ロクでなしとチート主人公   作:graphite

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バレンタイン当日..........だが、やはり彼らは鈍感だ

 

 

バレンタイン当日

 

今日も今日とてナハトはルミア達と学院へ向かう

 

「けっ!町中が甘い雰囲気になりやがって.............」

 

そう愚痴をこぼしたのはグレン先生だった。グレン先生の言う通り確かに今日はいつもより男女カップルが多くいるうえちょっとした露店でもチョコが売られている

 

「みっともないですよ先生。貴方は学院の講師としての自覚を.............」

 

そんな様子にシスティーナはいつも通り説教をし始めようとしていた

 

「知るか!ただこう見せびらかすようにして馬鹿らしいって話だろうが」

 

「先生もしかして嫉妬ですか?」

 

ナハトは揶揄う様にそんなグレンにツッコミを入れる

 

「ち、ちげーし!俺嫉妬なんてしてねーし!リア充滅べばいいなんて思ってなんてねーし!」

 

((思ってるんだな.............))

 

その場にいた皆の心が一致した瞬間だった

 

「ねぇ、どうしてチョコがこんなに売られてるの?」

 

するとバレンタインをよくわかっていないリィエルがあたりの露店を見回し質問する

 

「今日はね大切な人にチョコと想いを贈る日なんだよ?だからチョコがこうしていっぱい売られているんだよ」

 

ルミアがざっくりとしたバレンタインの説明をするとリィエルは............

 

「大切...........わかった。ありがとうルミア。グレン、ちょっと待ってて」

 

それだけ言うとすぐにリィエルは露店の方に走っていく

 

「なんだアイツ急に?」

 

「...........分からないんですか?マジですか?」

 

「あん?どういう意味だよ?」

 

「いえ..........ホント鈍感な人だな~と思いまして」

 

このタイミングでのリィエルの行動なんてすぐにわかるようなものだというのにこの様子にナハトは心底鈍感な人だと呆れていると..................

 

「............貴方それブーメランよ?」

「...........人のこと言えるかなナハト君?」

「...........ナーくんも偉そうなこと言えないよ?」

 

「え?なんで!?てか俺は............」

 

ルミア達からすればそんなものグレンもナハトもどっちも同じようなもので自覚ないナハトにも呆れていた。ナハトが弁明しようとしていると..........

 

「グレンこれ」

 

「ん?これはチョコか」

 

リィエルが買ってきたチョコをグレン先生に差し出していた

 

「私はグレンが大切。だから受け取って欲しい」

 

「お、おう。ありがとうな、リィエル」

 

「ん.....」

 

グレン先生は一瞬驚いた表情を浮かべるとすぐに優しい笑みを浮かべ、リィエルの頭をやさしく撫でる。リィエルも僅かにではあるが気持ちよさそうに表情に満足げな様子を見せる

 

そんな様子を見ているナハト達は微笑ましいものを見るように歩いて学院へ向かった

 

 

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「「「ナハト先輩!!」」」

 

学院についてすぐ、後輩の女子生徒らが待ち構えており全員が一斉にナハトを呼ぶため周りの視線が集まる

 

「お、おう...............どうしたんだこんな大人数?」

 

ナハトは周りの視線に辟易しながらも彼女らの数の多さに驚いていた

 

「え、えっと.........そのバレンタインのチョコです!/////////丹精込めて作ったので受け取ってください!////////」

 

「わ、私も真心こめて.......作ったので.........ど、どうぞ!///////」

 

「「「わ、私も!/////////」」」

 

後輩たちはこぞってナハトの下に集まって我先にとチョコを差し出していく

 

「わ、わかった!押さないでちゃんと並んで。ちゃんと貰うから、な?」

 

ナハトは笑顔でそう伝えると............

 

「「「は、はい........///////」」」

 

そのさわやかな笑みにやられた後輩女子たちは顔を赤くして大人しくなる。ナハトの質が悪いところはこういう無自覚なことをするからだろう

 

ナハトがすべてのチョコを一人一人丁寧に受け取っていると当然数が数なだけに目につくため学院の男子たちの目が痛かった

 

「クッソ!またアイツか..........」

「ルミアちゃんにシスティーナちゃん..........挙句はあのセラ先生も仲がいい」

「しかも二人に関しては完全に.............」

 

そんな男子どもが思うことは1つ――

 

「「「リア充死すべき!慈悲はない!!」」」

 

そんな男子たちと裏側、彼に想い寄せる彼女らは.......

