ロクでなしとチート主人公   作:graphite

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死闘と禁呪

 

 

 

薄暗い地下庭園に甲高い金属音が響く――

 

 

 

「フッ!」

 

『ぬんッ!』

 

 

ナハトと魔人は同時のタイミングで踏み込むと一瞬のうちに刃を五度重ねる

 

(なんて速さだ..........それに重い!)

 

ナハトは紫電一閃で自身の純粋な最速剣技を放ったにもかかわらず、魔人はそれを冷静に対処して見せる。

 

『素晴らしき剣技だ!………その剣技至高の領域に近い』

 

ナハトと魔人は鍔迫り合いになる。お互い押し込もうとするもパワーでは魔人のほうが有利だ

 

ナハトは力勝負では太刀打ちできないと分かると相手のパワーを利用し後ろに飛ぶ

 

そしてそのまま着地した勢いを殺さずすぐに一直線に最短距離を駆け抜ける

 

「ハアァァァ!!!」

 

魔人はナハトがまっすぐ突っ込んでくるのを悠然と構えるとその軌道上に斬撃を重ねる

 

『甘い!』

 

(まだ......引き付けろ限界まで!)

 

ナハトは頭上から振り下ろされる必殺の威力を伴った刃が首に触れるか触れないかと言うとこまで引き付ける

 

 

(ここッ!)

 

 

ナハトは驚異的な集中力と動体視力で擦れ擦れで回避する。

 

数本の髪が刃に引き抜かれるような感覚を感じるも狙い通り魔人とほぼゼロ距離と言えるほどの至近距離まで入り込むことに成功する

 

ナハトがその距離感を狙った理由は自身と相手の獲物のリーチにある。

 

魔人の武器の刀はナハトの干将莫邪に比べ長い。そのためゼロ距離に近い距離ならば干将莫邪での連撃を防ぎにくくなると踏んだのである

 

(成功はしたが死ぬかと思ったぞッ!)

 

ナハトはほぼ密接してる状態で双剣を振るう

 

「シッ!」

 

『....むッ!』

 

斬り上げ、斬り下ろし、突き、袈裟斬りと次々と止まらずに斬撃をつなげながら絶対に距離を取らせまいと死の恐怖を感じながらも果敢に攻める

 

『.........クッ!』

 

魔人も近すぎる距離の中流石の技量で凌いでいくも戦いずらそうな小さな呻きを上げる

 

(もっと............もっと速く!もっと鋭く!)

 

対するナハトはさらに連撃の速度が上がる。ナハトはかつてない程のトランス状態に入っているため本来の技量以上の剣撃を繰り出していく

 

対する魔人も簡単にはナハトの刃を通らせない。間合いはとてもやりにくい状態にあるにかかわらずもナハトの連撃についていく

 

(この間合いでも殺りきれないのかよ......ッ!)

 

ナハトの連撃は速度や鋭さはどんどんギア上げされているのにもかかわらず魔人の凶刃が服を掠めやや引き裂かれる

 

(まだだ..........まだ速くなれる!)

 

ナハトは体を掠める魔人の刃に恐怖を覚えるもそれ以上に剣速を緩めないで上げていく

 

今のナハトの状態はまさに人剣一体。どれほど恐怖を感じようとただ相手を斬り伏せようとする研ぎ澄まされた刃

 

 

だが.................

 

 

「....ぐぁ!?」

 

ナハトは剣による攻撃に集中しすぎたため魔人の蹴りに対応が遅れて間合いから弾き出されてしまう

 

 

(いてぇ..............しかしこれでやれないと〝アレ〟でまず一つ取りに行くしかないか......)

