インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
ノウウェルカム・イン・ザ・サマー!
八月。先月よりも日差しが強くなり汗が滴る時期になってきた。この時期のアイスは格別に旨い。辛いラーメンなども何故か旨い。
この時期、IS学園は遅めの夏休みに入る。そのため世界中からやってきたが学生は、現在ほとんど帰省中になっている。
そのせいで現在この学園にいる専用機持ちは俺と織斑、簪と楯無さんとなっている状況だ。シャルロット達は一端帰省してISの戦闘データなどを解析しているらしい、専用機持ちならではと言ったところだろう。
「それにしても暑い……どうしてこう日本の夏は暑いのか」
「いや~酒が旨い」
「昼から飲むな馬鹿者」
「良いじゃないか、面倒なガキどもはほとんど学園は居ないのだから。これくらい羽目を外しても問題なかろう」
そう言っているが、昨日山田先生と共に一学期のまとめと書類の処理を行っていた。ほとんどが男性操縦者に関する事や、代表候補生ではないのにも関わらず専用機が与えられた存在の処理など。汗を流しながら作業していた。
「山田くん!この資料に関してなのだが!」
「それはこっちで回します!織斑先生は目の前の書類をお願いします!」
ここはIS学園の教員が集まる職員室。中には三人しか居ないが忙しなく動いているのが二名、その二人をサポートするように動いているのが一名。
勿論忙しいのは教員の方で、俺は特にすることはあまり――
「千春!お前も手伝え!」
「お願いします千春さん!」
仕事を与えられてしまってはどうしようもない。せめて動きやすくなおかつ快適に作業が進むようにと、冷房と飲み物を各自に配置した後与えられた仕事を熟していく。
「お前に関する事は全部任せる!こっちはこっちで問題児の処理だ!」
「私は一学期のまとめを!」
本来ならばこんなにも忙しくはないのだろう、しかし今回はイレギュラーが多すぎた。
『ISを扱える男子』から始まり『二人目の男性操縦者』、異常なまでの専用機持ちの集まり。頻発する謎の事件、さらには国際IS委員会からの説明要求と織斑一夏、黒神千春の身柄の引き渡し命令。そのほかにもまだある。
考えるだけでも頭が痛くなる。問題児が言うなって?HAHAHAHA!
「俺に対しての資料多くね?」
「私たちが処理しているものの数倍はあるからな」
なんで?なんでそんなことになってしまったの?恐る恐る重ねられた書類を一枚手に取る。
そこには学園クラス、名前、びっしりと書かれた質問が書かれていた。
あぁこれ少し前にあったやつか……本当に全クラスの質問に答えなくちゃいけないのか、いや本当にこれ全部答えるのか!?
「嫌だぁぁ……」
「ちなみにそれは今日までに頼む」
死刑宣告だ。この女俺に死ねって言ってきてる。こんなの一日で終わるわけ無いだろ!
そもそもテスト用紙って一枚だけだよな?何でレポートみたいに何枚も同じ人から来てるんだ?文字数制限無かったからか?
ともかくここでグチグチ言ってしまっていても時間が過ぎていく一方だ。片付けてしまおう。
ではまず手に取った一枚の質問から回答していこう。
「三年Aクラスの熱盛と言います。歳は今年で18になります。
出身は北海道でこのIS学園に通いたいと思ったのは、織斑先生のように凜々しく可憐なIS操縦者へと成長したいと思ったからです。
専用機は未だ持っていませんが、代表候補生として立候補しなんとかその立場にしがみつくことが出来ました。
しかし将来的には専用機を持ち『モンド・グロッソ』で快挙を成し遂げたいと思っています。そこで質問です。
黒神さんはISの開発を行っていたと伺っていたのですが、専用機の開発などしたことがあるのでしょうか?
開発した経験がある場合はこの質問に答えていただきたいのですが、その専用機開発で厄介だったまたは開発が難航してしまった経験などはありますか?
黒神さん自身も専用機持ちだと伺っているのですが、やはり専用機を持つことである程度優位感を感じられるのでしょうか?
