MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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ホテルにて

 夜になりホテルで皆と寛いでいると、テレビが昼間のニュースを届ける。イタリア語の謎の人物という言葉を聞き違えてフラッシュが"ミステリオ"と呼んだ名前が広まっていく。あと一緒に戦ったピーターは"インセクト"とか勝手にネーミングされフラッシュにスパイダーマンのパクリ呼ばわりされた。

 夕食を食べて一息つきピーターはネッドと共に部屋に戻った。

 

「水の怪物をどう倒すんだ?」

「もう死んだみたいだけど、そうだでも何かあれば……ミステリオが元素って言ってた。水に効きそうな攻撃って何だろ?」

「それは……草とか電気とか?」

「いいね名案。あれがまた出たら発電所とか変電所に連れ込んで電気で痺れさせよう。僕たちの夏休みを邪魔するって言うならあの怪物を倒してMJとのデートを勝ち取る」

「雷神ソーとかいればなぁ」

「それは言ったらおしまいだよ。僕はバトンを渡されたんだいつまでも頼ってちゃ……」

 

 ピータームズムズが発動し横を見るとなんとフューリーがソファに腰掛けている。

 

「あっネッド待っ」

「んどうしたピーター幽霊でもいた? ヴェネチアンゴーストォ

 

 ネッドが続いて入ってくるのを止めようとして入ってきたネッドの首に麻酔がぶち込まれ倒れるのをピーターが抱き止める。

 

「ちょっと! 流石にやることがダメじゃないですか!?」

「君と連絡を取るのが難しくてな。心配ない弱い麻酔だ」

 

 ネッドを優しく横にして上から毛布をかけてやる。

 

「嬉しいよ、ようやく君に会えて。スタークを通して間接的には会っているが、直接会うのは初めてだ。初めまして? スパイダーマン」

「え、あー初めまして。ニック・フューリー」

「なんたる僥倖。君をここに呼ぶつもりだったが、君に避けられていた。スタークにお願いしてみてもはぐらかされる始末でね。だが君はきた。求めていた場所へ。良き偶然だ」

「……本当に偶然ですか?」

「以前は全てを把握していた。だが五年が経ち戻ってきて、何もわからない。情報も、チームもない。高校生のガキには電話をスルーされ知り合いにはそれを庇われる始末だ。……分かっている事を話そう」

 

 そうして機械をテーブルに置くとそこから地球の映像が投影される。

 

「事の始まりは一週間前。メキシコのとある町がサイクロンで破壊された。そのサイクロンには顔があったらしい。その三日後に、モロッコで似たようなことが起きた。村が破壊され」

 

 そこで扉が叩かれる。開けっぱなしの扉の先にいたのは先生だ。フューリーが中に入って来た瞬間麻酔を打つ気満々の構えを見せてピーターが誤魔化し、ネッドが寝ているのを見て安心して帰っていった。ピーターはドアを閉めた。

 

「……村の破壊は、世界の新たな脅威が」

「ベイビー起きてる? メールしても返事がないけれど」

「あぁ! ネッドならもう寝てるよ!」

「そうなの? 本当ね、ゆっくりお休み、ベイビー」

「……あー今のはそこで寝てるネッドの彼女です、すいません」

 

 次はベティの襲来をなんとか誤魔化す。

 

「世界の脅威が」

「ピーター、先生が運河の水は危なかったって、ネッドは大丈夫?」

「うん大丈夫! 気持ちよく寝てるから! 何かあったら知らせるよ!」

「わかった」

「……今のはテリア、クラスの不思議ちゃんです」

「……テリア、ね。次に誰か来たら葬式をしないといけないな。スーツを着ろ」

 

 そう言われアイアン・スパイダーを身に纏うとヴェネチアをピーターはフューリーと共に移動する。

 ボートで移動した先はヴェネチアの地下。そこでフューリーからマリア・ヒル、ディミトリを紹介される。

 そして最後に立っていた人物、紹介ではミスター・ベックと呼ばれた男に思わずピーターはつぶやいてしまう。

 

「ミステリオ……!」

「何?」

「あ、いやクラスメイトが貴方の事をそう呼んでて」

「そうか。クエンティンと呼んでくれ。今と少し姿が違うが……実に冷静な対処だった。君の助けが無ければ負けていたかもしれない」

 

 ピーターとベックが握手を交わす。フューリーの関係者だからスパイダーマンを知っていたのかと安心した。

 

「……僕の世界にも君がいればな」

「ありがと……僕の世界?」

「ああ、彼は別の宇宙(アース)から来たんだ」

多元宇宙(マルチバース)だよ。ここはアース616、僕はアース2035から来た」

「なら多元宇宙は存在するんだ! 理論だけだと思ってた。初期特異点の解釈も変わっちゃうし永久インフィレーションに関わるし量子揺らぎにもどう影響するわけ!? めっちゃすご……すいませんテンション上がっちゃって」

