インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
「さあ!第一回ウオーターワールド水上ペア早押しクイズ、障害物レース。開催です!」
司会を務めているお姉さんがそう叫ぶと同時に大きくジャンプをした。その動きで大胆なビキニから豊満な胸がこぼれそうに――
……それを見てしまったせいなのか、はたまたレースを純粋に楽しんでいるのか、わぁぁぁ!と会場からは歓声(主に男性)と拍手が入り乱れていた。
この障害物レースの参加者は基本的に女性というか女性しかいない、それのおかげもあるのか観客のテンションも大いに上がっているようだ。
なお、俺と一夏はこのレースに参加を申し込もうとしていたのだが、目の前でレース参加希望の男性達がことごとく受付で弾かれていたのを目の当たりにしてしまった。
受付の人からは『お前空気読めよ』と言わんばかりの笑顔と圧をもらい受けてしまった為、俺と一夏は大人しく観客としてこのレースを楽しむこととした。
「それにしてもお前がここに居るとは思わなかった、箒にでも連れ出されたか?」
「あぁどういう訳か急に引っ張り出されてな、鈴とも一緒に来たんだ」
確かに俺とこいつが合流したとき、箒や鈴が近くに居た。しかしそれより不思議なのはさらにその後ろでセシリア、シャルロット、ラウラ、簪、本音を見たことだった。自意識過剰かも知れないが、もしや俺たちを追ってきたのか?と思ってしまった。
追ってきたにしては段取りが良すぎる、チケットだってどうやって入手したのか分からない。となれば答えは一つ元々皆誰かと行く予定を立てていたと言うことだろう。
今現状の社会は女性優遇ではあるが、それはそれこれはこれと言うことなのだろう。やはり水上を走り回るのは女性の方が良いに決まっている。という主催者であり当園オーナーの
「大変だな」
「それはお互い様なんじゃないのか?」
「――そうかもな」
あの後極一部の生徒(福音事件に関係した専用機持ち)と生徒会長には黒式に関するデータを全て公開した、それぞれ思うことはあっただろうが俺自身はあまり考えを変える気にはなれない。理由としては多々あるのだが一番の要因はこれから起きる出来事についてだ、少し昔の話をさせてもらうとしよう。
俺は過去にイギリスやフランスに渡っていたのは皆も理解してくれているだろう、その道中俺はとある廃施設を発見した。それはとても恐ろしく俺自身でさえも恐怖で身体を動かせなくなってしまうほどだった。詳しくは語れないが簡潔にまとめるのであればその施設は人体実験をしていたと言うことだろう。
そこでは人間の可能性を引き出すため、遺伝子を弄られた子供の育成が成されていた。施設にはその子供たちだったであろう遺骨が散らばっていた。
それからその資料を読み漁った結果、この施設では最低でも五人が育ち旅立って居たようだ。男が三人と女が二人、名前は分からなかったがそれでも確かに生存していることは明白だ。
今はその場所は跡形も無く消えているだろうが、そこで育った人物がいつの日か接触してくるのではと思っている。
少なくともこれから起きるであろう事に厳重注意しなければならないから……
「千春!そろそろ始まるぞ!」
気がつけば俺はセレモニー終わりまで考えに没頭してしまって居たらしい、今日は考えるのをやめよう。せっかくの機会なのだから。
「さぁ皆さん!参加者の女性陣に今一度大きな拍手を!」
再度巻き起こる拍手の嵐に、参加者であるシャルロットやセシリアは手を振っていたりお辞儀をしていたりと反応は様々だった。しかしその中でも特にどうという反応をするまでもないペアがいた。――千冬とラウラであった。
二人とも念入りに準備体操をしながら、それぞれ身体をほぐしていた。いやお前ら加減しろよ?全力で相手するなよ?いや箒達もだぞなんか他の参加者達とは熱量が違うんだが!?
「優勝賞品は南国の楽園・沖縄五泊六日の旅!みなさんがんばってください!」
なんだその優勝賞品。凄い太っ腹なんだが裏がありそうで怖いな……大丈夫だよな?俺が疑い深くなってるだけだよな?
