MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
諸々があり辺境の星サカールにやってきたソーは先に来てコネを構築していたロキの提案を蹴り己の自由を獲得する為、グランドマスターの主催するバトルロイヤルのチャンピオンに挑戦することとなった。
髪の毛を切られる尊厳凌辱を受けたソーが、スタジアムに入場すればブーイングの嵐だ。それを気にすることなく現れるであろうチャンピオンに想いを巡らせながら、集中を高める。
『さあ皆さまご覧あれ! あれを扱えるのは! サカールでただ一人!』
そこへ空から投下されてきて、フィールドに突き刺さったのは巨大な大砲だ。観客が大盛り上がりで緑の煙の出る花火を撒き散らしまくる。なんか変に塗装されているがそれはごつい銃剣が大砲の下部には取り付けられ、持ち手部分もしっかりとくっついている。それを見てソーは目を輝かせた。
「え? 嘘、あれうっそ⁉︎ あれ知ってるぞ! ロックキャノン! ロックキャノンだ! ロキ! ロックキャノン!」
遠くロキの方を見ながらソーが騒いでいる。あれを扱えるのはソーが知る限りただ一人、ステラである。無邪気大火力ガールかなぜこんな所にいるかなどの疑問は残るが話し合いはできるしソーとは仲間だ。仲間を大切にするステラならソーを助けてくれるだろうしあの大火力は姉のヘラをどうにかするのにとても役に立つ。
とらぬ狸の皮算用ながらソーは既に勝った気分だった。なんならこの場で負けてもいい実質的に勝利である。
「いええええええい!!」
まだチャンピオンが登場していないのに両手を上げて喜んでいる。
『ではご登場いただきましょう! ディフェンディングチャンピオン!』
入場の扉が開かれ、その中から何かが飛び出した。大きな腕がロックキャノンを掴み引き抜く。大きなはずのロックキャノンがまるで小さく見えるほどの巨体。その体の色は花火の色とおなじ緑。
『インクレディブゥゥウウル! ハルクだ!!』
ハルクがロックキャノンを掲げながら吠えた。観客はボルテージ最高潮だ。
ソーは両手を上げて口を開いたまま固まった。頭につけたヘルメットがズレた。ロキが観戦席で飲み物を吹き出した。グランドマスターが見つめてくるのを「チャンピオンの偉容がすごくて」とおだてれば笑顔でサムズアップしてきた。
「ちょっ、それは詐欺だろおかしいなんでというかおかしいだろ!」
ハルクがそのままロックキャノンを振りかぶってきたので盾で受けたソーが盾を木っ端微塵に破壊されながら叫んだ。
「その武器はそういう使い方じゃない!!!」
吹っ飛ばされたソーが頭が壁にめり込み、両手をついて引っこ抜く。迫ってきていたハルクの攻撃を間一髪躱してパンチを叩き込めばハルクが吹っ飛んでいく。
「いい加減にしろ! バナー! 居ないのか!?」
起き上がったハルクがバナーの言葉に反応した。
「バナー、知ってる?」
それを好機と見たソーが両手を広げながらハルクに近づく。
「そうとも! 知ってるともさあ大物さん日が暮れるぞ〜、日が暮れる〜日が〜く〜れ〜る〜」
「バナー知ってる、お前仲間?」
「そう! そうとも! 俺たち仲間だ!」
ソーがナターシャの真似をして片腕を差し出す。ハルクはそれに反応し、さらに笑顔になった。うまくいったぞと。
が、ソーが油断した所の脳天ど真ん中にロックキャノンのフルスイング振り下ろしが直撃した。片腕だけ出して胴体半ばまで釘打ちに失敗したようにスタジアムに突き刺さりソーは気絶。そのまま引っこ抜かれて追撃に地面に叩きつけられまくった。
「でもとりあえず倒す!」
「よっし! 私が小娘に受けた屈辱とあの痛みがわかったか!!」
観客席でロキがスタンディングオベーションで荒ぶっているとグランドマスターが見てたので平静に戻って「いやーバトルロイヤルのチャンピオン、素晴らしい」とグランドマスターのご機嫌をとった。
