不穏な影と特別講師
夜の闇に包まれるフェジテの裏路地、そこでは非日常が繰り広げられていた。
「シッ!!」
暗闇の中、暴れる相手に双剣を振るうものがいる。その者の周辺には斬死体、焼死体等の屍がたくさん転がっており、周囲は血で汚れている。
「もう100人目か..........」
倒れたのを見届けそう呟くは先程まで双剣を振るい続けていた宮廷魔導師団特務分室《月》のフレイ=モーネ...........改めナハトだった。
「
ここ最近、一年前帝都を恐怖で震わせたそれがまたばらまかれ罪のない一般市民がこうして暴徒になってあぼれている。そしてナハト達特務分室はそれの対応に追われていた。ナハトは普段学院もあるためこうして夜に討伐に参加していた。
「最悪の気分だ...................」
ナハトは軍人である以上人を殺すという行為に対して免疫がある。だが今回は話が別だ。一年前もそうだが今殺してきたものは全員罪なき一般市民だ。気分が悪くて当然だ。
ナハトはこの魔薬の製法は完全に消されているのに何故今になってまたこれが出てきたのかと最初こそ疑問を抱いていたがそれはすぐに消えた。なぜならこんなものが作れる〝男〟に心当たりがあるからだ。だが、それでその推理があっていてほしくないとナハトは思っている。
(十中八九奴が生きていたということか................クソッタレが)
「こちら月です。指定ポイントで対象らの掃討に成功しました。..............はい............はい........わかりました。片付き次第きりあげます」
ナハトは通信で報告を入れると殺した市民たちの火葬と現場の処理をしてその場を立ち去って行った。
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「............ト君?.........ハト君!........ナハト君ってば!」
「うぉ!?ルミアどうした?」
俺たちは普段通り学院に向かう途中で突然ルミアが俺のことを大きめの声で呼ぶため少し驚いていた。
「さっきから話しかけていたのに反応なかったから.........何か悩んでるように見えたけど大丈夫ナハト君?」
「あ~ごめん、最近新しい固有魔術作ろうと思ってそれの術式のことで悩んでたんだ。ごめんなルミア心配かけて」
半分本当であるが半分嘘である。悩んでいるのは最近夜な夜な掃討している天使の塵の末期中毒者の対処........いや根本的な解決策について考えていた。だが根本的な解決には情報が足りない。
「固有魔術って................つくづくナハトは飛びぬけてると思わされるわ...............」
そうシスティーナは言うがそんなことは実はない。
「そうでもないぞシスティーナ。先生の授業をしっかり来てるならシスティーナでも少し頑張ればできると思うぞ?」
「まぁ、先生の授業でもそんなこと言ってたけど実用的なものを作れるかと言われたら難しいわよ」
「でもナハト君。どんな術を作ろうとしてるの?」
「ん~一応コンセプトはあるけどまだうまくまとまってないからできてから教えるよ」
俺たちがそんなことを話しているとリィエルやグレン先生にセラねぇと合流し一緒にいつも通りの顔ぶれで学院に向かっていた
「ん?何の馬車だあれ?」
俺たちがいつも通り学院に来ると見慣れない馬車が止まっていた。その見慣れないものにグレン先生が疑問の声を上げる。
「装飾からするに学院のお客さんじゃないですか?」
自分達には直接関わりがないだろうと思いながらそのまま門をくぐろうとしていると馬車の客室の扉が開きそこから一人の男性が出てきた。
「まさかこの学院について早々、真っ先に君にあえるとは..............これは運命を感じてしまうかな」
そう言って歩み寄ってくる男性はグレン先生よりもやや年上に見える金髪長身のイケメンだった。そして、その男の視線はシスティーナに向いてることからシスティーナの知り合いかと考えていた。
そしてその推測は当たっていたようでその男はシスティーナのほうに近づいていく。
「久しぶりですねシスティーナ。見ないうちに随分と魅力的な女性になりましたね」
「あ、貴方は..........」
ただシスティーナは見覚えはあるもののなかなか名前が思い出せず混乱しているようだった。ナハトも少しこの男には〝興味〟があったので助け舟を出すことにした。
「すいません。自分はシスティーナの友人のナハト=リュンヌですが貴方の名前をうかがってもよろしいですか?」
「おっと失礼。挨拶が遅れましたね。私はレオス=クライトスです。この度、この学院に招かれた特別講師で………彼女の、システィーナの婚約者、ですかね」
「「「「「ええええええええええ!!!!!」」」」」
ここは門前で多くの生徒がこの光景を目の当たりにしちょっとした騒ぎになってしまった。
