ナハトがエレノアとの戦闘を開始したころ....................
「うおおぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁ!!」
大きな声とともにグレンは最奥の研究室の扉を蹴り飛ばして開く
「さて、そろそろ馬鹿騒ぎは終いにしようぜ?」
「グレン先生!」
「ッ!.................グレン」
「なに!」
グレンはその場にいるすべてのものから注目を浴びる
「悪いなルミア。ナハトはじきに来る。後は任せな」
「おい手前ぇだな?随分と酷えコーディネートをルミアにしてくれたなオイ!!」
大きな声でそう言い睨むグレンにその場にいたリィエルの兄を名乗る男にリィエルは気圧される。
(てかこれ見てナハトの奴ブチギレしないよな?)
グレンはやや内心で少し違った意味で不安を感じていた。さっさとどうにかして上着着せないと..............
「さてリィエルの説教は後として、てめぇにまずは鉄拳制裁だ。よくも俺の生徒に手ぇ出しやがって覚悟できてんだろうな?」
「ど、どうしてここに!?バークスとエレノアは!」
「バークスはいけ好かねぇ相棒が相手してる。エレノアに関しちゃ..............まぁ、ご愁傷さまだな」
グレンはナハトが恐らく眷属秘術まで使ってガチで殺しに行っているだろうからマジで敵ながら同情する。それほどまでに眷属秘術とナハトの組み合わせは驚異的だということが容易に予想できるからだ。
「さてさっそくお前を..................リィエル、そこに立つ意味わかってのか?」
グレンが一歩歩みだすとその前にリィエルが立ちふさがる。
「グレン...........これ以上兄さんに近づかないで」
「マジでやんのか?おいたが過ぎやしねぇかリィエル?」
「なんとでも言って..............私は兄さんのために戦う」
「思い出せ!お前の兄貴はもう死んだ!!現実を見ろ!!」
「うるさいうるさいうるさい!!!!」
(チッ............やっぱ聞く耳もたねぇか...........力づくしかないか..........でもな~やだな~リィエルとタイマンって。死なないよな俺?)
ナハトとリィエルの模擬戦の戦績はナハトが勝利率10割をキープしているが、グレンはリィエルに対して勝率は3割............いや1割あればいいほうだ。
(は~でもやるしかねぇ..........相性はとことん最悪だが覚悟決めろグレン=レーダス)
グレンは嫌になる差に態度と裏腹、気弱になるがすぐに切り替え覚悟をきめる。リィエル連れ戻して、ルミア救出して全員笑ってハーピーエンドを迎えてやると、かつて捨てたはずの正義の味方は立ち上がる。
「こいよリィエル。終わったら『お尻ぺんぺんの刑』だ!」
「グレン!」
それが戦いの始まりの合図だった。リィエルはそのまますでに錬成している大剣を振りかぶりグレン目掛け一直線に襲い掛かる。
対するグレンは拳法の構えを取り迎え撃つ。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
リィエルが大きな声を上げながら弓なりに体をそらせ剣を振り下ろす。
「チィ!!!」
グレンは体を捻り回避する。体のギリギリを掠めるソレは当たったらひとたまりもないと再確認させられる。
「おらぁぁぁぁあああ!」
グレンは回避してから鋭く振り込む。そのままこぶしを振りぬこうとするがそれは空を切る。何が起こったと一瞬考えるがすぐさまリィエルが上空に飛んでいた。
そのままリィエルはすぐに着地すると怒涛の連撃を開始する。
(やっぱ白兵戦は分が悪すぎる!マジでナハト早く来ねぇかなぁ~)
リィエルの剣は変則的で型破りなのだ。
リィエルの剣技は邪道の極致ではあるものの、恐ろしく速く強い。
なら、ナハトはと言うと我流の剣技に既存の剣技を掛け合わせ状況に合わせた変幻自在の剣技。リィエルにはない技の巧さと鋭さで敵を斬りこむのがナハトの剣術。
どちらも強いことに変わりない別観点から驚異的な強さに至る二人の剣士。だが今はリィエルだ。普通ならグレンでは対応はできない。だがグレンはその技を、その恐ろしさを知っている。だから紙一重の回避が可能なのだ。
(もうほんといやだ~いい加減早くナハト来てよぅ~)
内心泣き言言いながらも躱していくグレン。
グレンは決して強くない。ナハトやアルベルト、目の前のリィエルとは違って〝圧倒的な力〟で一方的な蹂躙ができない。だからそんなグレンは兎に角『巧い』のだ。軍では見る目のない馬鹿どもはグレンを嘲笑うものが多くいた。だが、特務分室の誰しもが認めるほどにグレンは戦闘技巧者だ。だからこそここまでリィエルから長らく逃げられているが...................
