ロクでなしとチート主人公   作:graphite

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〝夢〟

 

 

「次あんなことになったらサクッと重鎮共を洗脳してこの短期留学終わらせますからね?てか、していいですか?廃人にならないように気を付けるんで無理くり記憶いじってきていいですか?」

 

「マジで悪かったから許してくださいお願いします!!あと怖いこと言うのもマジで辞めてぇ!!!」

 

仁王立ちしてこれ見よがしに月のアルカナを見せつけるナハトの足元にはそれはそれはキレイな土下座をするグレンがいた。

 

この状況になったのはグレンが我欲に負け女風呂に入るという愚行を犯し、その上フォローに言ったナハトにまで少なからずとばっちりを受けた事にある。

 

そして何よりナハトのストレスが限界に近いこともある。いい加減この男は強硬手段で国ごと黙らせてやろうかと言う思考が浮かんできているあたり察していただきたい。

 

「.........はぁ、先生には帰ったら罰として真人間として一週間過ごしてもらいます。もし破ったらその場で先生に焼けるような痛みを味わえるような魔道具の作成もしておくので覚悟しておいてください」

 

「何その地獄みたいな魔道具!?お、お前ソレ絶対セラとか白猫に言うなよ!?罰ゲーム抜きに普段からつけられそうでスゲェ嫌なんですけど!!!」

 

「先生?まさか俺と対等に交渉できる立場にあるなんて思ってませんよね?」

 

「.........はい。軽率だった自分めが圧倒的に悪いです。いかようにもしてくださいナハト様」

 

教師と生徒...........その立場完全に逆転した光景の完成だった

 

「まぁ、このことはこれくらいにしてそれより魔術が解けてしまった以上先生の言い訳を考えなくてはいけません」

 

俺に関しては【ホロウ・パレード】の特性上過去の自分の分身を作りだせるので問題はないが先生は一度男性になったところを見られている以上早急に考えなくてはいけない。

 

「お前ってほんと便利な..........」

 

「それがウリですからね」

 

ナハトにとって万能さと言うのは一番のアピールポイントである。例えばだがアルベルトの様な類まれな狙撃能力はナハトにはないがそれに何とか比肩できるものを持つナハトの存在はアルベルト不在時でもナハトに任務を回すことで組織を......引いては多くの人々を助けることができるほので非常に貴重な人材と言えるだろう。ナハトがいるだけで空いた穴を何個も埋められることができるので今の人手不足な特務分室には欠かせない存在でもあるのだ。

 

「まぁ、過去の魔術の実験の後遺症で男性化してしまったとでもいえばいいですかね?」

 

「無理やりじゃねぇか?」

 

「なら一層の事グレン先生を見ただけでレーン先生に見えるようになる認識改変の魔術でも今から作って施しますか?」

 

「は?んなもん作れんのか?触られさえしなければそれでも...........」

 

ナハトの改めてずば抜けたその場で即席に固有魔術を作るとかいう荒業に呆れながらも頼もうとしてたところで...........

 

「ただ、即席で作ることになるので一生女の姿に見られることになるかもしれませんがいいですか?」

 

「さっきの適当な言い訳にしてください!!てか俺を実験道具にすんな!!」

 

即席で作るときは何らかのデメリットが大きく表れる場合があるのも事実。まぁ、そう言うケースが怒るのは確率で言えば2~30%くらいだろうか?

 

「ではそう言う事で。いやぁ~俺もこれであの地獄を分身に押し付けられるから最高ですよ全く」

 

「.........お前今見た事ねぇ位に生き生きしてんな」

 

こうして真夜中の会議は幕を下ろした

 

 

**************

 

 

「「ってことでよろしくな二人とも」」

 

朝早くにナハトはルミアとシスティーナを呼び出した。内容は昨日の事による今後の短期留学中の対応についてだ。リィエルは言わなくてもいいだろうと言う事と夜に使い魔でリィエルの様子を確認したところエルザと勉強してたので朝早くに連れてくるのは申し訳なかったからである

