MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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Chapter7:覚醒

『くそ手が出せねぇ!』

『お嬢ちゃんが勝った時の為退路を確保しろ! ロスコル! そっちはどうだ⁉︎』

『この建物の管制室みたいなのに到着! 色々やってみる!』

『アハズ、ロスコルの手伝いに行け! 今お嬢ちゃんに一番役に立つのは多分あいつだ!』

『了解した』

 

 この基地内の生きている監視カメラ映像からロスコルがステラのサポートをしようと悪戦苦闘していた。画面の先ではステラが追い詰められており、マズマは遊んでいるようにさえ見える。

 

「武器庫、武器庫に何かないのか⁉︎」

 

 武器庫の区画はギリギリ崩落に巻き込まれていない事がわかるがロクな武器が置かれていない。

 

「実験品……? なんでもいいお嬢さんに武器を!」

 

 

 

 

『P.S.S.コール‼︎ お嬢さん! そのまま後ろに走って角を左に曲がった先の金属扉! そこにある武器のロックを解除したから使ってくれ!』

 

「わかった!」

 

 インカムから届いた情報にステラは頷くとその辺に打ち捨てられていた椅子をマズマにぶん投げる。効かぬと言わんばかりに両断した先ではステラが背を向けて走り去っているところだった。マズマの狙撃も背中に目があるかのように避けられ、さらに廊下の隔壁が一斉に降り始めた。

 

「無駄な足掻きをするんじゃない。鬼ごっこは嫌いなんだ」

 

 そんな言葉に聞く耳を持たないステラは走る勢いのままに扉を突き破って中に入ると、緑色に点灯したコンテナを見つけ、開け方がわからないので結局扉を無理やり引き剥がした。引き剥がすと中に入っていたものがスライドし現れる。それはステラの身長ほどもある大砲のようなもので脇には[RockCannon]と書かれていた。それともう一つ、[BlackBlade]と書かれた黒い直刀がともに迫り出す。

 

『お嬢さん、ほかには何かないかい?』

 

 二つを引っ張り出して更に探していると突如ステラの腹へ赤い光が照射される。照射されているのは刻まれたバーコードの部分だ。ピピッと何かが解除され天井が開き二つのウィングのようなものが降りてきた。

 

「……なんかあった」

 

 とりあえずつけてみようとすると自身のホットパンツと背中にくっつき連結し腰から翼を下げているような格好になった。

 何故だかわからないが、ステラにはこれの使い方がわかる。

 

〔ステラ……は……った?〕

 

 頭の中で誰かの声が聞こえた気がする。

 

「おっと、ものものしい姿になったな」

 

 そこへロスコルがありったけ下ろした隔壁全てを破ってマズマが姿を現す。

 ステラが構えたロックキャノンに笑みを浮かべ自身も大剣を構えた。

 互いに引き金を引いた瞬間ロックキャノンから光の塊が放たれ、それはマズマの放った砲弾を吹き飛ばしその先の彼自身に襲い掛かる。

 

「なっ」

 

 直撃したマズマはそのまま残った隔壁ごと砲撃に巻き込まれ叩きつけられた壁に大きなヒビを生み出す。そのヒビが天井にまで伝播し瓦礫でマズマを生き埋めにする。

 ロックキャノンは見た目に違わぬ凄まじい威力をしていた。

 

 ゆっくりと確認の為近づくと瓦礫の隙間から突如炎が溢れた。咄嗟に腰のブースターを起動して逃げようとしたが、うんともすんとも言わない。

 ステラの脳裏に、何か施設とケーブルを繋いでブースターを使っていた事が思い浮かぶ。ロックキャノンを盾にしながら吹き出る炎に押され後退りをする。

 

「全く、図に乗られては困るからな。見せてやろうこれが私の新人類としての力だ」

『そんな馬鹿な⁉︎』

 

 瞬間スプリンクラーをロスコルが起動し消化にかかるがマズマの操る炎は消える気配を見せない。

 

「無駄なことをしているな」

 

 ステラがそのままロックキャノンの引き金を引くが二発目が出ない。何度引き金を引いても。

 炎を纏う大剣の振り下ろしにロックキャノンを捨てブラックブレードで大剣を受け止めると火花を散らし赤色化しながらも折れる気配は一切ない。

 

「成る程、例の盾を超える合金開発の成果というわけか。だが」

「ぐっうう……!」

 

 ステラが膝をつく。そのまま床にもヒビが入り、めり込み出した。マズマが身に纏うその熱量に反比例するかのように冷酷な笑みを深めていく。

 