 

ナハトは戦闘開始前に考えていた一つの策をきることにする。

 

『本当に素晴らしい剣技だ...........その若さでその剣技に至るだけにどれほどの研鑽を積んだか想像に難くない...............ナハト......汝に我の最大限の敬意を送ろう.............』

 

「アンタにそう言ってもらえて正直嬉しいと思う............だけどアンタ強すぎだろ」

 

『そうか...........だが、ナハトよこの程度では我が命奪えないと知れ!』

 

そう言った魔人から高速で踏み込み瞬時に剣の間合いに入り込んでくる

 

「チィッ!」

 

ナハトはその高速の踏み込みから放たれる刃を辛くも捌く。だがそれでは当然終わることなく魔人のラッシュが始まる

 

『ぬぉッ!!』

 

魔人は先程のお返し..........あるいは手本だというようにその恐ろしく洗練された剣技でナハトを攻め立てる

 

(ヤバいヤバい!!)

 

ナハトは非常に不味いと思いながら防戦一方となってしまう。

 

捌けど捌けど降り注ぐ刃の雨...........ナハトは兎に角魔人の右手の刀の直撃だけ必死に避けながらさばいていくと左手の刀に対しての対応が必然的に甘くなる

 

(いっ!.........これ以上やられるとマジで直撃しかねない)

 

左の刀が何度かナハトの体を掠めいくらかダメージを負う。ナハトは強引に距離を取ることを選択する

 

「《紅蓮の獅子よ》!」

 

ナハトは自身にもダメージ覚悟のうえで魔人との間合いの中心に向け【ブレイズ・バースト】を放ち爆発の勢いで一気に距離を取る

 

(コホッ...............何とか距離は取れたな........)

 

やや頬と腕が火傷したが何とか距離が取れた以上〝策〟をきれる

 

ナハトは着地と同時に直線的にではなく円を描くように魔人に駆け寄っていく

 

魔人は攻めに出る出なく迎撃を選択したようで双刀を構え油断なくナハトを睨む

 

ナハトは一定の間彼我の距離間を窺うと、急に方向転換し一直線に突っ込んでいく

 

「《雷帝よ――踊り狂え》」

 

ナハトは詠唱を完成させると同時に左の剣を投擲する

 

『いと小賢し!』

 

ナハトは5発の【ライトニング・ピアス】一直線な軌道、大きく曲線を描く軌道のものとバラバラの軌道で襲い掛かるよううに即興改変する。

 

魔人はそんな軌道を描くものを左の刀を指先で器用に回転させ盾のようにし全て打ち消す(バニッシュ)

 

そして遅れて襲い来るナハトの剣を右手の刀で上にはね上げる

 

「《付呪(エンチャント)》・獄炎(ヘルブレイズ)》!」

 

ナハトが右手の剣に獄炎を纏わせただひたすら直線的に突き進む

 

『二度はない!!』

 

魔人はまた愚策にもナハトが懐に入り込んでくると考える

 

そして先程の時よりも恐ろしく速い斬撃がナハトに迫る

 

(よく見ろ...................見極めろ!)

 

 

 

魔人はこの時先程と同じ策と考えていた。

 

さらにナハトが獄炎を纏わせたことで今回は一撃で命を奪いに来ると考えた。

 

だからこそナハトのことを所詮は若さゆえにこの程度かと内心で見切りをつけかけていた。

 

 

 

 

『逝ね!』

 

魔人は自身の凶刃でナハトを真っ二つに引き裂いたと確信した

 

 

だが.............

 

 

   

    〝ガキィーン!!!〟

 

 

魔人の刀はナハトを捉えず、地面に打ち付けられていた(・・・・・・・・・・・・)

 

 

『何ッ!?』

 

完全にとらえたと確信していた

 

だからこそ魔人はここで明確な隙を見せる

 

 

「神千斬り!!」

 

 

すると魔人の頭上(・・)からナハトの声が聞こえると渾身の一撃が魔人を襲う

 

 

 

       〝ズガアァァァンッ!!!!!〟

 

 

 

雷鳴にも似た轟音が響き渡ると魔人は衝撃で吹き飛んでいく

 

 

『ぐっ!!.........何故?我の刀は確実に............』

 