 

「.........何よ、優しく笑いかけて.......ふん!」

 

「あれ?システィもしかして妬いてるの?」

 

「なッ!?///////や、妬いてなんか......って、なんでそうなるのよ!/////」

 

システィーナは不機嫌そうにそんなナハトの様子を見ているとルミアに揶揄われる

 

「そ、そういうルミアこそ...........面白くないんじゃないの?」

 

システィーナはお返しとばかりにルミアにそう問いかけるが...........

 

「なんで?だってナハト君別に彼女たちの事そう言う目で見てないよ?」

 

「え.......?」

 

「多分ナハト君からしたら彼女たちは唯の後輩か妹くらいにしか考えてないんじゃないかな?」

 

実際ルミアの予想は的を射ているのだ。ナハトからすれば偶々助けた彼女たちにお礼をされているくらいにしか思ってない為、彼女たちを恋愛対象の異性だとかは考えていないのだ。

 

「る、ルミア...........どうしてわかるのよ?」

 

その質問に...........

 

「だってナハト君の事だよ?わからないわけないよ」

 

そう笑う彼女は完全に女として勝てないと改めて思い知ったとシスティーナは語った

 

 

 

 

 

そんなやり取りを終えて教室内に入ると...........

 

「よう!ナハト.............って、お前その両手の袋はまさかッ...........」

 

ナハトに真っ先に声をかけてきたのはカッシュだったのだがそのカッシュはナハトが両手に持った袋を見て硬直する

 

「おはようカッシュ........ってどうしたんだ?そんな固まって」

 

「クッ..........わかっていたナハトがモテるなんてわかっていたさ!だが、悲しいぞ俺は!!」

 

「?俺がモテる?ないだろ~これ、大半が重いものを持ってるとことかを助けたりとかした子からだからお礼のつもりなんだと思うぞ。あと、カッシュ。そう言う邪推は彼女たちに悪いだろ?」

 

(((だからそれがモテてるってんだよ!!!)))

 

クラスの男子たちはお前真面目に言っているのかとナハトの正気を疑うものだった

 

だが、同時にだからこそこうモテるのだと言いようのない敗北感をかみしめる

 

「........お、おう。だが、ナハトよ..........お前それ全部食えんのか?」

 

「そこなんだよな~こんなに貰うのは初めてだしこの量じゃ全部食いきるのは何日かかりそうだよな」

 

「なら放課は毎時間チョコを食わねぇとな」

 

「............いや、家で食べるよ」

 

「そうなのか?まぁ、何にせよ俺もバレンタインのチョコ貰いたいぜ」

 

ナハトが放課中に食べない理由それは朝の登校中でのルミアとシスティーナとの会話にある

 

 

******

 

 

『ねぇ、ナハト君今日の事なんだけどいいかな?』

 

ルミアからのそんな切り出しに対してどうしたのか問いかけると

 

『多分ナハト君チョコ貰えると思うんだけどね、できればそれを食べるのは待って欲しいの』

 

『貰えるかどうかはわからないけど待つというとどのくらい?』

 

『それは私たちが言いていうまでよナハト』

 

そう言ってきたのはシスティーナだった

 

『それは別にいいけどなんでまた?』

 

『ふふふ、なんでだと思う?』

 

ルミアが余裕の笑みでナハトに問いかける

 

『何でって....................何で?』

 

ナハトは考えこんではみたが全く見当がつかず質問で返していた

 

『それは.........秘密だよナハト君!』

 

 

********

 

 

とルミアはナハトが見惚れるほどの笑顔でそう言った。ナハトも秘密なのであれば気にはなるがそれ以上は追及はせずに彼女たちの頼みと言うことで聞くことにした

 

勿論察しのいいものならばすぐにわかると思うが彼女たちは自分たちのチョコを最初に食べて欲しい.........ナハトの一番が欲しいという彼女たちの想いからなのだがナハトにはわかるわけもなかった

 

 

「よかったなカッシュ。それならすぐにかなうと思うぜ?」

 

ナハトはカッシュのチョコが欲しいという望みを叶うことを知っていた。何故なら..........

 

「お~い、お前ら席につけHR始めるぞ~」

 

そう言ってグレンが入ってくると後ろから........

