MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
イギリス世界遺産での事件、そしてあまり公にはなっていないもののアベンジャーズ・コンパウンドへの襲撃が発生し、その日は激動となった。世間の大騒ぎはしばらくは収まらなかったが人命が失われたわけでは無いため、そこまでの大批判となることはなかった。イギリス政府は結構怒っていたが。
パンサーはいつの間にかナフェと姿を消しており、ナターシャ達の捜索網では発見することができなかった。
代わり判明した、コンパウンド襲撃者二名、リリオ、ミー、そしてナフェの経歴が発覚した。彼らはそれぞれ戦傷に苦しむ元軍人、余命幾ばくも無い病人、事故で重度障害となった怪我人であり、全員が自殺をしたという事になっていたことがわかった。全員が姿を眩ませているが危険人物として彼らは指名手配されることとなっている。
戦いから幾ばくかの日数が経った。その中で起きた嬉しいニュースと言えば重症で入院中だった国連事務員が無事退院したことだろう。今回の事件唯一の一般人被害者が無事だったのである。
アベンジャーズ・コンパウンド内に併設された病室でステラは変わらず眠っている。外傷などの問題はなく原因は不明。ワンダが精神感応をしてみた所大きな二つの力の奔流に弾き出されてしまった。彼女はこれが原因だと推察したが、如何するべきかまでの解決策は見当たらなかった。
身動ぎ一つせず眠り続けるステラはまるで死んでいるかのよう、だがその命の灯火は確かに燃えていた。
スティーブはこちらへの攻撃が陽動であったこと、ステラがバナーと共に死力を尽くしたことを知り、ただひたすらに無事を祈った。
トニーはロックキャノンをなくしたと聞いて、それに代わる大砲を作ってやると意気込んだ。まずはロックキャノンに使われていた素材の再現だな、と無理やりに気合を入れているようでさえあった。
ロスコルはスタークインダストリー本社とアベンジャーズ・コンパウンドでの二足の草鞋で多忙な日々を送っている。だがステラの病室への見舞いは、一度も欠かすことがなかった。
それからまたしばらくの月日が経ち、ナターシャもコンパウンドの中を歩いていた。破壊の痕跡が残る外壁の補修が続けられている脇を通り抜けていけばスティーブが歩きながら合流する。
「本当にいいのか?」
「ええ、構わないわ、今の私にできることをするまでよ」
そこにさらに空からサミュエルとローディがそれぞれ急降下で着地、ワンダも合流する。
「大丈夫なの? 鈍ってない?」
「舐めないでちょうだい」
「俺に気づかないのに? いてっ」
「はは、ロマノフをからかうもんじゃないぞ」
いつの間にか現れたピエトロを軽く叩く。ナターシャは戦いに復帰したのだ、休みも安息も十分に得た。ならば次は人々の安息を守るのみであった。スティーブが状況を説明しながらクインジェットに向かって並び歩いていく。
彼らこそ地球が誇る最強のヒーローチーム、アベンジャーズだ。
「よしいくぞ。テロ組織が生物兵器を狙っているという情報が届いている。ナイジェリアに飛ぶ」
アベンジャーズは今日も世界を守るため出撃していく。今は眠るステラも、彼らの仲間の一人だ。
とある場所。空の穴からゴミやら何やらが大量に降り注ぐ、その中に一つ、ロックキャノンがまぎれゴミの山の中に叩きつけられた。
その時積もったゴミの山が蠢き、爆発するように弾けとんだ。
山の中から突き出された筋骨隆々丸太のような巨大な緑の手は、ゴミ山をかき分け、ロックキャノンを手に取り、咆哮する声がどこまでも響いていた。