 

今のはナハトの時空間魔術【飛雷神】。かつて読んだ東国の資料に記されていた〝黄色の閃光〟と恐れられた伝説の忍が使っていたとされているものをナハトが自身の魔力特性で時空間法則を自身の都合に合わせ創造・支配することで再現した魔術

 

高速でも神速でもなく本当に一瞬の移動.............まさしく〝閃光〟

 

『もしや瞬間移動の類か..............』

 

(流石は鋭い.........わかっていたが二回目はないな)

 

ナハトは戦い終盤に本来はこの策を使いたかった。これを見せては武器の投擲や不自然な行為は当然警戒されるため二度は使えないからである

 

(アイツに直接マーキングするのも一手だがばれるだろうな..........)

 

ナハトは考えていた策の一つを想定よりも早い段階できらざる負えなくなってしまったことに苦々しく思う

 

『何にせよ見事な一撃だ!..........だが、これならばどうだ!《■■■■・――》』

 

すると魔人はナハト達が最初逃げたときと同じ太陽のような巨大な灼熱の火球を出現させる

 

 

ナハトは懐から〝月のアルカナ〟を取り出す

 

(さて、実戦は初になるがうまくいってくれよ?)

 

アルカナを口にくわえた状態でナハトも術式の読み取りと展開を始める

 

「《第二術式(・・・・)・起動開始》」

 

そう唱えた瞬間ナハトを中心として青い波動のようなものが一瞬放たれる

 

『《――・■■■■》これで終わりだ........血沸き肉踊る素晴らしき戦いだった!逝ね!』

 

 

 

ナハトに目掛け巨大な火球が沈み始める...............

 

 

 

 

 

だが、〝途中で停止する〟

 

 

 

『なッ!?』

 

 

そして次の瞬間、巨大な火球は膨張し弾けると炎の雨の如く庭園内に降り注ぐ

 

 

魔人は想定外の事態に一瞬呆けるとすぐさま左の魔刀で対処し始める

 

 

そして、そこに..................

 

 

「ハアァァァッ!!」

 

 

ナハトは炎の雨を〝受けず〟に降り続ける中一直線に駆けよってくる

 

 

『!?』

 

 

魔人はそのナハトの様子を見て驚愕する。なぜならナハトへと降り注ぐ炎の雨は悉くが軌道を変え〝逸れて〟いくのである

 

魔人は驚愕を禁じ得ないもののすぐに炎の雨とナハトの追撃への対処を始める

 

『ぐ.....ぬッ!』

 

だが、流石の魔人と言えど双方を完璧に対処することは難しく................

 

 

「紫電一閃!!!」

 

 

ナハトは魔人が一瞬............ほんの一瞬見せた隙を逃さず刃を届かせる

 

『ぐぁ............』

 

 

そして刃が届くと丁度炎の雨が降り注ぐのが止まる

 

ナハトは深追いせず仕切りなおすために後ろへ飛び距離を取る

 

 

『今の技は................』

 

 

ナハトが今使ったのは固有魔術(オリジナル)【奇術師の世界・月鏡】。対大導師用に作り出した新しい固有魔術。自身に向けられた物理的干渉を除くあらゆる(・・・・)干渉の支配権を奪い取る魔術。物理的干渉以外なら異能だろうと別の〝何か〟だろうとだろうと理論上は無効化することのできる最強の防御。

 

 

「俺にしかできない裏技だ。要するに俺にはそういうのは無意味ってことだ」

 

この魔術のデメリットは一度使用すると効力は15分で再使用まで5分必要になることと魔力消費がやや大きいことである。幻月よりは消費は少ないとはいえ燃費はそれほど良くない。

 

(これなら奴の魔刀の効果も受けない)

 

15分間に限り魔刀の効果も理論上なら受けないはずだ。なのでわざと右の魔刀を受けその隙にと言う策もありだが..................

