Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
残存(?)部隊の捜索。
備考:
大破したEDF戦車を確認。 他に隊員がいるのだろうか?
センサー不調。 周囲への警戒怠るな。
装備:
ミニオンバスター
インパルスY8
説明:
インパルスY8
新型の指向性地雷。 只。
敵が有効範囲に入ると自動的に起爆。 正面方向に大量のボールベアリングを射出して、広範囲の敵を破壊する。


8.コンバットフレーム起動。

 

只野二等兵は放棄されたブラッカーを調べたが、特に役立つモノは無かった。

装甲や部品を剥ぎ取れば拠点のブラッカーに役立つだろうが、今はそれどころではない。

 

 

「なんでブラッカーが? 俺と同じ境遇で、この世界に飛ばされたのか?」

 

 

などと呟くが、聞いた話だと戦闘があった筈。

戦車単独で動いていたとは思えない。

周囲には大量の空薬莢が転がっているし、戦車1両が暴れたにしては全壊した建物が瓦礫の山を形成している。

もうデカい爆弾が落ちたと言われた方が理解出来るレベルにヒドイ。

 

 

「隊員もいたと考えるべきだな。 それにこの様子だ、分隊規模ってレベルじゃない」

 

 

恐らく大きな部隊がいたと予想する只野二等兵。

ワンマグ3桁の小銃やら光学兵器やら強化外骨格でキャノン砲や機関砲をブチかますEDF隊員達だ。

単独でも装備次第で街を崩壊されられるから、必ずしも部隊が来たとは言えない。

だけど、たぶん、部隊である。

只野二等兵が今まで見てきた仲間を見た限りは。

 

 

「隊長のような、空爆誘導兵でもいたのか? でも遮蔽物をわざわざ壊す事もないだろうし……ネウロイの攻撃が激しかったのか」

 

 

考えても仕方ない。

パッと見、死体は転がっていないし、部隊

は移動したのだろう。

センサーが不調で敵味方を上手く拾えないのは痛いが、捜索を開始する。

 

 

「行くか」

 

 

ミニオンバスターを構えつつ、只野二等兵は歩き出す。

その足取りは、少し重い。

只野二等兵は仲間を見捨てたのだ。

その、仲間に再び会う可能性。

 

怨まれているだろう。

憎まれているだろう。

呪っているだろう。

殺したいと考えているだろう。

 

怖い。 仲間に会うのが。

だけど甘んじて受け入れよう。

それで許してくれるなら。

 

だが、その前に。

只野二等兵は頭を地面に擦り付けてでも、懇願する事があった。

 

 

「あの子達は、生存者は助けてくれ。 こんな人生だったけど、頼むよ神様」

 

 

絶望の淵で、祈っていた事を言葉に言えた。

 

だが希望を願い、見えた時。

いつだって絶望はやって来る。

それはEDFの宿命。 呪いとも言える。

 

だって。

ヌッと大中小の異形のバケモノ……ネウロイが、言葉に反応するように彼方此方から現れ始めたのだから。

 

 

「ネウロイッ!?」

 

 

絶望は、孤独に立つ只野二等兵も見逃してくれない。

 

ネウロイが先手必勝だと言わんばかりに、赤いビームを一斉射。

只野二等兵は弾かれるように、ローリングによる緊急回避を行う。

彼がいた地面は盛り上がり、次には爆発した。

まるで榴弾を大量に叩き込まれたようだ。

 

 

「チクショウ!?」

 

 

爆煙に隠れるようにして、まだ無事な建物の影へ退避。

周囲を確認。 敵影多数。 センサーは、今になって反応。 囲まれているのが分かる。

 

 

「ポンコツセンサーめッ!! 今仕事しても、遅えんだよ!?」

 

 

悪態を吐く只野二等兵。

戦時中にも経験した事があるが、センサーとは元より万能ではない。

整備されていても、地中深くを移動しているヤツ、高高度を飛んでるヤツ、悪天候やシグナル不発信、地形の影響で拾わない事もある。

が、今回は普通にセンサーの不備だ。

只野二等兵に整備の知識なんてある訳がない。

ある意味仕方がなかったが、こうして戦場では生死に直結するから恐ろしい。

 

