「なんで............来ちゃいますかね.......グレン先生、リィエル..........システィーナ.............ルミア..............」
ナハトは魔術の反動と血を流し過ぎたことにより意識が朦朧としていた。それでも今ここに来た4人のことがわからないわけがなかった
「ばーか。生徒を見捨てる教師がいるかよ」
「ん。ナハトを助けに来た」
「言ったでしょう?私があなたの背中を守るって」
グレン先生、リィエル、システィーナがうつぶせで倒れこんでいる俺にそう言葉をかける
そして..............
「無茶しないでって言った.............こんなにボロボロになるまで............バカ.........」
血だらけになっている俺の手をためらいなく握りながら涙ながらにそう言うルミア
「あはは......ごめんな?ルミアの隣に............何が何でも戻りたくて..........な」
「もう、そんなこと言われたらうれしくて怒れないよ............」
俺たちがそうやって話していると...............
『さて、別れの挨拶は済んだか愚者の子らよ』
魔人は律義にも待っていたようで俺たちに声を掛ける
「悪いな
グレンは魔人の名を................お伽話に出てくる強敵の名を口に出す
(気づいたのか............だからここに...........)
グレンたちが戻ってこれたのは相手のことを理解した。つまりは策があるからこそということもあるのだろうとナハトは推測した
『..........』
「お前は不死なんかじゃねぇ、最初にナハトが殺したことで今のアンタの残り命は5つだろ?もしくはもっと少ねぇか?」
(反応を見せてくれ...........奴がアール=カーンだという証拠を!)
グレンにとってこれははったりだ。何一つ確証はなくただ相手の握る魔刀と不自然な不死性から導き出した答えだ
だがここで答えを知る者が一人いる
「先生.............奴の残り命は.....1つです」
ナハトである。ナハトは魔人がアール=カーンだと本人に確認を取っている
「...............は?」
「アイツを.............さっきまでに4度殺しました............」
『如何にも!我こそはアール=カーン。我はナハトに五度殺された.............更に言えばもしナハトにあと数秒あれば我は完全に殺されていただろう』
そう言う魔人を前にグレンはちらりとボロボロとなっているナハトを見る
(こいつ単騎でアイツを五回も殺したってのか?てか倒しきりかけたとか..........もう既にセリカに届きつ足るだろこいつ............)
グレンはナハトの底知れなさに戦慄するもそれ以上の収穫を感じた
(なんにせよこれで奴がアール=カーンと言うことがわかった...........それに残り命1つこれなら可能性はある)
「白猫、ルミア!ナハトを連れて下がれ。白猫はその後作戦通り援護を、ルミアはナハトをできるだけ回復してやれ」
グレンが二人に指示を出すと二人はナハトの体を支えて庭園のテラスのほうへ連れて下がっていく
そしてグレンは二人がナハトを連れて位置がついたのを確認すると拳を構える
リィエルも普段の錬金術による剣ではなく
「さて待たせたな..........行くぜ!お前を俺たちがぶっ倒してやる!!」
「ん!」
グレンは右から、リィエルは左から駆け出す
『来い!!愚者の子らよ!』
ナハトから引き継いだグレンたちの最後の戦いが今始まる
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『グっ!』
「はっ!忌々しそうだな、やりにくそうだな!おい!」
戦いが始まるとグレンは右の魔刀を、リィエルが左の魔刀を相手取るような立ち位置で攻め立てる
これがグレンたちが考えてきた魔人と事を構えるうえでの最低条件である
アール=カーンにはとある逸話がある。それは、アール=カーンの強力な魔刀は『夜天の乙女』から授かったとされており、右手の魔刀
グレンの拳は事前にルミアの異能のブーストと魔術により強化済みだ。だがこの強化された拳は左の魔刀に少しでも触れれば一瞬で無効化されてしまう。そして、リィエルも右の魔刀を相手するには手数が少し足らず、少しでくらえばそれでおしまいだ
だからこそ、二つの拳を持って手数の多いグレンが傷さえ追わなければ問題ない右の魔刀を相手取り、触れれば魔力が消される左の魔刀を普段の錬金術による剣でなくセリカから借り受けた剣で斬りかかる
「オラオラ!持ち替えて見やがれ!」
『............』
持ち替えてしまえば一瞬で終わらせることのできる攻防。だが、魔人は持ち替えないうえ苛立も感じさせることから逸話は本当だと確信する
だがそれでもまだ魔人から明確な隙を奪うことには至らない。やり難い筈のこの状況下でも当然のごとく捌かれていく
そして...........
