MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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タイムトラベル

 遂にタイム泥棒作戦に必要な要素がすべて揃った。GPSと連動し時間旅行者を望む時代の望む場所へ送り届ける新たな量子トンネル、それに対応したナノテク搭載の新型スーツ。そしてクリントが持ち帰った家族の野球グローブによって過去に戻りストーンを手に入れる事ができると実証された。

 過去跳躍するにあたりローディのウォーマシンアーマー及びステラのブースターウィングをアップデート。ウォーマシンは全体素材の変更を行いブースターウィングは腰の装着部から背中部分までをステラの身のこなしを阻害しないよう固定用のアーマーを追加し翼の可動部の剛性を上昇させ、背中の部分に白い星のマークがペイントされた。

 過去に戻るにあたりピム粒子の数が一人分足りない。居残りは機械の不調が起きても問題ないようトニー、ロケット、バナーの三人のうちバナーが残ることとなった。

 そこで不足したピム粒子の人数の中で、どのタイミングにどう飛ぶべきなのかを話し合う。あまりに分割してしまっては不慮の事態に遭遇した時危険だ。なるべく一塊で連携可能にすべきである。

 

「各自、何かしらのインフィニティ・ストーンと遭遇している。それを辿っていこう。ソー、リアリティ・ストーンは?」

 

 皆が振り返る。先程までロケットの言う通りストームブレイカーを降りまくっていたので汗だくで動かないソーを皆が見つめる。

 

「……寝てる?」

「いやいや死んでないかこれ? 誰かスポーツドリンク持ってきてくれ。氷も」

 

 頭に氷嚢を乗っけたソーがスポーツドリンクをガブ飲みしながらリアリティストーンについて語る。

 

「あーリアリティストーンとは言うが、正確にはこれはウルトラヘドロフォースみたいなヤバイ液体だ。エーテルが正確かな。で、コレ俺の爺さんが封印したらしいんだけど、ジェーン、あー当時の恋人のジェーン付き合ってた。彼女が触っちゃってジェーンの中にコレが入って、病気になった。だから俺はアスガルドに連れてって……ああ、アスガルドももう無いんだなぁ。まあ俺の彼女だから母に紹介……母も死んでしまって……ジェーンとももう会ってない……まあ」

「おい大丈夫かもう座れよ」

 

 若干トラウマを刺激して変になっているソーを座らせようとトニーが前に出るがソーはそれをかわして言葉を続ける。

 

「おい待てまだ話してる。この世に変わらないものは無いが、唯一変わらないのは永遠なんて無いって真理だ」

 

 トニーがソーの肩を持ちながら小さく拍手をする。

 

「名言だ、僕の辞書に書き加えとくよ、何か飲むか?」

「キンキンに冷えたビール……いや、水をもらうよ」

 

 次にパワー・ストーン。これはロケットとネビュラに縁が深い。余波的な意味でステラとも縁深いが。

 

「パワー・ストーンはクイルが惑星モラグから盗んだ」

 

 昼飯を食べつつ会議は続く。積まれたハンバーガーを吸い込むように食べていくステラをナターシャが今回は許すといった顔で見ていた。

 

「星って地球じゃなくて宇宙の話?」

「そうだとも。何も知らないのか? かわいいでちゅな〜」

 

 ロケットがスコットの額をペチペチ触った。

 

「ソウル・ストーンはサノスがヴォーミアで手に入れた。宇宙の中心でサノスは……姉を殺した」

 

 ネビュラのソウル・ストーンの説明を聞いていた皆が目を伏せる。

 

「タイム・ストーンこれはどうするんだ?」

「ドクター・ストレンジが持ってるはずだ。ニューヨークの……グリニッジだっけ?」

「サリバン通り?」

「いやブリーカー通りじゃなかったか?」

「え? ニューヨークに住んでたの?」

「そう、サリバンとブリーカーの角だ!」

「と言う事は……ある時期ニューヨークには三つのストーンが存在してた?」

 