そもそもこのイベントがあることすら知らなかったんだが、これって不定期で開催されるモノなのだろうか?いや初日だから開催されてるだけか、初日だもんな。
優勝賞品は五泊六日の沖縄旅行、それぞれ思惑を抱えながらもしっかりと身体を慣していた。勝手な妄想お思い描いてはいるが、その妄想までそう遠くは無いだろう。
(一夏と夢の沖縄旅行、このチャンス逃すわけには行かない!)
(沖縄か~この前の臨海学校ではそこまで接近できなかったし、これを利用すればある程度進むことが出来るかも知れないわね!)
(沖縄旅行、しかも千春さんと二人っきりで――このチャンス逃しませんわ)
(千春さんと沖縄旅行~もしかしたらあんなことやこんなこと……よし!)
(ふむ、沖縄かまたあの水着に着替えるのは少し恥ずかしいが、教官と二人きりなのであれば問題は無い)
(ふっ小娘らには負けられんよな?悪いが私と千春で楽しませてもらうとしよう)
(沖縄旅行。お姉ちゃんと一緒に行くのも良いけど、やっぱり千春さんと……)
(なんか楽しそう~)
一人だけのほほんとした人物がいることを除けば、彼女たちの妄想力はすさまじいだろう。
「では再度ルールの説明です!まず最初に行われるのは早押しクイズ!こちらが事前に用意した問題に早押しで答えていただきます!問題は全部で20問!一つ一ポイントとなっています!問題文の途中でも解答が出来るようでしたらボタンを押していただいても構いません!
そして次に行われる障害物レースの説明です。こちらは50✕50メートルの巨大プール!その中央の島へと渡り、フラッグを取ったペアが勝利です!こちらのポイントは10ポイントとなっています!
なおこのコースはご覧の通り円を描くようにして中央の島へと続いています。その途中途中に設置された障害は、基本的にペアでなければ抜けられないようになっています!
ペアの協力が必須な以上、二人の相性と友情が試されます!」
友情が試されるのか。確かに協力しなければ攻略するのは難しいだろう、それが「一般人」であればの話になってしまうが……
早押しクイズは完全に瞬発力だろうな、あとは答えが分かっていればの話になるが。
「それでは早押しクイズに参ります!参加者の皆さんはセットの移動へお願いします!」
これから早押しクイズが始まるが、まずスイッチ自体が彼女達に耐えれるかどうか分からない。瞬発力は間違いなくピカイチだろう、だが破壊力も間違いなくトップランクだろう。特に千冬、ラウラ、箒、鈴は上位になるかあらな。
耐えられるようにしっかりと耐久性を考慮しているのだろうか?
「それでは早押しクイズスタートです!」
「第一問!日本で海に面していない都道府県を全て答えよ!」
海に面していない都道府県は全てで8つ。栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、岐阜県、滋賀県そして――
「「奈良県!」」
「正解!」
そう奈良県、この8つの都道府県以外は全て海に面している。逆に海にしか面していないのは北海道と沖縄県になる、豆知識として憶えておいても損は無いだろう。ちなみに回答者は千冬とラウラのペアだった、やはりと言うべきかそう簡単にポイントは渡さないだろう。これで一ポイントリードだ。
「第二問!次のうちイタリアが発祥の料理は何でしょう?1ドリア、2カルパッチョ、3プリン・ア・ラモード」
この三つはイタリア発祥の料理としてイメージされているが、実際の発祥ものは一つだけだ。他の二つは実は日本発祥の料理である。
この問題は日本在住の箒や千冬には難しいだろうか?いや千冬はある程度知っているかもしれないが箒はどうだろうか……これは知ろうとしなければ知れないものだからな。シャルロットやセシリアあたりはここら辺に詳しいだろうから有利だろう。
そう考えながら参加者達を見ていると、ボタンが強く押された音がした。押したのはセシリア・シャルロットペアだった。
「2のカルパッチョですわ!」
「正解です!イタリア発祥の料理はカルパッチョです。ちなみに魚のカルパッチョもありますがそちらは日本発祥の料理です!」
そうカルパッチョは確かにイタリア発祥の料理だった。しかし日本で出されている魚のカルパッチョはイタリア発祥では無く日本で作られた物だった。
本来のカルパッチョは新鮮な牛の生肉の赤身の部分を薄切りし、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズとともに食べる料理である。パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズは牛乳から造られる硬めのナチュラルチーズだ、別名「イタリアチーズの王様」と呼ばれている物である
ちなみにドリアは『ホテルニューグランド』で初代総料理長を務めたサリー・ワイルが考案した料理、プリン・ア・ラモードも同様にホテルニューグランドで生まれた料理となっている。全部おいしいから皆食べよう。
「第三問!フランスの正式名称は――」
「フランス共和国!」
まさかの問題途中で解答が行われた、回答者は簪だった。だが問題途中で解答をする場合は引っかけ問題と言うことが多い。つまり何が言いたいのかというと……
「残念!」
やはりと言うべきか三問目からは引っかけになり始めていた、これなら十問目には滅茶苦茶難しいのではないだろうか?それともISに関係する問題になるのか?