 

「みんな~おはよう!」

 

そう言っていつも通り明るいセラねぇが後ろから袋を持って入ってきた

 

「さて、HR前にみんなにバレンタインチョコだよ!」

 

そうセラねぇが宣言した瞬間だった

 

「「「「お............おっしゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

クラスの男子たちの大きな声が教室内に響く。女子たちの目は男子の熱気とは真逆で冷めた目で見ていたがそれは関係ないというように男子は喜び狂っていた。

 

「ふふふ、みんな嬉しそうで私も嬉しいな~」

 

セラねぇはそれを微笑ましく見ていると「ひとり一個ね~」と言い配り始めていた。女子達ももらえておりセラねぇに感謝していた。男子の一部に至っては涙まで流してる始末

 

「はい、ナーくんもだよ。いつもお姉ちゃんを支えてくれてありがとう」

 

そう言ってセラねぇはまた頭を撫でてくる。やはりクラスメイトの前でやられるの恥ずかしい

 

「ど、どういたしましてセラねぇ」

 

一騒ぎの後グレン先生の口から連絡事項などについて教えられた後各々授業の準備をしていると.........

 

 

「ねぇ、グレン君ちょっといいかな?」

 

セラがグレンに話しかけていた

 

「あん?どうした白犬」

 

いつも通りグレンがそう聞き返すとセラはちらりと周りを見て見られてないことを確認すると..........

 

「夕食は外で......ふ、二人きり(・・)で食べよ?」

 

セラはグレンにぴったりくっつくと上目づかいで耳元で恥ずかしそうに伝えるだけ伝えると「わ、私授業の準備しないと!/////」と言い、すぐに離れて教室を出ていった

 

そして言われたグレンはと言うと..............

 

「..............」ボケー

 

何ともいえない表情で黙って突っ立ていた

 

 

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なんやかんやでバレンタインと言えど通常の一日が過ぎる

 

リィエルがなんか壊したでグレン先生の財布が寂しくなったと

また聞いたりしたがこれもいつも通り...........

あの人そろそろ学院にお金を貰ってるんじゃなくて払ってるんじゃないか?

 

そんないつも通りの時間が過ぎ下校時刻になった

 

「ナハト君一緒に帰ろ?」

 

ナハトが帰る支度をしているとルミアがそう声を掛けてきた。後ろにはシスティーナがいるが少し様子がおかしかった

 

「それはいいけど.........どうしたんだシスティーナ?」

 

「ふぇっ!?な、何でもないわよ!/////気のせいじゃないかしら!/////////」

 

「お、おう..........分かったからそんな慌てるなって」

 

システィーナが突如取り乱すのでどういうことだと不思議だった

 

「ふふふ、行こう?ナハト君!」

 

そんな感じで三人が出ていくのを見ていたクラスメイトは...............

 

「アイツ等やっぱ仲いいよな..............」

「だよな.........しかもシスティーナに至ってはあの取り乱しよう」

「それに加えルミアちゃんの余裕ぶり........まるで正妻の振舞だぞあれ?」

 

そんな三人のいつも通りと言えばいつも通りだがこの後バレンタインと言う日にどのような時間が過ごすのかクラスメイト達は興味が煽られるが................

 

(((後でもつけたらナハトにばれそうだしなぁ............)))

 

ナハトの察知能力と言うべきそれは凄まじいことはクラスメイト周知の事。その上、下手に手を出せばしっぺ返しを食らいかねない。

 

そのため三人にノータッチなのが二組のスタイルだった

 

 

-----------------------------------------------------

 

 

 

そんなナハト達は今日は三人での下校だった

 

最近はグレン、セラ、リィエルも加わり大所帯で帰ることが多かった。

 

「ねぇ、ナハト君。公園よってこ?」

 

「ん?別に行けど何かあるのか?」

 

「貴方今日が何の日か忘れてないかしら.........」

 

そんなシスティーナの言葉に何の日も何もバレンタインだろと考えていた

 

(もしかしてチョコでもくれるのかな?だったら楽しみだな............)

