MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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再会

「あれだけの事があって、でちゃダメなの」

『そうだとも。今回もまたやってくれたな、その保管箱は政府の備品だ。次は謹慎一ヶ月といったところか?』

 

 ニューヨークへの宇宙船襲来時、ステラはコンパウンドで相変わらず待機命令を出されていたがいてもたってもいられずブースターウィングの保管箱のロックを無理やり壊して装着し飛び出したのだ。

 宇宙船が飛び去ってしまった後だったが戦闘の被害を見てステラは救護活動を行い、一段落がついてようやく戻ってきた所でこれである。

 

『スタークも協定を守らなかった。結局は制御できる代物ではないんだ。これで奴も晴れて犯罪者になった訳だ』

「拘束して軍に服従でもさせるつもりですか?」

『人聞きの悪いことを言うなローディ、正当な奉仕活動の一環だ。罪を犯したものの、な』

「……うるさい」

『なに?』

「黙れって言ってる。トニーのやった事は間違ってない」

「落ち着けステラ、こんなのに言い返しても得はない

 

 ホラグラフィック越しのロス長官がたじろいだ。左目が青紫色の炎を灯しながらステラが睨んでいる。鬼の形相と言うほどはっきりとした怒りの顔ではないが、逆にそれが喉元をナイフで突き刺すような鋭利な殺気となっていた。ホログラフィックがなんらかの影響を受けたのか少しブレる。ロス長官以外のホログラフィックの人物達は努めてステラを見ず、我関せずと言った風情だ。

 

『……ローディ、今すぐステラの装備を没収しろ』

「自分でやっては如何ですか? これから来客の予定もあるので」

『来客だと? ヴィジョンの行方も、ロジャース達クソ犯罪者共の行方もわかってないのになにを言ってるんだ?』

「あー……長官、貴方は疑い深い癖にスーパーヒロインの善性を信じすぎではありませんか?」

 

 ロス長官が仲間の悪口を言うたびに後ろでステラの殺気が増してるのは勘弁して欲しかった。普段怒らない可愛い子が怒ると冗談みたいに怖いのを今ローディは全力で体験しているのである。

 だからステラをこの場に連れてきたくなかったのだ。ロス長官といえば何かにつけてヒーローを批判する為ステラの反感を全力で買うこと不可避なのにステラへの厳重注意も一緒に行うとか言い出すのだから。

 

「ロス長官」

 

 そこへこの場では聞こえないはずの声が聞こえる。ステラは驚き目を見開いてそちらを見た。髭をはやしたスティーブにナターシャ、ピエトロにワンダ、サムが肩を貸した怪我をしたヴィジョンがやってきたのだ。

 

「スティーブ! みんな!」

 

 スティーブにステラが飛びついて二回転くらいした。

 

「ステラ、回復おめでとう。少し背が伸びたか? ローディも、久しぶり」

「おっ、ステライメチェンか〜。回復おめでとう。イカしてるぜ」

『いい度胸だ、よくここに来られたな』

「まあ貴方には度胸が足りないみたいだけれどね?」

『ローディ、ステラ、こいつらを拘そ』

 

 ローディがホログラフィックの電源を落とすのとステラが通信機の電源を落とすのは同時だった。

 

「いけないな、軍法会議ものかもしれない」

 

 ステラの頭をナターシャが撫でている傍でローディとスティーブは再会のハグをしていく。

 

「ヴィジョン、大丈夫?」

「ええ、平気です」

「ならもう少ししゃんとしてくれ、妹を任せるってめちゃくちゃ悩んで決めたんだぞ」

「やあ、変わらないね」

 

 再会を喜んでいると後ろから声がかかった。

 振り返ったナターシャとステラが飛び出す。

 

「ブルース!」「バナー!」

「おわっとおう!? ごめんナターシャ、今帰ったよ。ステラも心配させてごめん」

 

 私のせいだと思っていた、とは言わない。それは言うとバナーへの負担になると思ったからだ。今はただ生きて帰ってきてくれたことを喜んだ。

 

「また襲ってくると思う」

「全員出動といこう、クリントは?」

「家族の為に軟禁中、スコットも」

「スコットって誰」

「アントマン」

「蜘蛛だけじゃなくて蟻もいるのか……。ともかくサノスは最強の軍隊を抱え込んでる。目的を果たすまで邁進する筈だ、狙いは……ヴィジョンのストーン」

 