「ガァッ!?」
「あぐっ!?」
魔人は冷静にグレンに蹴りを、リィエルを刀の柄でリィエルを殴りつけた。二人の追撃の一瞬ともいえない隙に2人を間合いの外にはじき出す
2人には白魔【ボディ・アップ】により体を頑丈にして物理体制を上げたにもかかわらずそれを貫通するほどの攻撃力。それにより痛みにうずくまる二人に向け魔人は追撃しようとする
だが、そこに.................
「《猛き雷帝よ・極光の閃槍以って・刺し穿て》!《
システィーナによる魔術によって魔人は足を止める
『いと小賢し!』
三条の閃光は頭上から降り注ぎ、初撃を躱された後はすべて魔人の左の魔刀により悉く打ち消される
システィーナはテラスの位置に陣取り援護に徹するために【ボディ・アップ】の設定を筋力や体力の上昇は切り捨て、動体視力や反射神経を高めていた
そして、システィーナが作ったその隙に...............
「先生、リィエル《慈愛の天使よ・遠き彼の地に・汝の威光を》!」
白魔【ライフ・ウェイブ】、遠距離に治癒魔術を飛ばす高等
「悪い、助かった!!!」
「ん。行ける」
二人は再び立ち上がり二人の電光石火の如く連続攻撃で魔人を攻め立てる
だが.................
魔人は余裕の雰囲気のままだった。残り1つの命だというのにもかかわらず焦りは一切なくただ冷静にグレンたちの攻撃をいなし続ける
『ふむ...........愚者共も中々やる.........だが!』
『この程度ではまだ足りぬ!!!』
そう言うと魔人は双刀を大きく横薙ぎするとすさまじいい衝撃波が発生しグレンとリィエルはたまらず吹き飛ばされる
「うそ...........だろ?」
「いたい.............」
吹き飛ばされた二人は庭園の壁に打ち付けられ苦悶と驚愕の表情を浮かべる
たった一振りでいとも簡単に戦況が覆される
『汝等も確かにやる...........だが、ナハトほどではない』
魔人は元来、戦いを楽しむ質である。だが、先程のナハトとの戦闘により目の前のグレンたちに対しても一切の油断をしない
そして何より魔人の残り命は〝1つ〟であることにある
(そうか...........こいつは追い込まれてから強いんだったな......クソッ!)
ナハトが下手に残り1つまで追い込んだことがアダとなってしまっているのだ
だが、グレンは引けない。生徒の命がかかっているからだ
(上等だ..............意地でも喰らいついてやる!!)
痛みを感じながらよろよろと立ち上がるグレン。そして、リィエルも自分の守りたいもののために立ち上がる
『..........まだ立つか』
「あぁ.............やってやんよこんクソ魔人が!」
グレンは決意を込めた視線を魔人に送る
だが、その戦闘の行く末は.................................
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「ここはどこだ?」
ナハトが立っているのは銀色に輝くの大きな月と数多の星浮かぶ夜空の下だった
そして何より不思議なのは足元だ。海のように水面の様なのにもかかわらず沈まないし、その上足元も夜空と同じような星屑で溢れそうになっている
「さっきまで朦朧とする中で先生たちの戦闘を............」
ナハトはルミアから応急処置を受けた後、セリカの隣で横にされていた。そんな中ずっと下で行われている戦闘に気をかけていたというのにどうしてこんな変なとこに自分はと不思議で仕方なかった
『ここは
「へ?」
振り返るとそこにはの自身と背丈は同じくらいで夜空と同じ濃紺のロングコートを身に纏い顔を仮面で隠した燃える炎のように赤い髪の少年がいた
『こうして直接会うのは初めてだな』
「?会ったことはないけど関わりがあるみたいな言い方だな」
変な言い回しに疑問に思うナハトが少年に問いかける
『〝声〟は聞こえてただろ?』
「もしかしてあの声か?」
『あぁ、そうだ』
「だが一体どうして俺がここに?」
『
「それが何故..............いやそんなことよりも先生たちは?」
そうだ、〝鍵〟やこの変な世界にいることは気になるがそれよりも先生たち............ルミア達のことが重要だ
『まだ戦闘中だが...........あまり戦況はよくないな』
「なッ!?なら早く俺を..............」
その言葉にあわてたナハトはすぐに自分を戻すようにと声を上げようとするだが............