(これじゃまずもたない...............なら)
グレンは腰にしまっていた銃を取り出し構える。
「!」
それを見たリィエルは即座に反応を見せすぐに後退する。それと同時にグレンは引き金を引く。だが相手は《戦車》のリィエル=レイフォード。ただの銃撃などたやすく回避される。
(ですよね~仕留める気で打ったて当たらないだろうに仕留めるつもりがなければそうなりますよねそりゃ)
まったく当たらずに無駄に弾がなくなっていく様にグレンはどうするかと本格的にヤバいと思いながら考えをめぐらす。と言ってもグレンが戦うには相性の悪いリィエルにあまりいい案は思いつかない。精々可能性があるとすれば失敗覚悟の大博打。
「(もうイチかバチかやるしかねぇ)おいリィエルそんな必死に戦ってよっぽど兄貴が大切なんだな?」
グレンは足を止め銃口をリィエルに向ける。グレンはこうすればリィエルも動きを止めると考えていたが予想通りだと思いながらあえて煽るように言葉をかける。
「......何が言いたいの」
するとリィエルは言葉にやや怒気を混ぜながらグレンに真意を問う。
「(のったな)いや、妹にそこまで言わせる兄貴だ、さぞ素晴らしい方なんだと思ってな?」
「………」
「それでぜひともお近づきになりたくてな?手始めに兄貴の名前教えてくれねぇか?」
「名前?」
「なんだ?いえねぇのか?大切な兄貴なんだろ?答えてくれりゃあ俺はこの件から引いてやるよ」
「名前.........名前..........アレ?なんで........わからない...........どうして?」
グレンは心が痛むがこれしかないとさらに言葉を畳みかける。
「なんだ忘れたのか?大切な兄貴の名をか?いくら馬鹿なお前でもそれはねぇよな?」
「違う!ちがう...............名前は.............名前は..........うぅ、頭が痛い...........なんで」
片手を剣から離し頭を抑えながら思い出そうと必死に考える。
「兄さん...........兄さんの名前は何?」
ここでリィエルはグレンから意識を外し、兄に意識を向ける。兄は必死でリィエルにそんなことはどうでもいいからグレンを殺せという。だがこうなってしまえばリィエルはもう動けない。そこがリィエルの歪さが故の弱点だ。
グレンは銃を天に掲げ口元を隠し詠唱を開始する。
「《---------・----------》」
リィエルはその様子を先程までとは違いやや呆然とした様子でその様子を眺める。
そして、グレンは銃をリィエルに向けるようにする。反射的にリィエルは剣を盾にし構える。だが............
(アレ?なんで..............)
いつまでたっても放たれない弾丸に不思議に思ってると............
「あぅ!」
リィエルの額にグレンの銃が当たる。グレンは銃を撃つように見せかけ銃を投げつけたのだ。その隙にグレンは詰め寄りリィエルを押し倒す。
「-------・理の天秤は右舷に傾くべし》」
黒魔【グラビティ・コントロール】。自身または触れている対象にかかる重力を操作する魔術。それをグレンはなけなしの魔力でリィエルにかける。
「ふぅ~分が悪い賭けだがうまくいって安心安心っと」
「う、動けない!」
「無駄だリィエル。お前を抑えているのは重力だ。人の体の構造上重力には勝てねぇ。大人しくしてろお前にとって結構重要な話だからよく聞きな」
ここで兄が...............
