MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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アメリカの高等教育を受けた事はないのでかなり変なところあると思いますがよろしくお願いします。


幕間(フェーズ3)
幕間/ミッドタウン高校


「あーみんなに新たな仲間が加わるぞ、もともとここの学校の通信教育を受けていたんだが、この間の指パッチンの影響で色々あって通学することになったステラ・シェパード君だ。学力コンテストクラブにも入ることになった! みんな仲良くね!」

「ステラ・シェパードです。好きなのはハンバーガーとバイクえーとスパゲティもミートソースが好きです。よろしくお願いします」

 

 ペコリとお辞儀をしたのをクラスの皆が拍手で迎える。特に男子陣は熱狂状態だ。黒髪をポニーテールの三つ編みにし、眼鏡の奥には美しい青い瞳。整った顔立ちは美少女と言って差し支えない。目敏い者は着ている白黒のチェック柄をあしらった服がシンプルながらもかなりの高級品だと言うことに気付いていた。

 のんびりぼやっとしていたピーターにネッドがバシバシバシバシ肩を叩きまくりすごいのきたと大興奮である。

 

「わぁ確かに美人」

 

 だがピーターの目線はMJの方に向いていた。新たな仲間にMJも祝福している。そしてピーター、ステラがスーパーヒロインのブラックロックシューターと気付いていない。というかクラスの誰も気付いていない。

 ステラ自体が一応のメガネや髪型で変装をしているものの、原因は主にソコヴィア条約に従っていた頃のステラに由来する。一番メディア露出が多くネットに出回る画像もこの頃のものだ。彼女と言えば左右非対称のツインテール、そして青紫色の瞳、そしてドでかいロックキャノン(広報用の偽物)なのである。ついでにステラの本名は公開されていない。関係者は知っている者が多いがブラックロックシューターの名が有名すぎて知名度としてはかなり低い。

 ピーターは今まで接点という接点が全くなかった為、スパイダーマンの自分自身が名前を隠している事から積極的に知ろうとせずブラックロックシューターの本名を知らなかった。

 

「ねえねえチアガール興味ない?」

「お腹に傷跡あるけど大丈夫?」

 

 女子の誘いにステラが服を捲って傷跡を見せた。そしたら気の毒そうな顔をされステラが首を傾げる。

 

「いけるいける! 今時腹出してる方が古いのよ!」

「じゃあやってみたい」

 

 今のステラの瞳の色は先週から徐々に変化し出したものだ。それに気付いたロスコルにより大慌てでバナーが検査、さらにワンダの念動力診断までした所、ステラの内にあった二つのうねりのうちの一つが消えていることが発覚した。元々後天的に青紫に変化していたのでむしろ戻ったと言うのが近いだろう。

 

「私がステラが昏睡してる時見たのは大きな力二つの激流。でも今は一つで安定してる」

「ステラは元々ストーンの力を受け入れられる特殊な体質をしている。指パッチンの時に流れ込んできたタイム、マインド、リアリティ、ソウルの四つのストーンの力を、もとより後付けされていたシング・ラブのエネルギー、つまりパワー・ストーンのエネルギーごと体外に排出したんじゃないだろうか?」

「成る程、どういうことですか博士」

「ほら毒物を飲むと体の外に排出されるだろう? あんな感じ。ステラの右腕も治癒の際に紫の炎が吹き出していたんだが、偶然収まりよく収まってただけだから治癒ついでに吐き出されたって事」

「私弱くなった?」

「いやむしろスペース・ストーンから流れ込んだ力はそのまま増強されている印象だね。パワーストーンの力が抜けた部分をそのまま埋めたような感じ」

「たしかに昔見た時に比べれば今の方がよほど健全な力の流れをしているわ」

 

 ステラの背に手を当てるワンダが目を開く。後ろで外見人間モードになったヴィジョンが心配そうにこちらを見ていた。

 

「科学的な面と同じインフィニティ・ストーン由来の力を持つワンダの診断だ。見た目が変わる以外問題はないよ」

 

 そんな感じで問題なしとお墨付きが付いてステラはこうして学校に通うことができた。通学にブラックトライクを使おうとしてロスコルに止められ、イジメられたり嫌がらせされたらすぐに言うんだぞと目が据わった顔のロスコルと約束したが、特に問題なく学校生活はスタートした。

 むしろ困惑したのは周りである。抜群の身体能力でチアリーディングをすぐ覚え、キレのある動きで周りに驚かれたり。

 

