MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
「一発目はハズレ、二発目はたまに直撃……」
「ねえこんなのと? 男の趣味悪くない?」
悶絶しているスターロードを見下ろしながらガモーラがネビュラに問いかける。ネビュラはなんとも言えない表情をした。
「木の枝かコイツかの二択だけれど」
「それだとまあ……」
ここにいるネビュラは襲撃の際に姿を消していたネビュラではない。両軍衝突の前、ガントレットを発見したナターシャが五年前ワカンダでの決戦で戦ったアウトライダー達に追われなんとか合流したネビュラの様子に違和感を感じた所、そのネビュラはサノスの手先の頃、2014年から現代のネビュラと入れ替わっていたのだ。
説得虚しく、過去のネビュラは今のネビュラに殺される事になった。
「ねえスティーブ、これどうすればいいの!?」
ナターシャが敵を倒し、ファルコンやナフェの援護を受けながらガントレットを守る。
「どこか遠くに運べ!」
「いやダメだ! 元の時代に戻さないと」
「どうやって!? ピム粒子はもう在庫切れだ! もし量子トンネルがあったって通り抜けた奴ごと適当な時間に放り出すだけだぞ!」
「ならやる事は一つ」
「ああ……確かにそうだ。作戦は一つ、戦う。だ!」
ステラとトニーが並びユニ・ビームをとカノンランスのビームがあたりを薙ぎ払う。少し離れた所で敵を殲滅していたドクター・ストレンジに気付きトニーが飛来して詰め寄る。
「おいドクターヒゲ、これがお前が言ってた七百万分の一か? ここからどうする」
「ドクター・ストレンジだ。何が起きるか明かせばそれは実現しなくなる、ちなみに誰が指を鳴らした」
「あそこで暴れてるスーパーガールだよ。ステラが鳴らした」
「……成る程」
ステラの方を目を細めストレンジが眺める。
「ヘマするなよドクター」
「そっちこそ」
再び二人は戦いに戻った。
アベンジャーズ軍勢に対し一騎当千の戦いを戦いを繰り広げるサノスが、ガントレットを運ぶナターシャを発見した。ナターシャはと言えばクリントの遺品である弓を背に片腕でバトンを振り回して敵を倒しガントレットを守る。
その付近へティチャラが衝撃波で敵を薙ぎ払いながら着地し、ナターシャからガントレットを受け取る。ステラ用に小さくなったガントレットは思いの外重い。全軍を真っ向から倒さなければいけなくなった以上なるべくガントレットは遠くへ運ぶべきだ。
そこへ飛来したサノスの両剣がティチャラに直撃し、あえて身を任せ飛ぶ事でダメージから逃れる、
ガントレットを奪おうと迫るサノスの前に三人の人物が現れる。
「よう紫ゴリラ、この間はよくもやってくれたな」
「今こそリベンジの時です」
「今度は……あんたなんかに負けない!」
ピエトロ、ワンダ、ヴィジョンの三人が構えを取る。
「誰だお前達は?」
「さあね? 今から覚えたって遅いかもな」
両剣を手に攻撃をしようとしたサノスの出鼻を挫くようにピエトロの高速パンチが炸裂する。武器を振るい迎撃した時にはもうそこにピエトロの姿はない。代わりにワンダの念動力で両剣が空中へ放り出され大量の飛来物をサノスが拳で迎撃、その影からヴィジョンが姿を表す。
ヴィジョンの透過攻撃で鎧の一部を粉砕されつかみかかろうとしたところでまたもピエトロの攻撃。そしてまるでつまみ上げられるかのようにサノスの体が宙に浮く。ガントレットはその隙にピーターが引き継ぎ移動していく。
流石のサノスも空中に釣り上げられてしまっては脱出の手段がない。
