インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
「買い物?」
「うん、そうそう」
食堂の寮。そこで早めに朝食をとりながらラウラとシャルロット、偶然近くにいた千春を交えて話をしていた。
三人の他には朝練をしている部活動の面々がちらほらいる程度で、食堂は全く混んではいなかった。
彼女達のメニューと言えば、マカロニサラダにトーストそしてヨーグルトである。千春は鯖の味噌煮定食であった。
だがラウラのメニューにはもう一品追加されている。
「ラウラ、朝からステーキって……胃もたれしないの?」
「何を言うか。朝に一番食べる方が稼働効率が良いんだぞ?科学的にも証明されている。そもそもだな――」
「――ラウラ、それでも許容範囲があるぞ?朝からステーキは辞めておけ俺でも朝からステーキはキツい」
「むっ教官がそうおっしゃるのであれば」
存外感化されやすい性格なのかなラウラは。なんてことを考えながらシャルロットはフォークの先端にマカロニを通して食べていた。
「千春さんはいつも和食ですね、洋食はあまり食べないんですか?」
「まぁ基本的に朝は和食かな、洋食は昼だったり夜食べることの方が多いよ」
「和食……箸は苦手だ」
確かに僕も箸を使うのは苦手だ。それ以上に留学生の人のほとんどは箸の使い方が怪しかったりするから、和食を食べていたとしてもフォークやスプーンを使っている人の方が多い。
「栄養素を一気に取り込むのも良いが、ある程度配分してとったほうが良いぞラウラ」
「分かりました」
ラウラは本当に千春さんの言うこと素直に聞くよね、僕の言葉にも少しくらい耳を傾けて欲しいけど。
「それで買い物には何時行く予定なんだ?」
「えっと十時くらいに出ようかなって思うんだけど、どうかな?一時間くらい街を見た後、どこか良さそうなお店でランチにしようかなって」
「わかった十時くらいには準備を終わらせておくとしよう、ラウラもそのときには出る準備をしておくんだよ?」
「わかりました」
多分千春さんが居なかったら「せっかくだし教官も誘っていこう」って言ってたかもしれないね。
十時過ぎ、三人で学園を出る準備をして校門前に集まったのだが……
「ラウラ?その服以外になかったのか?」
「一応これは公用の服なのですが、ダメでしたか?」
これには流石にシャルロット、千春も頭を抱えてしまっていた。そういえばラウラが制服以外に服を着ている所を見たことが無い。
「もうそれでいいか、今日の買い物で私服も買ってやらないとダメだな」
確かにIS学園の制服と軍服しかないのは問題だ、それならはじめから普段着として着れる服があった方が何かしら便利だろう。
「まずはバスで駅前まで移動だな」
「あれ?千春さんの車は?」
「あーあれはしばらく使えそうに無いかな、俺がこのざまだからね。眼帯での走行は流石に危ないと思うからね」
実際の所眼帯をしていても車の運転は一応出来る、だがしっかりと運転走行が行えるかは定かでは無いため千春は安全を優先した形になる。
運転して事故起こしたら二人の体に傷をつける可能性もある、それならば最初から運転は抑えるのがベストだ。
「そうでしたね……少し残念」
「そうだな……」
「まぁ直ったらドライブくらいはしような」
彼は二人の頭を優しく撫でる。少し頬が赤くなってしまっているが熱にやられた訳では無い。
バス停近くまで歩いて行くと丁度バスが走ってきて、三人は急いでバスに乗り込む。夏休みの十時過ぎと言うこともあり、車内はかなり開いていた。
制服のラウラとは違い、シャルロットはしっかりとした私服だ。夏らしく白を基調としたワンピース、それに淡い水色を加えて涼しさをと軽快さを醸し出していた。
千春は夏のはずなのに長袖長ズボンという季節にはあまり似つかわしくない服装をしていた。長袖を着ている理由は多々あるが一番の理由は身体の傷を隠す事だろう、半袖を着てしまってはそれを表に出してしまうことになる。視線を避けるためにもそれが一番なのだろう。
都会のバスにしては珍しく、車内は冷房では無く窓から入ってくる風で涼しさを得ていた。
(そういえば街をゆっくり見るのって千春さんと出かけた時以来かな?今日ものんびりしながら色々見に行こっと~)
(あの建物は狙撃地点に使えるな。それにあっちのスーパーは長期戦時にライフラインとして機能させられる。それと――)
金と銀色に輝く二人の髪色が、日光を受け鮮やかに輝いていた。そのうえ涼しい風に撫でられた髪はよりいっそ際立っていた。
