格納庫に行くと沢山の航空機が整備されていた。
「おーミコちゃん」
整備兵二人が反応した。それに宮古は手を振りながら答えた。
「お、邪魔様!」
「どうしたの?」
「今の私は、案内係!クラウと昴と慧の案内中!」
「てことは!そっちの美人さんが噂の新入生?」
「どれどれ?」
(ここ軍事基地だよな?)
(のはずだ…)
この時昴と慧の心の中では会話が成り立っていた。
二人を置き去りにして、クラウに人が集まってきた。
「うおー北欧美人!」
「ブロンドワルキューレ!」
「コラコラクラウが怖がるでしょ!らわらわよってこない!しっし!」
宮古があっち行けと手で合図する。
(この子自分が美人である事を棚に上げてないか?)
(それ、気にしたら駄目…体が持たん。)
またしても心の中で会話が成立していた。
「何だよーミコちゃんつれない。」
その時怒号が聞こえた。
「小僧共!何遊んでやがる!どいつもこいつも餓鬼みたいにはしゃぎやがって。」
「みんな子供だよね〜」
(火に油を注ぐなよ…)
「おまえもだ!キー44!」
(だろうと思った。)
「あ、やっぱり?」
「チッ…お前があのグラディエーターの戦乙女か?」
「ああ、そうだ私の…」
「ストップ!」
昴が話を遮る。
「何故だ?」
「職人気質の人間に自己紹介は不要だ。機体の使い方で判断するから。」
「よく分かってるじゃねえか」
「叔父が航空機設計技師なんだ。震電…深緑の機体もその人が設計したんだ。」
「ほう。確かに良い腕している。お前もその叔父も。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「で、話を戻すが、機体はいつも万全にしといてやるせいぜい気張れよ…後、そこの小僧の機体は要望どうりの品物を付けておいた。ただ他の機体は終わってないがな。」
「ありがとうございます。」
「小僧共!楽しいお仕事の時間だぞ!」
整備兵達が作業に戻った。
「あの班長が頑張れって凄いね!クラウと昴。期待されてるんだよ珍しい。」
「あれでか?」
「してる!してる!めちゃんこしてる。」
「うるせぇ!キー44!」
「やん!逃げよ逃げよ〜お邪魔様ー」「し、失礼する。」
またも走っていった。
「「失礼します」」
昴と慧は敬礼して後を追いかけた。
で、今に至るのだがー
「て訳で!気を取り直して食堂!」
「済まない、何故気を取り直した結果が食堂なんだ?」
「ほら!あれあれ!お腹が空いてちゃ力が出ないみたいな?」
(大丈夫かなこの娘は…慧)
(俺に振られても困るわ!)
とゆう目線で会話をしていた。
「腹が減っては戦はできぬか?」
「そうそれ!だいたい合ってた!で、うちのオススメはなんと言ってもカレー…あれ?」
鍵が掛かって開かなかった。
「ミコちゃん。今は警戒態勢中だよ。」
「基地の案内お疲れ様。」
「この基地のワルキューレか?」
「はい、挨拶が遅れてごめんなさい渡来園香です。…ピンクの…」
「あの72の!驚いたな大した腕だと思ったがこんなに若いとは…」
「へっへー凄いっしょ〜ソノはウチの最年少エース!最速の鉄砲玉だよ!」
「ミコちゃん!鉄砲玉はちょっと嫌…」
「そお?火の玉野郎みたいでかっこいくない?」
園香は頬を含ませて言う
「カッコいくないと思う!」
「昴お前みたいだな!最後の日本軍特攻兵?」
「やめろ…」
「だって、敵陣深くに食い込んで1万発のミサイル雨の中を回くぐり敵を撃破するだろ?」
「「「え?」」」
三人娘が固まった。
「置いとけ」
「謙遜することは無い事実だろ。」
「あれは楽しかった。」
「「「は?」」」
「恐怖は感じないんですか?」
「寧ろそれが心地良いんだ。6歳の時から戦場ぐらしだったからな」
全員絶句である。昴は続ける。
「まさかこの年になるまで生きられるとは思わなかったし、ましてや妻を持ち、子まで生まれるとは思わなかったさ。」
「今何歳?」
「慧と一緒で19だが?」
「「「19!?」」」
「どした?」
「子持ち…」
「まだ会った事ないがな!あっはっは…は〜。まあ、その、何だ。君たちも子供が生まれればその内こうなるさ…自分の命は軽くなるのさ…俺だけかも知れんが。」
「そうですか…」
「俺にとって自分の命なんてどうでもいい物だ。祖国のため天皇陛下のためなら喜んで命を差し出すさ。…すまん暗くしてしまって。」
「いえ…」
「気を取り直して!クラウお願い!」
「あ、ああ…クラウディアブラフォードだ。」
「私は、クラウって呼んでるし、ソノもそうしてあげなよ」
「そうなんだー!じゃあクラウさん」
「顔が引きっつてるぞクラウ?」
「そちらは?」
「鳴谷慧。Barbie隊の隊長だ。でこっちの重い話をしたのは…」
「近衛昴だ。深緑の機体のパイロットだ。」
「よろしくお願いしますね」
「よろしく」
「それでソノ警戒中ってことは…」
「食堂の人達は皆グラウンドに出でるよ」
「クンクン…ホントだー今日の隠し味は琵琶ジャムだね」
「「…」」
「まて。食堂自体休みじゃ無いのか?」
「そりゃあお腹ペコペコじゃ戦にならぬってやつだよ」
「腹が減っては戦はできぬだ」
「聞くより見るだよ。行ってみよう!」
宮古は駆け出した。
「あ」