あたりを満たしていた陽光が消え暗闇となり、ヴィジョンの額にエネルギーが集中する。
ヴィジョンの破壊光線が放たれる。サノスが両手で防御したものの鎧は徐々に過熱し、光線はサノスの体を貫かんとジリジリと溶かし侵食していく。
「空から撃て!」
「サノス様!」
コーヴァスがサノスに向け持つ槍を投げ、サノスがそれを盾にする。ワンダとヴィジョンを守るようにピエトロが暴れ回る為誰も止められない。
「空から撃てと言っている!!」
サノスの命令に空のサンクチュアリⅡから砲台が迫り出し、地上を一斉攻撃。高エネルギーの攻撃にヴィジョンとワンダをピエトロが抱えて攻撃を回避していく。
「……なんだ?」
魔術師達が魔術で防壁を貼る最中、攻撃が一点に集中し始める。巨大な宇宙船の攻撃をただの一人が撒き散らす光弾が押し返していく。そこに立つのはステラだ。両手にそれぞれ変にペイントされたロックキャノンとカノンランスを手に持ち二刀流で毎秒二十連射かける二の秒間四十連射砲撃を空へ向け放っている。その莫大なエネルギー反応に破壊力はサンクチュアリⅡも攻撃を集中させざるを得ない。
サンクチュアリⅡがミサイルまで開き飽和攻撃を仕掛ける。それに対してカノンランスのフレームが開かれ極太の光線が飽和攻撃を飲み込みサンクチュアリⅡの右端から左端までを薙ぎ払って大爆発を起こした。
空を飛ぶ分には問題なくとも攻撃機能は失ったと言っていい。
その隙にサノスがピーターの持つガントレットに触れる。ピーターが渡すまいと抵抗しガントレットを奪い返すが、サノスの両剣から放たれた紫の光線に瞬殺モードの蜘蛛腕を消し飛ばされ地面を転がる。
「なんだ!?」
「おいあれは……」
再び念動力で拘束しようとしたワンダが紫の炎に焼かれかけヴィジョンが庇う。ピエトロの高速移動が全方位への無差別攻撃で対応され、ナフェとローディのアーマメントとスーツがそれぞれ半壊させられる。ペガサスに跨ったブリュンヒルデとラブが突撃を仕掛けるがペガサスの片翼に穴が開けられ墜落。近くでコーグとコーヴァスが殴り合い、コーヴァスが打ち勝つ。迫ろうとするエボニー・マウ率いる敵軍団をジャバリ族とエムバク、魔術師とストレンジが押しとどめる。ストレンジはチラリとトニー達の方を見た。
サノスがパワー・ストーンを奪取し両剣に組み込んだのだ。振われるたび紫の炎がアベンジャーズ達を包み蹂躙していく。振るうたびにサノスは蝕まれるが、二度のインフィニティ・ストーン行使に耐えた頑強なサノスの体だ。サノスが死ぬ頃には地球は火の海になっているだろう。
むしろインフィニティ・ガントレットと違い安全制御がなされていない為出力は今の方が上であるほどだ。
そこへステラがコーヴァスを蹴り飛ばして足場にしながら着地。サノスとステラが相対する。
「サノス!」
「小娘風情が!」
ステラの砲撃を弾きサノスが接近、ブラックブレードと両剣の鍔迫り合いになり、体格で押せるサノスが上から体重をかける。焼き切れそうなほどブラックブレードが両剣との接触部で過熱しているがその剛性に変わりはない。
ステラの左目から出る青い炎が火勢を強め、サノスが何かを感じとっさに両剣に掛けていた加重をやめ体をそらす。五年前のサノスなら死んでいた。石の力を持たないサノスだからこそ危機を察知できた。
突如両剣がバターのように切り裂かれ、サノスが体を逸らした先の空間にいたリヴァイアサンまでも輪切りになる。苦痛に歯を食いしばりながらサノスがストーンの力を行使、両剣に紫の炎を纏わせステラと剣戟のぶつかり合いとなる。
