ロクでなしとチート主人公   作:graphite

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「過去」と『邂逅』

 

俺達は準備を整えると再び大天象儀(プラネタリウム)場に来ていた。

 

他の生徒達にも5人で救出に向かうと伝え、もしも翌日中にまでに戻らなければ帰るようにとも伝えておいた

 

 

「よし、お前ら行くぞ」

 

グレンはシスティーナの証言通りルミアの異能のアシストを受けて黒魔【ファンクション・アナライズ】を起動させ『扉』を出現させた。

 

「「「「はい!!(ん!)」」」」

 

 

それぞれが返事をするとセリカが言った《星の回廊》に足を踏み入れる

 

 

 

少しすると5人は《星の回廊》を抜ける。するとその先の光景に呆然とする。

 

出た先には大天象儀(プラネタリウム)場と同じような小型のモノリスはあり一応戻ることは可能だと分かる。だが、そんなことよりも目の前に広がる光景に驚かされる。なぜなら.................

 

 

「ひっ..............!」

 

 

床には無数の干からびてミイラ化した遺体が転がっているのだ。

 

それを見たシスティーナは思わずナハトの腕にしがみついて小さく悲鳴を漏らす

 

「大丈夫だよシスティーナ。大丈夫だから」

 

ナハトは怯えるシスティーナを落ち着かせるように優しい声音で勇気づける

 

だがそんなナハトもこれほどの惨劇を見るのは数少ない。あまり気分がいいとは言えないがそれでも冷静に遺体の検分をする。

 

(この特徴的な恰好...............随分時間は立ってるみたいだけど全員魔術師なのか?)

 

ナハトは遺体の衣装と杖などのことから導き出す。そしてグレンも同様のことを考えていた。そして..............

 

 

(この遺体の損傷具合..............餓死とかそういうのじゃなくて明らかに何か害されたことが死因だろうな.........だとしたらこの先それをした何者か...........あるいは罠があると想定したほうがいいな)

 

 

遺体はどれも外的損傷がひどいのだ。焼け焦げていたり、部位欠損していたりと酷い有様なのだ。だからこそ、その原因がこの先にいる可能性も考慮しナハトはより警戒を強める。

 

「先生行きましょう」

 

「あぁ.........」

 

そう言って俺達は移動を開始した。先頭には俺とグレン先生、殿にリィエルそして中衛にシスティーナとルミアと言う形で歩いていく。

 

俺と先生がそれぞれ指先に灯した魔術の光を頼りに罠などに注意して歩みを進める。

 

 

「「........!?」」

 

前方で音がしたため全員反応する。俺と先生が慎重に光で照らすとそこには曲がり角から這い出てくる長い金髪の女性の姿だった。

 

「セリカか!?おい、どうした?しっかり...............」

 

グレンはそれをこの場の空気によりロクに確認せず焦ってセリカだと思い駆け寄ろうとする。だが...........

 

 

「先生!ダメだ!!それはセリカさんじゃない!!!」

 

ナハトはすぐに忠告する。だがグレンはもう既に近くに行ってしまった。グレンもしまったと足を止める

 

(セリカじゃねぇ!.............それにコイツ左腕が..............)

 

 

そうグレンはその女性に左腕がないことに気づく。

さらにそれだけでなく女性には下半身もなく、干からびた臓腑を引きずっていた。

そして女性は目の前のグレンたちに気づくと長い髪の下から憎らし気にグレンたちを見て石のように固まってしまったグレンに掴みかかる。

 

 

(しまった...........ッ!早く抜け出さないと.............ってコイツなんて力して...ッ!?)

 

グレンは女性とは思えない膂力に押さえつけられ抜け出せなくなる

 

 

   〝ずるりッ.........〟

 

 

気味の悪い何かがひきずられるような音が聞こえる。するとその瞬間.............

 

 

「――ッ!?いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

悲鳴を上げたのはシスティーナだった。システィーナの足元にあったミイラがシスティーナの足をつかむとすぐにそれは背中に組み付く。

 

 

システィーナはその嫌悪感抱かせる見た目に完全に怯え切ってしまい冷静さを失う。それにより繊細なコントロールが要求される魔術講師は不可能となる

 

 

そしてそれを機に床のいたるところに転がっていたミイラたちがよろよろと一斉に動き始める。

 

リィエルも対抗しようと事前に錬成しておいた剣で立ち向かおうとする。

 

「グレンから離れて..............ッ!」

 

だが、その瞬間、先んじて不意に伸びた無数の腕にリィエルも取り押さえられる

 

「は、放して................い、痛い....!」

 

凄まじい膂力にリィエルの体は悲鳴を上げる。リィエルも痛みで顔を歪める

 

その場の三人が一気に戦えなくなり絶望が場を支配したかのように思われる

 

 

 

 

 

だが、〝彼〟と〝彼女〟は違う

 

 

「《光在れ・穢れを払いたまえ・清め給え》」

 

そしてルミアは凛とした声音で一切の怯えも感じさせずに高らかと祓魔の呪文――【ピュアリファイ・ライト】の詠唱を謳う。

 

すると周囲に神々し輝きが周囲を包む。それにより周囲の屍たちはすべて目をそらして苦しみ始める

 

(ルミア!?.....この状況下で詠唱だと!)