戦闘は避けられそうにない。

囲まれているなら、一点突破するかココに篭って反撃するしかない。

 

 

「こんな所で死ねるかぁっ!」

 

 

只野二等兵は、ミニオンバスターを構え身近にいる敵にフルオート。

無数の徹甲榴弾がネウロイ装甲に食い込む。

次には信管が作動、内部で炸裂。

装甲を内側からズタズタに破壊し、ネウロイは姿勢を崩していく。

中には、破片や爆発で核まで破壊出来たヤツもいた。

この時代の、世界の通常兵器だったら到底不可能な威力と戦績。

それをEDFの兵士と武器は、いとも容易く叩き出していく。

 

 

(多過ぎる! 一点突破、退却するべきか!?)

 

 

だがネウロイは戦いは数だよ兄貴と、ゾロゾロ寄って来る。

その様子は津波だ。

センサーは、敵を示す赤で染まりきり、染まってないエリアは只野二等兵のいる現在位置のみ。

このままでは圧死してしまいそうな勢いに、只野二等兵は焦る。

ネウロイはジワジワと距離を詰め、放つビームは確実に只野二等兵の隠れる壁を抉り取っていく。

 

 

(落ち着け……ッ! 落ち着け俺……ッ!)

 

 

建物の壁に隠れつつフルオートし、作戦を練る。

下っ端二等兵とはいえ、伊達に戦場に放り出されていない。

それに、逃げ隠れして生き延びてきたのだ。

今まで養ってきた知識を動員し、今ある装備、地形、敵数から生き延びる道を打算していく。

 

 

(俺ひとり、ミニオンバスターだけじゃ殲滅は不可能だ! 退却する……何処へ!?)

 

 

弾倉が空になる。

直ぐに予備弾倉を手に取り、訓練された動きで空弾倉を飛ばすように抜き、予備弾倉を挿し込んで、銃身に新鮮な徹甲榴弾を送り込む。

緊張と冷静さの不思議な感覚は、時間の流れを遅く感じさせた。

スローモーションに動くネウロイの群れ、やたら遅く感じる呼吸、セミオートじゃないかと疑いたくなるフルオート音。

それでも、頭だけは回転していた。

やがて、ひとつの結論を出す。

 

 

(生存者がいる建物には行けない! 俺の拠点に撤退! コンバットフレームを使う!)

 

 

善は急げ。

いや、吉と出るか凶と出るか。

拠点までの最短ルートを脳内で描き、ネウロイへの遅延行動も考える。

 

 

(あの子がいるが、グレイプの中に入れさせる! 問題はニクス起動までの時間……ッ! 何とか時間を稼がなくては!)

 

 

拠点方角を確認すると、只野二等兵は踵を返した。

そこにもネウロイがいる。

構わず只野二等兵は、走り出す。

 

 

「邪魔だァ…………どけぇっ!!」

 

 

フルオートで徹甲榴弾をたらふく喰らわしながら、必死の撤退を開始した。

 

そこには かつて、ただ逃げていた頃の彼はいない。

闘志に燃える、ひとりの兵士がいるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァハァ……ッ!」

 

 

ネウロイの壁をミニオンバスターでこじ開け、アンダーアシストで撤退していた只野二等兵。

振り返れば、ネウロイが金魚の糞の如く ついてくる。

逃してはくれないらしい。

 

だが、只野二等兵も逃げ続けているだけではない。

時々、何かが弾ける音が聞こえる度に、ネウロイが怯んだりひっくり返る。

そのネウロイにつっかえて、後続は進行が遅れていた。

その様を見て只野二等兵は、ニヤリと笑う。

 

 

「は、ははっ! どうだネウロイめ! そのまま寝てろ!」

 

 

手には箱状の物体。

足が生えており、地面に置ける様になっている。

それを走りながら、ネウロイの進行方向にばら撒いており、ネウロイがソレに近付く度に箱が起爆。

殺傷性の高い大量のボールベアリングが、ネウロイの群れを襲う。

EDFの指向性地雷インパルスY8だ。

拠点防衛に使えるかと温存していたが、整備もロクに出来ない環境下で、生存者や自分に誤反応したら嫌だと今日まで使用しなかった。

だが、今は遅延行動に大いに貢献を果たしている。

消耗品故、使えば消えて無くなるが、出し惜しみをしている場合ではない。

 

