伝説の聖剣に選ばれたのは俺じゃなくて幼なじみの美少女剣士だったので、俺は別の方法で英雄になるべく塔を登る   作:ケツアゴ

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今回キャラと秘宝出します


魔剣の呪い

 秘宝についてはよく分かっていないのが現状らしい。有ったら便利だし、取り敢えず調べて問題が無いなら使っておこうかってのが人類のスタンスなんだとよ。まあ、凄く便利だしな。

 

 どうして(バベル)の内部でそんな物が発見されるかについてはモンスターと同じ原理だの、神からの贈り物だの、(バベル)えお含めて神の悪戯だのって説が流れてるが、俺としては古代文明の遺産って説を推したい。何か格好良いからな。

 

 だが、強い力には代償だって存在する。上位ランクの探索団のメンバーなら秘宝の武器を使ったりしているが、そういったのは大抵呪いが掛かってる。だから要は使い手次第って事だな。……ルノア姉ちゃんみたいなのが駄目な使い手の例だよ。秘宝は呪われてないけど、巡り合わせが呪いみたいなもんだって。

 

 因みに俺が父さんから受け継いだ魔剣の指輪にも厄介な呪いが掛かってる。使ってる最中じゃなくて指輪の状態に戻した時に発動する呪いがな。

 

「相変わらずデカいよな、(バベル)って。街の何処からでも見えて……不愉快だ」

 

 (バベル)が多くの利益を生み出づ冒険の場として夢を馳せた者が集う場所であると同時に、悪夢の具現化って呼ばれる理由は俺の故郷を滅ぼした時みたいに周囲の生命力を吸い取る補色に有る。今でも偶に夢に見る光景だが、あれは誕生する時だけに起きるんじゃない。

 

 (バベル)は成長する。自らエネルギーを発生させ、より危険で広大な内部を作り出す際にも補食を行うんだ。誕生する時に比べれば規模は数段落ちているらしいが、周囲が死の土地になってしまうのは確実だ。だが、これは防ぐ方法が存在する。だからこそ(バベル)の周囲に街を作るなんて事が可能だし、探索者が必要とされるんだ。

 

「……終わった」

 

 そんな(バベル)からクッタクタの状態で戻り、ナインテイルフォックスの拠点に戻る前に立ち寄ったギルドの個室にて俺は悪夢とも言えるし、男としては天国っぽい状況に陥っていた。目の前にはスカートが捲れ上がり、陶磁器みたいに白い肌と、肌と同じ色だから一瞬穿いてないと錯覚しそうな純白のショーツ。ついでに俺の手はスベスベの太股に触れ、足の間を至近距離で覗き込む格好で少し年上のお姉さんをソファーに押し倒していた。

 

「えっと、わざとじゃないんだぜ? 事故でこうなっただけで……」

 

 いや、どうしてこんな事になってんだ!? 振り向くのが恐ろしい程に濃厚な怒りのオーラを背中に浴びながら俺は身の危険を最大限に感じる。ミント、完全にブチ切れ状態だよ。いやいや、俺は飯の前に少しでも懐を暖めたいと思ってただけなのに、どうしてこうなったんだ? 更に濃厚になる怒気を浴び、これが最後の回想になるのかとさえ思った俺が脳裏に浮かべたのはギルドの建物に入って直ぐの光景だった。

 

 

「……うへぇ。一杯だな」

 

 探索者がギルドで行う事は結構な数に及ぶ。新人入団者の申請や採取した物の買い取り、秘宝が入った箱の開封や今後の活動に関する相談その他諸々。俺達がギルドの建物に入った時、それなりに数のあるカウンターは全て埋まっていた。さっさと帰りたいが荷物は多いし、再び出向くのも面倒だ。

 

「まあ、仕方無いわよ。この街にある(バベル)早瀬の塔(はやせのとう)はGランク。当然挑むのも一番多いGランクの探索団だもの。並んでないだけラッキーよ」

 