 

グレンはこの凄惨な状況下で詠唱をするルミアに驚愕する

 

ルミアが安心して詠唱できるのはナハトがいるからだ。ナハトが必ずどうにかしてくれると信じているからこそ何に怯えることなく詠唱をすることができる。

 

そしてそのナハトは...........

 

「《付呪(エンチャント)獄炎(ヘルブレイズ)》...........紫電一閃・獄乱」

 

ナハトは両手の双剣に獄炎を纏わせると周囲の大量に溢れる屍やシスティーナたちを抑え込む者らをを神速の剣技で斬り刻む

 

(す、すげぇ............なんて速さだ.............)

 

グレンはナハトの余りの高速剣技に驚愕する。行きの道中でも見たが改めて至近距離で見ると如何にすさまじいかを再認識させられる

 

ナハトも同様にルミアがこの状況で一切の動揺もなく詠唱をできると確信したため確実な隙ができるこの瞬間を信じていたのだ

 

「ルミア!」

 

するとナハトはルミアの名前を呼ぶとルミアはそれだけで意図を理解したのかある魔術の詠唱を開始する

 

「うん!《聖なる輝きよ・女神の慈悲の力以って・亡き者らに安らぎを》」

 

するとルミアの左手から聖なる輝きが灯る。そしてそれはナハトの獄炎纏う双剣に向かい放たれ纏いつく

 

「これでも喰らえ!合技【神喰い】!!」

 

ナハトが両の剣を左右に大きく振るい、獄炎と聖なる輝き纏う刃が周囲の屍らをまとめて一掃する

 

するとその一撃ですべての屍は相当され辺りにはそれらの体から出てきた瘴気と黒煙だけが残り静寂が訪れる

 

「た、倒したのか...........?」

 

グレンはやや戸惑いながらそう言う

 

「えぇ、ルミアのおかげで何とか...........ありがとうなルミア」

 

「ふふ、ナハト君がいてくれたから私も安心できたよ?ありがとうね」

 

(こいつら.............一緒に戦うのなんて始めてだろうになんてコンビネーションだよ)

 

グレンが二人の即席なはずのコンビネーションに戦慄と呆れのようなものを感じていた

 

「さて、みんな大丈夫か?」

 

「え、えぇ.............ありがとう助かったわナハト、ルミア」

 

「ん。ありがとう二人とも」

 

ナハトが状況確認すると戸惑いながらもシスティーナが礼を言い、リィエルは何もなかったかのように礼を言う

 

「だが、それにしてもルミアのそれって【聖櫃(アーク)】だよな?どこでそんな超高等魔術を?」

 

聖櫃(アーク)】は超高等聖属性魔術。光の粒子で分解する魔術なのだが余りの習得難易度でまともに使える者など見たことがないのだ。

 

「これはナハト君に教えてもらったんです」

 

「ナハトが?」

 

「はい。俺は相性がよくないので全く使えないんですけど呪文と知識くらいは知っていたので興味を持ったルミアに試しに少し教えたらすぐにできるようになっちゃったんですよね」

 

「はあぁぁ!?す、すぐにだと!?一体どのくらいでだ?」

 

「それがその.................教えたそのそばで使えてました」

 

「...................まじ?」

 

「マジです.............」

 

あの時は本当に驚いた。偶々ルミアが俺に使えない魔術があるのか聞いてきたときに教えたのだが、その時いきなりルミアが「ダメもとでお遊び感覚で試してみない?」と言いうので俺も無理だろうなと思いつつもやってもらうことにしたらまさかの一発でできてしまったのだ。その時はもうあまりの衝撃に絶句するしかなかった

 

「あはは................なんかこの魔術凄い難しいんでしたっけ?」

 

そう言って少し戸惑った笑みを浮かべるルミア。ルミアからすれば簡単に出来てしまい難しいというのが理解できない為である

 

「凄いってレベルじゃねぇけどな.................」

 

グレンは自身の教え子の凄まじい才覚にもはや言葉が見つからなかった。

 

「さて、お話はこれくらいにして............これ多分ですけどセリカさんの足跡じゃないですか?」

 

ナハトは先程動き回っているときに見つけた足跡に指をさす

 

「確かにそれぽっいな..........よし!これを辿っていこう」

 

そうして俺達はセリカさんのものらしき足跡をたどって歩み始めるのであった

 

 

 

 

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「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「《拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢に安らぎを》今よルミア!」

 

「うん!《聖なる輝きよ・女神の慈悲の力以って・亡き者らに安らぎを》」

 

 

先程の戦闘から少ししてまたしても亡者たちが俺たちに襲い掛かってくるが、リィエルの剣、システィーナの魔術、ルミアの超高等魔術により次々と撃退していく

 

 

「ほんと..........スゲェなこいつら............」

 

ルミアの胆力はすさまじく、たとえ死が眼前に迫ろうと冷静に乱れることなく詠唱することのできる強靭な精神力。

 

システィーナは精神面こそもろいものの状況に応じた呪文行使といいさすがのセンスを感じられる

 

そして何よりもリィエルの成長幅がすさまじい。かつてのリィエルならただ突っ込むことしかしなかったのに今は連携を意識しているようでグレンたちと足並みをそろえて戦っている。

 

 

だが、当然一人大きく飛び抜けているものがいる

 

「《雷帝よ――踊れ》」

 

正確無慈悲に放たれる五条の閃光がシスティーナ達の死角から襲い来る亡者の急所を穿ち無力化していく。そしてそれだけでなく................

