MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
「成る程、ブラックロックシューター 、良いヒーロー名だ」
「お父さんが考えてくれた」
「良い父上だな。所で
スティーブがステラの手に握られた刀を見る。見た限り銃火器を持っていないようであった。
ヘリキャリアーにてロキの位置が判明しクインジェットを利用しドイツへと飛行中、ステラとスティーブは雑談をして親睦を深めていた。
「お父さんとニューヨークに移住した時に、S.H.I.E.L.D.の人が危ないからって持って行っちゃった」
「普通の銃火器ならそこまでとやかくは言わないのだけれど、エージェント・シェパードのはちょっと普通じゃなくてね」
S.H.I.E.L.D.と聞いてスティーブがナターシャの方を見れば、ナターシャが捕捉する。
「成る程、活動経験は?」
「……事故に遭いそうな人を助けたり溺れてた人を助けたり迷子の親御さんを探してたくらい」
「十二分さ、ヒーローとしてむしろ正しい事を君はしている。でもそんな優しい君だ、戦うのは僕に任せて待っていて欲しい」
「あーキャプテン、アレな言い方だけれど。彼女冗談みたいに強いわよ?」
「本当に?」
「大丈夫」
ステラがサムズアップをした。自信満々なのでスティーブも無理に置いていこうとするのはやめる事にした。
「それで、僕は君をどう呼ぶべきかな? エージェント・シェパード? ブラックロックシューター?」
「わたしはステラだから、ステラでいいよ。でも呼びたいように呼んでも構わない」
「わかったステラ、僕らで任務を完遂しよう」
改めて二人は強く握手をした。
「でもわたしも、スティーブみたいに盾の方が良いのかも? 誰かを守るなら盾の方がいい」
「そんなことは無いさステラ。武器なんてものは使い方次第、刀だって人を守ることはできる」
「そっか」
機内に備えられたスティーブの盾とステラの刀を互いに見つめている。
「お二人さん。そろそろ現場よ」
ナターシャの言葉に二人は頷いてそれぞれの装備を手に取った。
広場では民衆の恐怖を煽り、跪かせたロキがご満悦な演説をしていて、そしてそれに逆らうように立ち上がる老人の姿があった。
「誰がお前のような奴に」
「私のような奴?」
「いつの時代もいる下種野郎だ」
ロキの持つセプターが輝く。
「お前たち見るがいい、見せしめにしてやる」
放たれた光弾は見せしめの名の通り老人一人を殺すには十二分な威力を備えている。
その間に割って入る者がいた。
キョアプテン・アメリカ。スティーブ・ロジャースだ。
盾によって跳ね返された光弾がロキに直撃して転倒するのを尻目にそれにゆっくりとスティーブが近寄る。
「確かこの前ドイツに来た時と人を支配しようとした男がいたっけな。奴とは反りが合わなかった」
「来たか兵士」
「ああ来たとも。僕だけじゃ無いがな」
「ハハハ、時代遅っ」
ロキが笑いながら立ち上がる。タフネスは流石のものである。が上からもう一人背中側に降ってきたステラに首を掴まれて建物の方へぶん投げられ、柱に叩きつけられた。
「逃げて」
ステラの一声で民衆が一斉に逃げ出す。
『ロキ、武器を捨てて降伏しなさい』
クインジェットから機銃が迫り出しナターシャがロキに降伏勧告を出す。
「巫山戯るなよ紛い物め……!」
ロキがセプターから光弾をクインジェットに撃った隙にステラが迫るが更にステラに向け光弾が放たれる。そこへギリギリ投げられた盾が割り込んで光弾を上空に反射、盾はその場に叩き落ちた。
ロキが忌々しそうにスティーブを見る。
「時代遅れはどっちだ?」
睨んでいたロキの顔にステラが刀の腹を思いっきり叩きつけた。顔面を殴打されたとロキがその勢いで宙を一回転する。がすぐ様立て直してセプターと刀で鍔迫り合いになる。そこへスティーブが追撃で殴りかかりロキの姿勢を崩すとステラがセプターをカチ上げスティーブは足払いしロキを転けさせる。
「ステラ! 杖を!」
「わかった!」
こけた隙にセプターを蹴っ飛ばし穂先が建物の壁に刺さるとステラとロキが同時に取りに動くが、足を掴んだスティーブが流れるように関節を極めロキを絞め落としにかかる。
だがロキのパワーが尋常でなく外れるはずのない拘束を払おうと暴れ、締められたまま立ち上がり地面にスティーブをぶつけた。そこへジェットエンジンのような轟音が届き、光線がロキに直撃、またも吹っ飛ばされる。
空からやってきて地面を抉りながら着地したのはアイアンマン、トニー・スタークだ。