 

(まだ奴の命は三つある............消耗は避けるべきか)

 

ここまでで何とか二度奴を殺したがまだ三回殺さなくてはいけない。わざと傷を負って一度殺せてもそれ以降が続かなくなる

 

 

『............剣技と言い愚者の牙と言い見事と言う言葉に尽きる。我相手によくぞ二度命を奪った。我は汝を見くびっていたようだ。その事に対する非礼を深く詫びよう。なればこそ!我も本気で汝..............ナハトの命奪いに参ろう!!』

 

 

魔人の霊気(オーラ)がまた一層高まる

 

まさしくその山のような圧力にナハトは額に冷や汗を流す。

 

(マジでこれはキツイな..........だけど.......)

 

 

『.............最後に.........帰ってきたらもう離れないで..........』

 

 

『ずっと隣にいて..............ナハト君がいないのは............すごく寂しい』

 

 

ルミアを守ると...........隣にいると約束した

 

――だから!

 

「上等だ!......俺が勝つ!!!」

 

 

------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

剣を交えてどれほどの時が立っただろうか

 

 

 

数分かはたまた数時間か..................

 

 

 

わからない

 

 

 

 

だが............

 

 

「ゼリャアアァァァァァァッ!!!!!!!」

 

 

ナハトは大きな雄叫びを上げながら魔人に対して双剣を振るう

 

『................』

 

必死な形相で斬りかかるナハトに対し魔人はどこまで冷静で焦りを見せずにさばききる

 

(焦るな!!考えろ!見ろ!)

 

ナハトは疲労一杯になりながらも必死に食らいつき続ける

 

ナハトは二度魔人の命を奪うまでは順調だった。確かに早々に策は切らされたもののそれでも互角に戦えていた

 

 

だが、魔人の霊気(オーラ)が高まった後から攻めても防がれ、攻められれば何度も攻撃が体を掠める

 

魔術や持ちうる技術で対処していくも集中力も体力も魔力も限界に近かった

 

 

そしてついに............

 

 

「ハアァァァァッ!!」

 

『甘い!』

 

ナハトが斬りかかると躱されそしてついにもろに左の魔刀の刃がナハトの腹を捉える

 

「!?ガハッ!!」

 

勢いのままナハトは吹き飛ばされ止まると夥しい程の血を流し膝をつく

 

(痛ッ!!!焼けるようだ!!!)

 

「はぁーーーーはぁーーーー..........ゴフッ」

 

ナハトは血を吐きながらも魔人を睨み続ける

 

『........致命傷だ。もしあと数年汝にあれば我と同等かそれ以上となっていただろう........』

 

魔人はゆっくりと歩み寄ってくる

 

その足音はまるで死が迫る音そのものの様だった

 

(クソッ!............ここまで........か)

 

血がとめどなく流れる中

 

 

詰みなのだと..................ナハトは己の命を諦めかけていた

 

 

 

 

そして、死が迫っているせいかどんどん思考の海に沈んでいく...........

 

 

 

 

悔しくて仕方ない

 

                

 

 

申し訳なくて仕方ない

 

 

              

 

 

 

 

 

でも、仕方ないのかもしれない

 

 

 

俺は人だ

 

 

どうやっても人の枠は超えられないんだ

 

 

〝諦めるのか?〟

 

 

(致命傷を負い、疲労も大きい.......)

 

 

〝絶望的と言うわけか?〟

 

 

(そうだ絶望的だ.......)

 

 

〝だからなんだ?〟

 

 

(だからって........そう言われても......もう.........)

 

 

〝お前にとって『約束』と言うのはその程度なのか?〟

 

 

(守りたい.........絶対にそれだけは守りたい.........だが――)

 

 

〝だが、なんだ?大切なら足掻け、藻搔け、何が何でも守り抜け!〟

 

 

(....................)