 

「《気高く吠えろ・炎獅子》」

 

超精密制御された【ブレイズ・バースト】でシスティーナたちを巻き込まずに多くの亡者を焼き払う

 

 

(完璧なフォロー、その上での超絶技巧による大量殲滅..................まるではセリカとアルベルトを足して二で割ったみたいだな)

 

 

その視線の先にはその完成された戦闘がさも当然といった様子でいるナハトの姿だった。

 

あのロクでなしのグレンも目の前で繰り広げられる生徒達によるすさまじい戦闘に自身も負けていられないという思いすら湧きあがらせていた

 

 

 

それからもここにきてどれくらい経ったかわからないくらい歩いていると突然低い地鳴りのような誰かが戦っている戦闘音が聞こえる。

 

そしてそんな地鳴りのような戦闘音をさせる人なんて一人しかいない

 

「先生!」

 

「あぁ、違いないだろうな............急ぐぞ」

 

ナハトが確認を取るとグレンも確信したようで先を急ぐ。それに後ろからシスティーナたちがついていった先には大きな部屋がありそして眼下には無数の亡者相手に破壊の限りを尽くすセリカがいた。

 

 

「《失せろ(・・・)》」

 

 

そのたった一言が紡がれると【プラズマ・カノン】、【フリージング・ヘル】、【インフェルノ・フレア】の上位B級軍用攻性呪文(アサルト・スペル)三重唱(トリプル・スペル)で三つ同時に放たれる。これこそがセリカ=アルフォネアを第七階梯たらしめる絶技

 

「す、すごい.............」

 

「これがアルフォネア教授の戦い............」

 

「...............」

 

システィーナ達はそれぞれ息をのんでその戦いを見つめ

 

「これが第七階梯................」

 

魔術戦において自身のスタイルを突き詰めた至高の領域である眼前のセリカの戦いに食いつくように見いるナハト

 

だが........................

 

 

(確かにすごいけど.................何かに焦ってる?それに――)

 

ナハトは眼前の戦いを見て二つ不思議に思ったことがある。それはセリカの焦り、そしてもう一つは............

 

 

(なんであの亡者はセリカさんをあそこまで目の敵にするんだ?)

 

 

亡者たちはここまで来るまで戦ってきたがどれもものすごく誰かを憎んでいるようだった。そして今はその憎しみはセリカに向けられている。

 

何があそこまでの憎悪を生み出しているのかわからない

 

ナハトは隣にいるグレンの表情を見て同じことを考えていることを察する。

 

そしてそんなことを考えていると遂に眼前の戦いは終結に向かう

 

「虚無への片道切符だ。受け取れ、有象無象」

 

すると突然部屋全体に奈落の闇が形成される。

 

(これは..............【ゲヘナ・ゲート】)

 

ナハトは使われた魔術の正体を見抜く。

 

【ゲヘナ・ゲート】、霊的存在を問答無用に虚無に引きずり落とす魔術。元は不死者への対抗手段として考案されたものだがそのコンセプトがあまりにも外道なために禁呪とされた魔術

 

 

亡者たちも「助けて」とか「嫌だ」とか叫ぶもすぐさま引き込まれ虚無に飲まれる

 

 

そうして一通りの戦闘を終えたことを確認するとグレンたちはセリカに駆け寄っていく

 

「セリカ!」

 

「.........お前たちか」

 

疲れているのかのろのろとした緩慢な動きでこちらに振り向くセリカ

 

「どうして............ここに?」

 

「そりゃこっちのセリフだ!一体どういうつもりでこんなとこに一人で来たんだ!」

 

そう言って肉親であるグレンがセリカの胸倉をつかみ叫ぶ

 

「俺は別に心配してないけど生徒たちが心配だから来たんだよ!お・れ・は!心配してないけどな!」

 

「こういう時くらい素直になってくださいよ.......」

 

「あははは.............」

 

いつものようにひねくれているグレンに呆れるナハトとシスティーナ。そしてそれを見て苦笑するルミアといつものような風景である。

 

「ったく。さっさと帰るぞ」

 

そう言ってグレンは起こっているようだが内心無事のセリカを見て安心していると.............