また織斑先生との関係についてお答えしていただきたい。
織斑先生と幼なじみであることは周知の事ですが、それ以外を私たちは知りません。
ですのでここではっきりと織斑先生との関係をお答えしていただきたい。
よろしくお願いします』
なるほど、専用機持ちでは無いにしろなんとか候補生までは上り詰めることが出来たみたいだな。
このケースは山田先生と同じだ。彼女もまた努力しリヴァイヴという量産機で候補生まで上り詰めることが出来た。だがこの状態はあまりよろしくない。
山田先生はまだ学生の頃恐らく16?17?の頃には候補生だった。しかしこの人は18歳、段階としてはかなり遅い方だ。
俺の記憶が正しければ候補生を育てる育成所は20歳になってしまえば強制的に退出させられる、山田先生が教員になったのもそれが原因だ。
退出させられてしまうと言うがその分対応などは優しいらしくある程度融通が利く、整備課になる者もいれば山田先生のように教師になるひともいる。ISとは関係のない職業に就く者も居るが、ISの魅力に取り憑かれてしまってはその可能性は低いあろう。
さて、俺なりの回答をしておくとしよう。
『まず織斑先生との関係についてお答えします。
織斑先生とは幼なじみであることは周知の事実ですが、それ以上の関係と言うわけではありません。
彼女は高嶺の花、自分とはつり合いませんよ。ただの幼なじみそれが今の関係です、これからもそれは変わらないと思っています。
次に専用機についてです。
専用機はその操縦者の要望の元、持てる全ての技術を最大限活かして開発を進めています。
中には未だにどの世界でも開発が難航してしまっているシステム、兵装などにはかなりの時間を設けます。システムなどが開発できるまでの間、別のシステムで代用するという選択肢もあります。代用するには操縦者との模索の中で許可を得てからと言うことになりますが。
難航したもんで例を上げるとするのであれば、多数を一斉にロックオンし持てる射撃力で制圧するためのシステム『マルチ・ロックオン・システム』はかなりの時間を強いられました。
専用機を持っている事に対してですが、あくまで私の機体はデータを取るために使っているのでそもそも優位感などはありません。そもそも専用機を持っているからと言って、そのような感情を持ってしまっていては宝の持ち腐れになります。
あくまでもその責任感や立場を意識しなければ、専用機持ちになることましてや代表者になることなど不可能だと思います』
少し辛口だと思うが、これくらい言わなければ彼女の為にもならないだろう。
それに世界で活躍している代表者をある程度知っている身からすれば、彼女の覚悟など塵に等しい。
そのくらい世界は気宇壮大であると言うことだ。
「なかなか厳しいことを言ってしまったかな」
「それくらい普通だろ、世界を甘く見るな」
ブリュンヒルデがそう言うのであれば間違いないだろ。世界最強の言葉は重みが違う。
さて次の質問に答えとしよう。積み上げられた書類から適当に取り出す。
『二年Cクラスの鷺沼と言います。17です。バスト80cmウェスト57cmヒップ83cmですよろしくお願いします!
今回のテストで黒神千春さんか織斑一夏君のどちらかに対し、気になっていることを記入する課題が出されました。
私は弟の織斑君よりも親密な関係にあると思う黒神さんに質問をしたいと思います。
少し答えづらい質問もあるかも知れませんが、なるべく返答してもらえればありがたいです。
質問1。好きな女性の仕草やタイプ。
質問2。ずばり織斑先生と出会ったきっかけは?
質問3。胸が大きい子と小さい子どっちらが好みですか?
質問4。恋人とか募集していたりしますか?私は候補に入るでしょうか?
以上です。他にも聞きたいことは山ほどあるのですが、恐らく黒神さんにたくさんの質問が来ていると思うのでこの四つに絞らせていただきました。回答の方をよろしくお願いします。』
質問が四つなのはありがたい、答えるのに時間はそこまでかからないだろう。
しかし自身のスリーサイズを開示するのはいかがなものかと思ってしまう、ましてや一言も話したことがないのに良くこうして書けるものだ。
もしかしたらこれは嘘かも知れない、というかそもそもそこまで信用はしていない。
『質問1対してですが、はっきりと決まっているわけではありません。強いて言うのであれば笑顔ですかね?にこやかな女性は心に来ます。
質問2ですが、織斑先生とは小学生の頃とある理由で出会いました。理由は言えませんがその頃から顔見知りでありある程度関係があったという事だけはお伝えします。
質問3、胸などそういった特徴はあまり気にしません。身長が高かろうが低かろうが関係もありません。大切なのは性格とか気持ちの問題だと思います。
最後の質問について。特に恋人などは募集していません、ですが友達としてなら募集しているので話しかけてもらえたらと思います』
実際に彼女とかを募集しているわけではない、そもそも千冬と束以外はあまり話したことがなかった。
ラウラとかは一年とか数ヶ月程度、ましてや数日しか話していないときもある。モンド・グロッソの時に世界各国の代表者に見られたことはある、そこでイリース、アリーシャ、ログナーと出会った。
俺がナターシャの事を知っているのはイリースからテストパイロットとして彼女の事を聞いていたからだ、アリーシャとは千冬と激戦を繰り広げたこともありある程度の面識がある。
ログナーもそのときに出会ったのだが、今は代表を辞めているらしい。詳細な理由は知らない。
さて長々と回答していっては時間がかかるからな、割愛させてもらうとしよう。
と言うことがあったのだ。どうしてそこまで資料がまとまってしまったのか、それはやはりイレギュラーな存在が集ってしまったことが問題だろう。専用機持ちがほとんど一組に集まってしまっていること、男性操縦者二名も一組に集まってしまっている。こんなことは普通起きないはずだ、バランスを取るためにも普通散けさせるのが基本だ。しかしそれが無かったと言うことは何かしらの力が働いていると言うことになる、実際にデュノアはアルベールの力で俺と同じ教室に入ってきたからな。
政府の力全てを遮断するというのは厳しかったのか?そうだとしても目的が露骨すぎる、ばれないよう細工でも施してほしいものだ。それでもわかるんだけどな。
「それでもお酒はほどほどにしておけよ、体調崩されたらたまった物では無いからな」
「ほどほどにするさ」
「どうだか」
そんなたわいない会話をしながらも時はゆっくりと過ぎ去っていく、こうして平和な時間が続いて行くことを願っていた。