三次創作を書いてたけど…これに出して大丈夫かな…?
無限の可能性を秘め、女性だけにしか使うことを許されない鎧であるIS、インフィニット・ストラトスが存在する世界のインド洋。その海を航行する一隻の船があった。
船のサイズは大型級でフェリークラス、それも軍艦の飛行甲板を持つ強襲揚陸艦だ。いささか大きい強襲揚陸艦を、二隻のミサイルフリゲート艦が随伴している。海軍の単位で言えば、戦隊である。
そんな戦隊の旗艦である強襲揚陸艦の甲板に、巨大な人型兵器と機械のような物を纏った小柄な少女が降りて来る。
先に甲板へと降りたのは、全高十八メートルの
機体の名前はZGMF-X56Sインパルスガンダム。初代のRX-78-2ガンダムと同じく、上半身と下半身、コアとなる戦闘機の三つが合体してMS形態となる機構を導入し、戦闘継続力と生存性を兼ねている。
更にはシルエットシステムと呼ばれる換装システムを備えている。高機動戦闘用、近接戦闘用、砲撃戦用と三つがある。
背中には高機動戦闘用の物が搭載されており、今はフォースインパルスガンダムとなる。
「うわぁぁぁ!」
「もうちょっとゆっくりと降りて! 船体が傾く!」
そんな巨大な物が甲板に着地した所為か、船体は揺れて甲板要員は思わず倒れそうになる。
着地と言うか、着艦したインパルスに対し、女性の班長は大声で注意する。これに乗っているパイロットは、胴体のコクピットのハッチを開けて身を乗り出し、大声で謝罪する。
「すまない! まだ慣れていないんだ!!」
「そう! なら、電源を落としておいて! ここには、敵は居ないから!」
「了解した!」
まだMSの操縦に慣れていないと謝罪すると、班長は理解してインパルスガンダムの電源を落としておくように伝えた。
これに応じてパイロットは機体の電源を落とし、機体から降りて来る。機械を纏っている少女も、まだ慣れていないのか、誘導員の指示に応じてなんとか甲板に降りていた。
降りたパイロットに、強襲揚陸艦の艦長が副長などを伴って挨拶してくる。
「我が艦にようこそ。ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテル空軍大佐殿」
「受け入れに感謝する、艦長殿。すまんな、慣れない着艦の仕方で」
「なに、誰もがそんな物です。あのISは何かの任務で?」
挨拶しに来た艦長に対し、ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテルは、慣れない着艦の仕方で船を揺らしたことを謝罪すれば、艦長は初めてのことだから仕方が無いと言って彼を許す。
艦長は事前にキッテルがMSに乗って来ることを知らされていたのか、名前を知っていたようだが、随伴してきたIS、インフィニット・ストラトスのことは知らなかったらしく、何の任務で来たのかと問う。
「あぁ、あのISか。ベビーシッターを押し付けられてな。私は的役だよ」
「的役?」
「標的機だよ。つまり、この海域で演習を行うのさ。指令書はまだ読んでないのか?」
やって来た理由を問われたキッテルは、自分はあのISの標的機で、その演習をするために来たと答え、指令書を艦長に渡す。それを手に取って記載されている内容を読んだ艦長は、偉人のような風格を漂うキッテルが、標的機に乗せられた理由を問う。
「いったい何をされたんです? 貴方のことは存じ上げないが、目を合わせれば偉人のように見える」
「そんな風に見えるのか、私は。まぁ、勝手をし過ぎてな。懲罰任務さ」
「ほぅ、勝手をし過ぎたと。この手のMSの部品や弾丸の類は、我が艦には備蓄されておりません。エネルギー補給くらいは出来ますが」
「それで良い。一時間後に演習を行う。指令書に記されている海域まで移動してくれ」
その問いに、キッテルは軍人なのに勝手をし過ぎて懲罰を食らったと答えれば、艦長は納得してインパルスガンダムの予備パーツと弾薬がないことを伝えた。それにキッテルは演習なので必要ないと答え、一時間後に演習を始めることを伝えた。
「了解しました。では、一時間後に。部下に部屋を案内させます。それまで部屋で待機を」