「ああ、凄い行列の時があったな……」

 

 建物内を見渡せば順番待ちらしい探索者の姿は無いし、こりゃ待ってたらその内終わるかとソファーに座り、テーブルに置かれた新聞を手にする。何処かの(バベル)が周囲に拠点に適した場所が無い上に採取可能な物も珍しくないから破壊が決定したとか、新しくSランク認定された探索団が出たとか世間一般的に見れば悪いニュースじゃない。おっ、何時ものコーナーにリゼリクらしい奴について載ってる。

 

「銀髪で金の瞳の幼女を肩車して街を散歩する不審者を任意同行……うわぁ」

 

「何やってるのよ、あの馬鹿……」

 

リゼリクが入った探索団は例外中の例外のSSランク探索団。だけど特殊な意味で問題も多く、三面記事の格好のネタだ。お菓子の家を街中に建ててアリの大群がやって来たり、貴重な薬草を栽培してたけれど種が飛ばされてそこら辺で自生を始めたりと毎度お騒がせだ。正直言って笑えてたんだ。……今回は別だけど。

 

「しかしアレだな。身内がネタになったら笑えないよな、マジで」

 

「お待ちでしたら別室にご案内致しましょうか?」

 

「わっ!? キュ、キュアさん……」

 

 友達が困った事になってるって記事に呆れていた時、急に背後から聞こえた声に驚いて振り返れば立っていたのは顔見知りで相談の際は担当になっているキュア・エクスペリエンスさんだ。白髪碧眼でロザリーみたいな無表情。彼奴の場合は感情が動いても殆ど現れないんだけど、この人の場合は感情が動かない印象だ。

 

「驚かせて申し訳御座いません。丁度応接室の清掃を行う時間ですし、手早く終わらせれば使用しても問題無いでしょう。では、此方へ」

 

「えっと、規則とかは問題無いの?」

 

「相談がある場合、窓口が空くのを待っていたら私の退勤時間を過ぎてしまいますので。支部長にも許可を取っていますので遠慮は不要です」

 

 相変わらず合理主義ってか淡々と進める人だよな。まあ、若いのに優秀だし、回復魔法の使い手が居ない探索団に治療を施す役職でもある凄い人だ。……噂じゃ酔っ払って暴れるBランク探索団のメンバーを取り押さえたとか何とか。まあ、担当で世話になってるし、逆らったり失礼があったら駄目な人だよな。

 

 

 

 ……そんな風に思ったのが一分もしない前。応接室に通されてドアを閉めた時、俺は足を滑らせてキュアさんをソファーに押し倒してしまった。手は太股に触れ、頭はスカートの中に突っ込む。……これ、絶対に駄目な奴だ。以上、此処までが回想だ。

 

 

「はい。状況からして事故であったと判断可能です」

 

 香水らしき匂いはしないのに彼女からは良い匂いが漂う。だが、俺が体臭フェチじゃねぇし、慌てて離れる。普通なら悲鳴を上げてビンタした上で誰か呼びそうな状況だったってのにキュアさんは無表情の顔に一切嫌悪も恐怖も羞恥も、当然だ好意さえ微塵も浮かばせず、乱れた服を直すとしごとをすすめようとする。

 

「退勤時間が迫っていますので早くお座り下さい。今日は用事がありますので残業の予定は御座いません」

 

「お、おう……」

 

「アッシュ、流石に帰ったら分かってるわね?」

 

「……おう」

 

 俺は耳元で囁かれた死刑宣告に冷や汗を流しながらも俺はミントと並んでキュアさんと向かい合って座ると採取した薬草やら秘宝が入った箱を差し出す。キュアさんは俺達に紅茶を出した後で小さな壷を差し出した。

 

「では、今回の回収分をお願い致します」

 

「分かったわ。さて、今日はちょっと自信があるのよ。ギガマリモスが何処かの探索団に追いやられたのか現れちゃって……」

 