 

「なぁ、聞いてくれよグレン!ついに..........やっと...........やっと、見つけたんだ!」

 

突然そう明るい声で話始めるセリカ

 

「はぁ?何を見つけたんだよ」

 

すぐにでも戻りたいと思うグレンは嫌な顔を浮かべ問いかける

 

「私の失われた過去の手がかりだよ!」

 

「.........何?」

 

グレンは予想外な答えに固まる。それにお構いなしにそのままセリカは語り始める。

 

「思い出したんだよ!あの『タウムの天文神殿』最深部.........大天象儀(プラネタリウム)場で、あの光の扉が出現した時..........ほんの少しだけ思い出した.......」

 

セリカはグレンに詰め寄り上気した顔のまま続ける

 

「私は昔あの《星の回廊》を行き来したことがあるんだ!間違いない!何となく覚えているんだ!」

 

セリカはこの四百年ついぞ何もわからなかったのにこんなこと初めてだとはしゃぐ。そしてさらに両手を広げくるりと回って見せる。

 

「それに、ここがどこかわかるかグレン?」

 

「は?どっかの『塔』じゃねぇのか?」

 

ここに来る途中空が見えたのだ。だが、別にそんなことどうでもいいだろうとグレンは思っていると予想外の答えが教えられる

 

「ふふん、ここはな?アルザーノ帝国魔術学院の地下迷宮なんだ」

 

「なッ!?」

 

その言葉にありえないと思い脳の処理がここにいるセリカ以外の者は追い付かないでいた

 

「しかもここは地下89階..........黒魔【コーディネート・ディテクション】で調べたから間違いない!」

 

「わかるか!今まで私が越えられなかった地下10階から49階までの《愚者の試練》と名付けられている階層を優に超えているんだ!」

 

「地下49階.................あの忌々しい《愚者の試練》さえ突破すればこちらのもんだ!喜べグレン!私はついに地下迷宮の謎を解き明かしたぞ!」

 

セリカがここまで興奮するのは無理のないことなのだ。それはなぜなら何度も挑み続けてもついぞ《愚者の試練》を越えられたことがないからである

 

 

 

「やっぱり私の過去は...............失われた使命は.............私の不老の謎は........この地下迷宮にあったんだ。............『声』の通りだ」

 

(〝声〟だって?...............もしかして俺にも何か関係が.........?)

 

ナハトにもその〝声〟とやらについて興味がある。あの時の少女の言葉、そしてここに来る以前のあの警告。もしかしてそれの謎がわかるのかと思うが一体何が何やらわからない

 

 

だが..................

 

 

「何となく覚えてる。そうだ.............あの『門』だ」

 

この大広間の先にある大きな『門』に手を伸ばし歩き始める

 

だがその手を............

 

「ダメだ」

 

グレンがその手を取り今度こそ引き留める

 

「.................グレン?」

 

「なんでこの先にお前の過去があると思うのかわからねぇ、だがな..............」

 

そこでいったん一区切ると、グレンはしっかり今一度セリカの目見てはっきり伝える

 

「恐らくだがお前の過去ってのはロクなもんじゃないと思う。ここまで来るときにあった亡者共は皆何かを強く憎悪していた。そして今ようやくその対象を俺とナハトは理解した。.............お前だよセリカ。さっきの戦闘見て確信した」

 

「ッ........!」

 

「だが、そんなことどうでもいいんだ。ここの奴らがどんだけお前を憎んでようとお前は俺の家族なんだ。だから.............なぁ、もう昔の事なんて良いじゃねぇか。俺は変わらずお前のことを大切な家族と思ってる。帰ろうぜセリカ?」

 

「い、嫌だ..............それじゃあ..........私はいつまでも一人...........ッ!」

 

普段とは違う弱った態度でそう言うとグレン先生の手を振り払いセリカさんは駆けだす

 

「あっ........おい!待てよセリカ!」

 

 

セリカは『門』に向かい走る

 

「《其は節理の円環へと帰還せよ・五素は五素に・----・象と理を紡ぐ縁は乖離せよ》!」

 

セリカは四百年『内なる声』に使命を果たせと言われたあの日から............

 

それを何かを知るために渾身の【イクスティンクション・レイ】を放つ。

 

全て消し去る光線が『門』に直撃する

 

 

だが...................

 

 

「なんで...........なんで壊れないんだよ!!これじゃあ門の向こうに行けないじゃないか!!」

 

 

『門』は傷一つなくそこにそびえたつ

 

 

「お前としたことがらしくねぇ...................霊素皮膜処理(エテリオ・コーティング)を忘れたか?古代人の被造物は何人も破壊できねぇよ」

 

『門』に血を滲ませながら叩き付けるセリカの手をグレンはつかむ

 

「離せ!離せよグレン!」

 

血の付いた拳でまだ『門』を叩こうと駄々をこねるセリカ

 

「諦めろ、一体何が不満なんだ、セリカ?」

 

それを『門』に押さえつけ諭すようにグレンは問いかけるがセリカは俯き何も言わない

 

 

すると突然..................

 

 

『その尊き門に触るな、下郎共』

 

地獄の底から響くような声が広間に朗々と響き渡る

 

 

 

愚者(・・)門番(・・)がこの門、潜る事、能わず。地の民(・・・)天人(・・)』のみ能う。――汝らにその資格なし』

 

 

そいつはこの大広間の.............闘技場の中央に突如として現れた。

緋色のローブを纏った謎の存在だ。そのローブは丈長で、フードの中はナハトの認識阻害のローブ同様に表情はうかがえず、新円の闇を湛えている

 

そして何より放たれる闇色の霊気(オーラ)

 

「ひっ..........!?」

 

「な、ナハト君...........!あの人!」

 

「.......................」

 

システィーナもルミアも魔人の異常性を肌で感じ取る。あのリィエルでさえ警戒心を向きだ際にして深く構える。だがその剣先はぶれていた

 

 

だがナハトは無表情で魔人を見据えている。グレンも警戒しているのか圧されているのか全くうかがわせないる。

 

 

(あいつは拙い!マズ過ぎる!!)