指令書に記された海域の地図を見て、艦長は長年の船乗りのしての感で場所を把握すれば復唱し、案内は部下に任せて艦橋へ戻っていった。
キッテルはISを解除して待機状態になった物を掴み、女性海軍士官の案内されながら向かう少女を見て、あんな愛らしい少女が、通常兵器のみならず、自身が駆るインパルスガンダムでさえ凌駕しかねない性能を誇るISと呼ばれる物を扱う者なのかと疑う。
「生きている世界で似たようなのが居たが、まさかあんな少女がこの世界において最強の兵器を扱うとは…」
キッテルはISを解除して待機状態になった物を掴み、女性海軍士官の案内されながら向かう少女を見て、あんな愛らしい少女が、通常兵器のみならず、自身が駆るインパルスガンダムでさえ凌駕しかねないISと呼ばれる物を扱う者なのかと疑う。
元々ISは、無限の可能性がある宇宙で活動するために天才科学者である
その原因は、多国籍軍がこのISを鹵獲するため派遣した三個艦隊からなる連合艦隊を、戦闘力の高さに艦隊は数十名の負傷者のみにして全滅させたことであろう。更に核兵器よりもクリーンであることで、軍事転用化は止められなかった。
これによりISは本来の宇宙進出よりも軍事転用されたが、束と意図なのか反抗の意思なのか、女性しか動かせないと言う兵器としては致命的な欠点があった。
無論、ISの軍事転用に対して極右と極左などを初めとしたタカ派系統の組織に属する男性側は断固反対し、暴力的手段、テロ紛いな行為、夜中に束を襲い掛かると言う暴挙などの手段を選ばぬ妨害行為で止めようとしたが、男性側の地位を失墜させただけでなく、女性側の推進を促してしまい、ISの軍事転用が決定的となる。
これを黙って男性側のタカ派が許すはずが無く、更なる過激な手段でISを潰そうとする。それに賛同した男たちの数は多かったが、タカ派が起こした過激な妨害活動に異議を唱える男も多く、優秀な軍人や知識層の多くがIS側に回ってしまう。
かくして、三年以上にも渡るIS側と反IS側による血で血を洗う抗争が始まった。ISによって地球に平和をもたらされると信じられていたが、男と女の争いを引き起こし、女尊男卑思考を抱かせる要因となってしまった。
当初は反IS側の数が多かったが、ISの圧倒的な性能を前に敗退を重ねるばかりであり、抗争開始半年でIS側が圧倒的となる。戦力を多く削られた反IS勢力は、力尽くの正規戦からゲリラ戦に切り替え、敵の消耗を図る。この反IS勢力の戦略方針が、三年以上にも抗争が長期化した原因である。
原因はそれだけではない。ISの過剰な戦闘力の高さに危険視し、戦闘による操縦者の精神に多大な負荷を掛けるためか、ISをやむ得ない場合を除いて戦闘に投入することは禁止したことだ。
IS側は特殊部隊や対ゲリラ戦に長けた部隊で反IS勢力を排除を続けたが、被害は少ないはずがなく、大勢の兵士たちが散っていった。被害者は軍人や民兵、傭兵ばかりでなく、反IS勢力の無差別テロで大勢の民間人にも被害が出ており、そこに第三国の社会インフラの破壊に伴う飢餓状態も重なり、抗争が終わるころには、地球総人口七十億の内一億人が死亡し、六九億となっていた。これを人々は「死の千日」と呼び、忌まわしき三年間として記憶した。
だが、未だに活動を続ける反IS勢力も居り、そればかりか潜伏場所も掴めておらず、完全に平和と言うわけには行かなかった。
勝利したISは発展を続け、今では第四世代にまで達し、無限の可能性を感じさせるほど進化している。だが、ISを意図したことに運用しないことに束が腹を立てたのか、製造されたIS、正確には製造されたコアは、四六七機に止まっている。この少なさに、運用委員会は四苦八苦している。
その性能の高さはキッテルが属するワルキューレが目に付ける物であり、束に宇宙における活動をすると言って新たに数十機のコアを製造させた。半数を宇宙活動に運用されたが、残り半分は戦闘に使われ、現場からは採用を求める声を求めている。
そんな一億人の死体の上に立つ曰くつきの兵器と戦うこととなったキッテルは、この世界に来るまでに見た成り立ちを記した書物を見て、やるせない気持ちとなる。