「ち、ちょっとレオス!貴方こんなところで何言ってるのよ!?」
「そうつれないことを言わないでください。事実、私たちはお互いの両親が決めた許嫁同士ではありませんか」
この爆弾発言によりさらにあたりは騒がしくなっていく。流石にシスティーナが可哀そうなので口をはさむことにした。
「レオスさん。貴方がたの関係に口をはさむ気はありませんがここでその発言はいささかシスティーナに対する配慮が欠けているのではありませんか?」
「な、ナハト」
「そうですね.............私としたことが配慮に欠けていましたね。すいませんシスティーナ。.........そういえばあなたがあのナハト君ですね?」
そうシスティーナに謝罪するレオス。一応これでフォローはいいかと考えていた。だがその後の質問の真意がわからないので聞いてみた。
「どういう意味でしょうか?」
「私が講師を務めるクライトス学院でもグレン=レーダスさんのことは噂になっているんですよ。なんでも非常に面白い魔術理論の授業を行う講師に、それ完璧に理解しなおかつ実践に活かし競技祭で素晴らしい成績を残した生徒がいる........なんて噂を」
「そうですか......」
(どうにもこの男きな臭い............いくら特別講師にしたってクライトス家の御曹司とは大物すぎやしないか?この時期に、この違和感..................もしかして奴の差し金か?システィーナの婚約者でもあるってのが余計に怪しさがあるな.......)
ナハトはレオスに対して警戒心を強く抱いていた。だがその警戒心を悟られないように相手をうかがっていると複数の講師陣が騒ぎを聞きつけ生徒たちの統率を取り騒ぎは静まりそれぞれの教室に分かれていった。
レオスもレオスで学長室に案内されていったのでナハトはこのことは後でもう一度しっかり考えようとルミアたちと教室に向かって歩いて行った
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昼の時間を終えると噂のレオス先生による講義だ。期待値は高く、多くの生徒や時間の空いた講師陣が聞きに来ていた。俺もルミアやシスティーナにグレン先生とセラねぇ、そしていまいち聞いてないように見えるリィエルといういつもの顔ぶれで聞いていた。そしてそれを聞いた俺たちの評価は.................
「完璧ですね先生?」
「そうだな...........軍の一般魔導兵ですら半分は理解していない理論を、そいつらよりも基礎のできたない生徒たちに完璧に理解させちまいやがった..........」
「先生できますか?」
「無理だな。俺はセリカに習ったことや自身の経験を教えてるだけし、軍用魔術専門ってわけじゃないからどう頑張っても難しくなっちまう」
だが俺は.............先生もこの授業が気に食わない。この授業はいかに効率的に破壊、殺戮に変換できるかという部分をうまく隠して伝えてるものなのだ。確かに力は必要となる部分があるのが世の常でもある。しかし、こんなことを血なまぐさい現実から目をそらして教えるというのは違う気もしていた。
「気を付けないとですね。先生が常々言ってる力の意味と使い方を考えろ、力に使われるなという言葉の意味が今はよくわかります」
「大丈夫だよルミア。最低限うちのクラスでそういう馬鹿な間違えをする奴はいないさ。ねぇ、凄腕教師のグレン先生?」
「うるせぇ................まぁ、そうだといいな」
俺が最後揶揄うようにいってしまったがやや照れているようでそっぽを向くグレン先生。そんな様子をルミアと俺とセラねぇは苦笑いしていた。そんなさなかレオスは生徒たちがこぞって質問してきたのに答え終えたようでシスティーナのほうに歩み寄ってきた。
「やぁ、システィーナ。私の講義聞きに来てくれたんですね」
「え、えぇ………とてもいい講義だったわ………正直、文句のつけどころがなかったわ」
「そうですか........それはよかったです」
(なんかこの二人の温度差がなぁ~あとはレオスがやけにシスティーナに固執しすぎな気がする)
俺はレオスが奴とつながっている可能性を考慮したうえで警戒しながら観察をする。ルミアとセラねぇは何か違和感があるのかシスティーナとレオスのやりとりを心配そうに見ている。グレン先生はあまり関わりたくないようで素知らぬふりだ。リィエルに至っては眠たそうにしている。
「システィーナ少し外を歩きませんか?あなたと話したいことがあります」
「い、今じゃないとダメなのかしら」
「別に今でなくても構いません........ですが、いずれ話さなくてはいけないことです」
システィーナは少しうなりながら考えこむ。システィーナからしてみればレオスが話したいことについての内容に心当たりがある。システィーナは悩んだ末..................
