MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
帰還
アベンジャーズ・コンパウンド内に来ていた避難民達は人口が半減したという事態ゆえに場所はどれだけでもあるので自然と解散する事となった。各国の生き残った行政も徐々に機能を取り戻し今回の事態の被害の集計を出し始めていた。
「八方塞がりね」
「待て、俺のダチがまだ残ってるはずだぜ。あいつらもサノスと戦いに行ったんだ、何か情報があるかもしれねぇ」
その頃、ミーティングルームでスティーブ、ロケット、ステラ、そして最近やってきたキャロル達で話し合う中でサノス発見の鍵となるかもしれない話が出てきた。ロケットによると仲間達もサノスとの戦いを行っていたはずだと。
「それでその仲間達と連絡を取る手段は?」
「追跡装置がついてる」
「だが……そこまでどうやっていくんだ?」
「……今から宇宙船作るしか無いな」
「それなら私が行くわ。追跡装置を私が使えるようにしてもらっていい?」
全員が顔を向けるが、キャロルは意に介した様子はない。
「私は宇宙を飛べるの。それでいいでしょう?」
ソーも宇宙空間で平気でいたのを知っているロケットはなんともいえない顔をして小型の追跡装置を作るとキャロルに渡す。夜空の彼方キャロルは光を帯びて地球の重力圏から飛び去っていくのをメンバー達は見送ることしかできなかった。
翌日ペッパーも合流し、トニーが居ない不安を誤魔化すように、そしてロスコルを失ったのを慰めるようにステラを抱きしめた。思わずステラはペッパーの胸の中で泣いてしまった。
それから数日、空気が揺れる事に気付いた皆がコンパウンドから出てくるとそこにはロケットとソー以外は初めて見る宇宙船"ベネター号"をキャロルが運んできたのだ。着陸用の足がしっかり地面に付き。サスペンションが小さく軋みを上げる。
乗降扉が開き階段が地面につく。
ロケットが見上げて、見知らぬ男とネビュラだけが降りてきた事に全てを察してしまう。スティーブが駆け出し男、トニーの体を支える。
トニーは酷くやつれていた。足取りもおかしい。
「止められなかった……」
「……僕もだ」
目がギョロリと充血していて、顔色は死人のようだ。
「……ピーターを失った」
「それだけじゃ無いんだ」
「……じゃぁ……みんなは?」
ステラと手を繋いだままペッパーがトニーの元へ走ってくる。それに気付いたトニーが、そしてペッパーが安堵の涙を流し抱きしめ合う。
「無事でよかった……」
「あぁペッパー、僕も本当にそう思う……大丈夫、ステラも無事でよかった」
「トニー……」
「大丈夫、大丈夫だから」
ペッパーにキスをしてステラの頭を撫でてトニーはふらつきながらコンパウンド内の医務室で一通りの処置を受けに向かった。
残されたベネター号の階段に座りロケットはネビュラと手を重ね、目を瞑った。彼の家族はネビュラを除いて皆消えてしまったのだ。
トニーの処置が終わり、点滴を受けながらもミーティングルームに皆が集まった。
テーブルのホログラフィックには消えてしまった仲間達の写真が次々と流れていく。あの場にいなかったセルヴィグ博士やスコット、ピム博士も消えてしまっていた。フォボスとロスコルの画像が出てきてステラは目を伏せた。トニーもこの惨状に思わず画面から目を逸らしてしまう。フューリーが消えたことが確定したキャロルも目を伏せる。
「サノスが地球に来てから二十三日」
「各国政府は崩壊、辛うじて残った行政機関が人口の調査を試みた結果……サノスは宣言通りのことをやってのけたみたいね」
「奴は今どこだ?」
ステラが首を横に振る。わかっていないのだ。
「で、あいつは?」
特に様子のおかしいソーをトニーが指差す。
「むかついてるんだ、負けたって……そりゃ負けたさでもそんなのはあいつだけじゃ無いだろ?」
「正直今の今までペッパーが買ってきたぬいぐるみかと思ってたよ」
「……そうかもな」
ぬいぐるみ扱いされて普段なら怒るロケットが、それすら出来ないほど打ちひしがれていた。
