MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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Chapter8:電豹

「にげんなよー!」

 

 光弾の雨霰を避けて回りながらナターシャは銃を発砲する。正確な狙いはアーマメントの上に乗り余裕綽綽としているナフェに向かうが、それを他のアーマメントが的確に防御、すぐさま前方へダイビング、反撃の光弾を避け前転で受け身を取り隠れる。パンサーがその隙をついて本体に向け跳躍、切り裂こうとする爪がナフェのマジックハンドの上に引っ掻き傷をつけそのまま超至近距離で組み合おうとするも他のアーマメントが邪魔をして地面に落ちる。

 

「んもうさっきの言葉は飾り〜? ナフェつまんな〜い」

 

 陣形を円形、十字、鶴翼、鱗形と巧みに変えながら光弾を放つナフェに二人は苦戦を強いられていた。光弾の威力はチタウリの銃火器と同等程度だが、発射するアーマメントが空を飛び尋常でなく硬いのがたちが悪い。ナフェの乗るものを除けば五機のアーマメントが空中砲台兼盾としてナフェを守っているのだ。

 遮蔽を利用して死角から攻撃しているがグロック26の火力では抜くことができない。

 一人光弾を躱しながら走り回るパンサーがナターシャに向け何かを投げた。数珠の一つのようなものである。

 それを取った途端ジジジ、と通信機にノイズが走った。

 

『聞こえるか、あの電撃は何度できる?』

「どういう仕組み? ディスクならあと八個よ」

『作戦だ。まずはあの邪魔な飛んでいるものを落とす』

 

 ナターシャとパンサーが通信で話し合う。

 パンサーが再び宙を舞い、鳥に飛びかかる豹のようにアーマメントの一つに飛びついた。アンテナの部分を掴んで暴れるのを耐える。

 

「ちょっと私のに乗らないでよ!」

 

 ナフェがその一つを暴れ馬のように動かしながらパンサーを囲むように陣形を作っていく。

 発砲音にナフェが自分を守るように一体アーマメントを移動、しかし放たれたのはフックショットで、狙いはナフェでなくパンサーだ。それを手で掴んだパンサーはアンテナに引っ掛け自身を狙い回りを飛ぶ一体へワイヤーを巻きさらにもう一体へ、ワイヤー伸縮が限界に達して銃の端を持つナターシャが引っ張られて振り回され壁を走って耐えている。

 

「あっわっちょっと!」

 

 意識がそれた間もパンサーの周りをアーマメントが回ったせいでワイヤーが絡まりアーマメント同士が衝突。ワイヤーはスターク・インダストリー製カーボンナノチューブ採用絶対きれないワイヤーでお送りしております。を切ろうと放たれた光弾をパンサーが自分を盾にして防ぐ。

 ナターシャは振り回されながらディスクを付けられるだけ銃に引っ付け起動しながら手を離した。高い電導性を持つワイヤーがディスクの高圧電流を余すことなく伝えアーマメントが制御を失いそのまま外に墜落する。

 破壊されたわけではない。ディクスの電力が切れれば再起動するがそれまではナフェはアーマメント二つで立ち回らなければいけない。

 二人が物陰に一瞬入りすぐさま出てくるとナターシャが二丁拳銃で連射をおっぱじめた。

 

「何すんのよバカ!」

「バカはどっちかしら!」

「バカって言った奴がバカなんだよバーーーカ!!」

 

 ナターシャの射撃を防ぎつつ光弾を放ちながらそんなこと言ってるナフェの元へパンサーが迫る。ナフェがアーマメントから飛び降りて躱すがいつのまにか持っていたステラが真っ二つにしたアーマメントの片側、そのアンテナの部分を掴んでパンサーがアーマメントをぶん殴る。変な音がして衝撃波が発生しアーマメントが地面にぶつかってめり込み。パンサーが着地、アーマメントを浮かせようとしている間にその隙をついてナフェに迫る。

 爪を出して突っ込んでくるパンサーにアームで迎撃しようとしたが、パンサーが攻撃ではなくアームを掴んでジャンプした。その背中にはナフェから見えないようにナターシャが持っていたディスクが全部貼り付けてあった。

 

「え゛」

「ぐうぅ!」

 