 

あまたの強敵を屠ってきたグレンだからこその勘。今目の前にいる相手は間違いなく圧倒的強者でまるで自分達では敵わないように感じさせる圧倒的な格差を感じる

 

 

「...........はっ..........誰だお前.............?」

 

しかしセリカだけは違った。

 

目の前の存在がどういうものなのかわかっていないようだった

 

執着するものを前に冷静さを欠いているようだ

 

「まぁ、いい。どうやら話が通じるようだしな.......おい、お前この門の開け方を知ってるな?知ってるなら教えろ。じゃないなら吹き飛ばす」

 

『.......貴女は.......』

 

すると魔人もセリカを認識すると突然その異様な雰囲気が緩まる

 

『ついに戻られたか、(セリカ)よ。我が主に相応しき者よ』

 

「は.........?」

 

突然名を呼ばれたセリカは困惑する

 

『だが.....嘗ての貴女とはからは想像もできないほどの凋落ぶり...........今の貴女にこの門を潜る資格なし.........故に、早々にお引き取り願おう』

 

「何を言っている!?お前は私を知っているのか!?」

 

『去れ。今の汝に用無し』

 

そのまま魔人はセリカを無視するとグレンたちのほうに向きなおるすると魔人はいつの間にか両手に二仏の刀を構えている。

 

左手は赤の魔刀、右手には漆黒の魔刀を握りどちらも禍々しく、そして業物だと分かる

 

『愚者の民よ。この聖域に足を踏み入れ、無事に帰れると思わないことだ...............汝等は、我が双刀の錆と為れ。亡者と化してこの《嘆きの塔》を永久に彷徨うといい』

 

明確な殺意と殺気をこちらに向ける

 

「ひっ.................!?」

 

完全に怯え切ってるシスティーナはナハトにしがみつく

 

「うぅ...............ぁあ...................」

 

あのルミアでさえ顔を青ざめナハトの服の端を握りしめる

 

「はぁーーーはぁーーーーはぁーーーー」

 

そしてリィエルでさえも過呼吸気味になっている

 

(冗談じゃねぇ........付き合ってられるか!)

 

グレンはかなうわけないと即時撤退を選択する

 

だが..................

 

 

「おい...........人の話聞けよ」

 

腹の虫が悪いセリカは状況がわかっていない。そのため魔人を睨みつける

 

「もういい................話す気がないのなら強引に聞き出すまでだ!」

 

「ば、馬鹿!やめろセリカ!!!」

 

セリカはそのままグレンの制止を聞かずに魔人へと魔術を放つ

黒魔【プロミネンス・ピラー】

深紅に輝く超高熱の紅炎が、天を焼く巨大な火柱が魔人を包み込む

 

 

『まるで児戯』

 

魔人が左手の魔刀を振るうと炎が掻き消える

 

『そのような愚者の牙(・・・・)に頼むとは...何たる惰弱。汝が誇る王者の剣(・・・・)はどうした?かつての汝はもう死んだか?』

 

 

(あいつ今何をした!?セリカの魔術を掻き消しただと!?)

 

 

グレンが驚くのも当然である

【プロミネンス・ピラー】はB級軍用攻性呪文(アサルト・スペル)だ。現代魔術においてはB級以上は打ち消す(バニッシュ)することは不可能なのである

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

だが冷静さを欠いているセリカはそれに気づかず、【ロード・エクスペリエンス】を使い真銀(ミスリル)の剣で斬りかかる。今のセリカは一時的に《剣の姫》と謳われた大英雄の剣技を宿し無双の剣士となっていた。そのセリカに近接戦闘で敵う相手はいないはずなのだ。

 

 

だが..................

 

 

『借り物の技と剣で粋がるな――恥を知れ!!』

 

魔人も左手の魔刀を振り抜きながら踏み込む

 

 

キィィィィイイイン!!!

 

甲高い音共に剣と刀は噛みあい、両者はすれ違う

 

 

「なっ...........!?」

 

 

そう驚愕したのはセリカだった。そのセリカからは割きほどまで感じられた最強剣士の風格は失われていた

 

 

「な、なんで私の魔術が解呪(ディスペル)され.............い、今何された?」

 

『我が左の紅き魔刀は魔術師殺し(ウィ・ザイヤ)..........そのようなこざかしい術我には効かん』

 

魔人は振り返りセリカに朗々と告げる

 

『我は、その真なる主に敬意を表する。今の一合で理解した。その剣............今は亡き見知らぬ愚者の子よよ...........人の身でよく、ここまで練り上げた』

 

 

すると魔人はここにはいない誰かに祈りを捧げるように刀で円を描く

 

『天位の御座にある我と言えど、畏敬の念を言あ抱かずにはいられない..........』

 

