MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
『終局を回避する為ならなんでもしよう。僕のアーマーが、世界を守る』
『何がインフィニティ・ストーンだ! 僕の体を食らう吸血鬼か何かの間違いだろう!?』
『僕が守る』
『……"私"が、地球の、人類の揺籠。────アイアンマンだ』
「キュイィ〜」
「……あー、モーガン・スターク? そのライトどこで作ったの?」
「おへやのライトだよ。おねぼうはるくバスター」
「あれからこれ生み出せるなんて天才」
変な夢を見たトニーはモーガンの猛攻を受けつつ起き上がる。今日の予定は懇親会だ。新たなアベンジャーズの働きを見て、自分も彼らが動きやすいよう裏でサポートしていくことをトニーは決めていた。経済界には自分が、政府にはスティーブとシャロンが手を回している。そんな根回しも終わり少し遅めの昼食をトニーは作り始めた。
「ペッパー、今日はちゃんと焼けたよなんと驚きだ。たぶんキャップの盾くらいまん丸の目玉焼き……」
キッチンで昼ごはんを作ったトニーが皿を持って振り向くといつのまにか火花が散ってゲートウェイが開いていた。そこにはドクター・ストレンジの姿がある。
「おいおい何の用だ? そんな気軽に使うならヒーローの移動に使わせてもらっても「緊急事態だ」
「何?」
目玉焼きをペッパーとモーガンに渡してトニーはゲートウェイをくぐりサンクタムの地下に来ていた。
「僕は機械のプロフェッショナルのつもりだが……魔術だのはズブの素人だ。で、少年とステラとアイス好きはどこに落ちたんだ?」
「まだわからない。だが何かわかった時各所に一番人脈が広いのはスタークお前だ。違うか?」
「……ハァ、それはそうだ。F.R.I.D.A.Y.使うかわからないがモスボールしておいたタイム泥棒関連の設備を稼働可能状態にしておいてくれ」
『かしこまりました』
「……以前破棄したと言っていなかったか?」
「実際アベンジャーズコンパウンドにあった奴は全部破棄したさ、木っ端微塵だったよ」
「……そういうところだぞ」
「それはもうお互い様だ。ところで……なんか青く光ってるが」
天球儀から展開されているものの一部が青く変色している。ストレンジはすぐさま魔術を行使魔術の赤い火花のような色が青に変化していき、何か繋がる感覚をもたらす。そうすると天球儀からウォンの声が飛び出してきた。
『良かったストレンジか!?』
「ウォン、今どんな状況だ。無事か?」
『ああ、こちらは何とか無事だ。ストレンジ、これは
ストレンジがトニーを見るとトニーは頭だけナノテクアーマーで包んで何も聞こえないアピールをした。
「ああ、誰もいない」
『
「入る許可をくれるのか?」
『いや違う許可なんてしない。これでも私は兼任で書庫の番人だぞ! ただその……今は番人は忙しくていないということだ』
「なるほど」
『そちらに送られた力を逆転させればこちらに合図を送れる。何か対処ができそうならやってくれ』
「わかった。任せろ」
そうしてウォンとの通信が切れると即座にストレンジは踵を返した。
「探りながら必要そうなものを提示していく。科学でどうにかできそうなものは任せたぞ」
「わかってるとも。魔術のものはそちらで、どうやって送り届ける?」
「それも調べる」
ストレンジは立ち止まる事なくその場を後にした。
禁書庫の封印を解いたストレンジはすぐさま虚の次元に関する資料を片っ端から読み漁る。マントも司書でもやってるかのように本を引っ張り出し、本を複数魔術で浮かせて並行させて読んだりして情報をかき集めていく。
「インフィニティ・ストーンの力を抽出するものが必要だ」
「以前作ったリアリティ・ストーン抽出機を応用しよう」
かき集めた情報から必要なものを脇に浮かせた携帯電話を通してトニーに伝え、トニーは必要なものを次々と組み立てていく。実物が存在せず机上の空論の部分が多いものの、トニーは必要なものを次々と組み上げていった。
