MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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ロンドン

「F.R.I.D.A.Y.! ロンドンのフューリーに繋いで!」

『通信状況が非常に悪いですね。増援を警戒しているようです』

「違う、フューリー周囲の通信状況だけ物理的に妨害されているんだ。そしてアベンジャーズ出動レベルの強大な敵を演出、ブラックロックシューターが動かざるを得ない状況を作っているんだ。それにしても動かしやすいな……」

『当然です。私を誰だと? アーマーのサポートに関して私の右に出る物は存在しません。ミステリオアーマーの技術は良いものがありますがシステム面は下の下ですね。マスターに及びません』

 

 ピーターを抱え飛ぶベックの言葉にアーマー管制を乗っ取ったF.R.I.D.A.Y.が答える。その声は何処か自身ありげな声が滲んでいた。ちなみに飛びつつもミステリオアーマーのシステム面は一切合切破棄されアイアンマンの補助システムを参考に片っ端から最適化されていっている。

 

『やあピーター、それに……いや、流れは聞いたよ、ミステリオ、君もアベンジャーズだ。僕も向かっているがなんせ住んでるのはカルフォルニアだ。戦力の逐次投入は下策とキャプテンに怒られそうだよ。家でいちゃついてればいいのに。兎も角先鋒は君たちだ。頼んだよ』

「任せてスタークさん!」

「なんか変な気分だな、捨てられたのに認められるって言うのは」

『知らないのか? 僕は意外と仲間には甘いんだ。F.R.I.D.A.Y.』

『マスターより権限を確認。通信障害に備えミステリオアーマー及びアイアン・スパイダーへ演算バックアップAIのインストールを行います。イーディス? カレン?』

『おはようございますミステリオ、私はイーディス、貴方のサポートとドローン管制を行います』

「よろしく頼む」

『お久しぶりです。最近ハイテクスーツを着てもらえず残念ですよ』

「わっそれに関してはごめんなさい!」

 

 それぞれにサポートAIがインストールされる。ピーターの方はハイテクスーツをサポートしてくれたカレンが出張してきた。

 

『増援を申請、二十六機の多目的ドローンを軌道降下させます』

「なんだって?」

『既存のドローンとの編隊行動に組み込むことで投影能力攻撃力倍増しです』

「それは嬉しいな?」

 

 カルフォルニアで空を飛びながら聞いていたトニーがやっべE.D.I.T.H.としての権限のままだったと気付き慌ててイーディスの権限を一つ下に下げる。

 

「いいなぁ僕も何か」

『アイアン・スパイダーはナノテクですからお求めのものがあれば作れますよ』

「えっ!? なにがいいかなぁ悩んじゃうなぁ」

『おいおい遠足前の子供じゃないんだバナナはおやつに入らないぞ』

 

 ミステリオとスパイダーマンはロンドンへ空を飛び続ける。

 その道中を見た人々は空を見上げ口々に言う。あれはなんだ? 人か? アイアンマンか? マイティ・ソーか? 違う! あれはミステリオにスパイダーマンだ! と。

 

「ねえ今ロンドンの様子は?」

『現在タワーブリッジ近辺にエレメンタルズの幻影が出現した模様。映像一覧を検索、ピーター、あなたの友人が動画を放送しています』

「出して」

 

 ピーターのマスクの中で映像が映される。風と瀑布のような水飛沫を撒き散らす巨大なエレメンタルズの手前、そこにツインテールを風に揺らし背に白い星のパーカーを纏った少女、ブラックロックシューターが立っている様子が映っていた。

 

『おわーーーー! うおわー! ふぉっふぁ!?!?』

『本物だ!』

 

 音に負けない勢いでフラッシュが奇声を挙げ生放送でブラックロックシューターが戦う様子が遠巻きにうつされ続けている。フラッシュの動画配信ページの視聴者数が鰻登りで増えていっていた。

 

「まずいよ! 止めないと!」

「いや! それよりは元凶を断つべきだ」

 

 北海南端を掠めながら最短経路でロンドンへと至る。しかしタワーブリッジ近郊ではなくその手前、グリニッジ公園に接近していく。軌道上から降下して来たドローンが追随する。チタウリ技術で作られたモノではなく、スタークインダストリー製の地球で作られたと言ったデザインのドローンだ。

 

「イーディス、ステルスカモフラージュだ」

『かしこまりました』

 

 ドローン同士が互いに姿を隠し合いピーターとベックは景色に溶け込んだ。

 

『エネルギー反応、公園全域から発せられています。ブラックロックシューターの放出エネルギーと相似』

「向こうもこちらと同じ隠蔽手段を使ってる、だが僕なら弱点も熟知している。イーディス、ドローンでグリッド状に赤外線を投影、反射波と光学の差を出してくれ」

『はい、どうぞ』

『はいピーター、イーディスからお裾分けです』

「ありがとうイーディス、わっすごい!」

 

