Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
異世界へ突入、迷い込んだと思われるEDF隊員の回収。
スカウトが先行調査をしたところ、我々と同じ様に人類共通の敵がいるのが判明。
戦力に余裕が無い我々としては、行かない選択肢を取りたいところですが……。
どうやらセンサー反応からしてEDF隊員がいる様です。 居場所は欧州。 直ちに回収します。
備考:
回収目標は欧州のどこかとしか分からず、無数の敵が跋扈している。
陸軍は残存するコンバットフレームやブラッカー、レールガンを投入。
空軍、海軍からの支援は期待出来ない。
装備:
PA-11
その他多数。


4.EDFのノリ、欧州上陸。

 

 

「くたばれバケモノどもッ!」

 

 

激しい銃声。 激しい爆音。

硝煙弾雨の嵐。

閃光弾や、この世界の怪物……ネウロイによるビームが激しく交差。

近くの建物はドミノ倒しのように簡単に崩れていき、大量の砂埃を立てる。

が、それすらも直ぐに弾丸やビームが消しとばしていく程に譲らぬ激戦。

テレビの砂嵐をカラーにした光景は、見るものによって感激を与えるが、現場はそれどころではない。

 

EDFは この世界にいる隊員……只野二等兵を回収するという、表向きの任務を遂行中。

その為に異世界の欧州に来たのだが、到着した途端にネウロイと鉢合わせ。

 

まさかの事態である。

 

それは双方同じようで、突然目の前に現れた異界の軍隊にネウロイはビームを乱射。 ビックリ仰天といったサマ。

EDFも、いきなり目の前に現れたバケモノにビームを放たれたので、直ぐに発砲。

騒ぎに駆けつける両軍。

ゾロゾロと互いに増援部隊がやってきて、この始末。

 

 

「ダメだ! 遮蔽物が無くなる!」

 

「歩兵はAFVの側を離れるなッ! 砲撃に頼れ!」

 

「フェンサー前進ッ! 盾を構えろッ!」

 

「EDF歩兵のチカラを舐めるなあぁッ!!」

 

 

ボロボロの、だけど闘志が滾るEDF歩兵が蟻型ネウロイにフルオート。

対するネウロイも、負けるかとビームを発射。 地面や周囲の建物が爆散していくも、誰も怯む事なく爆炎の中でトリガーを引き続ける。

そんな歩兵を援護するべく、コンパクトな戦車や装甲車が歩兵の盾になる様に前進。

主砲による砲撃音を響かせた。

榴弾による爆発で、蟻型ネウロイの群れが怯む。

その隙に、全身に鎧を纏ったような兵士……フェンサーが前進。

歩兵隊を守りつつ、通常歩兵だけでは反動だけで死にかねないキャノン砲を、片手でブチかます。

 

が、しかし。

 

 

「くっ!? エイリアン共と同じで再生してやがるぜ!」

 

 

歩兵には携行不可能な大火力を持ってしても、ネウロイは中々倒せない。

それもそのはず。

ネウロイは核を破壊しないと、延々と再生してしまうのだ。

その様子は、エイリアンの歩兵部隊を相手にしてきたEDF隊員に苦い思い出を蘇らせる。

 

 

「撃ち続けろ! 怯みはするんだ、倒せる筈だ!」

 

「むっ! 装甲内に赤い石を確認!」

 

「赤いって? ならソコが弱点だァ!」

 

「全隊、集中砲火! 赤い石を撃てェッ!」

 

 

が、そこは歴戦のEDF。

テレポーションシップを何隻も相手にしてきた経験から「赤い所が弱点じゃね」と悟り、ネウロイ装甲内部にある赤い核に攻撃を加えていく。

すると、どうだろう。

赤石は砕け散り、もれなくネウロイは光の粒子になって消えていく。

 

 

「やはりな! 赤い部分が弱点だ!」

 

「やっぱ赤いヤツか!」

 

「赤いヤツは相手にしたくないが、弱点が赤なら撃つしかねぇか!」

 

「赤だ!」

 

「赤だな!」

 

「撃って撃って撃ちまくれ!」

 

 

元の地球が世紀末でも、EDF隊員らはいつものノリだった。

そんなノリではあるが、それで絶望を生き延びてきたので馬鹿に出来ない。

逆に、そのノリでネウロイを片付け始める彼らこそがバケモノ染みている。

 

 

「おい! ありゃなんだ!?」

 

 

だがネウロイは陸戦型ばかりではない。

陸戦型を殲滅したと同時、空が暗くなる。

 

雲か?

