白式の形態が変化しているのを見るとどうやら上手くいったようだ。
「まず俺はあいつらが勝てるとは到底思っていない、確かに一部は認めている。だが相手は国家機密だ、正直勝てる見込みは未だ無い」
「私の零落白夜で!」
「確かにそれは戦力になるだろう、だが問題はそれを当てられるかだ。ここ最近の織斑は実力も少しずつであるが、しっかりと上がっている。それでも足りないんだ」
「私の展開装甲を駆使しての加速では?」
「確かに紅椿のスペックは福音よりも勝っている、それで行った方がいいだろうな」
「しかしそれでも当たるかどうか……」
結局当たるか当たらないかの問題になる、零落白夜が一度だけ当たったら良い訳でもないのだ。何度も当てて的確に操縦者を避けて攻撃をし、SEを削らなければならない。
「俺が時間を稼いでお前たちが出撃出来るように出来たら、お前たちは全力で挑めるか?」
「元から全力です、後は彼女たちだけの問題。彼女たちが私たちの最上限スペックまで生かしきれるかです」
「あとは……福音のコアと対話が出来たらいいんだが」
「それは無理。完全に遮断されてるからこっちからもあっちからも通信は出来ない」
となれば操縦者の生命が危険だな、名前はわからないが操縦者の名を言って問いかけていけば……いや意識は完全に遮断されていたな。となれば無理矢理引き剥がすだけだ、一つだけ剥離剤を開発している。それを使用すれば彼女とISを分離させることが出来るはずだ、そうすればISも強制的に停止するはずだ。
何事も例外が起こらなければの話だが。
「ダメです!危険ですよ!?」
「危険を顧みずにしなければならないときもたまにはあるんだよ」
「それでも!」
勿論反対意見が多かった。いや賛成意見は俺だけだった。黒式は断固として拒否し続けた、勿論理由はわかっている。
俺が犠牲になるということは俺の専用機である黒式にも被害が及ぶと言うことだ、黒式は傷つくのが嫌いだ。
だからこそ自己犠牲などふざけた理由だと思っているのだろう、だがこれは誰かが死なないようにするためだと考えれば造作も無い。
千冬達が築き上げた作戦だが、これがもし何かしらの状態で失敗した場合織斑か篠ノ之のどちらかが最悪の場合死んでしまう可能性がある。ISの絶対防御には限度があり操縦者を昏睡状態にまで追い込んでしまう。それが起きてしまったら、白式の装甲は如く破壊されて原型をとどめなくなってしまう可能性も考えられる。まだ原型をとどめている程度であれば、修復することは可能だろう。
「お前達の力を信じているからこの作戦を提案したんだ。勿論あいつらも」
「くっ……」
「すまない、だが決めたことなんだ」
「わかりました。そこまで頑固だと曲げるのが難しいですからね、協力します」
「助かる。それで俺が戦闘しながらあいつのデータを送る、それを糧に福音を止めようとあいつらはするはずだ。だからそのときは全力でサポートしてあげてくれ」
「「「「わかりました」」」」
「では解散!」