『怪我人が戻ってどうなる?もうロクに体も動かせないんだろ?』
そう、ナハトの体は酷い状況だ。いくら応急処置を受けたとはいえ、腹は大きく裂かれ、体中は無数の切り傷を刻まれ挙句の果てには魔術の反動で体中のいたるところにガタが来ている。これ以上動けば体のどこかに障害が残るかもしれない
だが................
「それでも...............それでもッ!俺は戦う!奴を倒すといったのは俺だ!なら最後まで................」
ナハトが少年に決意を表明しようとする。だがその少年は................
『ぷっ.................あはははははははは』
突如目の前の少年は腹を抱えて笑い出した
『いや~煽れば俺も戦うと言い出すとは思っていたが..........ホント
「は?」
いきなり煽ってきた挙句馬鹿呼ばわりされて苛立つナハト
『
そこで目の前の少年は一度区切ると真剣な雰囲気でこちらを見る
『力を貸してやるためだ。と言っても雀の涙ほどのことくらいしかできないけどな』
「力を?」
『あぁ、あのままじゃ十中八九皆死ぬ。だから
「いや戦うといったはいいがもうあれは流石に使えないぞ?」
そう戦うのはいいがこんな状態の今では【黒天大壮】の発動すらロクにできない。そんな状態で大技などもってのほかだ
『だから力貸すって言っただろ?
「.................時間は?」
『回復もしてやるから悪いが五秒だ...........だが、大技のタメには足りるだろ?』
【黒天大壮】での大技は最高火力である【
「足りるだろってかなりギリギリじゃん」
『仕方ないだろ?文句言うな...........で、作戦だが
「待ってくれ!セリカさんは今の状況じゃ魔術は...............」
『慌てるな.........向こうには向こうで...........いや、なんでもない。兎に角心配はいらないから信じろ』
「.............はぁ~あって初めての奴信じろとか滅茶苦茶だな」
『何言ってんだ
「うぅ..........ってなんでお前がそれを?」
『あぁ~それはそうだな.............ってそれよりいだろ別に。やるのかこの作戦?』
「はぁ~わかった..............どっちにせよそれしかないんだろ?」
あからさまに話をそらそうとする目の前のやつに呆れるも今はそんなことよりもと切り替える
『了解。術の発動は俺がしてやるからお前はただ技を確実に当てることだけ考えろ、いいな?』
「わかった。頼むぞ...............ってそういやお前の名前はなんだよ?」
そう言えばまだ名前を聞いていなかった
『名前か..........そうだな今は〝夜〟とでも名乗っておくかな』
「今はって...........まぁ、いい頼んだぞ〝夜〟」
『あぁ、任せとけ。ちゃんとやれよ?
そう言うと月と星々が眩い光を放つ
そして世界からナハトは去っていた
『さて、いるんだろナムルス?』
少年がそう言うと一人の少女が姿を現す
『貴方ねぇ......彼に無茶させ過ぎじゃないかしら?』
呆れたようにそう言うナムルス。それに少年は笑いながら答える
『そう言うなよ。そうでもしないと危ないだろ?それに
『はぁ~本当に〝貴方〟と言う人は馬鹿ね』
2人の少年少女は星空の下これからの戦いの行く末に想い馳せるのであった.................
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(ここは元の場所か..........)
ナハトが意識を取り戻すと元の世界だと理解する
(体が少し楽だな.............これなら何とかなる)
そしてナハトは体を起こすと眼下の景色が目に入る。そこでは................
「がっ!?」
「あぅッ!?」
グレンとリィエルがボロボロの状態で吹き飛ばされていた
そして..................
「はぁーーーーはぁーーーー」
「こほっ、ごほっ!..............な、何なのよアイツ!?」
システィーナとルミアは傷こそないがマナ欠乏症なりかけの状態で顔色も悪く息を荒げていた
『よくここまで持ちこたえたな愚者の民よ..............それに敬意を表し、痛み亡き死を汝らに!』
魔人は.............アール=カーンはそう言うとあの巨大な火球の魔術の詠唱に入る
(皆!?..............落ち着け.......〝夜〟が言う通り俺は隙を待て)
ナハトはすぐにでも割って入ろうとするがすぐに冷静さを取り戻す
そしてそのナハトは静かに腰を据え構え大技の準備に入る
(〝夜〟頼むぞッ!)
