MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
マーク23開発協力
「これよりマーク23制作を開始するよぅ、まずは使う装甲の選定のために本日はゲストにステラちゃんをお呼びしております。はいステラ、何か一言」
「トニー、顔色が悪いけれど大丈夫?」
「大丈夫さステラ。僕の溢れ出るインスピレーションが全身から垂れ流されてるのがわかるだろう? その余波が顔に出てるんであって調子が悪いわけじゃない」
トニーの邸宅の外の一角、海側に向けて作られたコンクリート製の広場にステラと一緒にトニーがボイスレコーダーに話しかけながら準備を進めている。トニーが着ているのは胴体に金色が集中したいつもとシルエットの違うスーツだ。
「じゃ、いきなりのぶっつけ実験。ステラ、ロックキャノンをいつものビームが出るやつで順々に撃っていってくれ。右から順に並べてあるやつをだぞ?」
「わかった」
ステラがロックキャノンを構えた。
その様子を脇に置かれたカメラを持ったアームロボットが撮影している。
初めはステラからロックキャノンを借り受け耐久試験に使おうとしていたのだが、アイアンマン用のアークリアクター供給のエネルギーでは満足に性能を再現できなかったのだ。
発射機構は今のトニーから見れば下の下、無駄が多く消費エネルギーも多い。ステラが扱うようにぶっ放しまくるならスタークタワーの大型アークリアクターの全電力を注ぎ込む必要があるだろう。
代わりに全力稼働させられるなら、火力は随一だ。リヴァイアサンを真っ向から粉々に破壊した実績がそれを証明している。
色々な意味でアイアンモンガーみたいな武器である。スマートさに欠ける代わりに振り回すパワーがあるあたりが。
そういう訳ではるばるニューヨークからカルフォルニアまでステラには旅行で来てもらったのだ。
これを稼働させるステラの力を研究しようかとも思ったが、以前スティーブとヘリキャリアで喧嘩してた時に「ハッ、如何にヒーローに適してるなんて言ったって何も知らないティーンエイジャーの力をわざわざ借りるような情けない事は僕はしないね。1万ドル賭けてもいい」なんて言ってしまったのと、倫理的に良くない事態が待ってそうなのでやらない。
今の状況が既に借りてる? ステラ自体は皆が認めたスーパーガールなので除外だ。ついでにメンタルがやられてるトニーにそんな事を気にする余裕はなかった。
『本日はよろしくお願いいたします』
「よろしく、ジャービス」
カコンとトニーの頭がアーマーに覆われ、ステラが設置された物に次々と光線を打ち込んでいく。最後の一個だけ爆発を起こして土煙が舞い上がる。
『アルファ、融解貫通。ブラボー、融解貫通。チャーリー、蒸発。デルタ、融解、エコー、爆発』
「これでいい?」
J.A.R.V.I.S.が淡々と結果を述べていくのをスタークがマスクを外して一枚一枚観察していく。ステラは爆発で被ったホコリを頭を振って落とした。
「成る程既存素材の合金や僕なりの対エネルギー防御策はダメだったか、スタークショックだな。特にチャーリーの鏡面反射装甲はいい線いくと思ったんが……まあ仕方ない」
「良いデータが取れた?」
「いやいやまださステラ。今のはオードブル、メインディッシュはこれからだ。J.A.R.V.I.S.出してくれ」
『わかりましたトニー様』
「おいおいダミーが運んでくるのか落とすなよ?」
落っことした。
「さて、実験を再開といこう」
"ClumsyBoy"と書かれた紙を貼られたロボットアームのダミー君を尻目に標的をセットしたトニーがガチャンと手を叩く。
それに合わせてステラがロックキャノンをぶっ放すとそれが直撃した装甲材が赤色するだけで耐えた。それを見てトニーがガッツポーズをした。