 

「相変わらずナハトって常識外ね.........」

 

「あははは.........ナハト君らしいけどもうなにも言葉が出てこないや」

 

実体を持った分身を作ったと言われればそう反応せざる負えない。何せ考え方を少し変えれば魔術で生命体........それも人間を生み出したも同然ともいえるからだ。錬金術なり何かを生成するとかいう魔術の枠を軽く超えている。

 

もっとも原理としては幻術に近いものであるためナハトの様な特殊な魔力特性があれば似たようなことはできるだろう。

 

「おい、オリジナル!お前俺に押し付けるとか卑怯だろ!?」コソコソ

 

「怒るなってイズちゃん?お前もわかってるだろう?こうするしかないって。精々楽しんで来いよ?」コソコソ

 

ナハトは分身体のイズ(ナハト)とコソコソとそう軽く言いあっていた。ナハト(本体)は大変生き生きしている

 

「お前ぇ~あとで覚悟しとけよ!!」コソコソ

 

「フンッ、お前なんぞ何かする前に消してくれるわい」コソコソ

 

「お前ホントこの数日間大変だったんだな...........」

 

グレンはそうぼそぼそと言いあうナハトを見てそんな感想を零した

 

「ねぇ、ナハト。このことも大切だけどリィエルは大丈夫かしら?昨日の騒ぎとかにも全然参加するそぶり見せないし..........」

 

システィーナは突如心配そうにそう話題を振る。ルミアも先生も心配げな表情を浮かべ先生は特に思いつめたようにしていた

 

「アイツの自主性を伸ばすために放置してたが......確かに少し放置が過ぎたかもしれねぇ.......」

 

だが、対してナハトは違った

 

「三人ともリィエルなら大丈夫だと思うぞ。なぁ、イズ?」

 

「えぇ、あの子エルザと昨晩遅くまで勉強していたし昨日の放課中なんかも同じように二人で勉強していたのを見たわ。成績どうのを抜きにすれば確実に成長しているわよあの子...........って、イズって呼ぶから咄嗟に姉さんぽくなっちまっただろうが!」

 

イズを演じるにあたって基本的には姉さんベースにしていたのだがはたから見ると結構面白いなコレ

 

「まぁ、そう言うわけだから適度にリィエルを支えてやろうぜ?」

 

それから三人の顔から憑き物が取れたように安堵したのを見届けると通信魔導器が振動したのに気が付き席を外した

 

 

 

『私よナハト』

 

「おはよう姉さん。早速で悪いけどどうだった?」

 

誰にも監視されていないように魔術も駆使して人気のない場所で通信している相手はイヴだった

 

『貴方の予想通り彼女は彼の子よ。それと彼を殺した下手人なんだけど確証はないけどもしかしたら——』

 

「!?」

 

イヴの口からまさか予想もしていない下手人の人物の名を告げられ息をのむ。

 

(姉さんは確証がないって言ったけど........この状況で........多分それは——)

 

『彼女に気をつけなさい。それと多分だけど今回の黒幕は..........』

 

それから少しの間詳細な情報を受け取り終えると通信を切った

 

(今回の件.........蒼天十字団(ヘブンス・クロイツ)かかわりは姉さんからの情報と推測からして間違いないだろう。上手くいけばあのクソ外道の繋がりも..........いや、それも重要だが今回はとにもかくにもリィエルの進退だ。それに奴の件は〝あの人(・・・)〟が..........)

 

ナハトは一人思考を続けているとあまりにも〝おかしな〟ことを考えているのに気が付いた

 

(〝あの人(・・・)〟..........って誰だ?俺の協力者なんて........)