「百聞は一見に敷かずってミコちゃんは言いたい見たいです。」
「あ、…わかった…」
クラウが宮古を追いかけた。
「昴さん待って下さい…貴方が言っている事は美徳ですが帰りを待っている人がいる事を忘れないでください…。」
「心に留めておこう…だがな、そうしなければ守れない物がある事を覚えてくれればいい」
「分かりました…」
グラウンドに向かうと見慣れた姿を見た。具体的にはベルクトと震電が給仕をしていた。
「おまえら…なにしてるんだ?」
「兄様、だって暇なんだもん。」
「昴さん、私は、誰かの手伝いをしたかったので…」
「わかった…」
「はいカレーどうぞ?」
「ありがとう」
園香、昴、慧はカレーを受け取り宮古たちがいる場所に向かった。
「あれ?珍しいな?お前がいるとは…ファントム?」
宮古達と共にファントムがいた。
「私は、亡霊の名を関していますが。亡霊ではありませんよ?それにあの子達を監視してますから。」
視線の先には、グリペン、バイパーゼロ、イーグル、F1が子供たちと遊んでいた。
「貴方パイロットだったの!?」
「パイロットでは無く機体の付属品です。」
「どゆこと?」
「それはだな…」
説明すると、頭がオーバーヒートしているのがいた。
「やっぱりこうなったか…」
慧がざっくりせつめいした。
「すごくかんたんに言うと、ロボットみたいなものだ」
「なるほどー」
「規格外だな…」
「ですよね…私もそう思います。」
「え〜そうかな〜私は、この雰囲気大好きだけどぉ?お?アズだ!子供に大人気!」
見れば子供に絡まれていた。
「アズちゃん面倒見いいから」
「あのハンドサインは、救援要請に見えるが…」
「ほんとだ。クラウ目いいね!」
「ミコちゃん。アズちゃんまた引きこもっちゃう前に助けてあげたら?」
「そうだね」
宮古はカレーをかきこんだ。
「ごちそうさま。よいしょっと、ちょっと行ってくる。」
そのまま走っていった。代わりにアズと呼ばれていた少女がふらつきながらやって来て崩れ折れた。
「はぁ…はぁ…あのちび共好き勝手しやがって…」
「今のはまさかあの子どもたちが軍への不満の陳情を?」
((いや…何でそうなった!?))
慧と昴は同時に心の中で突っ込んだ。
「んなわけあるか!餓鬼だぞ餓鬼!」
「お前がシュベルトライテか?」
「そちらはアンモニウムだな。昨日は的確な援護に救われた。礼を言う。」
「はん、辞めろってのあの腕ならうち達の援護なんて要らなかっただろうが!それに止めはそこのパイロットが刺したようだしな!」
「…」
「言っとくがうちは…ひゃん」
「ひゃん?」
みればアズの腰に園香の手が添えられていた。
「アズちゃん?だ〜め!新しい人に縄張りを荒らされたくないのはわかるけど。そんなんじゃミコちゃんに嫌われちゃうよ?」
「そ…そんなんじゃないし!あのバカにどう思われようが知るか!」
「また強がり言って…アズちゃん隠し事に向い無いんだから。」
「聞こえない聞こえない聞こえない!」
「随分印象が違って見えるな。」
「親しみやすいですよね」
「屈辱的な評価するな!」
「そうだな親しみやすい」
「お前も肯定するな!そこの三人物も首を立てに振るな!」
首を立てに振っていたのは慧、昴、ファントムである。
「いいか!聞け!ウチは駒込アズズ戦術機体のリーダで…」
「済まないが」
言葉とともにクラウが手で遮る。アズは、その手を払う
「良いから黙って聞く!」
その時ボールがアズの頭目掛けて飛んできていた。昴は瞬時にアズを横抱きに抱える。
「!?」
「済まないが緊急事態だ!後で恨み言は聞く。」
そのまま宙返りをしてボールを蹴り着地する。アズは茹で上がっていた。
「取り敢えず下ろすぞ」
そままおろした。
「あ〜くそ、毒気抜かれた。」
「元から毒なんて無き西もあらずだったが…」
「それはアズちゃん的には不本意なので。」
「おかしな基地だ」
「そうだおかしな基地なんだよ。ゆるい司令に気安い馬鹿達、頑固職人にズカズカ入ってくる民間人…ここはおかしな基地だ…じゃあおまえらは?オルトリンデが落ちたんだ。ネームドが補充されるのは分かる…けど最前線である百里や浜松じゃ無く館山ってのがウチは腑に落ちない。」
「それは…」
「お前も訳ありじゃ無いのか?」
「アズちゃん!踏み込み過ぎだよ?」
深い沈黙のあとフラウが話す。
「私は、死神と呼ばれている…」
「え?」
「歓迎も長続きはしないだろう…きっとすぐにわかる」
昴が反応した。
「死神?…じゃあ生存率0.0001%以下の戦場で生き残ったのか?…少なくとも俺はそうだ。」
「おいおい…お前だけじゃないぞ?Barbie隊は全員そうだろうが」
「そういやそうだった…250万の兵士がほぼ玉砕だからな。生き残ったのは俺達だけだった。」
全員絶句した。
「それ…話して大丈夫なんですか?」
「あっ!緘口令敷かれてたわ。」
「…」
ーその時執務室にてー
里見司令が資料を見ながら独り言をつぶやいていた。
「欧州最強のワルキューレの一人、シュベルトライテか…」
タバコを消す。
「大神オーディンのお気に入りに、人類有数の頭脳…地獄の百里戦線の残党、旧日本軍、特攻兵の亡霊…最強の赤いグリフォン。
ったく上は何を期待しているのやら。」
その時サイレンが鳴った。