 

そんなことを考えてそれなりの広さのある公園内に入っていった

 

公園内は意外にも人は少なく散歩に来ている御老人や遊びに来てた子供たちが帰ろうとしていた

 

そんな公園内は静けさもあり空を赤く染める夕暮れが映えていい雰囲気だった

 

ナハト達もそんな雰囲気を楽しみながら他愛ないい会話をしながら歩いていくと一本の大樹の下に来た

 

「さて、ナハト君。流石にどうしてここに来たくらいはわかるよね?」

 

「多分だけど.........バレンタインだよな?」

 

これで違ったら黒歴史もんだなとナハトは考えていた

 

「ふふふ、なんでそんなに不安そうなのかな?そうだよ。バレンタインだからだよナハト君」

 

「そ、そうよナハト!私とルミアが悪戯でこんなことしないわよ」

 

ルミアとシスティーナがそう言ってもらえて少しほっとしているとルミア達はそれぞれチョコを取り出す

 

「はい!ナハト君!いつもいつもありがとう!沢山練習したけど不器用だからシスティみたいにはできなかったけど..............私の想いを一杯込めたから喜んでもらえるといいな」

 

「は、はい!////その........ナハトにはいつも世話になったわね。朝練とか事件のときとか本当に........だから........その、私の感謝とナハトへの.........お、想いを込めたからありがたく食べなさいよね!///////」

 

ルミアのはハート形の箱を可愛らしくラッピングされていてシスティーナのものは縦長のシンプルな箱にシスティーナらしく綺麗に整ったラッピングがされていた。

 

ルミアは少し出来は不安だといったがルミアだからこそ相当練習したんだろうことがわかる。現に彼女の手には目立った傷こそ魔術で治癒させようだがほんの少し傷跡が残ってる。きっとギリギリまで頑張ってくれたんだろう。

 

システィーナは恥ずかしいのかつんけんした感じの態度だが最近の朝練の時少し眠たげな表情を見せていたので真面目な彼女の事だから料理が得意な彼女もまたルミアのように練習を重ねてくれたのだろう。

 

そんな二人のチョコを貰えることの嬉しさをかみしめながら................

 

「ありがとうルミア、システィーナ。本当に嬉しいよ。大切に味わって食べるよ」

 

そんなナハトの心からの笑みに2人も笑顔を浮かべる

 

「「どういたしまして!ナハト(君)!」」

 

2人はそう言うとナハトに今から食べて欲しいと言ったので食べさせてもらった

 

味は勿論............

 

「美味しいよ二人とも..........本当に美味しい。二人の気持ちが籠った温かい..........じゃないな......甘いチョコレートだよ」

 

セラねぇと姉さんには悪いけど今まで食べた中でも一番美味しくてもらえて嬉しいバレンタインのチョコだった

 

 

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ルミア達と別のところでまた彼女もバレンタインをしていた

 

「おい..............白犬マジでここはいるのか?」

 

「えっと........そう、なんだけど..............」

 

ナハトに進められた料亭に来ていたのだが、それがかなり外見の雅さからして高級料亭にしか見えないのだ

 

(ナーくんこんなとこにクリスマスに入ったの!?本気ィ~!?)

 

ナハトはアルベルトの下潜入調査のための料理や演技多岐にわたる技術習得の際に実際にその技術に触れることを重きを置いて二人で様々な場面を巡ったため高級料亭なんぞ腐るほど見ていた。そのためこのお店は一般にはお高めであるものの帝都の高級料亭に比べれば価格は高すぎるということはない。そしてルミアもまた元・王族の為この程度じゃ驚きもないためいいお店だ程度にしてみてなかった。

 

その結果がこれだ。ナハト達はどちらかと言えば富裕層によった庶民派だが、完全無欠な庶民派である二人はお店を前に大丈夫なのかと不安で仕方がなかった

 

「もう予約もしてあるし...........行こうグレン君!」

 

「おう.............でも、俺の財布が...................」

 

セラは腹を括り店に入るとグレンもまた悲壮な覚悟を決め店内に入っていった

 

 

 

2人は入ってから真っ先にメニュー表を頼もうとすると.............

 

「お客様はセラ=シルヴァース様とグレン=レーダス様ですよね?」

 

「はい、予約したものですがどうかされましたか?」

 

セラは店員のその問いかけにどんな意味があるのかと思い問いかける

 

「すでにナハト様からコースの指定を伺っております。ご存じではないのですか?」

 

「え?そうなんですか?」

 

「はい。ナハト様はうちの料理長と親しくされておりセラ様の名前で予約が入ったこのコースをと頼まれていました」

 

ナハトがクリスマスにこの店を選んだ理由がここの料理長とは帝都でナハトが料理の修行中に知り合いフェジテで店を出してることを知っていたためである。付き合いがあるために確かに一般的にはいささか高めでも高級料亭レベルをそのいささか高め程度で楽しめることを知っているためにルミアとのクリスマスの会食やセラに勧めたのだ

 

(確かにいい値段だけど、思っていた程じゃない。寧ろ大分安めかも...........)