 

 

〝今までの(お前)はどうしてきた?その『約束』のために必死でやってきたのではないのか?〟

 

 

〝ただひたすら愚直に突き進んだのではないか?ならまだ立てる〟

 

 

〝立って、前を向け!剣を握り、歯を食い縛り、醜くても抗え!〟

 

 

(お前)はまだ戦える〟

 

 

 

 

そうだ.................諦めるなよ俺

 

 

 

倒すといったのは俺だ

 

 

 

帰るといったのは俺だ

 

 

 

隣にいるといったのは俺だ

 

 

 

 

まだ〝最後の切り札〟があるじゃないか

 

 

 

 

 

 

諦めない

 

 

 

 

 

 

 

 

すると世界が変わる

 

 

 

世界が変わると目に入ったのは魔人だ

 

 

 

 

目の前には右手の剣を高らかに構える魔人がいる

 

 

 

『さらばナハトよ...............我の一生において最高と言うべき戦いだった』

 

 

振り下ろされる魔刀。魔人はもうナハトがあきらめていると思い込んでいた。

 

 

 

だが............

 

 

    〝ギャリイィーン!!!〟

 

 

クロスにして構えた双剣でしっかりと受け止めるナハトがいた

 

 

 

そして.................

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

傷口が痛むのも構わずに大きな声を上げながら力一杯振り絞り魔人の刀を弾く

 

 

魔人は勢いのまま後ろに後退する

 

 

『............往生際が悪し!晩節を汚すな、ナハトよ!』

 

 

魔人は怒気を含めてそう言い放つ

 

 

「悪いな..........やっぱそんな簡単に死ねないんだよ俺」

 

『その傷でどうなるというのだ?』

 

そう、ナハトの腹からはおぞましい程の血の量がとめどなく流れ出ているのだ。どう考えてもこのままでは長くは持たない

 

だが..................

 

「...........1分だ」

 

『何?』

 

「お前を俺が倒すまでの時間だ。1分でケリをつけると言っている」

 

『!.................ッッ!?』

 

 

魔人は最初自信を舐めているのかと怒りを感じた。

だが、それは一瞬。ナハトから発せられる謎の圧に気圧される

 

 

そしてナハトはそれに構わず自身の〝最後の切り札〟

 

 

 

固有魔術(禁呪)〟の詠唱に入る

 

 

「《黒々たる煉獄の焔よ・――》」

 

 

ナハトの周囲に黒炎がうねりを上げて力強く巻き上がる

 

 

「《猛々しき千の雷よ・――》」

 

 

ナハトの周囲をさらに白雷が激しく弾ける音をたてて巻き上がる

 

 

「《我が身獄炎で焼き焦がし・――》」

 

 

「《我が身雷鳴の如く疾く激しく・――》」

 

 

獄炎と白雷はそのままナハトを包み込む

 

 

「《我が敵を薙ぎ払う・黒き閃光となり給え》!!」

 

 

獄炎と白雷は中心に吸収されるように圧縮する。そして――

 

 

 

獄炎と白雷が晴れるとそこには

 

 

 

 

体を黒く輝かせ、獄炎と黒い雷を迸らせるナハトがいた

 

 

 

『............それが切り札か………』

 

 

ナハトの〝最後の切り札〟にして〝禁呪〟である固有魔術(オリジナル)【黒天大壮】。人にかかっているあらゆる制限を意図的に外し、獄炎と雷の力で肉体を本当の意味で限界まで活性化させる技。雷速と炎の破壊力を兼ね備えた究極の奥義。

 

 

そして禁呪足らしめる理由は単純明快。尋常じゃないほどに体に負担がかかるからである。使用中は常に激しい痛みが体を蝕み、たとえナハトが万全の状態でもたったの三分弱しか使えない。それ以上使えば二度と動けない体になるか最悪死に至るほどに危険な魔術。

 

 

そして今回は疲労の大きさや傷の具合といい消耗の具合からして1分持てばいいところ

 

 

『来い!すべてを出し切るがいい!!』

 

その瞬間、ナハトの体がぶれたように消える

 

 

 

 

そして..............