「よーし実験成功だ! マーク23の材料はこれで決まりだJ.A.R.V.I.S.」
『かしこまりましたトニー様。ですが温度から見るに恐らくこれでアーマーを作って攻撃を受けたら中のトニー様がローストチキンになるのが関の山かと』
「頭を使えJ.A.R.V.I.S.? 中に冷房つければいいんだよ」
『左様ですか』
上機嫌そうにルンルンしているが、オープンしたマスクの内の素顔は血色が悪く目もギラついている。少なくともこの瞬間チタウリの装甲を上回る代物をトニーは製作できたのだ。
ステラと同等の火力を持つ敵がいないわけがない。その対処を考えねばとトニーは強迫観念に駆られていたのだ。それが今落ち着いた。
「そうだステラお礼にロックキャノンを改良しよう。きっと使いやすくなるぞ」
ロックキャノンを床に立てかけてアームロボのダミーとなんか握手をしているステラにトニーがトリップ状態から帰ってきて提案する。
その提案にステラはフルフルと小さく首を横に振った。
「どうして? パワーアップするんだ君には良い提案だろう」
ロックキャノンの基部や外装フレーム等はトニーをしてチタウリの装甲より余程意味のわからない謎の金属で出来ているが内部機構はアップデートする余地がある。今のオゲレツな燃費の悪さを改善すればニューヨークの時のように息切れする事も少なくなるはずなのだ。
「トニーが疲れてるから。わたしはトニーが調子の悪い時にわざわざやってもらってトニーを余計に疲れさせたくない」
「いや違うとも疲れてなんかないさ!」
「疲れてる。疲れてないならアーマー脱いで見て」
「君は意外と頑固だな? まっ、そう言うならまた今度にしよう」
そしてトニーはアーマーは脱がない。
「あらステラちゃん。お疲れ様、トニーに付き合わされて大変だったでしょう?」
「むしろトニーが大変」
帰宅したペッパーが苦笑しながら二人の所へやってきた。
「ステラちゃんもご飯食べましょう? ほらホコリ被っちゃって髪の毛が凄いことになってるわよ」
ペッパーがステラの髪の毛を触る。見ればわかるが結構ゴワゴワしている。
「……ステラちゃん髪の毛の手入れはどうしてるの?」
「ロスコルと同じシャンプーを使ってる。経済的」
ペッパーがステラの肩を掴んだ。
「ダメよそんなの!!!!」
「あのっペッパーっ揺らしっキャノンがっ危ないっ」
「おいおい始まったぞペッパーの変なこだわりが」
「変じゃないわよせっかくこんなに伸ばしてるんだから!」
「J.A.R.V.I.S.オーブンの火を入れておいてくれ。僕が作る。めちゃくちゃに凝ったやつをね。そうだせっかくだローストチキンを作ろうか」
トニーがロックキャノンをアーマーのパワーアシストで受け取るとステラがペッパーに担がれていく。向かう先は風呂場である。
『かしこまりましたトニー様』
三時間後。
「わお、ツヤッツヤだな。ペッパーやれることをやり尽くしたな?」
「磨けば磨くだけ輝くって良いわね。貴方がアーマー作りまくってるのもちょっとわかったかも。ステラ、次からお風呂に入る時はああ言うのも使ってね」
「J.A.R.V.I.S.ステラの家にペッパーが使ってるやつ送っておいてくれ」
『かしこまりました』
さらっさらツヤッツヤのなったステラの髪を見て料理を終えたトニーが「oh!」と言った感じで大げさに驚きながら感想を言った。
ステラは手を掛けさせてしまったのに申し訳なさそうである。
その様子にトニーは笑みを浮かべ、ペッパーは恥ずかしそうな顔をしていた。
「ただいま」
「おかえりステラ、なんかすごいキューティクル?」
「ペッパーに怒られた」
「そりゃそうだ。いつまでもお父さんと同じシャンプーじゃダメだぞステラ」
ロスコルがステラに苦笑した。そうして後日届いた髪の手入れ関連の品がめちゃくちゃ高級品でしかも定期的に届くようになったので小さく悲鳴を上げた。