 

セラとグレンはノクスに指定されたコースの詳細を見ると恐れていた程ではないことに安堵して料理を待つことにした

 

「焦ってたほどじゃなくてよかったねグレン君」

 

「あぁ、マジでよかったけど........俺これでも大分きついんだけど...........」

 

もっともナハトの指定コースと言うのはこの店の常連なら知ってる格安かつ最高値コースに劣らず美味しく食べられるもので初めての客ではそうは気づけないものなのだ。もしもナハトの指定がなければ二人はもう2,3割増しくらいには支払うことになっていただろう。

 

「もう.........グレン君はもう少しまっとうに働いたほうがいいんじゃないかな?」

 

「働いてるわ!不本意だがな..............だが、仕方ねぇだろ?リィエルの器物破損が俺の責任になるんだから..........」

 

「それでも余計な賭け試合とかしてるからそうなるんだよ?そうすれば多少はマシに生活できるのに.............」

 

「うぐっ.......」

 

確かにリィエルの器物破損被害による減給はある。だが、それでも最近は減っているしセラの言う通りにすれば確かにマシにはなるため何も言い返せなくなる

 

「お待たせしました」

 

そう言って店員は料理を運んできたため、その会話は打ち切られ二人は料理を楽しむのであった

 

 

***********

 

「美味しかったねグレン君!」

 

セラは食後にグレンと暗くなった街中を歩いていた。そんなセラは先程まで楽しんでいた料理についてグレンに話しかけていた。

 

「確かにな~さすがはナハトが使う店って言ったところか」

 

「そうだよね~でも、学生が使うのは普通にどうかと思うけど」

 

ナハトの特技の一つである料理は潜入調査を前提としたプロそのものの技術。アルベルトにも言えることだが、ナハトのおすすめと言うのならばそれがはずれがないのは間違いないことだと言う事だった。

 

「それはまぁ..............確かにませてるとは思うが付き合いのある人の店なら普通なんじゃね?」

 

「それも、そうかな?にしてもナーくんって大概人脈が広いよね」

 

「アルベルトとイヴの弟子なだけあるわな................」

 

アルベルトの万能性にイヴの知略とカリスマ性をスポンジの如く吸収したナハトの凄さに改めて驚きそして再認識していた。しかもそれを上手く掛け合わせ応用して更に幅を利かせていくから完全なる奇術師(パーフェクト・イリュージョン)とまで呼ばれたりしてるのだろう

 

「あの子もうセリカさんに勝てちゃうんじゃない?」

 

「流石にそれは...........いや、ありそうでなんかこわい」

 

いつか聞いたナハトの固有魔術(禁呪)である【黒天大壮】ならもしかしてそれもあり得るのではと考えてたりする。その他でも物理的攻撃以外に対して絶対の防御と言って過言ではない【月鏡】に強敵相手でも決まれば最後の幻術である【幻月】と言った強力な固有魔術もあるため真面目にワンチャンあるのではと思えてしまうあたり本当に我が生徒ながら恐ろしいとグレンは感じていた。

 

「ホント............ナーくんはどこを目指してるのかな」

 

「セラ.........」

 

そう言うセラの顔はどこか憂いがありグレンもそれにつられてしまう

 

現時点でもよほどの相手でもない限りナハトの敗北する姿などまるで思いつかない。彼の魔人相手にもボロボロになりつつも確実に追い詰めていたという戦績もある。それなのにまだナハトは力を求めているのだ。だからこそ心配にもなるだろう。

 

「なんかしんみりしちゃったね?でも、大丈夫だよね........だってナーくん私達よりもずっと強いもん」

 

「.............あぁ、そうだな。ホント、強過ぎるくらいだぜ」

 

グレンは言葉でこそそう言うもののナハトがナハトじゃなくなるようなそんな気がしていた。ナハト自身が望み深淵へ手に伸ばしていくようなそんな悪い予感が。

 

でも、口に出さなかった。何故なら口に出せばそれが現実になってしまう気がするからだ

 

「ねぇ、グレン君。こんな綺麗な夜なんだし少し散歩してこ?」

 

そう言って夕暮れ時ルミア達が来ていた公園に差し掛かったセラはグレンの手を引き入っていく

 

