MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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BLACK★ROCKSHOOTER
プロローグ


「すまない。すまなかったステラ」

 

 背後の分厚い扉から破砕音と金属音が鳴り響く。大音量のアラームと回転する赤色灯が今この場の異常事態を知らせている。精一杯の笑顔を浮かべる、少しくたびれた中年男の顔には後悔がにじみ出していた。

 その先にはこの状況でも表情が薄く理解もせず言われるがまま寝そべる黒髪の少女の姿があった。

 

「博士? どうしたの?」

 

 博士の瞳からぽつりと落ちた雫が少女の頬に落ちる

 

「大丈夫だよステラ。今はゆっくりお休み」

「……はい…………はか……」

 

 睡眠剤を少女に吸わせ昏倒させ特殊な養液に満たされたカプセルに入れ、強固な装甲に覆われたハッチを閉めた。彼女を守る揺籠の小窓の先に存在する少女の安らかな寝顔を見て、外れかけていた笑顔の仮面がはげ落ちくしゃりと大きくゆがんだ。

 

「博士、などと呼ばれる資格は、もう私には無いさ。せめて良き人に出会えることを……さようなら、青い瞳のステラ」

 

「動くな‼︎」

 

 ガラスに保護されていた起動ボタンを叩き押し、隔壁が博士と少女を完全に隔てたと同時、背後の最後の扉が打ち破られ武装した兵士達が殺到する。構えられた銃火器に備えられたレーザーポインタが赤点を博士に照準が定まっていることを示す。その数二十、たった一人ではどうしようも無い戦力差だ。

 しかし博士の顔に諦観は無い。むしろその貌に宿ってたのは、先ほど少女に向けていた苦悩を隠した笑顔とは対極に位置する物。口角が吊り上がり白い歯をむき出しにした笑みを形作る。

 そこに存在しているのは怒りと、狂気だ。

 

「思ったより早かったじゃないか。だが」

 

 全員がその手に握られたスイッチに気付く。しかし状況は続く博士の言葉通りだ。

 

「もう遅い」

「待て撃つな‼︎」

 

 一人が逸りその引き金を引く。構えられたアサルトライフルから発射された弾丸が博士の眼底から脳を貫き即死。しかし博士の最後の意思を遂行するかのように痙攣するようにその指がスイッチを押し込む。

 初めに起きたのは閃光。続いて僅かばかりの赤色炎。周囲の壁に仕掛けられていた大量の炸薬へ点火され、内蔵された膨大なエネルギーが解放される。

 爆ぜた。あたり一面が砕け散り爆轟により紅蓮の炎さえ起きず甚大な衝撃と破壊力が一帯を木っ端微塵に吹き飛ばす。地上部はその衝撃を抑え込めず、大地が割れる。

 巻き上げられた粉塵の中から一つの塊が飛び出して飛翔する様を見ているものは、その場には誰もいなかった。

 

 

 

『BLACK★ROCKSHOOTER』 

ブラック★ロックシューター

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