そして魔人は狼狽えるセリカに対し双刀を向ける

 

『其れが故に、その冒涜を許せぬ(セリカ)よ!.......汝はどこまで堕ちた!我は汝に対する失望と憤怒を抑えきれぬ...........!』

 

「クソ........《雷光神の戦槌よ》!」

 

セリカは咄嗟に飛び下がり左手を向け【プラズマ・カノン】を放つ

 

『やはり児戯』

 

するとまた魔人は左の刀を振り抜き術を掻き消す

 

その刹那、残像すら映らないほどの速さで姿を掻き消す

 

すると次に現れたのはセリカの背後へ回り込んでいた。

 

そのまま、魔人は右の刀を振り下ろす

 

 

「チィ.........!」

 

 

それをセリカは寸前のところで転がりながら躱したように見えた。だがよく見ると微かに背中に切り傷が見られる

 

 

すると...............

 

 

「ぁあ......................」

 

 

突如セリカの体が横に倒れる。

 

その時のセリカは全身からまるで魂が抜かれるような感覚を覚えた。それからセリカは何度も体を起こそうとするもなぜか体に力が入らない。

 

『我が右の黒き魔刀は魂喰らい(ソル・ルート)...........我が刃に触れた汝はおしまいだ』

 

無防備に倒れこんでいるセリカに対し魔人はその右の刀を首に添える

 

「ぁ..........あぁ..............」

 

首筋に触れる冷たい感覚におののくセリカ

指一本を動かすことさえ苦労するセリカにもはや為す術はない

 

『見込み外れか...........今の汝に我の主たる資格なし...........神妙に逝ね』

 

そのまま魔人は大きく右手の剣を振りかぶる

 

その様子をセリカはただ茫然と眺める

 

終わる..............

 

それはずっとセリカが望んできたことでもあった

 

だが、今のセリカの中にある感情は......もっとグレンといたい

グレンともっと............もっと、笑いあっていたい 

 

そう、それすなわち.................

 

「死にたく、ない..............」

 

だがそれに対する魔人は一言

 

『いと卑し』

 

そのまま無慈悲に振り上げられた魔刀が振り下ろされようとしてる瞬間.............

 

 

魔人にも劣らないスピードで駆ける一人の剣士がいた

 

 

「シィッ!!!」

 

『ッ!』

 

ナハトである。

 

ナハトはそのまま右手の剣で振り下ろされる剣を切り上げる。

そして流れるようにそのまま左手の剣で魔人の心臓があるであろう位置につきを放つ

 

『ぬっ...!』

 

だが、魔人の超人的な反射神経で刀の側面でナハトの突きを受け止める

 

そしてそこまではナハトも想定内だ。ナハトはすぐに左手の剣を手放し、鋭くかいくぐるように魔人の懐に入り込む

 

『!?』

 

魔人もまさか剣を手放すことは予想外なため一瞬反応が遅れる。

 

そしてその一瞬は彼等の剣戟にとって命取りである

 

「セリャアァァ!!!」

 

下から入り込んだナハトは右手の剣で全力の右下からの斬り上げを深々と魔人の体に叩き込む

 

そして今度は手放して落ちてくる剣を逆手でつかみ取るとそのままさらに追撃として振り抜く

 

『グっ!.........ふっ!』

 

だが、左の剣の一撃は魔人が後ろに引いたため空を切る

 

『愚者の子よ.........素晴らしき剣技と策略だ.........その剣技あの剣も持ち主にも劣らないだろう』

 

やっぱり(・・・・)死なないか...........」

 

 

ナハトの今の一撃は確実に魔人の急所を切り裂いた。にもかかわらず倒れない。だが、ナハトにとってそれは想定内なのだ............

 

そしてナハトは今の攻防で確信する。魔人の正体を.............あの二振りの刀とこの不死性.......それに該当する存在は一つしかない

 

(信じられないけどこいつは恐らく............)

 

『これほどの才を持つ愚者の子を殺すのは忍びない............だが、逃がすわけにはいかぬ!ここで逝ね!』

 

『《■■■■■――》』

 

魔人がそう言うと何やら聞きなれない言語で呪文を唱え始める

すると魔人の頭上に太陽の如く大きな球体が形成される

 

 

「う、嘘だろ..........いったいどこからこんな魔力を....!?」

 

グレンはあまりにもばかげた光景に狼狽する。だが................

 

「先生!!動かないでください!!」

 

するとナハトは

 

〝懐から月のアルカナ〟を取り出す

 

(アイツ魔術に幻術を!?)

 

グレンはナハトが固有魔術【奇術師の世界・幻月】を使用すると考えた

幻月なら確かに魔術にさえも掛けることは可能

 

 

だが、ナハトは別の〝固有魔術〟を使用するつもりでいた

 

『《■■■■》逝ね』

 

「《第二術式(・・・・)・――」

 

ナハトが起動させようとした直前世界がモノクロに移り変わる

 

すると自分たち以外のすべてが停止する

 

「《・起......って、へ?」

 

ナハトは意味が分からなくて途中で詠唱を中断すると周りをキョロキョロと確認する。

 

すると..................

