MCU『ブラック★ロックシューター』   作:おれちゃん

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Chapter:6 三つ巴

『悲しんでる。理が壊れたこの世界で、誰よりも優しいのに、世界を巡らせる為殺さなければいけないから』

『あなたがいれば私は頑張れる』

 

 髑髏を二つ使役し、命の巡りを止めた世界で一人戦い続ける少女がいた。

 

『もう休んでいいんだよ。もう、世界の事なんて気にしなくていい』

『ダメよ。私が頑張らないと』

 

 彼女が心の拠り所にする少女もいた。

 

『大丈夫だよ。もう……頑張らなくていいの』

『ブラックロックシューター ?』

 

 少女は世界より少女の安寧を願った。

 

『────殺してあげる』

 

 だから、少女は反乱を起こした。

 

 

 パラリ、と頭の上に被った破片の感覚でステラは目を覚ました。体を起こして頭を振り辺りを見渡す。クレーターができていて、少し離れたところでピーターが倒れていた。外傷もなさそうなのでペシペシと頬を叩いてみるとゆっくり目が開き、一旦閉じてからカッと見開く。

 

「や、やあおはよう。みんなは?」

「わからない」

 

 仰向けに寝た状態から跳ね飛んだピーターが着地、ウォンを見つけて駆け寄るステラを横目に倒れているリアリティ・トニーとソウル・クリントを助け起こす。

 

「死ぬかと思った」

「ああ、私もだ久しぶりの感覚だ」

「二人とも元気そうでよかった」

「ピーター、ウォンが起きない」

 

 呼吸も外傷もないが、目を覚さないウォンをステラがお姫様抱っこして連れてきた。トニーがモヤからアーマーを生成、そこからスキャンの光を当てウォンを検査し異常が無いことを確認するとフカフカのベッドを生み出してそこにウォンを寝かせた。

 

「羽毛100%だ、ゆっくり寝かせ……おい待て、あの両手金属ガールは何処に行った?」

 

 拘束されていたであろう場所に推定マインドストーンの少女がいない。マトも居なかった。

 

「ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!」

 

 悲鳴か咆哮かわからない叫びが丘の向こうから聞こえベッドにウォンを寝かせたまま四人が戦闘モードで急行する。そこには紫の炎を帯びた鎖に全身を巻き取られ杭によって地面に無理やり押さえ込まれている推定マインドストーン少女がいた。傍にはマトが立っており、手を掲げると紫の炎の形をした薬莢や砲身ブレードが寄り集まるように輝き、存在が固定されたようにその右手には巨大な槍のようなモノがあった。ちょうどステラのイノセント・カノンランスのランス部分を主体に作ったような見た目をしている。それを拘束から逃れようとする少女の首に、まるで断頭台の刃のように据える。

 

「おい待て何をするつもりだ!」

「この子は心を石に喰われている。それを解消する術を私は持っている」

 

 止める間もなくマトのランスが振り下ろされ、四人は落ちる首を幻視した。しかし少女の首が落ちることはなく、代わりにその体から黄色い石がポトリと落ちた。

 

「マインド・ストーン!」

 

 ランスが振り下ろされた時点で少女は気を失っており、拘束していた鎖を消してマトが担ぎ上げる。ウォンの隣にもう一つベッドを作りそこに少女も寝かせた。ピーターが吹っ飛んでいたナノテクに包まれたアタッシュケース拾ってきて開くとそこには言っていた通りストーンを六個はめる装置とタイム泥棒作戦の時に見たリアリティストーンの抽出装置のようなものがあった。ピーターはとりあえずマトからマインド・ストーンを受け取ってはめ込む。

 

「抽出装置、何人分必要だ? 私も切り離せないからな……部品にスターク・インダストリーと情報が含まれてる。作ったのは別の私か」

 

 抽出機を複製する為こちらもリアリティ・トニーがスキャンを行う。そうして抽出機を複製し終え、リアリティ・トニーがストーンの装置に触ろうとした時、ピーターがそれを阻止した。

 

「……なんのつもりだ少年」

「……ほんとごめんなさい、咄嗟のことだったんだ……でも、すごく嫌な気配を感じた」

「正解だと思うわよ」

 

 そんな返答と共に、沈黙に包まれていた場にヒールの音がコツンと響く。そこにはデッドマスターが立っていた。

 

