MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
シビル・ウォー/ライプツィヒ・ハレ空港の戦い
「いやぁこんな偶然もあるんだな。なぁローディ」
「そうだなぁ、とっても偶然だ。おっとこんな所に国連の元事務員さんまで」
「……私場違いじゃ無い?」
トニーとローディが空港でスティーブの前に着地し、そんな冗談を言っているとさらに一人が着地した。鎧に長剣を佩いた金髪の女性で、装備の意匠はステラのものを黄色で塗ったような感じである。
「いやいやそんなことはない、似合ってますよマドモワゼル」
「聞いてくれ、全てはあの精神科医が仕組んだことなんだ」
そこへさらに黒い豹が現れる。ワガンダの王子にして戦士、ティチャラである。
「キャプテン」
「……陛下」
「それよりも、ロスの奴から三十六時間貰った。あと十二時間、頼むから引き渡してくれ」
「追う相手が間違ってる」
「お前の親友は一人殺してるんだぞ。何が違う」
「聞いてくれ、彼と同じ超人兵士が五人いる、あの医者が接触するのを止めないと」
「ステラの友達なのは聞いてるし、世間での評判はしってるけど、そこまでして無茶苦茶するの? キャプテン」
スティーブは動じる様子もなくトニーを見つめる。
「そろそろ、限界だ。キャプテン、後で1万ドル振り込んでおく」
トニーがそういうと、粘着性の糸がスティーブの盾に絡みつき、手から引き剥がされて奪われる。さらに手までも拘束され、着地した先に居たのは赤いレオタードの男だ。
「ナイスだ」
「どうも、登場の仕方どうだったかな、もうちょっとイケてる感じにしたかったんだけれど、あっでもこのスーツめっちゃイケてるよね」
「いやそういうのはいいから」
「あ、はい、キャプテン……ファンです。僕はスパイダーマン」
「いやだからそれも後ででいいから。な?」
ちょっとしょんぼりするスパイダーマンにスティーブが笑いかける。
「苦労してるな」
「……何馬鹿な事やってるんだ? クリントを引き摺り込んで、ワンダにピエトロまで引っ張り出して、なんでそんなに……なんでそんな……アベンジャーズは仲間だろう? ああもうどうして壊そうとするんだ?」
「壊したのは君だ」
トニーの顔が歪む。いまだ意識を取り戻さないステラを保護者のロスコルからソコヴィア条約に加盟させたのも、ワンダをヴィジョンと一緒に保護していたのも、善意からだ。それが全て裏目に出ているようでトニーは苦しかった。
「……もういい、バーンズを引き渡せ、そして僕たちと一緒にこい! 少しでもマシな方を選ぶんだ、まだ引き返せる! ……たのむ」
説得に互いが互いに馬耳東風で、コミニュケーションではなく空気の振動の衝突と言っていい。スティーブが両手をあげると矢で糸が切られた。トニーがマスクを纏い戦闘態勢を取る。
「やれラング」
「のわっ!?」
スパイダーマンの持っていた盾から突如人が現れ蹴り飛ばされる。大きさを自在に操作するアントマンである。取り返した盾をスティーブに渡す。
「全く、駐車場に二人、ワンダだ。僕がいく。ローディ、キャプテンを」
「ターミナルに二人、ウィルソンとバーンズだ」
「バーンズは私がっ!?」
「おっと、子猫ちゃん見えなかったかい? というか硬いね」
走り出そうとしたブラックパンサーがその場で殴り飛ばされ、脇にいつの間にかピエトロがいた。
飛ぼうとするローディにスティーブが盾をぶつけて体勢を崩す。
「スタークさん、僕何したらいい?」
「打ち合わせ通りにするんだよもう!」
そうしてそれぞれが飛び出していく中、ラングとシズがその場に残された。
「怪我しちゃうよ?」
「あなたがかしら?」
シズが長剣の腹でラングの顔面をぶん殴った。そのまま小さくなったラングがシズの足の下に入り元の大きさに戻り足を持ち上げ転倒させるとまた小さくなって組み伏せようとするのを、シズは体から電気を放ってラングを吹っ飛ばし、ラングは動かないヘリの表面に小さく窪みを作った。
空港のあちらこちらで乱戦が始まっている。しばらくの間ブラックパンサーの相手をしていたピエトロにローディが迫るのをスティーブが叩いて墜落させる。
そこへやってきたシズが電撃を放ちティチャラごとピエトロを感電させた。
「いっだっ! なにあんたあの雷様の親戚?」
「……」
「……すいません陛下」
起き上がるティチャラにシズが申し訳なさそうにした。
そこへタンクローリーが投げつけられティチャラがシズを突き飛ばして爆発を避ける。
