MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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 街が雲の中に入り、戦闘が小休止となって一般人たちを安全のために隠れさせる。

 

『すぐまた第二陣が来るぞ、どうだスターク』

『たいした案じゃないが……街を吹き飛ばすっていうのは? 地上に激突する前に避難する』

『避難じゃない解決策はないのか?』

『被害範囲は刻一刻と大きくなっている。決断するしかない』

『避難させる場所も無いわ。……もし街ごと破壊するなら』

『犠牲者は出さない』

『上にいる人数と下にいる人数、比べるまでも無いでしょ?』

 

 すぐに雲を抜けたが、それだけ速い速度で高度を上げている証左でもある。

 通信を聞きながらステラが崩れていないビルの上に立って周りの警戒を続ける。下ではピエトロがどこから持ってきたのかミネラルウォーターを飲んで息を整えていた。

 

『市民を残して立ち去るつもりはない』

『立ち去るとは言ってない……ここで消えるのも良いかもね』

「絶対やだ。ここの人たちもわたし達もみんなで帰る」

『子供みたいな無理言わないでステラ、何事にも限界があるの』

『はは、子供みたいか。ロマノフ、子供の発想の方が正解なこともあるぞ』

 

 突然通信に割り込みが入る。見知った声。フューリーだ。

 それに伴って雲を突き破り、タービンの爆音を伴ってそれは現れた。インサイト計画に伴い破棄されたハズの旧式のタービン式ヘリキャリアだ。

 その威容は絶望に沈みかけた人たちに希望を宿すには十分だった。

 

『どうだみんな、タンスの中から引っ張り出してきた。カビ臭くて薄汚れてるが、使えるぞ』

『フューリー、このクソ野郎め』

『おっと、お口の悪い奴は誰だ? ママにキスしてもらえないぞ』

「フューリー大好き!」

『ハハハ、お嬢さんに惚れられてしまったな』

『長官ちょっと??』

『わお、お父上に殺されそうだ黙っておこう』

『ステラ頑張れ! 俺たちもついてるぞ!』

「お父さん⁉︎」

 

 司令室ではマリア、ロスコルや元S.H.I.E.L.D.メンバー達がフューリーと共にドヤ顔をしていた。

 

『現在高度五千五百メートル。尚も上昇中』

『救命ボート準備完了、発進まで三秒』

『対空砲準備よし、警戒はそのままに、娘にいいところ見せるぞ』

 

 ヘリキャリアから多数の救出艇が飛びだし崖に接舷していく。

 迫るウルトロンセントリーを対空砲火が撃ち抜き、潜り抜けた敵をウォーマシンが排除していく。

 

『ソー! 作戦がある!』

『時間がないぞ、ウルトロンがコアに向かった』

『ローディ残った市民を避難させろ。アベンジャーズ! もう一仕事だぞ! 礼拝堂に集合、パーティの時間だ』

 

 ステラもそれを聞いてビル上から飛び降りて飛ぶ。途中ナターシャが全力疾走していたので着地した勢いのまま後ろから抱える。

 

「えちょっとステラっとわあああああ⁉︎」

 

 礼拝堂にセントリーを踏み潰しながらステラが入ってくるとおろしたナターシャが膝に手をついた。

 

「大丈夫かロマノフ状況わかる? コアを守るんだぞ」

「ごめんナターシャ」

「舐めないでよまだまだいけるから」

 

 ハルクもセントリーをぶっ壊しながら礼拝堂にやってきて、ここにアベンジャーズが集まった。

 

「それがお前の全力か!!」

 

 ソーの煽りにウルトロンの本体が手をスッと上げる。そこらじゅうから物凄い量のセントリー達が在庫一掃セールと言わんばかりに集まってくる。

 

「わーお」

「言わなきゃ良いのに」

 

 まさにあたりを埋め尽くすほどのセントリーが並び、その威容を自慢するようにウルトロンが手を広げた。

 

「これが私の全力だ。願ってもない戦いだ、お前達全員対私全員その数でどうやって私を止める?」

「そりゃ、ひいお爺ちゃんが言ったように……」

 

 トニーがチラリとスティーブを見た。

 

「みんなで!」

 

 ハルクが吠えステラの左目から火が出てソーが雷を纏い皆が構える。ステラとソーが同時に雷と砲撃をぶちかまし接近するセントリーの一角を消し飛ばし。礼拝堂に取り付いたセントリー達をアベンジャーズが総出で叩き、殴り、穿ち、ねじ曲げ、切り、撃ち、砕く。

 ブラックロックシューターが蹴り上げた敵をヴィジョンが撃ち抜きスカーレットウィッチがサイコキネシスで受け止めた敵をアイアンマンのユニ・ビームが貫き、キャプテン・アメリカが盾でぶん殴った敵をハルクが握り潰しホークアイがワイヤー矢で纏めた敵をソーがハンマーで一挙に破壊する。ハルクが投げ飛ばし引きちぎりなお動く敵をブラックウィドウが電磁棒でトドメをさす。その隙間をクイックシルバーが高速で駆け抜けて突破しようとする敵を片っ端から殴り壊していく。