ペチ、ペチ、という頬への微かな感覚に、暫くしてソーが目を覚ませば、アスガルド語で
「お、起きたようだな」
「ええ、起きましたな」
「なんだお前ら!? ……んん? ステラ!? 何があったどうしてこんなに縮んで!?」
「ソー、起きた。バナー起こす。待て」
白と赤で彩られた部屋にの床に雑に倒れていたソーが起きると目の前に二歳児ぐらいのステラと白髪の男がいた。よくよくみればステラと違って瞳の色は赤い。もにょもにょと頬を掴んでみれば柔らかい。どうやらロキに幻覚を見せられているわけではないようだ。
「で、お前は誰だ?」
「俺か? 俺はオーディンの息子ソーだ。そちらこそ誰だ」
「成る程! ボーの孫とは! わたしはラブとでも。ラブちゃんでもいいぞ」
「おお、ラブちゃん……?」
「ステラには内緒で頼む。わたしもこうなって残ってしまったのは本意ではないが……消し飛ばされてしまいそうだ」
「いやステラに消し飛ばされるって何をやらかしたんだお前は?」
「あー僕達を殺そうとしたってところかな。ゲームでね」
「バナー!」
ソーが振り向くとバナーが腰巻を持って立っていた。くたびれた顔をしているが、その瞳には力が宿っている。
「その後ステラに倒されたソイツのせいでここまで飛ばされたんだが……この星で僕に出来ることは無かった。だからハルクのやりたいようにさせる事にしたんだ、仲間達のもとに帰る、その機会が来るまでは。ソー、君が鍵だ。何か手段はないかい?」
「少し待て」
そう言って立ち上がったソーが窓に目を向ける。
「ヘイムダル! 見えているか! ヘイムダル!」
するとソーが一人で身振り手振りを始めた。誰かと話しているようだ。暫く待っていた一同の前で正気に戻ったソーが声を上げる。
「あそこの穴だ! あそこからアスガルドに行ける。そうして問題を解決すれば地球にも行けるはずだ」
「わーお何この団体さん。どういう状況?」
「ヴァルキリー、お前の力を貸してくれ。アスガルドが滅びようとしている、ヘラの奴を殺さないといけない」
「へえ……まあハルクの貸しはあるし聞いてもいいよ。だけど一つ条件がある」
「なんだ言ってみろ」
「あのクソ女を確実にぶち殺す」
「いいとも」
そうすると揚々と部屋を後にしして暫くして樽を運んできた。
「なんだこれ、酒樽でも持っていく気か?」
樽を開ける。
「サプラ〜イ〜ズいてっ」
開けたら樽の中からロキの頭が出てきて反射で引っ叩いた。
「こいつならなんとか出来るでしょ、グランドマスターにも取り入るの上手いし」
「私を巻き込まないでくれないか?」
「チームを結成する! 名前は……リベンジャーズだ」
「おい無視するな」
「なんでリベンジャーズ」
「俺はリベンジしたい、ヴァルキリーもリベンジしたい、バナーはなんかこう……リベンジしたい?」
「まあ……何か考えておくよ」
「お前は? というかどこかで見た気がするな名前は?」
「……ザハだ」
「リベンジしたい?」
ラブを抱えたザハが立ち上がる。口を開いたのは抱えられたラブだ。
「我々はまあ、リベンジャーズというか、リタイアーズだ、観てるだけなのでなるべく今みたいに面白い感じで頼むぞ」
「私は?」
「ロキ、お前は裏切るから無しだ」
「いいのか〜? いい情報を持ってるぞ〜? 飛行船の格納庫のパスワードとか、革命を起こせそうな奴らとかな」
ソーがロキの樽を抱えた。
「成る程、オレたちが確保しよう、みんなは準備をしててくれ、この星を脱出するぞ!」
「おいここから出してくれ」
「ダメだ出たら何かやるだろう?」
「……おいやめろ転がすんじゃない!」
「昔を思い出すな〜 お前に度胸試しとか騙されて箱に入ってそのまま崖から滑り落とされたりな〜」
ソーが笑顔で樽を転がしながらグランドマスターの格納庫へと向かっていった。