 

 

『ガァッ!?』

 

 

魔人はナハトの動きを〝運良く〟反応できた。

 

何とか刀で受け止めることにに成功する

 

だが、凄まじい速さと強化されたパワーはまるで巨人の一撃のようで魔人は弾丸の如く吹き飛ばされる

 

 

そして黒い閃光は一瞬にしてその吹き飛んでいく魔人の後ろを取る

 

 

今回、魔人はナハトの動きを〝追えなかった〟

 

ナハトは弾丸の如く吹き飛んできた魔人の背中を取ると背中に剣を叩き込み、深々と切り裂く

 

『ぐぁ..........がぁッ!』

 

攻撃を受けて始めて魔人はナハトが後ろを取ったということを理解した

 

 

魔人の命はこれで残り2つ

 

深々とした一撃のため勢いで逆側に飛ばされるも何とか魔人は踏みとどまる

 

だがすぐに黒い閃光や休まずに襲い来る

 

『ぬッ!?』

 

少しだけ目の慣れた魔人は辛くもナハトの攻撃を防ぐ

 

だが序盤までのナハトとは一撃の重さが違うため受けるごとに体が後ろへと押し込まれていく

 

そしてすぐさままた黒い閃光は駆ける

 

一閃

 

魔人は押し込まれる

 

二閃

 

魔人は弾き飛ばされかけるもギリギリ踏みとどまる

 

三閃

 

遂に体が宙に浮く

 

『ガァ.....ッ!(拙い!)』

 

三閃目にして遂に魔人の体が耐え切れずに浮いてしまう

 

そしてそこからナハトは蹴り上げ魔人をさらに空中へと上げる

 

だが、ナハトの動きが一瞬止まる

 

(ぐぁっ!?体がッ!........だが!!)

 

痛みに悲鳴を上げるのを無視してナハト地面を蹴り上げると黒木流星の如く追撃に入る

 

魔人は宙に浮いた状態でナハトの攻撃を迎撃に入る

 

『ぬぁ....!』

 

だが、足場がなくなったため魔人は斬撃の威力を削ることが上手くままならない

 

その上この時点において速さとパワーもナハトが上回る

 

ナハトはこの庭園のすべてを足場にして空中に浮いた魔人に対して流星群の如く斬撃を浴びせ続ける

 

 

(一気に押し切る!)

 

 

この勝負で勝敗を分けるのはお互いの我慢強さである

 

魔人は強力な一撃一撃をどうにかと言ったようだがさすがの腕前で凌ぎ続ける

だが衝撃がすさまじいために腕と刀にかかる負担から何度も受け続けることは不可能だ

 

 

そしてナハトは残り時間がある

どれだけ速く重く鋭い一撃を叩き込もうと抗いようのない制限時間がある

だからこそ焦りとの戦いになる。焦せらずにただひたすらに獰猛に命を狙い続ける

 

 

残り15秒

 

 

(まだだ!.............まだ、上がる!)

 

 

痛む体に鞭を打ち続けさらにナハトは急加速する

 

 

 

残り10秒

 

 

(焦るな...........もっとだ...........もっと上げろ!)

 

 

ナハトは腹にできた傷だけじゃなく、目や鼻や口はたまた爪の内側から、血を滴らせながらもさらにギアを上げる

 

 

 

残り5秒

 

遂に魔人の防御を崩し魔人を地面に叩きつける

 

 

残り4秒

 

魔人はバウンドし少し滑ると膝をついて止まる

 

 

残り3秒

 

ナハトはすべてを出し切るように地面を蹴る

 

 

残り2秒

 

ナハトの刃が魔人を深々と切り裂く

 

残り魔人の命は1つ

 

 

 

 

残り1秒

 

 

ナハトはもはやボロボロとなった体で最後の一撃を振り上げる

 

 