 皆の視線がヴィジョンの額のマインド・ストーンに注がれる。

 

「なら守らないとね」

「いえ、破壊すべきです」

 

 ナターシャの言葉をヴィジョンが否定する。

 

「ヴィジョン、それ壊したら君は死ぬぞ」

「構いません、皆を守る為ならばこの命投げ出す所存です。同質のエネルギーを照射すれば破壊できます」

「……貴方も一緒にね。この話は無しよ」

「ストーンをサノスに渡さない為には破壊するのが一番なんだ」

 

 つまりマインドストーンを破壊できるのはそれから生まれた超能力を持つワンダという事だ。

 

「嫌だよ、ワンダに悲しい顔させちゃダメだよヴィジョン」「そうだぜ、ワンダを泣かせたらただじゃおけないね、俺が交際を認めたんだもっとハキハキむぐわ」

 

 ステラとピエトロが別方向から反対意見を出すとピエトロの口がサイコキネシスでチャックされた。

 

「しかし他に手がない」

「いや待て、ヴィジョンイコールマインドストーンって訳じゃない。彼は元々はウルトロン、トニー、僕、マインドストーン、そしてJ.A.R.V.I.S.が合わさって生まれた存在だ。石だけうまく取り出せば、ヴィジョンは死なない」

 

 バナーの提案にワンダが表情を明るくする。

 

「なら今すぐ始めましょう」

「いやダメだここの設備じゃ足りない」

「……いい場所を知ってる。すぐにいこう」

「あ、ごめんなさい。少し待ってて」

「いっそ色々持っていっちまおう」

 

 スティーブがいい場所があるというので皆で乗り込んで必要そうな物をあるったけ拝借していく。弾薬を持てるだけ持ったローディの傍でステラがブラックブレードを手に持ってきた。トニーが作った新装備はソコヴィア協定でも特に厳格に封印されてステラは一度も使ったことがない。

 核戦争にも耐えそうな難攻不落の金庫だがステラにたやすく扉をぶった斬られ中に収められていた物を取り出す。それは新型ロックキャノン。トニーが直筆して付けたネームプレートに"イノセント・カノンランス"と書かれていた。一度も使われることがなかった為そのままだったのだ。

 そして履いているロングブーツを脱ぎ捨てると専用のインナーを履いてその上から足用の防具を装着する。トニーがカノンランスの後に余った合金を用いて作った物で、背中のスラスターウィングに合わせて塗装がされている。右太腿に付けられたホルスターにはエネルギーハンドガンが備えられている。

 今ステラはトニーが想定するフル装備の状態である。

 その状態で乗り込んできたステラにピエトロとサムが口笛を吹いた。

 

「いい感じだ」

「ありがとう」

「よしみんな揃ったな。向かう先は、ワカンダだ」

 

 アベンジャーズ・コンパウンドからクインジェットが飛びたつ。彼らが向かうのは地球で最も科学の進んだ国である。

 

 

 

 

 ブラックパンサーの石像が見下ろす大都市の先、厳戒態勢を取るワカンダの一角を国王ティチャラとオコエが歩いていた。

 

「ボーダー族からドーラミラージュ、衛兵も待機中です」

「ジャバリ族にも声をかけよう。エムバクは戦いが好きだ」

「それで、彼はどうします?」

「戦争はもうごめんだろうが、世界の危機だ。ホワイトウルフの休息は終わりとなる」

 

 隻腕の男がやってくる。彼はバッキー・バーンズ、ウィンターソルジャーであった男だ。

 

「あとピンクラビットにも声をかけろ。手伝えば刑罰を短くしてやるともな」

「以前回収した物を?」

「ああ、そのまま使わせればいい。未だ一線級の代物だ」

 

 バッキーの目の前で開けられた箱には、以前破壊された彼の腕に代わる新たな腕が用意されていた。

 

「……敵はどこだ?」

「向かってきている。限りなく強大な敵だ、キャプテンが助けを求めている」

「いいとも、やってやる」

 

 腕を掴み左手にはめる。付けられた腕は問題なく機能し、拳が握り込まれた。

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