どちらにしろ難問になることは間違いないだろう。
「最初から読み直しますね!フランスの正式名称は日本ではフランス共和国ですが、フランスでの正式名称は何でしょう!」
正式名称ではあったはフランスでの正式名称か、これは完全に彼女の独壇場だろう。
「レピュブリク・フランセーズ!」
「正解!」
瞬時に解答をすることが出来るのはシャルロットくらいだろう、ラウラ達も気がついていたが判断が遅れたな。
「皆凄いな!誰が優勝するかわからないぞ!」
「そうだな、この後障害物レースあるからな。そこで挽回などいくらでも出来るだろう」
誰が勝つか分からないイベントを男達はただ見ることしか出来ないが、それでもこの時間は楽しい物であるという事実は変わることは無かった。
それからクイズは十問目を突入した。現状のポイントは箒・鈴ペア、簪・本音ペア、セシリア・シャルロットペアが2点、千冬・ラウラペアが4点とリードしているのは千冬達だった。だが7問の時点で既に問題がおかしかった。
ちなみに7問目の問題文は「お年寄りがバスに乗ってきました。大きな荷物を重そうに持っています。しかし、だれも席をゆずりません。なぜでしょう」という問題だった。俺にはまったく分からなかったが脳みそを柔らかくすれば答えは簡単だった。
鈴の解答で「バスに誰も乗っていなかったから」と言う解答が出された、確かにバスにの中にお年寄りの方しかいなければ誰も手伝うことはできない。
結果的に言えばこれが正解だった。一見すると難しい問題ではあるが、視点を変えてしまえば簡単になる。
問題をどの視点で見据えるかによって解答が変わってくる面白いものだな。
「それでは第十一問!神聖ローマ帝国が消滅する契機となった出来事は?」
まず神聖ローマ帝国について軽く解説していくとしよう。
神聖ローマ帝国は962年ローマ教皇ヨハネス12世によって、ドイツ王オットー1世がカロリング朝ローマ帝国の継承者として皇帝に戴冠されたことから始まったといわれている。
しかしドイツの歴史学界では西暦800年のカール大帝戴冠を神聖ローマ帝国の始まりとするのが一般的になる。
帝国史としては3つの時期に区分されている。
フランク王カールの皇帝戴冠から中世盛期に至る「ローマ帝国」期(800年-10世紀)
オットー大帝の戴冠からシュタウフェン朝の断絶に至る「帝国」期(962年-1254年)
中世後期から1806年に至る「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」期
この3つになる。この帝国が消滅したきっかけは1789年に起きたフランス革命や第二次対仏大同盟など様々な事が関係して行く。そこから更に1805年に第三次対仏大同盟戦争が始まり、オーストリア主力軍はナポレオンの迅速機動により降伏し、フランス軍はウィーンを占領した。
結果的にはオーストリア=ロシア連合軍との会戦して勝利した。
それからナポレオンは『守護者』となり1806年にバイエルン、ヴュルテンベルクを初めとする帝国16領邦がマインツ大司教ダールベルクを首座大司教侯とするライン同盟を結成して帝国脱退を宣言したことで、神聖ローマ帝国は消滅するきっかけとなった。
つまり答えは――
「ライン同盟」
そうライン同盟なのだ。1806年、ナポレオンの保護下に結成された南西ドイツ諸国の同盟。プロイセン・オーストリアに対抗するためで、加盟国は最初16か国。これによって神聖ローマ帝国は崩壊した。しかし1813年ナポレオンの没落とともに解体され、1815年にはウィーン会議によりオーストラリアを盟主とするドイツ連邦が成立した。
回答者はドイツ出身のラウラ、母国の歴史はやはり詳しいな。これは世界史の中でも出ていただろうか?俺はもう記憶にないがなんとなく憶えている物だな。
