MCU『ブラック★ロックシューター』 作:おれちゃん
辛くも脱出しアレクセイのリムジンで移動していたところに、ヴァルの刺客であるO.X.E.社の装甲トラックが追いついてきてチーム・サンダーボルツ(アレクセイ称)は危機に陥っていた。
エレーナ達の通常武装では破壊不可能な装甲を備え、対抗しうるウォーカーの盾は機関銃の射撃から防御する為使えず、音波攻撃でエイヴァの透過も無効化している。
全員を
「無駄だけど抵抗してみようか」
エレーナが身を乗り出してグロックを構える。対人には充分な威力をしていても装甲相手には意味ないので本当にとりあえずの行動である。
撃った装甲車が爆発して脇道に吹き飛んでいった。
「え?」
撃ったエレーナもびっくりして半口を開けたまま少し呆けてしまった。すぐに座席に戻ってグロックから弾倉を出して確認してみる。姉に貰った銃なので銃に急にスーパーパワー宿ったか? となったのである。
しかしどうやら違うようでさらに最後尾のもう一台が爆発し、天高く吹き飛ばされる。全員が注目する中その爆炎を突き抜けるように大型トライクが姿を現す。
黒と白で塗装された装甲フロントカウルにエレーナが歓声を上げる。あんな特徴的なリバーストライクはこの世に二つとない。ブラックトライクだったからだ。
「きゃー! やったマジで⁉︎ 私昔サインもらったの! なんで旧車の方で来たかわかんないけど最高勝ち確よブラックロックシュ」
装甲車の攻撃をものともせずフロントカウルが展開して射撃モードに移行、装甲車に搭載されているものより更にでかい大口径重機関銃が姿を表し、乗っていた
「へ?」
「うおおおおおバッキー! バッキーだ!!」
思ってたのと違ったエレーナと知り合いに会えたウォーカーのテンションが逆転する。
重機関銃二門の斉射が装甲車を後部から噛み砕くように粉砕し爆散、ウォーカーが歓声を上げて車内から手を振る。
が、バッキーは何故か減速。
「ウィンター・ソルジャーか、一旦ここで止まって話をしようって事か?」
アレクセイも減速しようとブレーキに足をかけた。装甲車の銃撃でもギリギリ破損していなかったブレーキランプが点灯した瞬間、距離が空いていたブラックトライクが土煙を上げて急加速する。
「待て待て待てバッキー! おい嘘だろ!?」
「マジか!」
「ちょ、ちょっと待」
ウォーカーが敵意はないと手を振りながら悲鳴をあげるが、止まる気配は無い。減速して時速五十キロを切っていたリムジンに対してバッキーのブラックトライクは時速三百キロ位で追突し、リムジンは後部を思いっきりひしゃげさせながら空に打ち上げられ道路の脇に逆さまになりながら叩きつけられた。
ブラックトライクを横滑りさせてバッキーは停車、リムジンを左手で引き裂きながら気絶した面々を引っ張り出すのだった。
エレーナが目を覚ますと、どこかの廃墟で全員が縛られた状態で並べられていた。バッキーが壁に背中を預けていたのでエレーナは口を尖らせる。
「ねぇ、私たちを縛ってるのは置いとくとして「いや置いとくなよ」なんでアンタなのよ。紛らわしいのよマジで。ブラックトライクで出た私の喜び返してほしいわ本当に」
「俺が知る内で一番速い乗り物だからな。ロスコルから借りてきた。流石に四百マイルは出せないが」
「あーもう本物呼んでよ本物! ボブへの人体実験でなんかやろうとしてるのよ!」
「空高く飛び上がって、隕石みたいに落っこちて死んだと思ったら無傷なのよボブは」
「ボブって誰だ? 適当な事言って逃げようとして無いか? ロマノフも連絡よこさないって心配してたぞ」
「バカな話は終わりだ」
エレーナとエイヴァの言葉に懐疑的な様子のバッキーにウォーカーが俺に任せろと言わんばかりに口を開いた。
「ヴァルの奴は不味いんだバッキー、俺たちの仲だろ信じてくれニューヨークに向かって止めないと」
「そのためにお前達を捕まえたんだ。弾劾の為の証拠だお前達は」