「あっ、おい!引っ張るなって!」

 

グレンは面倒くさそうにしながらもされるがままに引っ張られていった

 

そのまま完全に人気のない公園をセラが夜とは真逆と思えるほどの明るさでグレンの手を引きそれをめんどくさそうにしながらも全く拒絶するそぶりを見せずに付き合うグレンの構図ができていた。

 

それはまるでまだグレンが軍時代の時、厳しい軍務後に休暇を貰ったグレンを訓練場から無理やり引っ張り出して息抜きに引っ張り出した時の用だった。

 

そんな懐かしさをグレンとセラ両方共が感じていた

 

あの時のグレンは辛く暗い道を壊れるまで進むことしかできずにいた。とてもつらく封印して2度と思い出したくすらないと思ってしまうほどにグレンは追い込まれていた。

 

それでも、セラと過ごしたグレンのあの日々は辛いだけじゃなかった

 

だからあの事件で............彼女を傷つけたジャティスが

 

何より彼女だけの正義の味方になってもいいと思った自分が

 

憎く..........そして彼女に対して申し訳なかった

 

そんなグレンの想いはセラも同じようなものだった

 

自身の不注意で受けた傷が彼に大きな心の傷を与えた

 

親友だと思っている彼女の弟が必要のない責任感を背負わせた

 

2人に............何よりグレンに対してセラ本当に申し訳なく思っていた

 

そんな思いを胸中に抱きながら二人は夜の静けさに包まれた公園内を歩いていた

 

そして、二人が噴水広場まで来たところでセラはアレを渡すことを決める

 

「..........ねぇ、グレン君。今日は何の日でしょうか?」

 

答えなど誰でもわかってしまう問題にすらならない問題をセラはグレンに問う

 

「は?んなもんバレンタインだろ?ナハトの奴が大量に貰ってただろうが」

 

「うん............だからねコレ!グレン君!ハッピー・バレンタイン!」

 

そう言ってセラは綺麗にラッピングされた箱をグレンに渡す

 

「これを俺に........だよな?」

 

「もう、他に誰がいるのグレン君?」

 

「い、いや..........なんだ.........あれだ.........ありがとな//////////」

 

流石のグレンもこのタイミングで渡されると思っていなかったため照れているのか頭をガシガシと掻いていた

 

「ね、ねぇ..........私が今日.......どうして外食に誘ったと思う?」

 

「は?なんか理由でもあんのか?てっきり今日は夕食作るのがめんどいのかと思ってたが違うのか?」

 

セラのその問いかけに正気を疑うグレンの返しに鈍感すぎてセラは内心今の気持ちが冷めてしまいそうだった

 

(ナーくんでも流石に気づくと思うけど.........元祖・鈍感はこれだから.........)

 

仮にナハトでもこれだけお膳された状態でルミアなりシスティーナなりに同じ質問をされたらバレンタインに関わりがあることぐらいは察しが付くだろう

 

セラは切り替えると言葉を紡ぎ続ける

 

「あ、あのね...........今年は今までと違うバレンタインにしたかったの。だから外食に誘ったし..........ここでチョコを渡したの.........そ、それでね?ここまで言って........私がどんな想いか分からないグレン君?」

 

普通ならこれでセラがどんな想いでいるかくらい察しが付くだろう

 

ナハトだって気づく...........はずだ.........

 

だが――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?知るかよそんなもん。てかまだ寒いんだし早く帰ろうぜ?」

 

この男超鈍感だ。更に雰囲気ぶち壊しの発言がさらりと出てくるあたりもう末期だ、救いようのないダメ男だ。

 

(嘘でしょ~~~~!!!なんでわからないのよ!!これならあのナーくんだって流石にわかると思うけどグレン君本気でわからないの!!??私、今の結構勇気出したのに!!グレン君のばかぁ//////もうこうなったら.........!)

 

セラがグレンに対して呆れと怒りそして羞恥心に身を震わせているとセラはここで大きく行動に出ることにした

 

セラがプルプルと震えてるのでグレンはセラも寒いのだろうと思いどうせもう貰うもんはもらったわけだし早く帰りたいな~なんてセラからすればバカみたいなことを考えもう一度セラにグレンは急かそうとした

 

「なぁ?お前も寒いから震えてんだろ?だからさっさと..............