 ウルトロンとヴィジョンがコア上で取っ組み合い、額のマインド・ストーンから破壊光線を発射。礼拝堂の壁を突き破って吹っ飛ばされたウルトロンにトニー、ソー、ステラが、一斉射撃。アベンジャーズのエネルギー攻撃の総火力を叩き込まれ、亀のように防御を固めたウルトロンのボディが灼熱化しその防御を貫き右腕がもげ飛んだ。

 上半身を真っ赤にし火花を散らすウルトロンが不明瞭な声で何か言っているがハルクにぶん殴られて吹っ飛ばされる。

 大勢は決した。ウルトロンは自己保存の為セントリーを逃がそうとするのをアベンジャーズが追撃にかかる。

 

「一人も街から出すな! ローディ!」

『任せろ。こらこら街からでちゃダメだぞ。ウォーマシンが許さない』

 

 飛び立とうとするセントリーをローディが撃ち落としヴィジョンが破壊していく。

 

「脱出するぞ、空気が薄くなってきた」

 

 スティーブがあたりを見回す。

 

「ボートに急げ、逃げ遅れたものを探してから僕も向かう」

「わたしも探しにいく」

「コアはどうする?」

 

 コアの前にワンダが立った。

 

「わたしが守る」

 

 皆がワンダを見た。

 

「……仕事だから」

 

 そう言って微笑んだワンダにバートンが頷いた。ナターシャと共に駆けていく。

 

「あーちょっと待ったステラ、ちょっと良いか?」

「どうしたのトニー」

 

 スティーブと共に逃げ遅れ探しに行こうとしたステラをトニーが呼び止め、手を差し出した。

 

「悪いがステラ、ここにロックキャノンにやるみたいに力を込めてくれないか」

「わかった」

 

 ステラが手を重ね力を込めるとバジジジと変な音をさせてアーマーの端が火花を吹いたがリアクターの輝きがとても増した。

 

「ありがとうステラ、元気百倍だ」

『ボス、オーバーフローしています』

 

 そう言って飛んで行ったトニーを見送ってステラも礼拝堂を飛び出した。

 元S.H.I.E.L.D.の面々は優秀で、見た限りの逃げ遅れはいないことがわかった。ステラは空を飛べるので制限時間を気にせず探していると、広場で暴れている音がする。

 

「や、速すぎて見えない?」

 

 ピエトロも救助者を探していたようだが、一帯には居なかったらしい。破壊音がするので二人でその場に行くとハルクがいた。ナターシャも丁度やってきている。

 

「ハルクも一緒に帰らないと」

「俺が近づいちゃ怒りそうだな、離れて待ってるよ」

 

 

 ピエトロが距離を置いて見ている先で、ハルクにナターシャ、ステラが近づく。ハルクとステラがいつものようにハイタッチをしたところで、突如クインジェットが飛来し機関砲で薙ぎ払ってくる。

 ハルクがナターシャを庇い、一撃やって離脱をしようとしたクインジェットをステラがロックキャノンで撃ち抜く。一瞬ステラの砲撃を弾いた装甲がすぐさま融解し片翼を破損しそこへハルクが飛んでウルトロンを引き摺り出し地面に着地。

 

「おいちょっとま」

 

 そのままウルトロンの足を掴んだまま地面に叩きつけ壁に叩きつけ街灯をへし折り放置車両を爆発させヘッドバットをし踏みつけまくりパンチをたたき込みもう数十回地面に紐でも叩きつけるようにコンクリにめり込ませまくった。

 

「ねえあれどうするの?」

「無理ね、怒ってる」

「待つしかない」

 

 ピエトロが肩を竦めていると墜落したクインジェットが爆発して翼が吹っ飛んできた。それをステラがナターシャを庇って弾いたところその先にいたピエトロの頭を掠めた。

 頭髪の上の方が少し焦げたピエトロがかすめて壁に突き刺さった残骸とステラを二度見した。

 

「……ごめん」

「……まああたらなかったから良いぞ」

 

 ようやく満足したのかハルクがフンスと鼻息を吐いてウルトロンをポイ捨てる。ヴィブラニウム製のボディは健在だが、その内部機構までハルクのパワーに振り回され続けて無事なわけがない。動かないソレをなんとも言えない表情でピエトロは見ていた。

 

 

 

「F.R.I.D.A.Y.ソーにだけ単独で通信」

『了解、ボス』

「ソー、教会に戻ってきてくれ。上手く行っても僕らは……消えるかもしれないが……」

『……かもな』

 

 

 

『準備が整った、全員避難終わったな? これからおっぱじめるぞ』

 

 ソーが礼拝堂に戻ったのでピエトロが高速移動でワンダと共に避難ボート最終便にしっかりと乗った。

 避難ボートからヘリキャリアの甲板に移ったスティーブにバートンやマキシモフ兄妹、ナターシャを抱えたバナーを抱えたステラが空を飛んでヘリキャリアへ向かっている。

 

『よし避難はできたやってくれ二人とも! 気を付けろよ』

『ああ任せろキャプテン。明日は休みだ安全に終わらせて帰るよ』

 

 

 ステラがヘリキャリアの甲板に降りたとき、ソコヴィアが急速落下を始める。雲を突き抜けて落下する隕石の上で雷が迸り、その一切が木っ端微塵になるのを見て、ヘリキャリアは歓声に包まれるのだった。

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