ナハトがそう念じると突如ひとりでに獄炎と白雷があたりに巻き上がりつつあった
そしてそれを確認したナハトはちらりとセリカのほうを確認するとセリカが〝懐中時計〟を片手に立ち上がろうとしていることがわかる
(まさかあの魔術を?)
ナハトはセリカが使おうとしている大魔術について察する。
するとセリカもナハトに気づいたようでこちらを見る。するとセリカはいつものようにニカッと笑みを浮かべると相手を見据える
そしてそんなセリカ少し物思いにふける
(〝後悔する〟か......................)
それはナムルスがセリカに投げかけた言葉だった
『貴方が今その術を使ったらどうなるかわかるでしょ!?今は逃げて!幸い貴方のすぐ後ろには階段につながる通路があるわ。残り少ない私の力を使えばあなた一人ならどうにか............』
『貴方には、何よりも大切な使命があるでしょう?魔術なしで一体どうするのよ!?』
セリカは先程までの不思議な出来事を思い出す
不思議な場所で息子の生徒に似た別の誰かから必死にそう説得されていた
とても必死にそう言われた
彼女の言う通り今からする魔術を使えばきっと魔術師として取り返しのつかないことになるだろう
だが、その説得を聞かずとも自分がとる行動など最初から決まっていた
それは当然..............
(後悔はするだろう............でも私にとっての一番はグレンだ!!)
グレンを助けること................それは、使命だとか魔術だとかなんかよりも大切なこと
セリカにとって家族が...........グレンが大切なのだ
セリカにとってそれだけは何があってもは絶対に揺るがない
そしてセリカはついに起動させる
「
セリカは『ラ=ティリカの時計』のスイッチを押す
カチッ!!
音が鳴る.............そして世界が止まる
今いる世界は色を失い、それに応じて魔人もグレンたちも色を失う。
全てが色褪せ静止するモノクロの世界を作り上げるこの固有魔術こそセリカを第七階梯に押し上げた究極の秘術
固有魔術【私の世界】................時間停止魔術だった
だが、ここで一人だけ........〝セリカ以外〟で一人だけ色を失わずにいるものがいる
(これが時間停止魔術.............って夜は俺の固有魔術まで使用してんのか)
そうナハトである。夜が事前にナハトに【奇術師の世界・月鏡】を施し、時間停止の干渉を無効化していたためナハトは動くことができる
(それより俺の出番か.............)
そう考えた瞬間先程から巻き上がっていた獄炎と白雷はナハトを中心として収縮されいく
そしてついにナハトの体は【黒天大壮】発動により黒く輝く姿になる
(さっきまでと違って体が痛くない..........反動の帳消しはマジだったのか)
ナハトは反動がないことに少しだけ驚く。だが、すぐにそれを振り払う
そしてナハトは左の剣を肩に抱えるようにし右の剣を左の脇腹に添えるように構える
すると同時にナハトの体がより激しく輝き獄炎と黒雷が吹き荒れる
まるで今のナハトの周囲のそれは春に舞う桜吹雪のようでいて、夜空に流れる流星群にも似たものを感じさせる
ナハトは少しの間そのまま停止する。
獄炎と白雷が一層激しさを増したその瞬間――
「獄天・夜桜!!!」
〝ズガガガアアァァァァァァン!!!!!!!〟
ナハトが技名を叫ぶと同時に耳を劈くほどの轟音が響く
そして技を放った本人である黒き閃光は魔人の後ろで剣を振り切った状態になっていた
そしてセリカの術が解けると..............................
「は?」
グレンは自分目を疑う光景が眼前に広がっていた
それは...............
『何ッ!?』
魔人の体は心臓の位置から下が急に綺麗に抉り取られたようになり、肩から上しか残っていなかった。そして魔人の足元に転がる二振りの魔刀も切っ先を残してすべて綺麗になくなっていた
また、意識が切れたためか魔人が発動させようとしていた魔術は停止し魔力が霧散した
ドサッ!