「そうですか。報告書に纏めておきます」

 

「……じゃあ出すわね」

 

 ミントがカンテラを翳して軽く振れば吸い込んだ光の粒子が中から飛び出して壷の中に吸い込まれて行く。壷の中をのぞき込めば光るコケみたいなのが徐々に貯まって行った。

 

「しかし本当に不思議だよな。これがモンスターの元だったなんてよ」

 

 モンスターってのは当然だけど普通の生物じゃない。研究の結果、(バベル)のエネルギーから産み出される存在なんだと判明したらしい。んで、倒しただけじゃ吸収されてモンスターが復活しちまう。それを防ぐのがモンスターを生成するエネルギーを吸い込む力を持ったカンテラ『スピリットランプ』であり、回収士(かいしゅうし)って呼ばれる奴の役目だ。

 

 基本的に魔法の才能が無かったら扱えないから俺には無理だ。偶に一人も居ない探索団も存在して、その場合はキュアさんみたいに回収士になれるギルド職員が有料で同行するって聞いた。ギルドの財源はそうやって稼がれてるとか。

 

「本日は……5000ミョルですね。採取分の換金は明日までに担当職員が行いますので明朝以降お越し下さい」

 

「結構な儲けになったな。大体日雇いの重労働が2000位だろ? 防具の整備費予想とかが要るけど採取した薬草とか秘宝の売却の金は別だしよ」

 

 吸い込んだ粒子を全て吐き出したカンテラの中身は青い炎が消えて代わりに淡い光を放つ飴玉みたいなのが残っていた。それを半分手に取って握れば体に吸い込まれ、体中をビリビリとした痛みが走った後で力が湧いて来る。これはモンスターを構成するエネルギーの一部が結晶化した物だ。

 

「これで次にギガマリモスに遭遇しても大丈夫だな」

 

「調子に乗らないの。油断した奴が早く死ぬって教わったじゃない。先ずはエネルギーを取り込んで強くなった力に慣れるのが先よ。それよりキュアさん、秘宝の鑑定をお願い」

 

「了解しました。何時ものように不用な品は買い取りで構いませんね?」

 

 キュアさんも小さなカンテラを出すが、中の炎は制服と同じ白。ギルド職員専用の魔法を使う為の特注品で、宝箱に向かって軽く振れば三個中二個が軽く震えて開く。出て来たのは箱よりも明らかに大きい取っ手が無い壷だ。

 

「湯湧きの壷ですね」

 

「……またかよ。しかも二個。出来たら水の壷が良かったのにな……」

 

 これまで何個も見て来た秘宝だ。見飽きたと言っても良い。中に入れた水を一瞬で熱湯に変えるんだが、口から直接飲まないと元に戻るって中途半端な品だ。一応使い道は有るけどもな。それよか一度に最大四リットル出る壷の方が良いよ。

 

「でも最後の一個は未だ開いてないし期待出来るわよ」

 

 基本的に高位の秘宝は出すのに手間が掛かる。何時もの数倍の時間を使って漸く開きそうな箱を前に俺の期待は膨らみ、遂に開いた箱から小さな指輪が飛び出した。石の無い金色の指輪。俺が填めているのと同じ見た目だ。

 

「魔剣の指輪ですね。鑑定担当の方は残業確定です。何せ魔剣の指輪は魔剣の力が千差万別、価値も大きく変わります。呪いも同じく」

 

「……呪いの話は止してくれ。苦手なんだよ、どうも」

 

 呪いに関する話、特に父さんから受け継いだ秘宝による呪いについては話したくない。何せある意味で死を招く呪いだからな……。

 

 

 

 

「了解です。今後はアッシュさんのラッキースケベの呪いについては話題に出すのを控えましょう」

 

「だから言うなって……」

 

 ……そう。俺の持つ魔剣の指輪が招くのは社会的な死の危機だったんだ……。

 

 

 

 

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