だが、これは任務だ。生前も今も軍人であるキッテルは、その与えられた任務を全うする義務がある。例え、機体が乗り慣れていないであろうと、パイロットしてベストを尽くすまでだ。
「キッテルがIS世界に居るだとぉ?」
キッテルがISの演習に向けて休息をとる中、宇宙の秘密基地内において、ヤザン・ゲーブルは彼が自分の居る世界に来ていることを知った。
野獣のような目付きと金髪に浅黒い肌と言う出で立ちの彼は、宇宙世紀と言う世界でMSを駆って戦闘を楽しんでおり、復活して早々に連邦軍との大規模な戦闘で存在を現したキッテルに目を付けていた。
それを自分の属する陣営のボスより聞かされたヤザンは、キッテルと戦えることに喜びを感じる。ヤザンはキッテルと戦うことを望んでいたのだ。
「へへっ、ツキが回ってきたようだな! でっ、ボス。レッドバロン二世殿はどこに居るんだ?」
『インド洋にて、ISとの演習をやっている。情報によれば、標的機のパイロットとして、ルリ・カポディストリアスが乗る専用ISと戦っているようだ。慣れぬMSに乗ってな』
「おいおい、的役かよ! でっ、乗っているMSは何だ? ジムか? ダガーか?」
そのボスは鬘付きの奇怪な仮面を着けており、素顔を隠していた。
ヤザンとボスは対等な立場であり、彼の下についているヤザンは敬語ではなくため口で話している。そんな彼がキッテルがどんなMSに乗っているのかを問えば、ボスはインパルスガンダムに乗っていると答える。
『ZGMF-X56Sインパルスガンダムだ。ファーストを意識したガンダムを標的機にするとは、戦乙女たちはガンダムに何か恨みがあるのかと思うくらいだ』
「ガンダムか…! よりにもよって、ガンダムとはな。だが、相手にとって不足は無い! ISとやらは好かんが、ガンダムに乗った英雄様と戦えるなら十分だ。早速行くぜ、ボス」
『単機では、邪魔が入ろう。私が現地に供給したMSを装備した部隊を使うと良い。邪魔者を止められることは出来るだろう」
「へっ、全くあんたには感謝の言葉しかねぇな」
キッテルが乗っているMSがガンダムと言うことに、ヤザンは不満は無いと判断する。それに邪魔者を抑えてくれる部隊まで使わせて貰えるので、礼を言ってからキッテルと戦うために地球へと降りる準備をした。
一時間後、予定通りにキッテルのフォースインパルスガンダムとルリの専用ISとの演習が行われた。
「碌に慣らし運転していない機体でやるとはな…!」
ルリのISが持つ兵装から放たれるビームを躱しつつ、キッテルは全く試運転もしていないインパルスガンダムに乗せられたことに不満を漏らす。
彼はバルキリーの搭乗時間は生前以上であるが、MSには暇潰し程度にしか乗っていない。それに全く動かしたこともないガンダムに乗せられているので、苦戦を強いられている。
何よりキッテルが乗っている機体が大きく、向こうのルリが乗るISは小さくて、ビームライフルの照準を合わせづらい。元々MSと戦うことを前提にして設計されているので、小さいISとの戦闘は論外だ。それなら頭部と胸部のバルカン砲を使えば良いのだが、標的機として使うことを前提にしており、一発も装填されていない。酷い扱いだ。
対するルリのISは、右手に打撃武器のロッドと左手の掌に内蔵されているビーム砲、全方位オールレンジ攻撃用の二十基の自立型ビーム発射器。ガンダムがある世界で言えば、ファンネルの類である。以降、ビットと呼称しよう。
もはや、キッテルのことを標的機としか見ていない。
「おまけにバルカン砲の弾丸も装填されていない! 全く、余ほど私を的にしたいようだ。演習で良かったよ」
これが実戦なら、キッテルはこの悪条件で自分の運を総動員して戦っていた事だろう。演習であることに感謝しつつ、キッテルはルリのISから繰り出されるビームの嵐を避けながら、ビームライフルで反撃を行うが、的が小さすぎて当たらない。
「むぅ~!」
「ムキになるな! そうなっては相手に勝てんぞ!」
自分が撃っているビームが全く当たらないことに苛立ったルリに対し、キッテルは熱くなるなと論する。生前も周辺国で教官をやっていた経験もあるキッテルであるが、ルリはその教え子たちより苦労する物だ。真正面から来て当たるビームは盾で防ぎ、ライフルで撃ち返す。