そして驚愕に支配される中、魔人の後ろで何かが倒れる音が聞こえる
「ゴホッ..........はぁーーはぁーー」
ナハトだった。ナハトは力尽きたように双剣を手放し、仰向けに倒れこんでいた
「は?ナハトがこれをやった........のか?」
グレンは眼前に突如として現れ倒れたナハト見て今の現象はナハトが引き起こしたのだと考えるが、どういいうことかわからないでいた。
今の技はナハトの【黒天大壮】使用時にできる大技【獄天・夜桜】。【
『よもや6度もナハトに奪われることになるとは..............』
だが、ナハトが何故この技を先程に使わなかったか。それはタメがいるの事もあるがそれ以上に一度使うだけでもかなりの消耗をするためだ。今だけ【黒天大壮】の反動は夜のおかげで帳消しにされているからこそ放てる大技。もし夜の力なしならば、体にかかる多大な負担でナハトはその場で死んでいただろう。
『この身は、
魔人の体はもはや頭を残して一部しかなく、そしてその体もまるで消滅するように黒い靄が少しずつ湧き出ていた
『最後に
すると、黒い靄が出る量が増大し本当に消えるといったところで魔人はナハトに言葉を贈る
『ナハトよ、汝との戦いとても楽しく有意義であった!いずれまた剣を交えよう!尊き《門》の向こうにて我は待っている!では、さらば!』
そして魔人は最後にそう言い残すと消えていった
「勝った............のか?」
グレンがそう呟くと..............
「ゴホッゴホッ!..............えぇ、そう.........みたいですよ」
仰向けになっているナハトがそう返した
「それよりも先生。セリカさんのほうに行ってあげてください................セリカさんは相当無茶してますから」
「お前も同じようなもんだろうが................まぁ、わかったよ」
こうして漸くこの壮大な死闘が終結したのであった
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それからはグレンは満身創痍のセリカを抱え歩き始める
そして同じく満身創痍のナハトはと言うと................
「ねぇ、リィエル?」
「何?ナハト」
「その男として...........女子におんぶされるのは結構来るものが............」
そうリィエルにおんぶされているのだが、さすがにこれは精神的に来るものがある
「?よくわからないけど心配しないで。ナハトは私が運ぶ」
(君が俺よりも素の筋力あるから心配はしてないけどそれとは別に心がね..........)
「...........なぁ、システィーナ【ゲイル・ブロウ】で吹き飛ばして運んでもらっても?」
ナハトは自分でも馬鹿なこと言っている自覚はあるがそれでも頼んでいた
「何言ってるのよ..............大人しく悶えながら運ばれるといいわ」
その言葉通りナハトはクラスメイトと合流するまでそうやってリィエルにおぶられて運ばれることになった
しばらくして野営地に帰ってくるとみんなは笑顔で迎えてくれた。その上すでに帰りの支度を済ませていたようでそのまま俺達はフェジテに帰ることができた
そして帰りの馬車の中で遺跡内では簡単な応急処置しかできていなかったうえ、その後動いたせいで再び開いた傷口もあり横に寝た状態でルミアに治療を受けていた
「..............ごめんルミア。俺凄い心配かけたよな」
するとルミアは涙をこぼし始めた
「本当だよ..............すごく怖かった。ナハト君が戦いに行ったのも..............ナハト君が大怪我で倒れているのも..............本当に怖くて仕方なかったんだよ..........グスッ」
そう泣きながらルミアは包帯で巻かれている右手をやさしく握る。
「もし..............もし.............ナハト君が死んじゃったらと思うと本当に怖くて..............信じていても.............ナハト君が血だらけなの見て................本当に...............」
「ルミア..................本当にごめん。でも、俺はここにいるからさ。ちゃんとルミアのそばにいるから」
ナハトは左手をルミアの目元にぎこちなく持ち上げると優しくルミアの涙をぬぐう
「グスッ...........うん............ナハト君がいるの安心する............だからもう私から離れないで............私ナハト君がいないとダメなの」
「あぁ、わかったちゃんとそばで俺が君を守る.............俺もルミアがいないと嫌だから」
あの時、初めてナハトとルミアが出会い約束したあの日からそれは変わらない
ルミアにとってもナハトにとってもお互いが光であり希望なのだ
共依存ともその両者の関係は取れるかもしれない
だが、きっとそんな簡単な言葉では表せないし違うと思う
何故なら二人はこんなにもお互いを大切に〝想っている〟のだから
これにて遺跡探索編は終了です。次回は終わってしまったクリスマスに関連する短編を予定しています。年末年始は実家に帰るのでどれくらいかけるかわかりませんがとりあえず年内にはクリスマス関連の短編は出したいと思います
また、今回もここまで読んでくださりありがとうございます!そしていつもブックマーク、コメント、いいねをしてくださりありがとうございます!
再計:システィーナのヒロイン追加について
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