MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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五年後

『情報提供の通り地下で変な兵器開発がされてた。立ち入ろうとしたら巨大ロボットみたいなのが動き出して時代は無人機だひれ伏せとか言い出したけど、壊したら降伏してくれた。郊外だったから……森が少し焼けたけど人に被害はなし』

『性能は?』

『なにもさせないで壊しちゃったから体感ではわからない。データを送っておくね』

 

 ステラからデータが送られてくる。部分部分にチタウリの技術が使われているらしく、デシメーションの際の混乱で流出したものが使われた可能性が高かった。

 

『そっちは派手だな。ダンバーズの見つけた奴なんだがこっちは警告しても逃げる逃げるで反撃はしてこねえ。拍子抜けしたけど気合い入れて、軍艦らしき船に乗り込んだわけよ』

『危険なゴミの運搬船だった』

『フフ』

『おいこら笑うな。ゴミ臭くてたまったもんじゃ無いんだぞ、情報提供どうも』

『どういたしまして』

 

 アベンジャーズ・コンパウンドのミーティングルームにホログラフィックで集合しているのはオコエ、ロケットにネビュラ、キャロル、ステラ、ローディで、この場に実際にいるのはナターシャだけである。

 

「地殻変動の方はどう?」

『アレはアフリカプレートの沈み込み』

 

 ナターシャの問いにオコエが答える。

 

「映像は? どう対処する?」

『ナターシャ、海底で起こっている地震よ。出来ることは事前の危険地域の選定と避難場所の確保だけ』

「わかったわ、キャロルは来月はどう?」

『地球に戻るのは難しいわね。ここで起きてるような問題が宇宙でも多発している。しばらく帰れそうにないわ』

「残念、戻ったらエステサロンでもいきましょう」

『楽しみにしてるわ』

 

 ナターシャとキャロルが笑い合う。

 

『わたしは残ってるのを終わらせたら戻るよ。ヨーロッパのお土産なにがいい?』

 

 ステラがみんなを見回す。

 

『お、じゃあ俺になんかお守り的なの買ってくれよ。船に飾れるようなやつ』

『わかった』

『いいセンスのを期待してるぜ』

 

 ロケットはこの時知らない。トリコロールカラーのエッフェル塔の模型を渡されることになるとは。

 

「それじゃ、このチャンネルはいつでも開いてるから、トラブルが起きた時はいつでも連絡してちょうだい」

『了解』『またね』『気をつけて』『じゃあな』『じゃあね』

 

 皆が消えていく中、キャロルに『幸運を』と声をかけられローディだけが残る。背を伸ばしていたナターシャがそれに気付いて恥ずかしそうに手を下ろした。

 

「今どこ?」

『メキシコだ。警察が一室で大量の死体を見つけた。麻薬カルテルの連中のな』

「カルテル同士の抗争でしょ」

『いや、そうじゃない。バートンの仕業だ。あいつは数年間、あちこちでこんな事をして回ってる。正直……見つけるのが怖いな』

「……次のターゲットを探って頂戴。ステラには内密のままで」

『わかってるとも』

「お願い」

『任せておけ』

 

 ローディが消えて今度こそ背伸びをすると、会議が終わるのを隠れて待っていた者に声をかける。

 

「食事でもしにきたの? あいにくピーナッツバターしかないわよ。スプーンなら貸すから舐める?」

「さすがに健康に悪そうだ、やめておくよ」

 

 影から顔を出したのはスティーブだ。超人兵士は五年経っても変わらない肉体と容貌を維持していた。

 

「で、なにしにきたの? 洗濯?」

「友達に会いに」

「お生憎、私しかいないけれど結構元気よ」

「そうみたいで良かった。ブルースは?」

「彼も元気よ。結婚したの」

「それは……おめでとう。式は?」

 

 イスに積まれていた雑誌を退かしてスティーブが座る。なんだかカウンセラーみたいである。

 

「二人だけでこっそり、こんなご時世だもの」

「なら、君たちは先に進むといい。ここに留まる必要はない」

「それまた言ったらぶん殴るわよ?」

 