「ごめんルミアちょっと行ってくるわね?」
「う、うん」
ここで逃げても仕方ないと判断したシスティーナはついていくことにしたようだ。そのままシスティーナはレオスに連れられ外に向かっていった。
「にしても物好きがいるもんだなぁ~」
グレン先生がそう言うがシスティーナはちゃんと魅力的な女性だろうと思う。
「そう思うのは先生が無駄にシスティーナを怒らせるからですよ」
「うん、私もグレン君が悪いと思うな」
「おいお前ら俺がなしたって...............そうですね、俺が悪いですね」
そう言うほうを向くと呆れた目で自分を見るナハトとセラの目にグレンはいくらかの心当たりもあるので何も言い返せなくなった。
「あ、あの先生それにナハト君も.............お願いがあるんですけど―」
俺たちはルミアのお願いとは何かと聞き入ることになった。そしてその願いとは........................
「はぁ~なんで俺が他人の恋路なんか覗かなきゃならんのか...............」
まぁ、簡単に言えば先生の言う通りでルミアの頼みはシスティーナたちのことを覗くこと。よく言えば見守るということにはなるが、ルミアはシスティーナのことが心配で後をつけることの協力を俺たちに頼んだのだ。
「じゃあ先生は向こうでセラねぇとイチャイチャしていたらどうですか?」
「ち、ちょっ!ナハトお前何言ってんだよ!?////」
「そ、そうだよ!ナーくん急にそんなこと言わないでよ!?/////」
ぶっちゃけこの二人は両思いなのは間違いない。だが、お互い一年前の件があるのか遠慮してそういう関係になろうとしないのだ。確かにあの件はそれだけのことをお互いの心に残しただろうが個人的には二人にはくっついてもらって幸せになるほうが二人のためになると俺は考えていた。
(まぁ、下世話な話か..................でも、いい加減くっつけって思うんだよな)
ナハトにとってグレンは普段はあれだがここぞというときに頼りになる兄貴分のようなものだし、セラのことは当然もう一人の姉のように思っているのでそう考えるのも当然だろう。
「あはは..............ごめんなさい先生ついてきてもらって。でも、どうしても心配で..........」
ルミアはそんなやり取りをする俺達に苦笑を浮かべながら先生に謝罪する。
「コホン.............まぁ、親友に変な虫がつくかもしれないとなれば心配にもなるだろうが.............悪いな、俺他人のこういうのに興味ないんだ」
(前もこんなことに似たようなことが...............)
「システィーナ.............私と結婚してください」
様子を見ていると遂にレオスが切り出した。ストレートなプロポーズにどうなるとその場にいるものが注目する。そう〝誰もが〟だ........................
「おっとぉ!?あの男やるなぁ~!いきなり結婚申し込みやがった!さぁさぁ、俄然盛り上がってまいりましたよ~!!」
(あぁ、遠征学修の時のバレーと同じだ................)
あの時のバレーボール同様なんだかんだ一番乗り気になるのがこの男グレン=レーダスである。
「もう、グレン君ったら.......................」
「ん。グレンが一番乗り気」
「「あはははは............」」
リィエルはいつも通りとしてセラは呆れており、ナハトとルミアは苦笑いを浮かべていた。
「で、ルミアはレオスのことどう思ってるんだ?俺もどうにもレオスのことは信用ならない気がしてならないけど」
「え?お前そんなこと思ってるか?アイツなら別に信頼できる男だと思うが...........」
「なんていうか嘘くさいんですよね..................やけにシスティーナに固執しすぎな気もするし、それにあの―いえ、なんでもありません。とにかくなんか違和感が凄くて気持ち悪いんですよ」
「私もナハト君と同じかな..............嫌な予感するんです」
そういうルミアに注目する一同。そして、またルミアは話始める。
「えっとごめんなさい............でも、遠征学修のバークスさんみたいに..........なんかこう嫌な感じがして」
ルミアの勘は馬鹿にならない。そのルミアが言うのなら俺も本格的に警戒するべきだと思った。
(少しアイツの身辺調査してみるかな................)