 

 

その瞬間だった――

 

 

銀色に輝く美しい髪がそっと風に流れる

 

 

それはまるで妖精が舞うようで幻想的な風景だった

 

 

その美しい髪の持ち主と一人のどうしようもない青年の距離は接近し

 

 

二人の影は重なった

 

 

少しの間二人の影は重なったままどちらかともなく離れる

 

 

 

「............これが私の想い///////////私..........帰るね?」

 

それだけ言うと真っ赤な顔を俯かせ彼女は走って立ち去って行った

 

 

 

 

そして取り残された青年は.............

 

「ぇ...................」

 

彼女のぬくもりが残る唇に指を触れ呆然と立ち尽くしていた

 

 

 

 

 

 

 

後日、二人が顔を合わせると真っ赤になることを見たナハトがグレンをいじり倒したのは自然の摂理であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

「はぁ~........ホント無能な室長共ときたら.........こっちだって人手が足りなくて大変だっていうのに余計な仕事増やさないでくれるかしら........全く.........」

 

イヴはそう愚痴りながら帝都にある自室へ帰る途中だった

 

だが、イヴの言う通り人手の足りないため今日もまた遅くまで書類整理に追われていたため深夜の帰宅になってしまった

 

「全く.......これでナハトがいてくれれば書類整理とかも多少は.......ダメね.....それじゃあナハトの負担が大きくなってしまうわ」

 

元々書類整理をさぼることもあるグレンやそもそも論外なリィエルはともかくとしてイヴにとってナハトがいないことによる仕事効率の低下は著しい。

 

だが、それでも自身の弟に負担をかけるの忍びないという姉心もあるわけで............イヴはせめてもっとバーナードがまじめに仕事をこなしてくれればと考えていた

 

(はぁ~ナハトに会いたい..........そうすれば少しわ.......)

 

イヴはナハトを見るだけでそこそこ回復できるくらいにはブラコンをこじらせている。そのため本気でそう考えていると.......

 

「あら?荷物ね...........誰から、ってナハトからじゃない」

 

丁度今考えていた相手からだったので一瞬で疲れが吹き飛んだ気がするイヴ(ブラコン)

 

すぐに部屋に入りその小箱を開けて中を確認すると..........

 

―親愛なるイヴ姉さんへ―

 

お仕事お疲れ様。きっと姉さんのことだから遅くまで仕事してたんでしょ?大変なのはわかるけど体は大切にしてね?さて、前書きはここまでとして今日はバレンタインだから俺から姉さんにプレゼントを贈ることにします。いつも姉さんにはいろいろと支えてもらってるし、ある国ではバレンタインで男性が女性に贈ることは珍しくないって本で読んだから感謝を伝えるいい機会と思いました。プレゼント喜んでくれると嬉しいです。

 

―ナハトより―

 

メッセージカードを読んでるだけでナハトからの気遣いに嬉しくてたまらなくなるイヴ。プレゼントはなんだろうとみてみると...........

 

「あら.............綺麗な髪飾りね。それにこれはチョコかしら?」

 

セラとの話であった髪飾りの別バージョンをナハトは用意するとそれだけじゃ味気ないと思い手作りのチョコを用意して同梱したのだ

 

イヴは髪飾りは後日つけるとしてナハトのチョコを食べようと綺麗に包まれた包装を広げると複数個のチョコがあり一つつまみ取り口に含む

 

「ふふふ.............私好みの甘さね。流石は私の弟..........本当にありがとうナハト」

 

先程までの仕事のストレスなんて軽く吹き飛ばされイヴは言葉にできない幸福感を感じながら彼女もまたバレンタインを楽しむのであった

 

 

 




今回はここまでです。バレンタイン編これにて終了です。バイトもあり中々いい感じにシナリオもまとまらず時間がかかってしまいましたが一応はいい落としどころになったんじゃないかなと思います。グレンとセラの二人をくっつけちゃってもよかったんですけど自覚させといて弄り回すのが面白いかもと思いこうさせてもらいました。一応今回のバレンタインのメインはグレンとセラの二人なのでナハト側のヒロインズはあっさりめにしました。勿論本編では遂に想いを自覚したナハトの件もあるのでナハトの恋愛事情も踏み込んだものが書けるよう頑張るのでこれからもよろしくお願いします!

また、今回もここまで読んでくださりありがとうございます!コメント、お気に入り登録、評価をしてくださり本当にありがとうございます!

再計:システィーナのヒロイン追加について

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