「弾劾裁判をするんじゃ遅い、その前に事を起こされるぞ、信じてくれ俺を。止めに行かないと」
「信じられる人間なら妻子に出て行かれてないだろう」
他の面々からえ? みたいな顔をされたウォーカーは黙ってしまった。
そこでバッキーに電話がかかってきた。相手はヴァルの秘書をしているメルだ。
「電話ありがとう。どうしたんだ?」
『あの……ボスの様子がおかしくて、元々無くなったアベンジャーズに変わる象徴を! って変な様子は確かにあったんですけど今はそれがもっと深刻で……そう、ボブを発見してから』
急にエレーナ達の方を見て「ボブ?」と呟いたので、エレーナ達が全力でボブボブ大合唱を始めた。
『ボブはどうやら人体実験で生まれた様で』
「人体実験?」と呟くとエレーナ達も人体実験大合唱。
『ニューヨークのアベンジャーズタワーを改修したウォッチタワーでお披露目会をしようとしていますが……何か良くないことが起きそうで』
最後にニューヨーク大合唱である。
『助けてください戦力を集めて……なんとかお願いします』
そうして急ぐ様に電話が切られた後、バッキーはしばらくの間沈黙してからエレーナ達に施した拘束を解き始める。
「今度は何? 逃げていいって事?」
「戦力がいる」
「なんで私達? 私達の言うことが真実ってわかったならブラックロックシューター とかキャプテン・アメリカとか呼んだ方がいいでしょ。ヴァルの奴アヴェコンだからその方が効くよ」
「ステラは大学生としての研究で今インド洋にいるし、スティーブも親善大使として各国を巡っているから無理だ」
「はー、本名呼びできる関係性ズルい! というか今ブラックロックシューター大学生なの!? あの子ずっと見た目変わんないけど何歳よ」
「それは……アベンジャーズのトップシークレット*1だ」
「はースキンケアよスキンケア。手伝うけど報酬に私の部屋に温泉引いてもらうからね毎日温泉三昧してやるわ」
「やる気が出たみたいだな。今出た二人は、責任から逃げなかった。逃げなかったから、俺みたいに責任に追い付かれることもなかった。お前達も逃げずに戦えば、名誉も手に入るし、日の当たる世界に出られるはずだ」
バッキーがウォーカー達を見回す。決意したように全員が頷いた。
それから少ししてニューヨーク市街、エレーナはどんよりとした顔をしていた。
「私さ〜、ブラックトライクに乗るの割と夢だったんだよね」
「叶ったじゃないか、載ってるぞ」
「まあ載ってるけど違うのわかるでしょ。大体運転してるのウィンター・ソルジャーだし」
「荷台のデカイ箱に入ってるのは絶対違うわね確かに」
「ミーハーには大きいバイクは分かりやすい。ソーのハンマーなんて触らせてもらえないしまずソーを見かけるのも無理だろう。ブラックロックシューターは通りかかれば写真は撮らせてくれるし、俺と違ってお願いすれば握手してもらえるらしい。いいサービス精神してるな」
「サインもくれるわよ。というかアンタはそもそも声かけられないでしょ。二代目キャプテン・アメリカ候補さん」
ブラックトライクの座席にはバッキーとアレクセイがタンデムし、荷台に不釣り合いなほどデカイ箱がくっ付いている異様な姿を見て、そういうのに慣れている流石のニューヨーク市民も奇異の目を向けている。
アベンジャーズタワー改めウォッチタワーが近づいてきてアレクセイがふと気付いた事を口にする。
「それで、作戦は?」
「作戦?」
答える前にバッキーはそのままアクセルを吹かしてウォッチタワーに正面から突っ込んだ。
警備員の一人が跳ね飛ばされて壁に激突、ブラックトライクを急停車させバッキーがボタンを押すと、エレーナ達が入っている箱が吹き飛ぶように開いてエレーナ達が飛び出す。
正面突破である。
「いい作戦だ!」
アレクセイはブラックトライクから飛び降りて警備員に向かって突撃していくのだった。
ステラはMITで自作のブラックトライクⅡを作っている