 

『...........貴方達こっちよ。早く来なさい』

 

その声の主はなんと初日に出会った異形の少女だったのだ

 

『この状態は長くは保たないわ。急いでこの場を離れるわよ』

 

 

なぜ今になって?とか一体どうやって?と言う疑問はあるがそんなことよりも彼女の言葉に従いグレンがセリカを担ぐのを確認すると全員でその場を離脱した

 

 

 

 

 

 

-------------------------------------------------------------------

 

 

 

『私はそうね.............、今はナムルスとでも名乗っておくわ』

 

 

ナハト達を窮地から助け出したルミアによく似た容姿の少女はナムルスと名乗った

彼女は遺跡探索初日にナハトとグレンが出会った少女である

 

先程のすべて止まった世界はいつの間にか解けており、今は暗闇の中をナムルスを先頭とし、その隣に明かりをともすナハト。そして、その後ろにセリカを背負うグレンにシスティーナやルミアそして殿にリィエルと言う陣形で先に進む

 

しばらく歩いているとナムルスの隣にいるナハトが問いかける

 

「えっと、ナムルスさん?聞きたいことがあるんだけどいいですか?」

 

『別に敬語じゃなくていいわ。貴方に敬語を使われるのは変な気分だし』

 

「そうか...........わかった。それでいいか?」

 

『私が答えられることは答えるわ』

 

「それじゃあ、まずどうして俺たちを助けたんだ?」

 

『.............』

 

無言............つまりそれは答えられないのか。だが正直それをこたえられない理由がいまいちわからない

 

「答えられないわけか..............なら、ナムルスってどういう存在なんだ?」

 

『そうね.........私は世界各地の遺跡に通う霊脈(レイライン)に縋りつく残留思念みたいなものよ。肉体を失って久しいわね。だから、この姿は実体のようで実体じゃないの。まぁ、幻覚のようなものと思えばいいわ』

 

「なるほどね............何となく理解した。........ってあ!遅くなったけど皆を助けてくれてありがとうナムルス」

 

『別に私がしたかったからしただけよ..............それにどうやら貴方にはアレを対処する術があるようだし』

 

「それでも感謝してるんだ。ありがとうな」

 

『.........ホント貴方は変わらないわね』

 

「?」

 

また意味深なことを言ってると考えているとそれからも会話が続く

 

『それで..........貴方はあの魔人の正体の答え合わせがしたいんじゃないかしら?』

 

「気づいていたのか..............俺ってそんなにばれやすいのかなぁ..........」

 

ルミアと言いなぜこんなにも考えていることがばれるのか不思議でならない。それなりにポーカーフェイスは得意なつもりだというのに不思議だ。

 

『さぁね?それよりも貴方の推測だけど当たっているわよ(・・・・・・・・)

 

「やっぱりそうか...................」

 

『後この先に広めの地下庭園があるわ............やるんでしょ?』

 

「あぁ、でもほんと全部筒抜けみたいだな」

 

『..........正直貴方が戦うことはやめて欲しいと思うわ。でも止めても無駄なのでしょう?』

 

ナムルスは今まで何かに絶望したような、そんな暗い表情のままだったのだが一瞬だけ何かを憂うように見えた気がした

 

「.............誰かがやらなきゃ逃げることもままらないだろ?それにこの中なら俺が一番適任だ」

 

『.................知ってるわよ。そんなこと........貴方なんかよりもずっと..........』

 

(?どういう意味だ............でも今はそれどころじゃないか............)

 

「なんかすまないな。悪いけど彼女たちを頼むな?」

 

『いいわよ。でも彼らの説得は貴方がしなさい』

 

「当然。そこまで面倒は駆けさせないさ」

 

すると歩いていくとその途中で先頭にいる俺が止まる。すると当然後続のグレン先生達も足を止める

 

「?どうしたナハト。急がねぇと追いつかれるぞ?」

 

先程までの会話は距離が少しあってどうやら聞こえていなかったようでグレンはナハトに問いかける。

するとナハトは振り返るとグレンの目をしっかり見て口を開く。

 

「先生.................ルミア達を頼みます」

 

「は?.......................お前まさか!?」

 

グレンはその簡潔な頼みの真意がわからず、一瞬呆けるもすぐにナハトがやろうとすることを察し血相を変える

 

そしてグレンの予想通りの言葉をナハトは続ける

 

「俺が奴を倒します。最悪倒せなくても逃げるだけの十分な時間は稼ぎます」

 

「馬鹿なこと言うな!セリカでさえやられたんだぞ!?いくらお前でもアイツ相手じゃ勝てないぞ!!」

 

「ここで誰かがやらなきゃみんな仲良く死ぬのがオチです。それにその状態のセリカさんを抱えた今の状況で本当に奴から逃げられると.............あるいは迎撃ができるとまさか本気で思ってませんよね?」

 

「ッ........!」

 

ナハトはどこまでも冷静だった。自分でも不思議なくらいに冷静であり、だからこそこのままのペースでいけば確実に追いつかれ、ロクな対抗もできずその時点で終わりなのを否応なく理解してしまう。

 