「リィエルに............僕の妹に何をする!!」
だがグレンはそれに対し大声で怒鳴りつける。
「うるせぇパチモンが!お前は兄貴と言ってるくせにこいつを〝リィエル〟と呼んでる時点で偽物なんだよ!!!」
そう言いグレンは走り出しモノリスに向かい銃を乱射し破壊する。そのまま詰め寄りグレンは拳を偽物にふるう。
そのままグレンは『Project : Revive Life』の真実.......................『シオン』と『イルシア』の哀しい兄弟の運命を語る。その話を聞いたリィエルはようやく違和感がなくなる。だがそれと同時に自分がどうしようもなく愚かで、歪な存在だと感じていた。さらに................
「そのガラクタの記憶はこちらの都合のいいように改変しといたがやっぱりガラクタはガラクタだったか.......」
『ガラクタ』.............今のリィエルに重く突き刺さるその言葉にさらにリィエルは思い詰める。
そこでグレンがキレて【ライトニング・ピアス】を偽物............いや、シオンとイルシアを殺し全てを自分のものにしようとした屑野郎ライネルに向けて放つ。
だが.....................
「な?馬鹿な!儀式が完成していただと!?」
グレンの前に立ちはだかるのはリィエルと全く同じ顔をした存在がライネルを護ったのだ。グレンはありえないと思っていた。『Project : Revive Life』を完成させられるであろう人物はそれこそナハトだけだと考えていたからだ。
「できないとでも思っていたか?言っておくが今回は完璧だぞ?無駄な感情は排除してただリィエルのすさまじい戦闘能力だけを継承させたものだ!俺の思い通りに動く俺だけの操り人形だ!!これからこれはいくらでも作れる。なぜならルミアとかいう便利な〝道具〟があるからなぁ!!」
だが、ライネルはここで一つの大きな過ちを起こした。それは言ってはならないことを〝絶対に聞かれてはいけない相手〟に聞かれたことだ。
三人の偽物のリィエルが動き出す。
だが....................
ここで一つの影が部屋に踏み込む
そして....................
「【紫電一閃】」
影が神速をもって三人のリィエルを斬り伏せた。
「ルミア待たせてごめんな」
ここでナハトが合流。ルミアにかけた声色はとても優しかった。
だが、ナハトから発せられるオーラはまるで噴火直前の火山のそれだった。
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「ナハト君!」
「悪いなルミア遅くなった.............で、」
ナハトはルミアの声に応えるとすぐに驚愕の表情を浮かべるライネルに顔を向ける。
「あんた..................覚悟はできてるよな?」
この場に重く酷く冷たい空気が支配する。軍属のリィエルや元軍属のグレンもあまりの重く濃密な殺気に体が震えるのを錯覚するほどだった。
「な、な、な、な、な、な、な、なんであんなにも簡単に............」
当然そんな殺気を直に浴びるライネルは体を情けなくガクガクと震わせていた
「.........だってアレ、リィエルの100倍は弱いぞ。さっき使った技だってリィエルなら本能で対応しきるぞ?」
(馬鹿言え............その技はリィエルだって無理だろうに)
グレンはナハトの【紫電一閃】をそう評価した。
【紫電一閃】はまさに神速の剣技であり、力強い踏み込みから一気に加速し剣を振るうその剣筋は目視を許さない。なので見ることができるものは光に反射した剣の輝きのみだけだ。そして【紫電一閃】は魔術なしの純粋の剣技で、あの双紫電ゼーロスも最速の剣技と評価する技なのだ。
「嘘だ!!完璧なはずだ!!そこのガラクタより.............」