ナハトは今後の動く方針を固めつつ、目の前で起こっていることに注意を向けた。
「ごめんなさい。私は貴方のその申し出に答えられないわ」
この場にいるだれもが予想した解答。システィーナがこのプロポーズに応えることはないとここにいる者たちは心のどこかで想像していただろう。
「貴方のことは嫌いではないわ..............むしろ好ましく思うわ。でも、...............私はまだ誰とも結婚するつもりないわ」
そこまで言い切りシスティーナは空を見上げる。その先には天空に浮かぶ城がある。
「私、お祖父様と約束したの。メルガリウスの天空城の謎を解くって、お祖父さまが憧れた城にいつかたどり着くって。そのために、私は魔術の勉強を頑張らなくてはいけない。........正直に言って今はだれとも家庭を築くつもりはないの...............だから」
しばらくの無言。そして少ししてレオスは口を開く...............
「あははは、相変わらずですね。貴方はまだそんなこと言ってるのですか?」
(は?今こいつ〝そんなこと〟って言ったか?)
ナハトはレオスが言ったことにイラつきを覚えた。当然だ、親友の夢をそんなことと言ったのだ腹が立っても仕方ない。
「魔導考古学............古代文明の謎を解き明かし、古代の魔術を現代に再現させることを狙いとする分野。しかし、それをなせたものは一人としていない。無意味で不可能なことなんですよ?システィーナ、貴方はそろそろ現実を直視しなくてはなりません。悲しいことですが..............」
レオスの物言いは心配してのものだろう。だが、ナハトにとってそれはまるで自分が心配していることが都合のいい理由にしか聞こえない。
「貴方のお祖父様...........レドルフ殿も魔導考古学に傾倒さえしなければ、もっと多大な功績を魔術史に残していたでしょうに...................私は貴方にレドルフ殿のように同じ過ちを繰り返してほしくないのですよ」
「ッ!」
その言葉にシスティーナはギリっと拳を力一杯握りしめている。
「あぁ~ありゃ駄目だ...........あれじゃ完全に白猫は靡かねぇな~」
グレンはそう呆れ切った様子でレオスのことを見ていた。
「....................」
「ナハト君?」
ナハトは黙り切っているがレオスを見る目はとても厳しいもので怒っているようだがどこか相手を探るようでもあり違和感を覚えた。
(...........無駄に否定するようなこと言ってる気がする。一体なぜ?)
「レオス............貴方に譲れないものがあるように私にも譲れない夢があるの。そう言われて簡単に夢を諦められないわ」
「貴方はレドルフ殿に勝てるのですか?」
「ッ!」
その問いかけはシスティーナもずっと抱いていた不安だ。
レドルフ=フィーベル。第六階梯にいたりし稀代の天才魔術師で魔導考古学に傾倒しなければセリカと同じ第七階梯に至れたとも言われていた程だった。
システィーナも学べば学ぶほど祖父の偉大さに痛感する。そのたびに先のレオスの問いが頭をよぎる。なるべく考えないようにしていたことをレオスに直接抉られてしまったのだ。
「システィーナ私は貴方に..........................」
レオスが何かを言おうとしていた。だがその乱入者はその先を語ることを許さなかった。
「その辺にしてください。大切な親友とその大切な夢………そして彼女が心より尊敬している人を否定するのはいい加減にしてください」
「な、ナハト!?どうしてここに........」
「ごめんシスティーナ。少し心配だからついてきたんだ...............それで、システィーナに聞くけどシスティーナの夢はレオス先生に説得された程度で諦められるのか?自分が尊敬している人に勝てないかもしれないからって夢を諦めてしまえるほどのものなのか?」
「そんなわけない!!私はお祖父様との約束でもあるけれど何より私がそれを望んでるの!だからお祖父様を越えないといけないのなら絶対に越えて夢を叶えてみせるわ!!」
「うん。それでこそシスティーナだ。なら別に何言われようと気にするな。自分がしたいようにすればいいんだ」
ナハトはそうシスティーナを激励すると次にレオスのほうを見る。
「レオス先生後をつけてきたのは謝ります。ですが、あの言い方はないと思います。自分からしてみれば貴方の言い分は貴方が心配していることを盾にして言いくるめようとしか聞こえません」
「それに...............〝わざと〟じゃないですか?わざとシスティーナを追い詰めるように言いませんでしたか?」
ナハトの違和感。それはどこかわざとらしさを感じていたことだ。レオスはどう見てもシスティーナに好意はある。なのにわざわざ嫌われるようなことを言いそこまで追い詰める必要はないと感じたのが違和感だ。
「謝罪は聞き入れますが、〝わざと〟とはいささか邪推が過ぎませんか?ですがそれよりもあなたには一切関係なくないですか?これはクライトス家とフィーベル家の問題です。部外者は黙ってくれませんか?」
まぁ、確かにそれは正論だ。もし俺がちゃんとイグナイト家としてここにいれば向こうを黙らせることなんて簡単だろうがあいにくと失踪...............というか死亡者扱いだろうからそれはできない。というかあの家の名前を使いたくはない。
さてどうしたものか..............一層のこと固有魔術でも使っちまおうかと考えていると..........................