 ソファーや椅子を並べてベッド代わりにしていた皆が頭を上げる。

 スペース・ストーンは四次元キューブ、マインド・ストーンはロキのセプターだ。ニューヨークの決戦の際は三つのストーンが存在していた事になる。

 全ての石の場所から三チームが編成される。

 

「よし……六つのストーンを、三チームで一気に獲る」

 

 皆が並ぶ画面の前にはニューヨーク/アスガルド/モラグ・ヴォーミアにそれぞれ六つのストーンが並ぶ映像が映っていた。

 

 バナーを除き皆が時間航行用スーツを見に纏い、そして全員が量子トンネルの上で円陣を組み拳を突き合わせる。この時ばかりはステラも髪を一本縛りにしてスーツの内側に入るようにしている。ロケット的にはその姿はニューアスガルドで見たラブとダブって見えた。流石にカノンランスは持ち込み不可である。手持ちは改良型ハンドガンとブラックブレードのみだ。

 

「五年前、我々は負けた。みんなが大切なもの……友人、家族、自分の一部を失った。今それを取り戻すチャンスだ。タイムトラベルは一回、ミスは許されない。だが確実にストーンを手に入れる。行き先が見知った場所でも油断するな、お互いを守れ。これは命を賭けた戦いだ何を犠牲にしてでも、必ず勝つ。だが……生きて帰れ、幸運を」

「スピーチうまいな」

「ほんと最高」

「よしやるぞ。頼んだブルース」

 

 トニーの言葉でバナーが装置の準備を進める。

 

「おい俺の船壊すなよ」

「わかってるさ」

「いや嘘くさいな……」

 

 小型化したベネター号がクリントの手には握られている。ヴォーミアとモラグ間を移動する為に必要な物だ。持ち主であるロケットが注意するがクリントは笑いながら答える。

 

「クリント」

 

 下からクリントに声が掛けられる。振り向けば準備を終えたバナーだ。それは見送る者の不安そうな眼差し。

 

「ナターシャを……頼む」

「任せておけ、漢と漢の……約束だ」

「大丈夫、問題なく帰ってくるわよ」

 

 ナターシャがバナーに微笑み、膝を折って手をかざした。

 少し体を大きくしたバナーと、量子トンネルの上と下で、ハイタッチをする。

 

「おい俺の船にはその約束ねえのかよ!」

 

 ロケットはクリントに不満たらたらのようである。

 ニューヨークにはキャプテン・アメリカ、アイアンマン、ブラック・ロックシューター、アントマンが。

 アスガルドへはマイティ・ソー、ガーディアンズオブギャラクシー・ロケットが。

 ヴォーミア、モラグにはブラックウィドウ、ホークアイ、ウォーマシン、ガーディアンズオブギャラクシー・ネビュラが。

 そして現代で待つはインクレディブル・ハルクだ。

 

「それじゃ、みんな一分後に」

「うん。一分後」

 

 少しワクワクするようにナターシャとステラが笑い、それにつられて皆にも笑顔が伝播していく。バナーも精一杯の笑顔で手をあげた。

 

「みんな……気をつけて。カウントダウン開始」

 

 全員の顔へマスクが装着されていく。ウォーマシンだけは形状が違うが。そしてキャプテンの盾、ステラの翼をナノテクアーマーが覆っていきタイムトラベルの準備が整う。上部安定板が稼働しタイムトラベルの現状に合わせた最適な形に稼働する。

 

「四、三、ニ、一、ゼロ!」

 

 量子トンネルが開き皆がそれに消えていった。小さくどんどん小さくなり量子の領域に至り、事前に設定された通り三チームが三つの時代と場所に分かれて時間を逆行していく。

 一人残されたバナーは皆がいなくなった量子トンネル上を眺めた。たった一分、されど一分。バナーにとって人生で最も長い一分間が幕を開けた。そんなバナーを窓の外から差し込む夕暮れの日差しが優しげに照らしていた。

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