「わーお、給水車だと思ってたんだけど」
オイオイといった顔のスティーブを横目にトニーが着陸してシズとティチャラに手を貸した。
「あの、ここまでになるって聞いてないんですけど?」
「僕も思ってなかったすまないね、計画変更だ」
キャプテン達が集まり一路クインジェットを目指すが、その行く手をビームが阻んだ。ヴィジョンだ。
その場にキャプテン・アメリカ、クイックシルバー、アントマン、スカーレットウィッチ、ファルコン、ホークアイ、ウィンターソルジャーが。
その行手を阻むようにアイアンマン、ウォーマシン、シズ、ブラックパンサー、スパイダーマン、ヴィジョンが立ちはだかる。
互いに止まる事なく、大乱戦が始まる。数の利を生かしてトニーをスティーブとバッキーが攻撃する。リパルサーでバッキーを吹き飛ばし逆に盾で殴り付けられる。
「いい加減にしろステラが見たらどう思う!? ロマノフも、だから来なかったんだ!」
「前みたいに僕ら二人とも頭掴まれて地面に叩きつけられるんじゃ無いか? すまない……それでも今はいかないといけない」
暫くして時間が無いとスティーブとバッキーをクインジェットに乗せ他は囮になることになった。アントマンがジャイアントマンになり大暴れを開始する。
「誰かあれみたいなすごい技持ってない? 絶賛募集中!」
電気を発しながらシズが破壊された車やモノの残骸の上に立つ。残骸がくっついて組み上がり、アントマンの膝ほどもある大きな塊ができた。奇しくもそれはシズが大怪我を負ってネブレイドする事となった原因と似ている。
「おいおいどっちもなにがなんなんだ?」
「落ち着けよローディこっちは味方だ」
ラングの蹴りをそれが受け止める。さっきひっくり返されたお返しと言わんばかりに掴んだ足を持ち上げた。
「わ! すっごいレオパルドンみたいだ!」
「何言ってんだお前は……おいトニーこいつ幾つだ?」
「正確には知らないが若いさ! キャプテンに一万ドル払うくらいには!」
「なんだそれ!」
「昔そういう啖呵を切ったんだよ!」
そこへサムが飛ばしたドローンがトニーの顔面を直撃した。
デカブツ決戦は十二分に気を引いたらしく、スティーブとバッキーがクインジェットの格納庫へ向かう。
気づいたヴィジョンが管制塔をビームでぶった斬り進路妨害しようとするが二人が一瞬で姿を消した。クインジェットを破壊しようとするローディがワンダのサイコキネシスで投げられヴィジョンにぶつけられそうになるがヴィジョンは透過で回避。
「いやお二人さん重たいわ……ダイエットしてくんない? どっちも三十キロは落としてくれ」
「ありがとうピエトロ」
「いいって、気をつけて」
後からやってきたティチャラをピエトロが翻弄している隙にクインジェットが飛び立つ。
スパイダーマンが足を縛りシズがぶん殴ったラングが飛行機にぶっ倒れ大爆発を起こして近くにいたトニーが巻き込まれ、爆炎の中から空へ飛び去るクインジェットとそれを追うローディとそれを妨害するサムの姿が見えた。
『誰か後ろのをどうにかしてくれ!』
「僕がやろう」
『射撃管制、エラー有り、命中確率八十五パーセントです』
「掠らせるだけで牽制になる、その間にローディは追ってくれ」
トニーが体を仰け反らせ仰角を取った。胸部アークリアクターからユニ・ビームが発射される。高威力の破壊光線が空を切り裂きファルコンに向けて突き進むが、ファルコンがとっさに回避、避けられた破壊光線が先を飛ぶローディのウォーマシン胸部に直撃しリアクターを破壊した。
『なっ』
「嘘だろう!?」
動力を喪失したローディが墜落していく。サムが慌てて助けに向かうが自由落下する鉄の塊に追いつけない。トニーも飛ぶ。
落下直前、ウォーマシンアーマー全体を赤い光が包むが突き抜け、地面に落下する。
落下したローディが地面にめり込んでいる所へトニーが慌ててやってくる。アーマーのバイザーを引き剥がせばローディが笑った。
「おい勘弁してくれ……次のアーマーはもっと良いの作ってくれよこれ足が折れてるぞトニー。あとアシストがないから重くて動かせん、助けてくれ」
ワンダとヴィジョンが寄ってくる。ワンダが念動力で間一髪衝撃を和らげたのだ。
「間に合ったみたいでよかった」
「少し間に合ってないんだが……まあありがとう」
ローディを中心にヒーロー達は空の彼方に飛び去ったクインジェットの方を見つめるのだった。そのあとマキシモフ兄妹はピエトロが抱えて逃げて包囲網を突破していってしまった。