やがて、拠点に辿り着く。

待機中のウイッチが驚くも、事は一刻を要する。

 

 

「た、タダノさん!? どうしたんですか!?」

 

「ネウロイが来る! 君はソコの装甲車の中に隠れて!」

 

 

只野二等兵が叫ぶように指示を出すと、お守り程度にとPA-11を彼女に押し付けた。

 

 

「えっ!? なら、私も戦いますっ!」

 

「それは最後の手段にしてくれ! 俺は、今からアレの起動準備にかかる!」

 

 

足を止めずに、大きな人型ロボット……搭乗式強化外骨格コンバットフレームに乗り込む只野二等兵。

ライセンスなんて無いが、簡単な説明書なら見た。

見様見真似のぶっつけ本番だ。

 

 

「その機械人形は、なんなんです!? そんなので戦えるんですか!?」

 

「良いから隠れていて!」

 

 

スイッチを押し、コックピット・ハッチを閉める。

暗闇が一瞬のみ訪れるが、直ぐに各種センサーカメラによる外部の様子がモニターされて明るくなる。

モニターでは、女の子がカメラ起動音やニクス表面の各種センサーカメラが光ったのに驚いて、慌てて装甲車……グレイプに乗り込んでいるのが見えた。

 

 

「装甲は削れて、ボロボロだが各動力は生きている……イける! イけなきゃ困るぞ! 余剰弾薬確認、出力全開、コンバットモードに切り替え、全セーフティ解除!」

 

 

不慣れに、だけど急いでスイッチ群をパチパチパチと上げていく。

メインカメラには砂埃を立てて、拠点の壁を壊して侵入してくるネウロイが映る。

 

同時に機械兵が、両足でしっかりと異界の地に立った。

 

刹那。

 

 

「クタバレ ネウロイッ!!」

 

 

機械兵、コンバットフレームの左腕からロケット弾が放たれた。

それは寸分違わず、ネウロイの群れのど真ん中に飛翔し。

 

爆発。

ネウロイの群れの先頭を、爆炎が包み込んだ。

 

 

「コンバットフレーム、バトルオペレーションッ!」

 

 

只野二等兵が叫び、操縦桿のトリガーを引く。

今度は右手に持つ、巨大なマシンガンが火を噴いた。

その大口径弾は爆炎を消しとばし、その先にいる後続を抉り潰していく。

真っ赤だったセンサーが、その攻撃のみで大きく減った。

直線上に敵が消えており、薙ぎ払われたのが分かる。

同時に、如何にコンバットフレームの火力が高いかが分かる。

 

 

「コンバットフレームの力を見せてやる……!」

 

 

ガシャン、ガシャンと大きな両足で前進を始めるロボット。

 

たったひとり。 されどひとり。

 

コンバットフレーム・ニクス。

見た目は人型の大きなロボット。

EDFの搭乗式強化外骨格。

堅牢な装甲でパイロットを保護しつつ、大火力で圧倒するバトルマシン。

只野二等兵が使用するのは、A型と呼ばれる、装甲が薄く、武装は歩兵が持てない大きなニクス用マシンガンと、ロケット砲のみ。

 

だが、そんな簡易武装のA型であっても……コンバットフレームは強い。

如何にEDFの技術や武器が、この世界にとって強力か。

 

ネウロイのビームに物ともせず、爆炎の海を突き進む機械兵。

 

ウイッチは、装甲車のスリット……のぞき窓から見て恐怖した。

 

ひとりで、二等兵で、この強さ。

一体、EDFは どんな化け物集団なのかと。

 

ネウロイも怖いが、今はEDFも怖い。

 

でも。

頼もしい事に違いはない。

それにタダノさんは、私の味方。

私を守ってくれるナイト様。

潤んだ目で、機械兵の背中を見つめる彼女。

 

そんな、こっ恥ずかしい妄想すらするようになった彼女を後方に、只野二等兵は奮闘する。

 

死ぬ訳にはいかない。

生存者を助ける為にも、数少ない希望だと頼ってくれた兵士を助けねばならないのだから。

 




誤字脱字があったら、ごめんなさい……。
EDFとは合流ならず。
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