 

 マリアとディミトリがこっちを見ている事に気付いて少し恥ずかしそうにピーターはした。

 

「謝るな、人より賢いだけだ」

「……本題へ」

 

 ホログラフィックは当然フューリーが持っていた携帯用のものよりはるかに高精度だ。それが次々に、ベックの説明に合わせ映像を流していく。

 

「奴らはブラックホールの事象の特異点近傍で剥離した元素が集合し生まれた存在、科学局は学名をつけていたが、我々はエレメンタルズと呼んでいる。火、水、風、土、この四元素だ」

「似たものは各地の神話に」

「マイティ・ソーも、神話の存在だったけど今は物理の授業で話されるようになったよ」

「奴らは僕らの世界に現れ、戦った。だが戦うたび強くなった。僕は奴らと戦う最後の部隊に配属されたが……抵抗虚しく、大切なものを奪われた」

 

 ベックが歯を食いしばる。ピーターにはその怒りが本物だと感覚で理解できた。

 映像の地球が火に包まれ崩壊していく。

 

「そのエレメンタルズがこの世界に来たわけ彼の世界と同じ座標に出現している」

「すでに風、土、そして君たちの協力で水も倒された。残るは火のみだ」

「僕達の世界を滅ぼした元凶。最も強い」

 

 ベックが薬指の指輪を無意識に触っている。ピーターはそれを見て目を伏せた。

 

「約四十八時間後にパリに現れる」

「……僕だけで良いんですか?」

「何?」

「貴方ならペーペーの僕だけじゃなく誰か仲間を呼んで万全を期するんじゃないんですか?」

「……君は託されたろう。私は年甲斐もなくロマンチストでね、君に託した男を信じた。そして君は事情を聞いた今、自分で戦う事を前提に増援を呼ぼうと考えている。君が逃げ出そうと言うならばそのつもりだったが……合格だ。高校生のガキなんて呼んで悪かったな」

 

 フューリーが初めてピーターに微笑みを見せた。ピーターの内でトニーの言葉が蘇る。

 

「託された……ならやってやります僕達の世界を壊させやしない!」

「いい目だ。君ならきっと大丈夫、この世界を救える」

 

 ベックがピーターの肩をポンと叩いた。

 

「一つだけお願いがあります。僕たちの旅行、これからパリに行くんです、どうにか安全を守ってはもらえませんか?」

「任せておけ、ヒーローが安心して戦えるようにするのも仕事の一環だ。ディミトリ 、表まで送ってやれ」

 

 その発言をマリアがなんとも言えない目で見ていた。ディミトリに連れられピーターは秘密基地を後にホテルに戻った。

 そうして翌日、ホテルから出て来たピーター達を先生が嬉しそうに案内を始める。

 

「聞いてくれ、ホテルのことできつく言ったら旅行会社がアップグレードしてくれた。いやぁ聞かせてあげたかった担当者の泣く声を」

「ネッド、昨日は……」

「いいとも謝るなよ。ニック・フューリーに麻酔銃で撃たれるなんて滅多にない体験だぜ?」

「それよりフューリーにお願いして僕が戦う間みんなの安全を守ってもらうから行く場所変更になるかも……そしたら僕ヴェネチア運河腹痛でみんなと別れるから……」

「おいMJとのプランはどうするんだ?」

「また破綻した……」

 

 ピーターがげんなりした顔をする。決意は揺るがないがそれはそれとして悲しい。しょんぼりしたままバスに辿り着く。なんかバスがゴツい。見た目ではわからないがロケットランチャーにも耐えるVIP用のバスだ。そこで昨日会ったディミトリがウェルカムとボードを持って待っていた。

 

「さあいざゆかん花の都パリへ! ホテルもパワーアップだ楽しみにしてなさい!」

「えっ」

 

 先生の言葉でピーターが顔を上げる。旅行自体は壊さないフューリーの粋な計らいであった。

 

「なあピーター、パリが危険なんだよな?」

「え、うん」

「頼むぞピーター俺達を守ってくれ!」

「それは絶対、そのつもりだよ……!」

 

 ピーターの目線はテリアと談笑するMJに向けられ、MJがピーターの方を見てサッと目を逸らしてしまった。

 

「そう言えばテリアの腰に巻いてるパーカー、確か限定生産のヒーローレプリカパーカーシリーズだぜ? 意外とテリアもスーパーヒーロー好きなのかも?」

「それ本当かネッド」

「うわっフラッシュ」

「俺もスパイダーマンの限定品持ってるんだ。意外と話が合うかもしれねえ」

 

 そうしてバスに乗りながらテリアにフラッシュが突撃していき、空いたMJのとなりの席にピーターは滑り込んだ。悔しそうにするブラッドを尻目にピーターは小さくガッツポーズをした。

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