「関係あるわ.................」
システィーナが何か思いついたのか口を開く。
「ナハトは関係あるわ」
「それはどういうことですかシスティーナ?」
システィーナは何かを決意するようにしてまっすぐレオスを見てこう言い放った。
「だって私.............ナハトと将来を誓い合った恋人同士だもの!(ごめんなさいルミア!!)」
「へ?」
ここで流石のレオスも驚愕の表情に顔を歪める。
(あ.........あ~そういうことね...........)
ナハトはシスティーナの意図を理解した。確かにそれなら何とかなるかもしれんが嫌な予感がしてならない。
「私はもうナハト以外の人とは考えられないの。隠していてごめんなさいレオス............だから貴方とは.......」
俺もここでうまく口裏を合わせようと発言しようとするがナハトの嫌な予感がここで的中した。何が起こったかというとそれは..................
「ハハハハハハハ!残念だったなレオスさんよぉ?長年想い続けていた女が実はもう別の男のもんだったとはさ!ねぇ、今どんな気持ち?ねぇ、ねぇ?お・し・え・て・くれよレオスさんよぉ?」
ここで空気を読みすぎた男がさらに乱入する。そうグレンである。ニタニタ笑いの表情に、この発言無駄に悪役ぶっての登場にナハトは内心頭を抱えていた。何もそこまでする必要はないだろうに...............
「う、嘘だ!こんな生意気な大人にもなっていない彼に.............」
「嘘じゃねぇぜ?事実こいつらは恋人のABCだってすでに済ませてるらしいぜ?昨日だってナハトのベッドで..........................
「「《いい加減・にしろ》!!!」」
システィーナとナハトは余計なことを言い出す前にグレンを【ゲイル・ブロウ】を二人でかます。恋人のABCなんてやってるわけないし、そこまで捏造しなくても十分だ。
「私達はそんなことしてないわよ!精々ネグリジェ姿を見られ、頭を撫でられたりした程度の事しか.........」
「待ってシスティーナ?それも言わなくていいよね?」
しかもそれルミアもいたし、頭を撫でたことに関しては....................うん、ルミアにもしてたし問題ない...........よね?
「???いったい貴方たちはどこまで………いや、それより.........二人が交際してるのは本当なんですか?」
レオスは信じられないあるいは交際自体が嘘なのかと思い始めているようだ。ここで、嘘だとばれるのはさすがに不味いと感じたナハトは一芝居打つことにした。
(システィーナ..............あとで謝るから許してくれ.........)
俺は慌てて混乱しているシスティーナの肩を抱き寄せ自分にピッタリ寄せた。
「レオス先生、隠していて申し訳ないですが彼女とは真剣にお付き合いをさせてもらっています。どうしても信じられないというならそれでもかまいません。ですが、自分の最愛の彼女の夢をこれ以上汚すというのであればシスティーナの彼氏として許せません」
(な、な、な、ナハト!?/////最愛の彼女...........ってバカ!ナハトにはルミアがいてルミアもナハトの事が........でも、うれしかったのも事実で...........いやいや、どうして私うれしいと思ってるのよ!?///////)
システィーナはナハトの言いっぷりに内心ものすごくときめいているものの、親友の想い人であるわけで自分がそういう感情を抱くのに申し訳ないけどやっぱりうれしいと複雑な乙女心で人生最大レベルにに混乱していた。
(いいなぁ...............システィ。私もナハト君にそんなこと言われたい////////)
ルミアはルミアで演技だと分かっているものの羨ましくて仕方なかった。
「許せないですか.............許せないというならどうするというのですか?この結婚は両家の同意のうえでのことです。覆せると本当に思いますか?」
正直それが気にかかっている。システィーナの父親は子煩悩であることはシスティーナとルミアから聞いている。そのことは俺が知ってるくらいだからレオスだって知っていても当然だ。その子煩悩な親が果たして娘の嫌がる結婚をさせるだろうか。
よって、ナハトはこの状況下でレオスとの縁談をなしにする方法を三つ導き出す。一つ、システィーナの家族にシスティーナの想いを伝える。これが恐らく一番確実かつ円満になかったことにできる。二つ、この場で決闘を申し込みそのうえ勝利..............いや引き分けにしてうやむやにする。だが、レオスはまるで俺に決闘を挑ませようとしているようにすら感じるため判断に悩むとこである。三つ、幻術で万事解決。これは流石に倫理的に問題があるの気がするで却下ではあるが一番手っ取り早いし、レオスから情報を引き出すなら一番だ。
(模擬戦ならレオス相手に負けることはないだろう。だがそれ以外の決闘を吹っかけてくる可能性がある以上決断は難しいな..............)