そんな二人の間に挟まってしまう男が一名、居心地が何処か悪そうにしていた。
(なんと言えば良いのやら、二人が綺麗すぎるから目立つんだよな)
「あそこ見て!あの二人!」
「すっごい綺麗~」
「隣の子も滅茶苦茶可愛いわよね、モデルなのかしら?」
「そうなのかな?銀髪の子が着てる制服?って見たこと無いんだけど……」
「バカッあれはIS学園の制服よ!カスタム自由の」
「え!?IS学園って確か倍率一万超えてるエリート学園でしょ!?」
「そう。入れるのは国家を代表するクラスだけ。まさにエリートだけの学園」
「うわ~それであの綺麗さってズルイ……」
「まぁ神様は不公平なのよ、いつまでもどこまでも」
「でもあの男は邪魔ね」
「そうね、あの二人の財布なんじゃない?」
二人に注目している女子高生のグループが、声のボリュームを抑えることなく騒いでいる
うん、やっぱりこういった噂が流れてしまう。少し離れて歩くべきだっただろうか?いやそうだったとしても不審者だと思われてしまう可能性もある、そうなると厄介だな。
顎に手を当てて考え込んでいた千春に気がついたシャルロットはそっと彼の腕に自身の腕を絡ませた、咄嗟の事で反応できず一瞬ポカーンとしてしまった。
「シャルロット?」
「こうすれば大丈夫ですよ」
一体何が大丈夫なのだろうかと頭の中で考えるが、結局どう大丈夫なのか全く分からなかった。それに気がついたラウラも同様に腕を絡めてきた。うん下手に動けなくなった。
「駅前に着いたみたいだな、さてどう回ろうか?」
「それに関してはもう決まってるから大丈夫」
シャルロットがそう言うとバックの中から雑誌を取り出して、それを案内図として交互に確認にしていた。
「この順番で回れば時間の無駄にもならないね」
「最初は服を見に行って途中でランチ、そのあとは生活雑貨とか小物を見て回ろと思ってるんだけどそれでも二人ともいいかな?」
「大丈夫だ」
「よくわからん、任せる」
相変わらず一般的な十代女子にはついていけないラウラだった。それにはも勿論彼女自身も含まれるのだが、わからなければ致し方ない。
それにしてもあんなにも自身を貫いていた彼女がシャルロットの言葉をすんなり受け止めるというのは珍しいものだ、何かわからなければ自分の意志で常に行動していた。
そんな彼女が今こうして誰かの意見を素直に受け入れているというのは成長の一つかもしれない。
(不思議なこともあるものだ)
確かにシャルロットには何か言葉で言い表せない不思議な魅力というものがある。
彼女にはなかった母性と呼べるものだろうか?そんな感じがする、それに彼自身もひかれているのだろうか?時々微笑んでいるようにもみえる。
「千春さん聞いてますか?」
「ん?あぁすまない考え事をしていた」
「えっとね。ラウラの私服はスカートとズボン、どっちが良いかなって」
「私はどちらでもいいのだがな」
どちらでもいいか。こだわりとかなさそうだな。
まぁ軍人として過ごしてきた彼女はそれ以外を切り捨てて生活してきたんだ。無理もないのだろう。
だがこうして見ていくとラウラに似合いそうな服は数多くあるだろう、その中からいくつか試着して買っていくのもいいだろう。
「試着してみたらどうだ?それならある程度自分に合う服装が見つかるだろ」
「あっ!それいいかも!とりあえず七階フロアから向かってその下、六階五階もレディースだから順番に見ていこう~」
「ん?上からなのか?下から見ていった方がいいんじゃないか?」
「上から降りていった方が良いですよ。実は五階六階はもう秋物になっているんで、セールで夏物残ってると思うから先にそっちを――」
「待て、秋の服はいらないぞ?」
「なんで?」
「今は夏だからだ」
いや秋物も今のうちに買ってしまおう、でないとまた同じ事の繰り返しになる。それに秋は少しずつ寒くなっていく季節でもある、季節の変わり目は体調も崩しやすいから注意が必要だ。
「秋の服は秋に買えば良い」
「いや今のうちに買っておこう、先に調達しておくのも一つの手だぞラウラ」
「むっ……」
「戦術でも教えただろう?備えあれば憂いなしだ」
「なるほど!」
「ラウラって千春さんの言うこと素直に聞くよね~まるで妹みたい」
妹か……そんな存在が居たら俺は千冬みたいに弟想い、妹想いな人になってたのかも知れないな。肉親が居れば俺も少しは違っていたのだろうか?
「とりあえずはぐれないように手繋いでいこう、千春さんもね?」
「お。俺もか」
「教官は真ん中です」
うーんこれでレディース見に行くの絵面的に大丈夫か?