 

そう思った隊員が、空を見上げ……次には叫ぶ。

そこにはテレポーションシップよりデカく、マザーシップより やや小さい黒き物体が飛んでいた。

巨大な質量を持つ兵器群は幾度となく見てきた隊員だが、異界でもあんのかよと口々に叫び始めた。

 

 

「マジかよ!」

 

「街くらいは あるぜ!」

 

「アレもバケモノの仲間か!」

 

「テレポーションシップよりデケェ!」

 

「マザーシップよりは小さいな!」

 

「ハッチはあるのか?」

 

「あ? ねぇよそんなモン」

 

 

空を飛んでいる以上、空軍に相手してもらいたいところだが、そうも言ってられない。

今は陸軍しかおらず、陸軍の兵器で何とかするしかない。

 

 

「いつもの事だ!」

 

 

だが、隊員は狼狽えない。

こんな場面、過去幾度となく経験している。

なんなら敵母艦直下で作戦行動とかいう、ヒデェ作戦を数回は繰り返している。

今頃なんだといった態度だ。

 

 

「幸い低高度だ!」

 

「ウィングダイバー頼む!」

 

「任せて!」

 

 

歩兵隊から分かれるようにして、機械的な翼を背負う女性達が飛んで行く。

ウイングダイバーだ。

女性のみで構成された、空を飛ぶ装備で飛行しつつ光学兵器で攻撃する。

この世界のウィッチと似て非なる存在である。

空を飛べる時間は長くないし、ウィッチのように早くは飛べない。

しかし小回りが利くし、陸戦も出来る。

今回のように低高度の敵なら、飛んで行って空中戦に持ち込む事も出来る。

 

 

「うおおおおッ!」

 

 

そんな女性兵士達。

いつかの前哨基地でやったように、大型ネウロイからのビームを踊るように回避しつつ接近。

それぞれが持つ光線銃で、色鮮やかなビームをお返しし、表面を削っていく。

こうも大型だと、核を見つけるのに苦労しそうだが、幸運にも直ぐに見つかった。

 

 

「よし! 赤石確認!」

 

「砕け散れ!」

 

 

ランサーを持ったウイングダイバーが、チャージビームを放つ。

一閃が石を貫くと、たくさんの輝く粒子と共に大型ネウロイは消え去った。

 

 

「うおおおおおお! EDF! EDF!」

 

「EDFッ!! EDFッッ!!」

 

「イヤッホー!」

 

「EDF歩兵のチカラを見たかぁ!」

 

 

そして、いつもの雄叫びを上げる隊員ら。

とても強く、どこに行っても何をしても騒がしい兵隊である。

 

 

「報告ッ! 他の場所に転送された部隊も、周囲の安全確保との事!」

 

「よしっ。 我々はこの放棄された街の建物を間借りしつつ、目標の捜索に入る!」

 

「それと本部に対空兵器を要請! 出来たら空軍にも連絡だ!」

 

「サー! イエッサー!」

 

 

戦闘後も慌しく駆け回る隊員。

彼らがいれば欧州解放も夢ではなさそうだが、残念ながら そこまでの余裕はない。

 

EDF。

本当の目的は、まだ平和な世界と繋がりを持ち、希望を掴む事にある。

たかだか二等兵1人の回収に、貴重な兵力を割くなんて事は、しないのである……。

 

名誉の為に敢えて言おう。

EDFは、兵士は仲間を見捨てない。

 

だがその仲間が……助ける予定の兵士が他を見捨てたというのは皮肉である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん? この音、EDFの……いや、まさかな」

 

「どうしました?」

 

「何か聞こえた?」

 

「いえ。 私には……調べに行きますか?」

 

「いや、ジッとしていよう。 君も怪我している事だし。 それよりチョコレート、食べる?」

 

「えっ!? そんな貴重な甘味を!? 良いのですか!?」

 

「まぁ……沢山あるから」

 

「いただきますっ♪」

 

 

当の兵士は、女の子を助けて仲良くイチャついて……じゃなく、希望を持ち直す。

 

チョコレートを笑顔満開でパクパクする女の子。

その光景に癒されつつ、兵士は頭を撫でた。

 

守らねば。

 

それは、この兵士の自己満足だ。

自覚はある。

でも、女の子を見捨てられない。

それが生きる希望になっている以上、兵士は兵士でいられるのだろう。

 

かくして、モブ兵士達は二等兵を見つけられるのか。

 

EDFは、どうするのか。

 

二等兵は、どう生き延びるのか。

 

世界を見捨てるにせよ、大を捨て小に生きるも逆をするのも。

一貫性に欠けているが、やがて一本の束になる時。

 

小さな欲望は、世界の希望となるのだ。

 




短めの話数が続いています。
駄文続きの作品ですが、読んでくれている方々。 ありがとうございます。
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