MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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Chapter2:検査

「そうか、何処にいたかはよく覚えていないのかい」

「うん」

 

 一番懐かれている兼接触した部隊の当事者と言うことでロスコルが付き添いになって病院の中を検査のために練り歩いていく。今は検査のための服に着替えているが、パーカーを脱ぐときにすごく残念そうな顔をしたのでロスコルはステラにプレゼントする為洗濯機とアイロンに特急で出した。

 

「でも、誰かに……嫌われてたけど大切にしてもらってたと思う」

「そりゃあれだツンデレって奴だなお嬢さん」

「つんでれ……」

「そうそう!」

「来ましたか」

「お、ステラ。こちらマズ……ユーリス先生だ。検査をやってくれるらしいから失礼のないようにね。ほら、こう言うときはこんにちは、だ」

「こんにちは」

「うん、こんにちは」

 

 年老いた、それでいて眼光の鋭いユーリスが機嫌よさそうにロスコルを見る。彼は外部顧問の医者兼学者で、S.H.I.E.L.D.に招致された外部の医者である。P.S.S.にも何度か来ておりロスコルも世話になったことがあった。

 

「親しくもない目上をファーストネームで呼ぶのはシェパード君の悪い癖だったが、どうやら改善の余地が見られるようだね」

「まあ人間ですから成長しますよ」

「さ、きたまえステラ君。まずは採血だ。シェパード君もこの子を不安にさせないよう一緒に来なさい」

 

 そうして処置室に連れてこられるたロスコルは後ろで眺めることになった。

 

「お嬢さん。お注射は大丈夫?」

「わからない」

「まあそうだよね。チクっと痛いから、がんばって我慢だぞ!」

「ロスコルは我慢できる?」

「……ああ」

 

 ロスコルはうそをついた。

 

「すごい、私もがんばる」

 

 純粋な敬意の眼差しがロスコルの顔面に突き刺さった。

 

「まあここの看護師は優秀だからすぐ終わる」

「さ、いきますよ」

 

 その間に看護師が準備を済ませた。採血の為刺さろうとした針が、進まない。肌の弾力ギリギリでつついているような格好で止まっている。看護師さんから変な汗が出ている。

 

「あの、刺さらないんですが……?」

「えっ……お嬢さんはすごいなぁ」

「無理に刺し込もうとしたら危なくて無理ですよこれ」

「……仕方ない血液検査は抜きだ。代わりにこれを。失礼口を開けて」

 

 訳が分からな過ぎて混乱するロスコルを他所にユーリスは綿棒をステラの口の中に突っ込んで取り出す。

 

「これでDNAチェックくらいはできるだろう。引き続き検査を受けてくれ」

「わかった」

 

「いやお嬢さんバリウム平気で飲むね?」

「けぷっ」

「あっ」

「すいませんもう一度飲んでください」

「……」

「お嬢さんごめんよすごく切ない眼差しを感じるんだけどもう一回……今度は我慢するんだ……!」

 

「この感じ、なんだか懐かしい?」

「え? どういう状態? 心電図の音が心地いいとか?」

 

「身長は5フィートぴったりですね。体重も116ポンドで正常値です」

「まあ見た通りよね」

 

「ちょっとお嬢さん⁉︎ 流石にトイレまでは付いていけないから! 女看護師さん誰かお願いします!」

 

 そうしてロスコルが付き従いステラはいろいろな検査に回され施設内を行ったり来たりを半日近く繰り返し、終わったころにはもう日が傾いていた。元着ていた恰好を着なおして、パーカーのクリーニングもギリギリ間に合いステラに着せる。これで上半身ビキニの危ないダイナマイトガールの完成は何とか防いだと思ったのだが。

 

「ねえお嬢さん? なんで前閉めないの?」

「……暑いから?」

「そっかー……」

 

 暑いなら仕方ないなと言うしかない。今は被服の自由の時代だ。局部さえ隠してるならよほどの格好でなければ咎められない。ロスコル個人としてはもう少し露出下げた方が良いのではという親心擬きが湧いているが。

 

「ご苦労シェパード君。本日の検査は終わりだ。追って

 

『P.S.S.コール。ロスコル、聞こえているか?』

 

 病院の一室で待たされていると通信機から連絡が入り思わずロスコルは立ち上がってしまう。

 