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

この死闘の勝者は..........................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁーーーーはぁーーーー我の勝ちだ』

 

 

 

肩で呼吸する魔人アール=カーンだった

 

 

 

ナハトは最後の一撃を叩き込もうとすると同時にとうとう時間切れとなり一気に力が体から抜けうつぶせに倒れこんだ

 

 

「ガハッ!ガハッ!.......ゴフッ!!」

 

 

ナハトは勢いよく吐血していた。

 

既に倒れこんだ所は血の海のようになっておりナハトは文字通り虫の息と言った感じで倒れこんでいた

 

 

(意識がもう.........俺は負けた...........のか?)

 

 

ナハトは出血が多すぎて意識が薄れてきていた。実際に戦っている最中も目が眩んでおり、ただの本能で喰らいついていたのだ

 

 

 

『はぁーーーーはぁーーーー我をここまで追いやったのは........汝で3人目(・・・)だ......ナハトよ..........此度の戦いは.............至高の戦いと間違いなく言える.........ここで殺すというのが本当に惜しい.......』

 

 

魔人も息が途切れ途切れとなった状態でナハトを称賛する

 

 

もし、ナハトにあと数秒あれば結果はまた違ったものだったかもしれない

 

 

 

『だが、我は門番...............故に!汝を排除する!さらばだナハトよ!我ができる最大限の敬意を汝に送ろう!』

 

 

魔人はそう言って刀を高らかと掲げる

 

 

 

(こうなったら..........最後の悪足搔きを........)

 

 

ナハトはすでに領域指定は済ませておいた眷属秘術(シークレット)の起動を試みる

 

 

ナハトは自身の魂を燃やす眷属秘術(シークレット)大終炎(フィーニス)】の起動に入ろうとしていた

 

 

魔術じゃ殺しきれない可能性のほうが高い

 

 

 

だがそれでもせめて................

 

 

約束が果たせなくても

 

 

 

 

〝彼女〟だけは守りたい

 

 

 

 

その瞬間――

 

 

 

 

 

「《猛き雷帝よ・極光の閃槍以って・刺し穿て》ッ!《穿て(ツヴァイ)》ッ!《穿て(ドライ)》ッ!」

 

 

紫電の輝きが薄暗い空間を駆け抜けナハトと魔人の間に突き刺さる

 

すると2つの人影がナハトの前に立つ

 

 

「おいてめぇ.......俺の生徒に手ぇ出しやがって覚悟できてんだろうな?」

 

 

一人は拳を合わせて気合を入れる青年

 

もう一人は美しい真銀(ミスリル)の剣を握る小柄の少女

 

 

 

そして............

 

「ナハト!?大変!ルミアはやく!!」

 

美しい銀の髪をなびかせる少女

 

「ナハト君!?酷い...........すぐに治療しないと!」

 

金髪の心から守りたいと思った少女

 

 

 

そう、この場に現れたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで............来ちゃいますかね.......グレン先生、リィエル..........システィーナ..........」

 

 

 

 

そして..................

 

 

 

 

「............ルミア..............」

 

 

 

 

ナハトの壮絶な死闘の行く末は4人に託されるのであった

 

 

 

 

 





今回はここまでです!いやぁ~書ききりました。今回は特に書きたかった話と言うのもあり大変でしたが楽しくもありました。さて今回使った月鏡もかなりのチートなうえ飛雷神といいチート三昧でしたね。そして禁呪【黒天大壮】これはUQホルダーの雷天大壮をアレンジしたものです。雷天大壮って響きからしてカッコいいし使った時の姿もカッコいいしで好きなんですよね~今回それを書いたのですが高速戦闘と言うのは書きにくくて大変でちゃちになってしまいました。


後予告していたクリスマス関連の話はこの遺跡調査編の後にしようと思います


今回もここまで読んでくださりありがとうございました!また、お気に入り登録、コメント、評価をしてくださりりありがとうございます!







再計:システィーナのヒロイン追加について

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