「1815年って事はスペイン独立戦争とかそこら辺か?」
「その戦争はナポレオン戦争と言う03年~15年続いた戦争の中で起きた戦争だな、ナポレオンの支配を崩した戦争でもある。まぁまだ短い戦争なんじゃないか?」
「12年が短いのか?」
「335年戦争ってのもあるからな。これはオランダとシリー諸島の間で起きた戦争なんだが、最も犠牲者が少ない戦争でもあるんだ」
「335年も続いたのに!?どうしてだよ」
「一応戦争自体は1651年に終わっていたんだが、戦争終結を宣言しなかった。つまりまだ戦争は続いている事になっていた。それから335年後の1986年にこの事が浮かび出てきて、平和条約に調印がおされて終わったって事だ。住民の記憶には一切残らなかった戦争がこうして明るみに出て有名になることもある」
今だからほとんど戦争など起きては居ないが、ISが世に出回る時までいくつもの国が戦争をしていた。白騎士によってほとんどの兵器は粉砕されたがな、それだけISが優秀であり兵器として有効活用できると言うことだろう。そんなこと誰も望んでいなかったのに……
まさかここまでIS学園に関係している人物のみが接戦し始めているとは思わないだろう。一般参加者の彼女たちがかわいそうに思えてくるレベルだ、一番手前にいるペアに至ってはまるでFXで有り金を全て溶かしたような表情をしている。
だが観客の男どもはそんなことお構いなく盛り上がっている、ふと千春達の方へ視線を移してみると面と向き合って会話をしていた。こちらからは話し声が聞こえないが二人の表情を見るに楽しい会話なのだろう、男には男にしか女には女にしか分からない事もあるだろうだからな。
「ラウラ、この勝負負けられんぞ」
「無論です。副教官との沖縄旅行なんとしても手に入れます!」
ん?
面白い。手を出さないと決めていたがここまでになってしまえばそうも言ってられんな。
他の奴らも大本はアイツ狙いだろう。下手に手を抜けば負けるのは確定、仮にこのクイズで多くの点を取ったとしても障害物レースでは逆転される可能性もある。負けられんよな?
「第十二問!?に入る数字は何でしょう!77→49→36→18→?」
ここに来て数字の問題が流れてきた、これを答えることが出来れば織斑先生達と並ぶことが出来る。逆に鈴や簪に答えられてしまったら僕たちが並んでしまう。これだけは避けたいところだ。
けれどこの問題の意図が分からない、これを仮にかけ算や演算処理だったとしても数字が合わない。周囲の挑戦者を見てみてもほとんど分かっていない様子だった。ここでなんとか回答して行きたいところだけど、全く回答が浮かび上がらない。
「シャルロットさんわかりまして?」
「ごめん正直僕も分からない、数学とかは得意だったんだけどね……」
まさかここまで分からないとは思わなかった、現に千冬さんも眉間にしわを寄せている状況。
これの答えは一体なんなんだろう?
「急に止まったな、もしかして誰もわからないのか?」
「そのようだな。ちなみにお前はわかったか?」
そう問いかけると自信ありとばかりに胸を張ってきた、こいつがどうやって解答を導き出したのか知らないが一応聞くとしよう、挑戦者には聞こえないようにな。
「答えは8だ」
「正解だ。よく分かったな?」
「似たような問題を解いたことがある。これは77を割って7✕7にして49にする、49を4✕9にして36。これを続ければ答えは出てくるって事だ」
「全てはお前の言うとおりだ、問題文を一度分解するのも1つの手になるかも知れないからな」
冷静になれば一夏はこれくらい対処出来るみたいだな、もっとも実践でそれが出来れば良いんだが……
いや俺もしっかりとした作戦を立てなければいけないな、これ以上あの作戦を実行するのは無理があるということだな。それにこれ以上心配させてしまっては……色々と面倒だ。