 ベックとピーターの視界に共有された映像は光学と赤外線グリッド探査光の反射の差異を視覚的に表してくれていた。そしてそれによれば公園の一角に不審な場所があることがわかる。

 

「僕も! ドローン対策考えて来たよ!」

 

 ウェブシューターで編み込んだ大型のネットのようなものをベックにつなげてピーターが飛び降りる。隠蔽範囲から出たピーターを重しに風で大きくそれが広がり見えない何かを絡みとっていく。隠蔽用のドローンだ。

 そしてドローンの不足でハゲたホログラフィックの内側にはホログラフィックやドローン管制を担当していたミステリオチームの面々、そしてピーターが見たことのある顔、ブラックオーダーのエボニー・マウの姿があった。

 

「猿め、自爆で道連れにもできないとは役に立たない」

 

 車椅子に乗ったまま被っていたディスプレイを外し、エボニー・マウは周囲の物体を持ち上げピーターに向け攻撃を仕掛けた。

 

「手応えが……ない?」

 

 ピーター達がグリニッジ公園に到着するまでの間、ステラはタワーブリッジからエレメンタルズを引き離しつつそれに対して応戦を続けていた。水面を推力に任せて足で蹴り水切りのように跳ねながらエレメンタルズのパンチを躱す。小型ロックキャノンから砲撃を放てばそれが着弾し大量の水蒸気を発生させその部分を破裂させる。

 ()()()()()()()()。自己の力を過信している訳ではないがナノテクで作られたインスタントロックキャノンでもイノセント・カノンランスの砲撃の七割の出力を持っている。水、岩程度ならば容易く貫通する代物だ。だから発射位置を水面付近を主体にして下から上空へ、もしくは上からテムズ川に着弾するように調整しながら撃っている。適当に撃ってビックベンにでもかすろうものなら倒壊不可避の破壊力を秘めているのだ。

 ヴェネチアのように無尽蔵に体を構成しているようにも見え、ブレードにエネルギーを込め縦真っ二つに両断すれば風と炎が血液のように吹き出した。

 言い方はアレだがミステリオの戦いに比べド派手である。轟音爆音が鳴り響き強烈な光条が真昼間のロンドンを照らす、周りの人々からは神話の戦いのようにさえ見えた。

 しかし、その実態は違う。透明化したドローンかエボニー・マウに視界を届け念動力を補助、ステラの砲撃に合わせ特殊なエネルギー吸収用ドローンが三機連携しその砲撃の光線を投影ドローンの内部で吸収、吸収に合わせて炸裂している演出をしているにすぎない。

 しかしブレードによる切断攻撃は吸収することができない。よってなるべくブラックロックシューターが砲撃戦を選んでくれる動きを狙い、それは成功ししばらくの間戦いが繰り広げ続けられた。

 

「フューリー、キリがない」

『タワーブリッジや両岸からは引き離せているようだな……以前ミステリオが火のエレメンタルズは地殻からエネルギーを得ようとすると証言していた。その複合エレメンタルズはもしやそれを既に行なっているのでは?』

「試してみる」

 

 テリアが攻撃を避けて水面を水を切りながら後退、テムズ川の端に着地する。野次馬は大興奮である。

 

「危ないよ、下がってて!」

 

 ステラがそう言ってても聞く耳持たずである。英国はブラックロックシューター人気が高いのが悪い方に出ていた。

 飛び上がってからブースターを吹かしエレメンタルズの真上に到達する。足甲がロックキャノンに合流し、変形、三つのフレームが開き内側にビームの照射装置が形成されていく。見るものが見たならそれはカノンランスの極太ビームの予備動作と同じだとわかったろう。

 目的はエレメンタルズの真下。地殻からエネルギーを得ているならそれを最大火力でぶち抜くつもりだ。手応えの無さから本体はむしろ地殻側にいるのではと危惧もしていた。

 アベンジャーズではソーやハルク、ステラにだけ許された力によるゴリ押し。

 ここでピーター達が戦闘地点から8キロ先、グリニッジ公園でエボニー・マウの隠蔽を暴き、エレメンタルズの動きが止まる。

 直上から真下に振り下ろされた神の鉄槌のような一撃は混乱で動きを乱したエネルギー吸収用ドローンを許容オーバーにし、複数のドローンを熱で融解、消滅させながら川底をブチ抜きそこに設置されていたエネルギー反応偽装装置も蒸発させた。

 投影ドローンが残っていたうちはステラの極太ビームに一見耐えているような様子だったエレメンタルズは、多量の水蒸気爆発と放射熱でその投影に参加していたドローンが全て機能不全に陥り、崩れるように姿を消すこととなった。

 ステラが橋桁に着地し、それに続いて雨が降る。エレメンタルズが復活しない様子にシティ・ロンドンは歓声に包まれた。

 そうして、人々に知られない戦いがグリニッジ公園で始まろうとしていた。

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