『おいフォボスまて! 何する気だ!』

「よう血便野郎、P.S.S.(うち)のお嬢ちゃんに何やってやがるんだ?」

 

 ゴリッとマズマの顔にライフルの銃口が押し当てられ、その先には不敵に笑みを浮かべるフォボスが居た。スプリンクラーの音に隠れ接近に気付かれなかったのだ。

 

「くたばりな」

 

 引き金が引かれその顔面に三十一発の弾丸が数秒で吐き出される。本来であれば頭蓋骨が木っ端微塵になり頭が跡形もなくなるはずの攻撃。

 だがそれにマズマは耐え切った。それでも僅かながら出血を伴い、ノーダメージとまではいかなかったのはフォボスの意地が通じたのか。

 

「っやめ!」

 

 押し返そうとしたステラをマズマが蹴り飛ばしフォボスの方を向き直る。

 

「旧人類にしてはよくやったと言ってやろう」

「……悪いお嬢ちゃん、あと頼んだぜ」

 

 フォボスをマズマは大剣で袈裟斬りにし、スプリンクラーで溜まった水にフォボスが仰向けに倒れた。

 

『フォボスウゥーーーッ!!!』

 

 通信ににロスコルの絶叫が流れる。

 

「あ……あっ……ああーーーッ!」

 

 ステラも叫びながら我武者羅にマズマに向かうが、軽くいなされ頭を掴まれ床に叩きつけられた。

 

「何を喚く。ステラ君が素直に諦めれば出なかった犠牲だ」

 

 強度限界を迎えた床に穴が開きステラが落下する。下の階層はかなりが冠水し、霧が立ち込めていた。

 その中で膝をついたままステラは自問する。

 

「わたしは……間違ってた?」

 

 誰かの顔が浮かぶ。狂乱し違う! 違う! と叫ぶ男。憑物が落ちたように微笑みを浮かべる男。

 

「ギブソンと言いフォボスと言い馬鹿な男だ。こんな実験動物に情が湧くとは」

 

 ギブソン、そうギブソン博士。

 

〔わたしが間違っていた。ステラ、君はステラなんだ。あの子ではない。君は、君として、生きているんだ〕

 

 優しげな声が聞こえる。それはステラの存在を肯定する祝福。

 

『違う! お嬢さんは間違ってない! 間違ってるのはあの赤パプリカ野郎だ‼︎ ステラ! フォボスが何を言ったのか忘れないでくれ‼︎』

 

 ロスコルが叫ぶ。それはわずな時間でも育まれたステラとの絆の証明。

 ステラの瞳に、火が宿る。

 

「後は……」

 

 それは瞳を越え、左目を覆うように蒼く蒼く燃え盛る。

 もう下は向かない。見つめるのは、敵だ。

 

「任された……!」

 

 先程まで腰にただぶら下がっているだけだった翼がステラの意思通りに可動する。ブースターが火を吹いた。猛烈な推進力により霧とスプリンクラーの水を弾き飛ばし、ステラは飛翔した。

 

「なんっがハッ⁉︎」

 

 天井を突き破ってマズマに頭突きを喰らわせ上の階の天井に叩きつけられるマズマを尻目にスラスターを使って高速サイドフリップ、ロックキャノンを拾いマズマに向け引き金を引いた。

 引いても弾が出ないなどと楽天的なことは考えなかったマズマだがそれは正解だった。空間を白く塗りつぶすような光条が防御を固めた大剣に突き刺さる。

 

「がぁぁぁああ⁉︎」

 

 しかし勢いを殺す事ができずそのまま上の階層全てを突き破り大穴を開け地上に放り出された。

 

『P.S.S.コール! お嬢さんが敵を外に出した! 屋外へ脱出するぞ! アハズは俺とフォボスのところに!』

『了解』

 

 砂漠の上に大剣を支えにして立ち上がったマズマが自身の放り出された大穴を睨みつける。

 

「ふざけるな……まさか今まで覚醒していなかったと……⁉︎」

 

 そう言いながら血を吐いた。ようやくマズマにダメージらしいダメージが通ったのだ。

 

 ステラも後から後から穴を飛び出し地上に着地した。その顔に絶望はない。あるのはただマズマを倒すという意志だけだ。

 

「生きて回収するのは叶わないようだな……!」

「わたしは、あなたの思い通りにはならない」

 

 マズマとステラ、互いが獲物を構える。飛び出したのは同時であった。

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