ナハトがどうするべきかと悩んでいた。普通の模擬戦なら現役の軍人であるナハトのほうが強いだろう。なので、上手くやれば引き分けに持っていくこともできるだろう。だが、こちらから挑んだら相手の有利な条件での決闘になるだろうことは想像に難くない。そうなれば、どこまで勝敗をコントロールできるかわからないためリスクが前者よりも高い。
だが、ナハトはここは一つ向こうの思惑に乗って様子を窺うのも手であろうという考えにたどり着く。
「思いますよ...............こうすればいいだけですから」
そう言いナハトは手袋を投げつける。
「決闘ですか..............確かにあなたが勝てば覆せるでしょうね」
レオスは不敵な笑みを浮かべてこちらを見据える。その様子にまるで想定通りと言った雰囲気を感じるのでやはり狙っていたのかと勘繰るナハト。
「ま、待ってナハト!ナハトが凄い強いのは知ってるけど相手はレオスなのよ!」
「心配しなくても大丈夫だよシスティーナ。〝サシの模擬戦なら〟俺が絶対に勝つ。まぁ、レオス先生は〝サシの模擬戦〟なんていう〝圧倒的〟に〝勝率の低い〟選択なんてしないで自分が有利な方法に〝逃げる〟だろうけど」
「ッ!言ってくれますね!だったら....................いえ、決闘についての日時などは追って話し合いましょう。貴方の吠え面を見るのを楽しみにしてますよ」
ナハトはあえて煽って冷静さを奪い自分が有利なサシの模擬戦に持ち込もうと試してみたがさすがにそこまでは都合よくいかなかった。
そしてレオスが去っていったのを見届けるとシスティーナが詰め寄ってくる。
「ちょっとナハトいいの?このままじゃレオスが有利の決闘になるけど.............」
聡いシスティーナは俺があえて煽った意味を理解しての問いかけだろう。
「まぁ、それは最初から想定内だな。でもそこは重要じゃないだろ?重要なのはシスティーナが嫌な思いをしないことだ。有利不利なんて関係ない、親友が困ってるなら助けるのが友人ってもんだろ?」
「ナハト...........」
「まぁ、うまくやるからシスティーナ心配しなくていいさ」
「ありがとうナハト。ナハトが言ってくれたこととてもうれしかったわ」
「どういたしまして」
後はどんな決闘になるかだな。正直レオスが有利な決闘戦についてあまり検討がついてない。どちらにせようまくやってレオスのことを探らせてもらうしかないな。奴とつながってる、つながってないにしろルミアの勘や違和感もあるし確実に見極めなくては。
ナハトは一人考え事をしながら隠れていたルミアたちのもとにシスティーナと一緒に戻っていくのであった。
今回から天使の塵編です。この話はグレンがメインになる話でもあるので展開を考えるのが難しいです。システィーナもどちら側のヒロインに位置付けるかで結構悩みます。現状は正直グレンはセラ一択であることやアンケートの結果を見たりして、ナハトに寄せるつもりではあります。難しいですがうまくまとめられるようにしたいと思います。この回を書き終えれば個人的にかなり書きたい遺跡調査編が書けるので頑張ります。
今回もここもここまで呼んでくださりありがとうございました。そして、いつもコメント、お気に入り登録、評価してくださりありがとうございます。
再計:システィーナのヒロイン追加について
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反対