「ピーター、これ使える?」

「えっどこからこんなのを?」

「お父さんが余ったのをもらってきた」

 

 ピーターやネッドのようなギークに紛れて機械いじりをしたり(その時父がスタークインダストリーに勤めていると判明)。

 信頼を置かれているが、一匹狼として名高いMJとフツーに会話を弾ませたあたりで皆が気付いた。

 彼女は学内カーストに属さないタイプ、俗に言う不思議ちゃんタイプであると言うことに。

 

「ハンバーガー好きなの?」

「うん。好き、ミシェルも食べる?」

 

 見た目にそぐわない勢いでハンバーガーを食べていたり放課後になるとふらっと姿を消して登校の際もふらっと現れ、好奇心から後をこっそりつけて見ようとして生徒達はことごとく彼女を見失った。

 誰彼分け隔てなく接するのと転校生であるというのが手伝って基本的には不干渉の存在として扱われることになった。

 やけにピーターに絡みに行くので気になるブラッドやユージーンからはピーターが若干恨まれることになった。ステラはピーターがスパイダーマンと知っていて、ロスコルも元々通信教育の元となる学校であったことと、スパイダーマンがいる学校なら大丈夫だろうと許可したわけなのであるが、ピーターは気付いていない。すれ違いである。

 

「なあ、なんであんな美少女に構ってもらえるんだ? 五年間消えてた分の幸運が今一挙に来てるのかな」

 

 さっきまでステラと喋っていたネッドが白昼夢でも見ていたかのように自分の頬を叩いている。ピーターはそれを笑わない。自分だってMJに話しかけられたらそういうことになりそうな気がするのだから。

 

「どうだろうね……というかその理屈だとなんで僕こんなに忙しいの? いやまあおばさんの手伝いなら喜んで行くけどさ」

 

 ピーターといえば消えて戻ってきた人々の支援をするメイおばさんのパーティーに出たり親愛なる隣人としてニューヨークを駆け回ったり、主要メンバーが全員戦線離脱したアベンジャーズの次の中心人物、つまるところ後継者として周囲から期待されたりと多忙である。

 五年前はアベンジャーズのようになりたいと熱を燃やしていたのにここ数ヶ月を過ごす内に期待が重圧に変わってきているのをピーターは感じていた。

 あともう半ばまで終わっていた授業内容を最初からやり直しにされたのは嫌だった。これに関しては五年間消えていた学生全員が思っている事だろう。

 

「みんな、また明日!」

「「「またねー」」」

 

 授業を終えるとステラがみんなに手を振って去っていく。それにみんなで返すのがここ最近のお約束となってきていた。

 ピーターもネッドと別れ家に帰り始める。帰りがけにアーチェリー部と弓道部が練習スペースを確保する為争っている場面に遭遇するが、部の問題なのでスルー。ミッドタウン高校は両方の部活に十分な敷地が用意されているが、両部とも入部者が激増したらしい。

 世界中で死を悼まれ続けているホークアイの影響だ。

 ニューヨークの摩天楼を飛び回っていれば、強盗が発生したらしく、逃げる車両を見つけて糸をタイヤに絡ませ安全に停止させ、中から出てきた強盗犯を銃を絡め取って殴り地面に貼り付ける。

 

「くそっ! 消えてた間に仕事も家も無くなってたんだ! 俺にどうしろっていうんだ!」

「なら銀行に行く前に支援団体にでも行けば良かったね」

 

 強盗を警察に引き渡して感謝され、周囲を野次馬とマスコミに囲まれながらまたニューヨークを駆ける。人々が戻ってからこういう事件が多発している。

 

「スパイダーマン! アベンジャーズの後継者として今後の方針は」

「あーそういうのは後! 僕ヒーロー活動に戻るから!」

 

 逃げるようにウェブシューターで空に飛び上がる。

 消えた人々からすれば理不尽な話だ。五年が一瞬で経過した。つまり今まで築いてきたモノが一瞬で崩れたのだ。それをピーターも経験している。メイおばさんも一緒に消えるか、信じてピーターの部屋をそのままにしていなければピーター自身も同じ目にあっていたかもしれない。

 混乱の時代だ。だから人々は象徴を求める。

 とあるビルの屋上に降り立ったピーターは、地球にアベンジャーズアリと知らしめた、初代アベンジャーズ達の後ろ姿を描いた看板を眺めながら小さくため息を吐いた。絵に描かれた背中だというのに、その背はとても大きく見え、そこに乗っていた責任を果たせるか、ピーターは不安になった。

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