Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
拠点周囲の哨戒。
備考:
女の子は戦力外なので、拠点に置いておく。
狙撃銃を持って、拠点から離れた建物屋上に登り、周囲を見回す。
やむを得ない場合のみ発砲。 撃ったら位置を悟られる前に移動。
装備:
KFF50
説明:
大口径の対物狙撃銃。 射程と精度に優れ、はるか遠方の敵を狙い撃つことが可能。
その威力は装甲車を一撃で破壊するほど。
射程距離内では、空気抵抗による威力の減少はほぼ無い。
ボルトアクション式。 射撃毎に手動での装填が必要。
EDF狙撃兵が主に使用する狙撃銃。 改良型が存在する。
対物狙撃銃の類は、ウィッチの世界にもあるようだが、EDF側は一般歩兵が個人携行可能な重量である。
EDFの兵器という事で、とても強い。
スコープや二脚が付属しているのが確認出来る。
が、EDF隊員が匍匐姿勢で射撃しているところは見たことがない。
なんならジャンプしながら発砲し、遠方の敵を狙い当てている。 兵士もチート。
タダノ二等兵。
私を助けてくれた、不思議な兵隊さん。
見たことも聞いたこともない武器を使い、とても強く、とても足が速かった。
貴重なハズの医療品を分けてくれるばかりか、女の子だと気を遣ってくれる。
貴重な甘味、チョコレートすら分け与えてくれた。
「えへへッ♪」
優しい兵隊さん。
頭を撫でてくれた。
まるで、お父さんみたいな。
戦場という過酷な環境下でも、人間は優しく出来るのだろうかと疑いたくなる程に。
そんな彼はEDFと呼ばれる軍事組織に所属しているという。
地球を守る軍隊だって。
そんな事を言ったら、兵隊さんは皆そうだろうし、欧州軍なんて特にそう。
私が子どもだからって、言葉選びをされたのかな。
お子さま扱いは嫌だけれど。
そりゃ軍人といっても徴兵されたばかりで、新人だし。
階級は彼より高い軍曹……それはウィッチだからで……。
それを言うのは、私には出来ない。
変にギクシャクしたくないから。
特殊部隊だろうか。
統合戦闘団のような優秀な人材を集めて、新兵器を運用しているとか?
そう考えれば、見たこともない兵器群やタダノさんの強さも分かる。
なのに、国やネウロイやウィッチを知らないとか疑問は多いけれど。
でも、タダノさんは良い人だ。
私を守ってくれようとしてくれる。
それに、今の私は……。
「タダノさんがいないと、生きていけない」
兵器群が物言わず鎮座する拠点内に、私ひとり。
タダノさんは哨戒に出て、私はケガを理由に置き去り。
帰ってこないのでは?
見捨てられたのでは?
いや、そんな事は。
ネウロイにやられたら?
ネウロイが、ココに今来たら?
タダノさんは、また助けてくれる?
「イヤ。 イヤよ! ひとりなんて!」
孤独の冷たさ。
私は、タダノさんがいないと無力だ。
「早く……早く帰ってきて」
帰りを待つ。
またあの温もりを感じたい。
あの温もりを少しでも持たせたくて、毛布に包まる。
ひとりは、イヤ。
甘えたい。 帰ってきたら、思いっきり。
「……何か、お礼が出来たらな」
今の私には、身ひとつしかない。
それも怪我をした、薄汚れた身体───。
───タダノさん。 抱き締めて?
「敵だらけだ」
拠点から離れた建物の屋上。
狙撃銃を構えて、スコープ越しに周囲を観察している。
地上、空中と大中小様々なネウロイがいて、とても突破出来る雰囲気ではない。
俺のいた欧州の街とは全然地理が違うのもある。
万が一、逃走する時は 装甲車を全力で走らせなくては。
いや、それも上手くいくか分からない。
あの子が言っていた後方の防衛線も、方角がサッパリだ。
「さっきの爆音や銃声の正体が分かればな。 この世界の欧州軍なら、女の子を引き渡す事が出来るだろうが」
スコープで見渡しつつ、ボヤく。
センサーは不調。 遠方までの反応は拾ってくれない。
「引き渡したら俺はまた自由さ、うん」
女の子をいつまでも、守り続けられるか微妙だ。
最悪、あの子を原隊に。 その方が為になるのでは?
なのに。
「この世界の欧州軍は押されている筈だ。 また あの子を戦場に投げ出すに違いない」
そんな事をされるなら、俺が守るべきだ。
16やそこらの、まだ甘えたい年頃の子を戦場に投げ出すなんて。
俺らの世界じゃ、それこそ甘えと化したが、ココでは俺のルールで良いだろう。
EDFだって……俺以外、いないんだ。
「俺が。 俺が守らないと」
1匹、拠点側に移動している蟻みたいなネウロイを確認。
スコープの十字を合わせて───引き金を絞る。
バァンッ、という重い音と反動を体感しつつ目標からは目を離さない。
ソイツは装甲破片を散らし、横に転がる様に怯む。 ネウロイの影で土柱が立った事から貫通したと理解する。
核の位置を推測して撃ったが、狙い通り。
一撃で光の粒子になって四散。
やはりEDF製は、この世界では強力だ。
俺はボルトアクションを行い次弾を装填しつつ、建物を離れる。
ネウロイの知能は知らないが、位置がバレた可能性が高い。
空にも地上にも、沢山いるのだ。
監視の目は無数にある。
全部を相手にする余裕は無い。
だが芋るぞ。 それしか無い。
俺は あの子も、守らなくてはならないんだ。
「俺は狙撃兵じゃないが、これくらいなら二等兵でも出来る……EDF歩兵を舐めるなよ」
その後、屋上を点々としながら哨戒を続けた。
何匹かを葬った後、日が暮れ視界が悪化したので拠点に戻る。
ああ、あの子に食べさす夕飯どうしようかな。
火を起こすと、ネウロイにバレるかも知れない。
前の時は、マズいレーションで我慢出来たが、あの子には酷だろうな。
「あのレーションはミステリーだろ」
ハハッ、と苦笑。
確か紐を引けば、温かい飯にありつけるパック飯が残っている。
良い味付けの缶詰もある。
シュールストレミングを拾った事があるが……アレは止めよう。 危険だ。 色んな意味で。
「ただいま」
薄暗い拠点に、控えめな声を響かせた。
いつもなら、返事がない虚しい響になるところだが。
「お帰りなさい」
今は、あの子がいる。
返事があるだけで、こうも喜ばしいなんて。
少し、涙が出そう。 というか出た。
「タダノさん、わ、私を……た、食べて?」
「ファッ!?」
ベッドで赤らめながらセクシーポーズを取る、包帯巻きの少女の光景に、涙は引っ込んだが。
心が壊れないと良いですね(ゲス顔