紅魔の執事、幼女を拾う   作:青い灰

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戦闘回。
最近は影狼ちゃんの耳に魅了されました。
めちゃくちゃモフりたい。
ちなみに作者は獣系と日系が好きです。
狛村隊長はヤバい(語彙力)。




燎夜の完璧メイド育成計画 4

 

 

 

「グルルルァアァァ!!」

 

 

吠え、爪を振るって連続で教会騎士を斬りつける。

その余波だけで紅魔館のカーペットに

傷跡が次々と刻まれていく。

買い換えの時期だったので遠慮はいらない。

 

今でこそ騎士は剣での応戦だが、

本来の教会騎士の強さは身体能力や剣術ではない。

信心の加護による〝魔封じ〟という

妖怪や怪異に特効を得る力。

 

だがまぁ、ゴリ押していけば問題ない。

そこまで長く続く力でもないし、

発動には時間を要する。

それに刺客は1人も逃していないので

情報無しで来るため初見殺しが通じる。

 

 

『おらァ!!』

 

「ぐ、ごはぁッ!?」

 

 

連続の爪撃で壁際に追い詰め、

その腹に拳を叩き込む。

鎧が砕け、騎士の身体が浮き上がるほどの威力。

更に追撃を仕掛ける。

 

 

『潰れろ』

 

 

騎士兜の後頭部を掴み、床に叩きつける。

兜に亀裂が走って砕け、

おそらく顔は凹凸が無くなっただろう。

痙攣する騎士から手を離して見下ろす。

呆気ないものである。

まぁ全力でやったからであるが。

 

 

「あら、終わったの?」

 

「!」

 

「残念ですがね」

 

 

振り向き、咲夜がいる階段上の方を見上げる。

声で分かったが、そこにはいつものお嬢がいた。

どうやら戦闘音が聞こえていたようで、

その手には紫電を走らせる紅の槍を携えている。

 

いつまでも人狼姿も魔力が足りないので

こちらも人間の姿に戻る。

身体から毛が抜け落ち、獣毛で見えなかった

執事服と腰の剣が出てくる。

毛の処理は後でカーペットごとしよう。

 

 

「おそらく外でも待機しているかと。

 どうされますか?」

 

「お風呂前の運動だし私がやるわ。

 そいつは鎧剥いで縛っときなさい。

 鎧はパチェの所に持っていくから

 その辺に置いといて良いわよ」

 

「了解しました、いってらっしゃいませ」

 

「えぇ」

 

 

縛るための縄を受け取り、頭を下げる。

目の前を肩を赤槍で叩きながら扉を開けて

出ていくお嬢を見送り、息をつくと

咲夜がこちらに走り寄ってくる。

そしてお嬢が出ていった外を指差す。

 

 

「問題ないよ、お嬢は強い」

 

「?」

 

 

そして騎士の鎧を剥いで投げ捨てる。

顔は潰れたが気絶しているようだ。

教会の連中は加護の力で中々しぶとい。

だがまぁ、そのしぶとさは仇になるのだが………

 

外で悲鳴と雷の音が鳴り響く。

驚いて咲夜が窓越しにそれを見ると

赤い光が窓越しに輝き、

それと同時に沢山の悲鳴とお嬢の笑い声が上がる。

全く懲りない連中だと思う。

 

 

「妖怪の頂点ってだけあるよなぁ……」

 

 

種族のある妖怪の中でトップの実力を誇る吸血鬼。

東の方にあるという

数多くの妖怪が生きる魔境の国……日本。

そこで最強と言われる〝鬼〟の怪力、

妖怪でも最速の〝天狗〟の速度、

それを併せ持つのが吸血鬼という種である。

 

能力ですらない単純な身体能力だけでも

他の種族の追随を許さぬほどに圧倒的だと言うのに

高名な魔法使いですら優に越える魔力に

魔法のみならず悪魔使役まで使いこなす。

近年では力が落ちてきた神程度ならば

倒せるのではないか、とすら思う。

 

それだけ強かった(体験談)。

片腕を吹き飛ばした程度ならば怯みはするものの

即座に再生されてしまう。

当日の満月も影響していたそうだが

よく追い詰められたと自分でも思う。

 

 

「二度とやりたくねぇ………」

 

 

事実、美鈴もそれで痛い目を見ている。

彼女は戦い、もしくは試合が好きなので

ほぼ毎日鍛練はしているらしいが。

 

鎧を剥ぎ終わり、服ごと縄で簀巻きにする。

縄脱けできないように

関節を外して指の骨は折っておく。

目覚そうになったが首を後ろから

蹴りつけて二度寝させる。

 

 

「………!」

 

「……こんなもんに興味持たんでほしいなぁ」

 

 

その縛るところを咲夜が

キラキラした目で見てくるものだから

思わずそんな言葉が出てしまう。

 

さて、生かしておくということは

やはり牢送りだろうか。

真の地獄は紅魔館ではなく、そこにある。

もう可哀想に思えてくる。

 

 

「まぁ逃がさんけどな。終わりっと」

 

 

剥いだ鎧を蹴ってまとめておく。

この鎧はパチュリーの錬金術によって

ティーカップにでもなることだろう。

銀の剣は観賞用か、それとも錬金の材料か。

 

余談だが、俺は武器の収集が主な趣味。

部屋の横に保管室があり、

そこに大量に保管してあるのだが

そろそろ騎士の武器もコンプした気がする。

銀の剣やら斧槍やら珍しいものばかりだったが

正直、黒ずむのが早くて手入れが大変である。

 

特に銀のナイフは

そろそろ100本を越えただろうか。

咲夜にあげようか、と考えていると

お嬢が戻ってくる。早い。

 

 

「お疲れ様です」

 

「あー鏖殺楽しかった。

 あぁ、そいつは牢送りで良いわよ。

 ついでに咲夜を紹介してあげたら?」

 

「そうですね、お嬢様は風呂ですか?」

 

「えぇ、少し借りるわよ。

 じゃ、気をつけなさいな」

 

「ありがとうございます」

 

 

なら彼女の方に行って

時間を潰すのも良いかもしれない。

血に濡れたお嬢を見送り、

咲夜の方へと目を向ける。

 

 

「最後の案内だ、行こうか」

 

「!」

 

 

縛った騎士を引きずりながら、

咲夜を連れて図書館の方へと向かう。

 

 

 


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