「別に死ぬつもりは微塵もないです。言葉通り奴を倒す気でいきます。まぁ、倒すのが無理なら限界まで時間稼いでしこたま魔術でもぶつけた隙にでも離脱しますよ」

 

ナハトがそうグレンに伝えるとその後ろから一人駆け寄ってくる

 

「ナハト君...............行かないで..........」

 

ルミアはナハト手をつかんで行かせないと離さない。ルミアも誰かが足止めする必要性は分かっている。だが、それでもナハトにそれを押し付けたくなかった

 

「ルミア..............ごめんな心配かけるけど俺じゃなきゃダメなんだ.........」

 

「やだ............このまま皆で行こうよ.............」

 

ルミアは子供のように駄々をこねナハトを止める

 

「..................................じゃあルミアこれ預かってくれないか?」

 

少し考えこむとナハトはルミアに捕まれていない空いている手で器用に首にかけているネックレスを取り外すとルミアに差し出す

 

「これって.............」

 

「あぁ、ルミアがくれた物。.................大切な宝物だ。だからちゃんとそれを取りに戻るからさ信じて待っててくれないか?」

 

もらって以来ずっと着けていたそれをナハトはルミアに託す。それはまるで自分が戻ってくるための道しるべとでも言うように――

 

するとルミアは少し黙り込むと――

 

「............これからいうこと約束して」

 

「あぁ」

 

「...............死なないで」

 

「あぁ、勿論」

 

(死ぬ気なんて毛頭ないし、こんなとこで死んでたまるものか)

 

「.............大怪我しないで」

 

「うっ、それは...........まぁ、あれだ善処する」

 

(生きて帰るから怪我は..........その........大目に見てもらいたいかな)

 

「............無茶しないで」

 

「あーそれもちょっと状況次第と言いますか..........」

 

(心配かけるの心苦しいけど本当に多めに見てくれませんか?)

 

「.............最後に.........帰ってきたらもう離れないで..........」

 

 

 

「ずっと隣にいて..............ナハト君がいないのは............すごく寂しい」

 

 

(あぁ、きっと俺も――いや...........俺でよければいくらでも.................)

 

「あぁ、わかった約束だ」

 

そしてそう言うとルミアは手を離す

 

それを見てナハトは...............

 

「行ってくるなルミア」

 

 

それに対してルミアは................

 

 

「いってらっしゃいナハト君................頑張ってね!」

 

 

その時のルミアの笑顔は

 

 

 

悲しそうで

 

 

 

辛そうで

 

 

 

 

不安で

 

 

 

 

 

それでも心から信じている

 

 

 

 

 

そんな感情を全部ごちゃ混ぜにした笑顔だった

 

 

 

ナハトはそんなルミアに頭をひとなでする振り返ることなく先に向かっていった

 

 

 

 

------------------------------------------------------------------------------

 

――地下庭園――

 

 

 

グレンたちが先を急ぐさなか

 

 

 

2人の双剣士が相対する

 

『...........たった一人で残るとは潔し..........だが、簡単に勝てると思わないことだ』

 

 

「あぁ、当然だ...........そんなこと言われなくたって分かってる。だけどな..............」

 

 

 

 

一人の少年は廃れた庭園に立つ。

 

相対するは圧倒的霊気(オーラ)を放つ絶対強者である魔人

 

 

 

 

普通に考えれば生存は絶望的

 

 

勝てるわけのない勝負

 

 

 

 

だが少年はそれでも相対する

 

 

 

なぜなら...............

 

 

 

「こっちは沢山の大切な約束を背負ってる。だから..................一切負ける気がしねぇ」

 

 

『そうか.............〝強き〟愚者の子よ...........汝の名はなんだ』

 

 

魔人は名を問う。自身の前に立つ強者の名を

 

 

「ナハトだ.............姓はあるがそんなものどうでもいいだろ?ここにいるのは唯の〝ナハト〟だ」

 

 

『ふふふ、そうか..................ナハト。我に勇ましく挑んだその名を我は一生忘れないだろう』

 

 

魔人は愉快そうに笑みをこぼす

 

 

「アンタに覚えてもらえて光栄だよ........〝《魔煌刃将》アール=カーン〟」

 

 

『我が真名を知っているかナハト..........いいだろう、かかってくるがいい!死力を尽くし、見事我が命最後まで奪い去って見せよ!!』

 

 

「アンタの残りの〝5つの命〟俺が刈り取ってやる!!」

 

そこからもはや会話などいらない................

 

 

 

 

ただ、ひたすらに己と言う〝刃〟を交えるのみ

 

 

 

 

 






今回は長くなりましたが次回丸々一話ナハトvs魔人がやりたいので少し駆け足で進めました。あぁ.....それにしても想定以上に長かった............途中集中切れてて変なこと書いてて読みにくくなってしまったかもしれませんが楽しんでもらえればいいなと思います。あとやってみたかったルミアとナハトの合技も入れてみました。今度放映されるアニメで見れるの楽しみですよね?


今回もここまで読んでくださりありがとうございます!また、いつもブックマーク、コメント、いいねをしてくださりありがとうございます!!


再計:システィーナのヒロイン追加について

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