 パンサーの背で発生した電流がパンサーにダメージを与えつつスーツを通りナフェのアームへ、そして地面に電流が逃げようとナフェの体を通過する。

 

「アバガガガッ!」

 

 数から言って人間なら感電死不可避なのだがパンサーはスーツのおかげで、ナフェはネブレイドした新人類の耐久力で無事だ。だが最初以上の電流に制御を失いアーマメントが落下する。

 

「ガババッ離せこの電気変態!」

 

 ナフェがアームを振り回し離さないパンサーを地面に叩きつけ背中のディスク達をぶっ壊す。

 

「あんた達の作戦なんて効かないわよ!! もう負けなんだから諦め」

 

 ちょうど外に追い出されたアーマメント達も復活したので涙目になりながらも勝ち誇ろうとしたナフェの首にゴリっと二つ太いものが押し当てられる。ついでに腰が柔らかいものに挟まれる感覚。見れば太ももである。脇にあるラインが青く発光していた。

 

「あら? それならこれも大丈夫よね?」

「えっ……あっ……ぎゃあああ!!」

 

 いい笑顔をしているナターシャの顔を横目に見て青い表情をしたナフェが首に押し当てられたツインバトンの高圧電流プラスそれを持つリストバンドのウィドウズバイトの高圧電流プラススーツの全電力ウィドウズバイトの高圧電流の三連発で悲鳴を上げながら気絶した。

 人間なら黒こげになる代物を口から煙を吐き出すだけなのは耐久としておかしいが、まあ知り合いにもおかしいのばかりなのでナターシャは気にせず手早く気絶したナフェのパーカーやらアームやらを全部全裸になるまで引っぺがしその辺に落ちていた毛布で簀巻にしてワイヤーで雁字搦めにし拘束する。

 恐らくアーマメントの操作は同じデザインの付けられたパーカーのアンテナから行なっているのだろうが念には念を入れた。スーツで表情の見えないパンサーからそこまでせずともみたいな気配を感じたが容赦はしない。

 ナフェの装備はパーカーや服を使って一つにまとめたが、アーマメントは一個一個がデカすぎて脇に積んである。

 

「わっちょっとなにこれ! ヤダださい!」

「あらおはようウサギさん?」

「なにが目的だ? 言え」

 

 簀巻にしているのにぴょんぴょこはねられるのはすごい身体能力であるが無駄である。上からパンサーが足を置いて問うも不敵な態度は崩さない。

 

「え〜、目的なんてシング姉様のお遊びくらいだよ」

「お遊びだと? ふざけているのか?」

「ふざけてるわけないじゃん! 遊びは全力でやるから楽しいんだって知らないの?」

「正気の沙汰じゃないわね。それにそれだとあなた捨て駒よ?」

「姉様をあんた達の尺度で測らないでくれる? それに〜駒で結構コケコッコーよ、むしろ駒として姉様の役に立てるなら本望ってところね!」

 

 不自然に感じるほどの忠誠度に洗脳でもされているのかと疑ってしまう。経歴がわかれば理由もわかるかもしれないが。

 パンサーが耳に手を当てているが、そこから伝わるのは雑音だ。地球のあらゆる場所で通信が可能な技術を備えているにもかかわらずそれができないということは、今ここは地球上に存在しない場所ということになる。

 

「ここはどこだ?」

「姉様の世界よ。それ以上でもそれ以下でもない。……あぁ姉様、ゲームを楽しんでそうだなぁ」

 

 不貞腐れてしまった様子のナフェに二人が見合わせる。

 

「退路を確保する必要がある」

「でもあの子を助けに行かないと」

「問題ない、彼が行った」

 

 外から咆哮がドップラー効果を起こしながら通り過ぎ、宮殿の方へと遠のいていく。

 

「うっそ爺負けたの?」

 

 驚く様子のナフェとその装備類をパンサーが担ぎ上げる。

 

「彼らが負けるとは思えない、だから我々がすべきは退路を確保し、彼らが確実に帰る道を作っておく事だ」

「……わかったわ」

 

 先程の全力放電でエネルギーはほぼ使い切ってしまった。ナターシャは苦虫を噛み潰したようにわずかに顔を顰めてから、切り替えてパンサーの後に続く。

 門に向かいながらナターシャは水晶の宮殿を見つめていた。ステラとハルクの無事を祈って。

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