起き上がろうとするロキの前で武装を展開したアイアンマン、盾を付け直したキャプテン・アメリカ、そして壁からセプターを引っこ抜いてきたブラックロックシューターの三人に囲まれる。
「やあトナカイ君。降伏は如何かな?」
ロキは何も言わず鎧が宙に溶けるように消え、手を上げた。
「お利口だ」
「やあスターク」
「やあキャプテン」
「こんにちは」
「こんにちはお嬢さん。こいつ縛れる?」
そうして捕まえたロキをステラがワイヤーで雁字搦めにして着陸したクインジェットへ載せる。何か言いたげな目をしているロキにトニーが肩を竦めた。
「悪かった、でも僕なりの君へのサービスだよ。女の子に縛られた方が嬉しいだろ?」
「スターク、そう言うのはどうかと思うぞ」
「嬉しいなら、良い」
「いや良くないぞステラ」
「良いから早く乗って?」
ロキを座席に置いてクインジェットが再び空を飛んだ。
操縦席の方で深刻そうな目でするスティーブとトニーを脇にステラはロキと反対の座席に座ってジッとロキの様子を見ていた。
「いつまで見ているつもりだ? 紛い物」
「あなたが逃げないか見てるの」
「これをやったのは貴様だろう? 逃げられると思うか?」
「逃げられる人を知ってる」
フン、と首を捻るとロキは何も言わなくなった。
その様子を見ているスティーブが口を開く。
「腑に落ちない」
「コスプレ野郎が簡単に降参したのが?」
「支配だどうだ言う奴がこうも呆気なく降参するのか? 何かあるんじゃないか?」
「ま、アンタのケツの締めが歳の割に強かったんだろう。ピラティスでもやってんの?」
「……なに?」
ステラが知ってたので口を開いた。
「運動の一種、リハビリとかで体を動かす練習とかに使う」
「ほら今の子は知ってるぞ。まあ長年……キャプテンアイスだったからな」
少しムッとしたスティーブが語気を強くする。
「君が来るとは聞いてなかった」
「ああ、フューリーは色々隠すからな。あのお嬢さんとか見ればわかるだろ?」
二人の目線がステラに注がれる。
「……?」
見つめられている理由が分かってないのでステラはなんとなく二人にサムズアップを返した。
「ホラなティーンエイジャーをエージェントにするような奴だからな」
「大事なのは心意気だ。彼女はそれを満たしている」
「なんなの急に」
そうしていると雷が突如鳴り始めた。雷雲に突入するようなヘマはしていないのでナターシャが困惑する。そしてロキは動く顔と目だけでソワソワし出した。
「どうしたんだ? 雷が怖いのか?」
「この後に来る奴が嫌いでね」
少しとぼけたような様子のロキになんとも言えない顔をする二人だが、突如衝撃と共に機体が揺れた。
ステラも立ち上がり刀を手に取ると脇に置いてあった盾もスティーブに投げ渡す。トニーもマスクをかぶって臨戦態勢だ。
外に何かいる以上対処せねばならないトニーがハッチの扉を開ける。対処可能なのはアイアンマンスーツを着るトニー位の為だ。
「なにをする気だ!」
機外に出ようとしたところでハッチに人が降りてくる。金髪の男で服の衣装はどことなくロキと同系統を思わせた。機内に侵入してくるのをトニーが止めようとしたがハンマーでぶん殴られて転倒するとその隙にワイヤー雁字搦めのロキの首を掴んで座席の固定を引きちぎると飛び降りて行ってしまう。
「また一人増えたか」
息つく間もない出来事に一同が困惑する中トニーはうめきながらも再起動し行動を起こす。
「またアスガルドから?」
「アレは味方か?」
「あのハンマー見たことある」
「関係ない、奴がロキを逃すか殺せばキューブは失われる」
「それなら、計画を練らないと!」
スティーブの声に見向きせずせずハッチ側まで行くとトニーは振り返った。
「計画ならある。戦う」
そう言って両手足のスラスターを吹かしてハッチから飛び出していった。それを見て小さくため息を吐いたスティーブがパラシュートを手に取ろうとするが、ステラがその腰に腕を回しそれを制した。
「どうした? 止めないでくれステラ」
「ねえちょっと? やめた方が」
「パラシュートよりもこっちの方が早い。計画は、戦う」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「……良いんじゃない?」
ステラがそのままスティーブを抱えてハッチから飛び出した。背中のウィングが稼働しブースターが点火、アイアンマンの光を追いかけていく。
ナターシャが振り返った頃には、床にパラシュートの袋だけが残っていた。