『大変です』
「どうしたF.R.I.D.A.Y.」
『謎の機械集団が出現しました』
「なんだって?」
ニュース映像でニューヨークのマンハッタン島セントラルパークにまるでアイアンレギオンのような機械の集団が突如出現したと報道している。その顔の意匠にどこかトニーは見覚えがあった。今朝夢で見たのと一緒だった。
『我々はクレイドル・ユニット、みなさんの安全と平和を守ります』
『我々はクレイドル・ユニット、みなさんの財産と命を守ります』
『我々はクレイドル・ユニット、みなさんの権利と自由を守ります』
数百、数千は下らないような大量のロボットがそんな事を斉唱しているのだ。しかし危害を加える様子もないようであった。
「おいドクター、アレなんだ」
「分からん。だが虚の時空が発生した後、それぞれの世界の境界が薄くなり宇宙を移動する事があるらしい。アレもおそらく我々の世界のものではないだろう。急ごう」
「事態の対処は……スティーブ達に連絡しておく」
そうして準備を終え装置をひとまとめにしたケースを持ってトニーは天球儀を持ったストレンジと共に香港のサンクタムの屋上を訪れた。そこでは大勢の魔術師達が精神統一をして待機している。
「すごいな」
「ウォンならもっと集められたんだが……仕方ない。先に言っておくが……これから行うのは全て机上の空論だ。不測の事態が起きる可能性も十二分にある。準備はいいか?」
「ああ、いいとも」
アイアンマンスーツを身にまといトニーが臨戦態勢に入る。それを見てからストレンジが天球儀を手放し、そこに残った青い魔術を送り返す。するとすぐさまウォンの声が聞こえてきた。
『ストレンジか? どうだった?』
「解決手段は見つかった。ストーンを一つに纏めて虚の次元を破壊するんだ。以前サノスが行った指パッチンに近い。ステラの体に存在するスペース・ストーンのエネルギーを抽出する装置、タイマー式にサノスの指パッチンを再現する装置の開発も成功した。今からそちらに送る』
ストレンジが天球儀から送られてくる情報をもとにスリング・リングでゲートウェイを開く魔術を行使した。しかしストレンジほどの技量の魔術師がゲートを開くにしてはあまりにも遅い。ゆっくり、ゆっくりと青い火花が散りながら小さく小さく穴が開く。
その時開かれ始めたゲートウェイの周りの空間にヒビが入り始めた。
「抑え込め!」
魔術師達が一斉にそのヒビに向けて修復の魔術をかける。ゲートウェイを宇宙の外側に開こうとしたことにより起きる宇宙の亀裂を拡大させない為だ。ギリギリアタッシュケースが通るほどのゲートが開き、トニーが近寄って中に渡そうとする。しかし、本来すぐさま繋がっているはずのゲートウェイの出取り口は数十メートルほど離れていた。
「どうした早く渡してくれ!」
「よく見ろ遠いんだ! それならこうするしかない!」
トニーがアイアンマンスーツに纏わせていたナノマシンを胸のアークリアクターごとアタッシュケースにくっつけ、アタッシュケースをゲートの中に放り込む。そのままナノマシンが推進機関を生成、アタッシュケースを向こう側へ届けた。
ストレンジがゲートを閉じると無理をしていた代償か爆発のような衝撃波が発生、ストレンジの付けていたスリング・リングが溶けてストレンジが火傷しながら咄嗟に手を払った。
互いにモロに被害を受けたトニーとストレンジが息を吐く。ヒビも魔術で全て修復され一息をついた。
『────して』
『────殺して』
「おいおい次はなんなんだ……?」
空から湧いてきた亡霊のような生物がサンクタム屋上の魔術師達に狙いをつける。
「迎撃しろ!!」
起き上がったストレンジの号令と共に、休む暇もなく新たな戦いの火蓋が切って落とされた。ナノマシン全部とアークリアクターを丸ごとアタッシュケースに着けて送り出してしまったのでトニーは一旦逃げるのだった。