「そうよねぇ、魔が差すことくらいあるわよ吸血鬼さん」

「おい、どこにいたんだ?」

「そんな事どうだっていいじゃない。あなたの考えた事を代弁してあげる。この事象を解決したあと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って考えてるでしょう?」

 

 トニーの顔はその言葉に笑みひとつ浮かべていない無表情で返した。

 

「なんでわかったのかですって?」

 

 対して口角を上げたデッドマスターから二つの黒い髑髏が出現する。

 

「同じ事を私も考えてたからよ」

 

 リアリティ・ストーンで生成された棘の拘束具とデッドマスターの黒い鎖の拘束が同時にステラ達に襲い掛かる。回避できたのはスパイダーセンスを持ったピーターだけだ。

 

「クレイドル!」

 

 アーマーを纏ったリアリティ・トニーの拡散した赤いモヤからロボットアーマーが生み出されブースターで空を飛びデッドマスターの髑髏と戦闘を始める。

 

『我々はクレイドル。直ちに武装解除し』

 

 一体のアーマーが容易く破壊される。明らかに強さは髑髏の方が上であるが無尽蔵に生成されるロボットアーマーに徐々に髑髏も傷つき押されるが、タイム・ストーンの力で時間が戻り修復される。

 

「ダメだこれ取れない!」

「私のことよりどうにか二人を止めて! 石を全部手に入れるなら、上手くいっても二人が死んでしまう!」

 

 拘束されたステラ達をピーターが助けようとするが、ピーターをして異様な頑強性を持った拘束だ。何か手段はないかとピーターは辺りを見渡し始めた。

 投擲された大鎌でスーツの左腕が破損する。しかしすぐさま新たな左腕が生み出されビームを連続発射、デッドマスターの体を焼く。

 アイアンマンスーツはナノテクでなく合金で作られたものだ。だがリアリティ・ストーンの力で剛性とナノテクの応用性を兼ね備えた最強のアーマーと言っても過言ではなかった。デッドマスターが砕く端から再生、いや新たに生み出され続けている。逆にデッドマスターもどれだけ手傷を負おうとも時間が巻き戻され無かったことになる。

 まさに千日手であった。それをピーターは止めに入りたいが流石にアイアンスパイダーも何も無しにあそこに割って入るのは無理である。

 

「私が拘束を壊す」

「わっ君は!」

「私はストレングス。石を取ってくれて感謝する」

 

 

 ストレングスの巨大な腕がさらに二つ増え、四つの腕になり、その見た目に違わぬ剛力でステラの拘束を引き剥がしにかかる。それを横目にピーターはアタッシュケースにくっついているナノテクアーマーと、アークリアクターを見て閃いた。拾い上げるとアタッシュケースの部分を引っこ抜いてそこに持っていたストーン制御装置を突っ込むと、昔見たことあるトニーの真似をしてアタッシュケースを踏んづけながら引っ張る。それはちょうどアイアンマンマーク5の装着動作であった。ナノテクで形を変えてピーターをアイアンマンスーツが包む。ここが地球だったらF.R.I.D.A.Y.のサポートでナノテクアーマーがアイアンスパイダー風に形を変えてくれただろうがそんな都合良くはいかない。

 

「よし! って飛び方わかんない!」

 

 トニーの真似をして飛ぼうとしたもののうまくいかずそのまま走り出す。パワーアシストもあるがスパイダーマンたるピーターにはあまり寄与していない。ウェブを発射してクレイドルの一体を引っ張って地面に叩きつけつつその反動でリアリティ・スタークに向けて飛びつく。

 

「スタークさんやめてください!」

「邪魔するな少年」

「よそ見してる暇が────くっ!?」

 

 追撃を加えようとしたデッドマスターに砲撃の雨霰が降り注ぐ。髑髏二つが重なり防御態勢をとると、髑髏を埋め尽くそうと張り付いていたクレイドル・アーマーロボットが木っ端微塵になる。その先にはマトからランスを借りたステラの姿があった。散らばった大量の薬莢を踏んづけて少し足を滑らせながらも弾切れになったランスを捨てスラスターに点火、デッドマスターの前に飛行する。

 石を全て手に入れる為争っていたリアリティ・トニーとデッドマスターの間にステラとピーターが立ちはだかる変則的な三つ巴の戦いが虚の次元(ホロウディメンション)で火蓋を切った。

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