 ナターシャが髪をかきあげる、毛先にアクセントとして残された以前染めていた時の金髪が赤毛と合わせてまるで炎のようだ。

 

「ここで私が得たモノは変えがたいの、立ち止まってここにいるわけじゃなくて、ここで私は進んでいるのよ」

「そうか悪かった。ここ数年ずっと残された人たちと話を続けてたから……つい癖になってしまってたみたいだ」

 

 スティーブが苦笑しながらピーナッツバターの瓶を持つ。なぜバターの瓶だけあるのか、普通パンもあるべきである。

 

「……昼どうしたんだ?」

「愛夫弁当よ」

 

 すっかり空になった弁当箱を見せびらかして微笑んでいると、ブザーが鳴る。空中をフリックして正面ゲート監視カメラの映像を呼び出した。映像を見てナターシャが首を傾げて、目を見開いた。

 

『おい! なあ誰かいる? 俺だよ! スコット・ラングだよ! 何年か前に……七年か? ドイツの空港であったろ? 誰か俺のこと知ってる人いるか? ほらでっかくなったりちっちゃくなったりするアレ、アントマン! 話がしたいんだけど入れる? 誰か開けてくれー』

「……録画か?」

「正面ゲートの監視カメラよ」

 

 それはデシメーションで消えたと思われていたヒーローの帰還だった。すぐさまゲートを開き招き入れれば、スティーブと再会できたことを大喜びだ。

 

「あ、美人さん初めまして俺スコット・ラング。またの名をアントマァン、よろしく」

「ナターシャ・ロマノフよ。よろしく」

「ええマジか! あとでサイン欲しいな……」

 

 一通りはしゃいだあと、スティーブとナターシャから事の顛末を聞いたスコットは顎をさすりながら考え込み始めてしまった。ブツブツと何か呟きながら動き回る様子は先ほどと打って変わって不審者である。

 

「……スコット、大丈夫か?」

「ああ大丈夫、なああんたら量子物理は知ってる?」

「……教養程度なら」

 

 スティーブはハテナを浮かべつつも顔に出さずナターシャの方を見た。

 

「五年前だ、サノスがやらかす前、俺は量子の世界にいた。量子の世界ってのは、そう虫眼鏡でも見えないくらいはちゃめちゃにちっちゃい世界で、ホープ……彼女は俺の……大切な人だった。サノスのバカのせいで戻してくれるはずだった彼女が消えて……俺は量子世界に閉じ込められてた」

 

 五年間の間、孤独に耐えたスコットを慮る。

 

「大変な五年だったわね」

「いや違う、俺には……体感五時間しか経ってない、帰ってきたら娘が超絶美人にグレードアップだ成長過程見たかったなぁマジサノスクソだ」

 

 サノスを罵倒しつつスコットが持論を展開していく。

 

「量子の世界にここのルールは通じない、つまり全く予想がつかないんだ。誰か甘味もってない頭が糖質を欲してるんだ」

 

 スティーブがピーナッツバターの瓶を。ナターシャがスプーンを差し出した。

 

「量子の世界はここと時間の流れが違う、今は無理だがこれが制御できたら? 今は不可能だがその世界を自在に動き回れるようになれば? そうすればある時刻に量子の世界に入って、別の時刻から出てこれるんじゃないか? サノスのアレの前とかに」

 

 スコットがピーナッツバターを舐めながらそんなことを言っているのでスティーブが思ったことを言う。

 

「スコット、タイムマシンの話か?」

「いいや違う、全然違う。言うなれば量子デロリアン、いや量子ドラえもん、違うなえーと……そうだよタイムマシンだよ。突拍子も無いが、どうしても考えちゃうんだ。無理なのはわかっててもな、イカれてる」

「スコット、アライグマは喋るし、女の子はビームを放つし美女は宇宙を飛ぶのよ? イカれた話には驚かない」

 

 うんうんとスティーブが肯定する。

 

「誰に相談すればいい?」

「思い当たる節は、一人居るわよ」

「ああ、彼しかいない」

 

 三人は協力を求めアベンジャーズ・コンパウンドを後にした。

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