その言葉をライネルは最後まで言い切ることはできなかった。なぜならそうい掛けた瞬間ナハトは左手に握っていた剣を目視できないほどのスピードでライネルの顔すれすれに投げつける。そして剣が大きな音を立ててモノリスに突き刺さるさまを見たライネルは腰を抜かしいて尻をつく。
「ルミアのこと道具扱いまでしたうえ...........リィエルがガラクタだと?お前大概にしとけよ?俺はルミアを道具と言った時点でお前にかける慈悲は一切ないが、そのうえでそんなことまで言うってことは死より辛い苦痛を味わう覚悟ができてるってことなんだな?」
俺は腰を抜かすライネルに剣に《獄炎》を纏わせ切っ先を向ける。
「ヒィツ!!や、やめてくれ!いやだ!殺さないでくれ!!!」
「俺は言ったはずだ。かける慈悲はないと...........精々地獄で懺悔しろ屑」
俺はそう言い剣を逆手に持ち替え振り下ろすために構える。
「ルミア...........目をつぶっていてくれ。すぐ終わらせるから」
(この雰囲気...........三年前よりもずっと.....)
ルミアはこれから起こることを想像して目をつぶる。その瞬間................
「じゃあな屑」
俺はその言葉の後、勢いよく逆手に握った《獄炎》纏う剣を振り下ろしライネルを殺
さずにライネルのギリギリに突き刺す。
「………へ?」
力なくそう変な声を出すライネル俺は冷たく睨む
「本当ならここで殺していた......................確実にな。だが、感謝しな。あんたの相手は俺じゃない」
俺がそう言い半歩左にそれると後ろから.....................
「俺の生徒に手ぇ出してんじゃねぇ!!!」
グレン先生の強力な拳が叩き込まれライネルは少し吹き飛びそのまま意識を失った。
「ったく.............てかお前マジでアイツ嬲り殺しにするかと思ったぞ」
「本音言えばそうしたかったですが、後味最悪でしょ?それにそんなとこルミアには見せたくないですしね」
「そうか..............」
俺はその反応だけ聞いてすぐさまルミアのいる場所に移動した。
「よっと!悪いなルミア本当に待たせて。今はなすからな..........」
俺はそう言って剣でルミアをつないでいたものを剣を鋭く横薙ぎさせ切り裂き開放する。そしてすぐに俺が着ている礼装を羽織らせる。誰がしたかは知らないがルミアの下着が見えていたのでそうした。
するとルミアは後ろにいた俺のほうに振り向きいきおいよく抱き着いてきた。
「ありがとう...........ありがとうナハト君。ずっと助けてくれるって信じてたよ」
俺は若干たじろぐもすぐに立て直し俺も抱きしめ返す。そして例によって頭に手を置き撫で始める。
「そっか...........どういたしましてルミア。遅くなって本当にごめんな」
そうしてついに俺たちは長い夜を終えられそうだった。
今回はここまでです。恐らく次回で遠征学修偏は終了です。前回と今回、これまでを見て気づく人多くいると思いますが自分はメリオダスが好きなんです。獄炎とか初めて見たときとか脳が震えましたし、特に初めて見た神千斬りなんてもうかっこよすぎて感動しました。今回出てきた【紫電一閃】もゼルドリスの精神世界で使ったメリオダスの技です。七つの大罪は大好きな作品なのでそれだけにあの.............おっと、これ以上は言わないほうがいいですね。また新しくアニメも放送決定なのでとても楽しみですね!今後もしかしたらメリオダスの神千斬りとエリザベスの付呪・聖櫃の合技・神喰いをナハトとルミアで再現させるかもしれません。てかやりたいですw
今回もここまで読んでくださりありがとうございます。コメント、お気に入り登録、評価をしてくださる方本当にありがとうございます!
再計:システィーナのヒロイン追加について
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