「はい、聞こえています」

『その娘はウチ預かりになった。トレーラーで一緒に乗ってドラコ基地まで帰還せよ』

「本気で言ってます? 年頃のお嬢さんを男所帯のウチの基地に???」

「他のP.S.S.メンバーもお前をつけておけば何か間違いが起こる心配はないと太鼓判を押している。安心しろ」

「……なんか複雑」

「ふくざつ?」

「ああお嬢さん。こう、褒められているのか悪口を言われているのか困ってるだけだよ」

「ロスコルはすごい人だから、きっと褒められてる」

「アレ、なんだろうお嬢さんの純粋さが心にしみる……ってお嬢さん、かみの毛邪魔そうにしてるね」

 

 ふとステラが膝に届きそうなほど長い髪を持て余しているのが目についた。

 

「お嬢さん、髪じゃまかい?」

「うん」

「トレーラーで基地に行く前にどこかで切るかい?」

 

 そう聞かれてステラは首を横に振った。

 

「よくわからないけどそれは嫌な感じがする」

「いやいや、そこまで見事に伸ばしたんだし当然さ。途中の街で髪留めでも見に行こうかお嬢さん」

 

 ステラがうなづいて肯定し、トレーラーへ向かうと助手席で一人P.S.S.隊員が待っていた。白髪まじりの総髪の男だ。

 

「アハズ!」

「やあ、待ちくたびれたぞ。格好をつけてトレーラーに寄りかかってたのになかなか来ないんだから」

「こんにちは」

「ああ、こんにちは。礼儀がいいようだね」

「ステラ、こいつはアハズ。P.S.S.の中でもトップの格闘術使いだ」

「ステラちゃんには何かあった時にすぐ対処できる護身術でも教えるべきかな?」

 

 アハズが拳を組んでステラが首を傾げてから真似をする。アハズはカラカラと笑い出した。

 

「いやいや今じゃないさ。それにダイナマイトガールに教える意味はないかもしれないしね」

 

 ポンとステラの肩を叩いてアハズはトレーラー後ろの扉を開くとこれ見よがしに大あくびをかいた。

 

「私は後ろで寝てるから、まあ何かあったら呼んでくれ。ほれステラちゃんはあそこだ」

 

 アハズが指差すとトレーラーの助手席にさっとステラが乗り込む。

 ロスコルも肩を竦めてからトレーラーに乗り込んでエンジンを始動した。

 

「お嬢さん、危ないからこれ付けてね?」

 

 右手でステラのシートベルトを留めるとそのままサイドブレーキを下ろしギアをいれ、アクセルを踏み込めばトレーラーは軽快に目的地へと走り出した。

 途中、ハイウェイの途中の町でトレーラーを停めアクセサリー屋に立ち寄る。

 

「これなんかどうだい? 可愛らしくて似合ってるんだと思うんだけれど」

 

 顔を横に振られる。ステラのお気に召さないようだと暫くやっていたが、結局は黒いシンプルな髪紐を二つ買うことになった。それでいいのかいとロスコルが念押しをしたのだが表情が乏しいながら何処かご満悦そうである。

 

「お嬢さん、こう、左右の長さ違うんだけれどいいのかい?」

 

 ロスコルが顎に手を当て見聞するとステラの頭の左右に飛び出したツインテールが左右非対称に垂れ下がっている。活動的に見えてこちらの方がステラに似合っているなぁと呑気にしているがこういうものは左右対称のほうが見た目的に良いだろう。

 

「違う? 同じようにしたつもりだった」

「まあ鏡もトレーラーのサイドミラーだしね。しょうがないなぁ」

 

 ロスコルが暫く悪戦苦闘していたのだが左右の長さが揃わない。諦めて左右不揃いのまま縛ることになってしまったが、トレーラーの助手席に収まったステラは何処か楽しげだ。

 

「おっお嬢さん今度はちゃんとシートベルトしたな偉いぞ」

 

 続いて運転席に戻ったロスコルがしっかりシートベルトをしたステラを見てサムズアップをした。

 

「それは?」

「ん? これはサムズアップって言って大丈夫とかよくやったとか任せてって意味で使うんだ」

「サムズアップ」

 

 ステラも親指を立てて拳を握る。

 

「そうそう! ナイスサムズアップ!」

 

 そこにゴツんとロスコルのサムズアップがぶつかった。ロスコルの顔を見れば嬉しそうに笑みを浮かべている。

 記憶のないステラに気を使うロスコルの和やかな雰囲気をトレーラー内に充満させながらドラコ基地へ向け車はひた走る。

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