「この三週間サノスを探してるが……、未だ何の手掛かりもない。トニー、君は戦ったろう」
「戦った? 戦ってない、いいように弄ばれただけだ! 魔術師もストーンを渡しちまうし」
「だが奴はトニーと喋ったような事を言っていた。何か手掛かりのような事は聞かなかったか」
トニーはそれを聞いて顔を伏せ、口元を押さえて小さく笑い出した。
「ああ、言ったさ、言ったとも。地球に行ったって無駄だ、スティーブ達が石を守ってる。スーパーガールも居るから五回やったってお前には勝てないぞってな、だがこれだ」
「…………」
ガリガリと点滴の針の部分をトニーが引っ掻き始める。
「ダメ、トニー、それに触っちゃ」
「僕は言ったよな、世界を守るアーマーが必要だって!」
「おいトニー落ち着け」
「ごめんなさい、トニー、私たちが」
「君ら二人はいてくれたろう! 僕はあっちに言ってるんだ入ってくるな!」
二人を振り払うとふらつきながら立ち上がり水の入ったコップがひっくり返り、床に落ちて割れた。ローディとステラが宥めようとするが聞く様子はない。点滴の針を引き抜いた。
「貴重な自由が多少損なわれても絶対に必要なものだったんだ!」
「そのプランは無くなった」
「負けるぞと警告したろう、それでも僕たちで一緒に戦うと言った。僕は信じたさ。で、これだ。見事に負けた、僕たち別々に……各個撃破だ。そこの新入りさんいいね! 新メンバーが欲しかったところだなんせ僕らただの……報復者だからね、新しいことができる人材が必要だ!」
ふらつきながらスティーブの胸ぐらと肩を掴んだ。そうしないと体を支えられないのだ。
「キャプテン、生憎手がかりは何もない、情報も作戦もバックアップもオプションもない! 無だ、絶無! 信頼もないぞこの嘘つきめ……!」
胸のナノテクリアクターを胸から引き剥がしスティーブの手に置く。
「ほらやるよ、奴を見つけたらこれをつけて……僕の分もぶん殴ってみてくれよ!」
そのままトニーがバランスを崩して床に倒れる。
「トニー!」
ブルースが鎮静剤を打ってペッパーがトニーの看病をする態勢をとった。
「彼をお願い、帰りにゾリアンで薬を取ってくる」
「どこへ行く?」
「サノスを殺しに」
スティーブとナターシャが顔を見合わせた。
「待って、私たちはチームで動くの。場所知ってるの?」
「宇宙は君の領分だろうが……我々の戦いでもある」
「伝手を辿ればどうとでもなるわ」
「その必要はない」
ネビュラが行く手を阻み、口を開いた。皆がもう一度ミーティングルームに集まる。
「サノスは言ってたわ。全てが終われば……農園で過ごすって」
「いいねぇ、引退後はファーマーか」
「つまりどこだ?」
「その情報から……地球で起きた宇宙規模のパワー変動と同質の事がこの星で起きてた」
ロケットがCGで説明をする。ネビュラは確信を持ったように頷いた。
「サノスはそこよ」
「それならそこでサノスを倒し……ストーンを取り返してみんなを元に戻す」
「もう一度戦っても、同じ結果にならないか?」
「前は私がいなかったでしょう」
「……あのな新入りさん。ここに居る連中は俺が知る限りの最強のヒーロー達の集まりだ。言っちゃ何だがあんた今までどこで何してた?」
「宇宙には他にもたくさん星がある。ヒーローがいない星がいくつもね」
突如ソーが立ち上がり、近づいてキャロルを睨み付ける。ソーがストームブレイカーを呼び寄せ至近距離を通り風圧に髪が靡いてもキャロルは気にした様子すら見せず、むしろ目を細めて笑みを作った。
「……気に入った」
柄をポンポン叩きながらソーはキャロルから離れていく。
スティーブがロケットの出したホログラムの惑星を見つめ、そして顔を上げた。
「……奴の息の根を止めにいこう」
トニーは動けない。まずはロケットの船の修理に取り掛かることとなった。
ステラのエネルギー攻撃はスペースストーンとパワーストーンの混合物の為空間障壁とかそういうのは貫通する。
サノス同様ミラーディメンションもブチ抜く。