初めこそ拮抗していた剣戟のぶつかり合いが徐々にステラが弾かれ始める。ガントレットの指パッチンのダメージ回復、先ほどの極大ビームの薙ぎ払いでの消耗が響いてきているのだ。
ステラが無限の一端ならサノスの持つパワー・ストーンは持ち主が死ぬまでまさしく無限なのだ。押し負けブラックブレードごと弾き飛ばされたステラにサノスがパワーストーンのビームを放つ。
「させるものか!」
そこへスティーブが割って入りビームを盾で防ぐ。ジリジリと赤熱し融解こそしないものの塗装が火を吹き、裏の固定ベルトが煙を上げ始める。
「無駄だ、誰も私からは逃れられない。私は絶対なのだ」
押し込むビームにスティーブが踏ん張る。左腕から肉が焼ける音がし始め激痛に膝をつきそうになるが、その精神は折れず、折れない限り膝をつくことはない。
「ああそうかい、なら……」
サノスが声の主を見る。スティーブの後ろ。そこに立っていた。
フレームの開かれたカノンランス、それを構えるステラの背中を支えるようにトニーがいた。その体を纏うナノテクアーマーに、今着るマーク85以前、襲撃で無事だったマーク51からマーク84までのアーマー群のリアクターが飛来しマーク85へナノマシンを補充、さらにイノセント・カノンランスがナノマシンで補強され各所にそのリアクター群を直結。ステラの尽きかけたエネルギーを補助する。そして生成された受信機に向けソーがストームブレイカーから稲妻を放った。
「僕達がアベンジャーズだ」
「……ちょこざいな!」
トニー達のビームが放たれサノスのパワー・ストーンのビームと衝突し衝撃波でスティーブが転がる。
ぶつかり合いは徐々にサノスの側に傾き、ビームがトニー達に迫る。そこへサノスの顔面に向け矢が射られた。咄嗟に掴んだもののそれは大爆発しサノスを僅かに怯ませる。
ナターシャがクリントの遺品を使ったのだ。
「ソー!」
スティーブが一寸違わぬ精度でムジョルニアを投げ、ソーがそれを受け取る。ストームブレイカーから雷を放ちながらハンマーも天に掲げ落雷を受け止める。ストームブレイカー、ムジョルニアの二つから放たれたソーの雷神としての全てを込めた雷撃量にナノマシンの一部が破損し脱落しながらもエネルギーを伝達。
「今だ!」
後のことを考えない最大出力。過負荷に耐えかねリアクター達が爆ぜるか輝きを失って機能停止しながらもその全エネルギーをカノンランスを通して吐き出す。
サノスのビームを飲み込み、サノスを包んでサノスの両剣が融解する。
両剣が融け弾けたことでパワー・ストーンがサノスの手から離れる。鎧も吹き飛び全身を火傷に包まれながらも石に追い縋るが、それをバナーが阻む。
ステラは力を使い尽くしその場に立ったまま気絶。トニーも稲妻の余波がステラに達さないよう自身を避雷針にしたせいで感電し大ダメージを受け倒れて動かない。
「邪魔をするな!」
「邪魔なのはお前だ!」
共に防御を無視。サノスの右ストレートとバナーの右コークスクリューブロー。渾身の一撃が相打ちの形で互いの顔面を直撃する。
バナーが折れた奥歯を吐き出した。なんとか立ち上がろうとするサノスの体の上にムジョルニアが置かれる。
「なっ……」
どれだけもがこうとムジョルニアは選ばれた者にしか持ち上げることができない。サノスは動くことさえままならなくなった。ソー自身もはや雷一筋出せないほど消耗していたが、サノスの首を取るには十分な力が残っている。
「言い残すことはあるか」
ソーが斧を構えながらサノスに問いかける。サノスは脱力したように深く息を吐き、不敵に笑みを浮かべた。
「いいや、何も無いとも」
ソーの振り下ろしたストームブレイカーが、ギロチンの如くサノスの首を切り落とした。