それを二回か三回ほど繰り返していると、キッテルの反撃で放ったビームが、ルリのISに命中した。言い忘れていたことだが、ISには絶対防御と呼ばれる搭乗者を守る防御装置が搭載されている。演習とはいえ、何かしらの予想外の出来事で死亡する可能性があるので、インパルスガンダムのビームの威力は絞られている。
搭乗者のルリは無事であり、当てられたことに呆気に取られていたが、キッテルの注意を受けて正気に戻る。
「どうした!? 戦闘に戻れ! そのマシンは、一発程度では落ちんのだろ!」
その言葉にルリは正気に戻り、ビットを全機展開してキッテルのインパルスガンダムに全方位オールレンジ攻撃を仕掛ける。
「この攻撃は、厳しいな! 魔導士でもこんなことは出来んぞ!!」
四方八方から放たれるビームに、流石のキッテルも回避に専念する他なく、反撃も碌にできなかった。そんなキッテルに、ルリは脳に多大な負担を掛けるオールレンジ攻撃の操作を物ともせず、接近戦を仕掛けるためにロットを持ってビットを操作しながら接近する。
「接近戦をする気か!? 当たっても知らんぞ!」
「はぁぁぁ!!」
ビットを操作しつつ接近してくるルリに自分の攻撃に当たる危険性があると言うが、当の彼女は聞く耳を持たずに向かってくる。このオールレンジ攻撃で自分の動きを封じたと思っているだろうが、先ほど言ったとおりに、自分のオールレンジ攻撃に当たる可能性がある。それが分かっているのかと、キッテルは後先考えずに突っ込んでくるルリのISに思う。
そちらがその気ならと、キッテルはライフルを腰のラックに装着してからフォースに搭載されている近接戦闘用のビームサーベルを抜き、ロッドで殴り掛かって来るルリに、ビームを躱しながら備えた。
「やぁぁぁ!!」
「来るか! それは蛮勇だ!」
オールレンジ攻撃に晒されているキッテルのインパルスガンダムに、ルリは自分の攻撃に当たることも顧みずに接近する。
「オールレンジ攻撃を止めた? 良い判断だ。だが、当たってやる気は無い!」
その瞬間、ビームのオールレンジ攻撃が止んだ。このルリの判断にキッテルは褒めたが、わざわざ当たってやる気は無く、無慈悲にビームの刃を振り下ろした。
演習用に威力が絞られたビームの刃であるが、これが振り下ろされるのを見ているルリは、敗北したと思っていた。だが、彼女もただ負けるつもりは無く、それを躱してロッドをインパルスガンダムに叩き込もうとする。しかし、キッテルはルリの行動を読んでいた。
「ほぅ、流石だ。予想通りだがな!」
叩き込む前にキッテルは機体の左手でルリのISを掴み、彼女を捕まえた。
「うぅぅ! 離せぇ~!」
「投降しろ。君の負けだ」
必死に抵抗するルリであるが、機体の力は強くて身動きが取れない。ビットで左手を破壊しようとしたが、キッテルはルリがそれをやることを予想しており、ビームの刃を近付け、投降するように通告する。標的機が勝ったのだ。
「やれやれ、標的機が勝ってしまったぞ。また面倒なことになるな。素直に当たっていれば良かったか」
自分が標的機なのに勝ってしまったキッテルは、また面倒なことをやらされると思い、素直に的役に徹していれば良かったと後悔する。
なぜ実戦式の演習になってしまったかは、この世界で最強の兵器であるISを扱うルリに対し、その兵器を扱う責任感を持ってもらう為に、指示されたこととは違う行為をやったのだ。つまり、命令違反である。
生前も今も何度かやって叱られてきたことだが、これは不味いと流石にキッテルは思う。
だが、ISは核よりもクリーンであるが、危険な代物だ。それを駆るルリに対し、キッテルは彼女を解放してからISをアクセサリー扱いしないように論じた。
「済まなかったな、カポディストリアス。だが、それは核兵器よりも強力で、三個艦隊を粉砕するほどの戦闘力を誇る最強の兵器なのだ。アクセサリーではない」
「うん…」
不満げに、ルリはキッテルの説教に応じた。
「では、帰投する。後で菓子でも奢ってやる。さて、始末書を書かねば」
帰投したら菓子を奢ると約束してから、キッテルはまた始末書を書かねばならなくなったと思いながら、ルリと共に母艦への帰投を始めた。
この後、ヤザンと交戦することなど思いもよらず…。