 

心の内で『協力者はいない』と断じようとした時だった。ふと、誰かの顔が脳裏をよぎる。赤い髪の俺に幻術の手ほどきをしてくれた彼女は——

 

だが、その瞬間だった

 

「あがッ!?あ、頭がッ.........割れッ!!」

 

突如、ナハトを激しい頭痛が襲いあまりの痛みに頭をおさえ蹲る。肝心なことなのに〝何か〟に激しく拒まれるような不快感。しばらく痛みに呻いていると徐々にそれは引いていく

 

そして同時に

 

「あれ?今俺何考えてたんだっけ?」

 

ナハトは頭痛のおこる直前まで何かを思考していた気がするが全く思い出せなかった。そもそも徐々にその事さえ記憶から薄れていき.............

 

「?俺は一体どうしたんだ.......まぁ、いいか。どうせどうでもいい事だろうし」

 

こうしてナハトは今日も........今日は陰からルミア達の学園での生活を見守るのであった

 

 

 

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????side

 

「あの子はホント凄いなぁ~あの子が自分で自分に縛りを使ってなきゃ何度私の事を思い出されたことか」

 

暗闇にひっそりとそう安堵の声を零す華奢に見える〝亜麻色〟の長髪の少女

 

『〝アリエス姉さん〟。〝アリエス姉さん〟の幻術ってやっぱりすごいけどその分少しの綻びで解けやすいからその点カバーするために俺の考えたこの魔術で俺を縛ってくれないか?俺もアイツは絶対に許せないし報いは受けさせないと気が済まないからやるなら完璧にやろ?』

 

「ホント......私じゃ〝あの子(ナハト)〟を完璧に欺けないなぁ」

 

〝彼女〟は〝彼〟と同じ目的を持つ協力者にして実の..........

 

「おい、イリア(・・・)何をしている?早く行くぞ」

 

「はい!イグナイト卿(・・・・・・)♪」

 

そこには巌の表情に顔の向こう傷のあの家(・・・)特有の赤毛の男がいた。そして彼女........イリア(・・・)はまるで彼を心から慕うかの様に後ろをついていく

 

『む、難しいな.......〝アリエス姉さん〟こんな難しいのにやっぱすごいや!』

 

『〝アリエス姉さん〟と一緒に作ったこの幻術凄いよコレ!!今日初めてバーナードさんに勝ったんだよ!!』

 

『〝アリエス姉さん〟!今日イヴ姉さんとね!』

 

圧倒的なまでに自分よりも才がありながら決してそれに驕ることなく全く才能の無かった自分を姉として慕ってくれてる少年の在りし日の言葉を思い出していた。

 

彼は才能に恵まれ過ぎたが故に私と似た末路に至りそうだった。でも彼はそうならずに少しだけ妬ましくもあった。でもそれでも彼はそことを聞いたにもかかわらず受け入れ姉と慕ってくれた。

 

『俺はリディア姉さんもイヴ姉さんもそしてアリエス姉さんもかけがえのない大切な家族なんだ。そりゃ当然イリア姉さんが俺を妬ましく思っても仕方いと思う。でも謝るのは多分違うから........アリエス姉さんもリディア姉さんやイヴ姉さん達と一緒にちゃんと笑いあえるように俺は強くなるよ!』

 

ナハトの今だけ忘れている夢の一つ.......それは自身が慕う姉と共にまた笑いあえる日々を取り戻すこと

 

ただ、イリアはもう知っている。それがもう叶わないことを

 

だからせめて——

 

(私とイヴ.......そしてナハトがまた幸せな家族として過ごせる日々を叶えるんだ!)

 

暗闇の中一縷の光を心に宿し彼女はまた闇を行くのであった

 

 

 

 





頑張りました!!乗ればハイペースで書けるものですねwそれだけに遅くなったことが本当に申し訳ない!

さて、今回はコメディの八巻にしては重めな回でしたね。イグナイト家の裏事情は原作読んでても「アゼルの奴め!!」みたいになりますよね。その分彼女、彼たちには頑張ってもらいます。イグナイト家姉妹弟が仲良くまた笑えるようなハッピーエンドを描けるよう頑張っていきたいと思います!それでは今回もここまで読んでくださりありがとうございます!また、お気に入り登録、評価、コメントをしてくださり本当にありがとうございます!

再計:システィーナのヒロイン追加について

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