Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
本日もネウロイが、我が軍の防衛線に侵攻して来ています。
各部隊はこれを迎撃、駆除して下さい。
なお、防衛線は拠点を囲む様に展開している都合や、一部地域への派兵の影響で戦力が低下しています。
動く戦局に気を付け、臨機応変な対応をお願いします。
備考:
敵は空からもやってくる。 注意せよ。
装備:
PA-11
グラントM31
MEX5エメロード
その他
説明:
(レンジャーのみ)
グラントM31
ロケット弾を発射する個人用火砲。
見た目は大型の筒状。 多分モブ兵士も使っているヤツ。
単発かと思いきや、数発発射出来る。 構造は謎。
MEX5エメロード
個人用ミサイルランチャー"エメロード"の最終作戦仕様。
5つの目標をロックオンすることが可能。
見た目は箱状で、サイドにロックオン表示の電子機器らしき部品が付いている。
飛行するネウロイもいるので、持ち込まれた対空用の兵器。
地上目標にも使える。
最終作戦仕様なのもあって威力は凄まじく、小型であれば核を狙わなくてもボディ丸ごと爆散させられる。
配備数は少ない筈だが……モブも使用する。
PA-11とグラントM31は初期装備。
だから二等兵が所持していても変じゃない……筈。
エメロード? 知らん。
怪我が治癒した俺は、即戦場に放り出された。
二等兵だし人員不足だから、仕方ないと思う。
理不尽だって?
そんな事を言って何になる?
EDFは無茶な作戦を平気でやる組織だぞ。
巨大砲台が現れたから、逃げようとしたら偵察優先だからって退避を許されないとか。
象のような大きさのある、侵略生物の群れを掻き分けて、テレポーションシップ直下に進んで撃墜してこいとかはザラ。
空爆が効かないシールドベアラーの作り出す光の壁に突入を命じられたり。
敵母船直下で作戦行動も普通にあった。
当然のようにドローンを繰り出させたり、砲撃されて多くの死傷者が出たな。
今回は随分マシな方だろう。
マシ過ぎて、空から槍が降ってくるかと疑うくらいだ。
…………ああ、いや。
もう後がなくなってきて、本部も必死だったのだろうな。
この世界では、比較的余裕があるという事か。
それでも戦場に変わりないが。
位置は最前の第1防衛線より下がった第2防衛線、黒海側の塹壕内。
黒海側は、ネウロイの根城方向。
故に最も警戒され、戦力が多い。
しかしストーム・ワン隊長は別の戦線へ派兵されてしまい、ここにはいない。
今までのノリなら、ボコられるフラグが立ったな。
といっても。
EDFの強力なビークルが配備されているし、各兵科の兵士、銃火器もバランス良く配備されている。
それに病み上がりの俺を、最前線に置かなかったのはEDFなりの配慮だったのかも知れない。
EDFに、そんな配慮が出来るとは逆にスゲェと改めて疑いたい。 本部の罠なんじゃないかな、コレ。
因みに。
俺が拠点に溜め込んでいた物資や、ウィッチの壊れたユニットはEDFが回収してしまった。
使える資源も未知の装備も貴重だからさ、仕方ないんだけど。
チョコレートとか、娯楽も回収されたのは悲しい……悲しい……。
「……今は戦闘に集中だ、集中」
渡された量産普及型の、良くも悪くも普通のライフルPA-11やロケランのグラントM31をチェック。
「部品ガタ無し、装填良し、初弾込め、セーフティ解除、と」
他の仲間も同じ事をしており、準備は整っていく。
後方は のんびりしているが、既に第1防衛線では戦闘が始まっており、ここにも爆音や銃声が聞こえてくる。
それは四方八方からだ。
防衛線は拠点を囲む様に、円を描いているからな。
真逆の防衛線からも、激しく音が聞こえてくる。
「ネウロイも、必死だな」
俺はボヤきながらも、準備を終わらした。
ここの真逆方面は、ガリアという国だったな。
俺らの世界でいうとフランスに当たる国らしい。
そっちの一部がネウロイに陥落、占拠されている都合、一部の戦力が転進してEDFの拠点に攻め入れてる。
さらに奥、人類領では欧州の連合軍ともドンパチしているらしい。
それに対してEDFは、放置し切るワケにはいかなかったのか派兵された部隊がいて、連合軍を地味に援護している様子。
『べ、別に連合軍の為じゃないんだからね! 良い顔してれば、資源分けてくれるかも知れないでしょ!』
とまあ、結局は そうなったそうな。
防衛線から戦力を割けないので、ガンガンとネウロイを駆除しているわけじゃないらしいがな。
「本部同士は揉めていた筈なんだけどなぁ。 なんかツンデレみたいな事をしてんな」
俺が苦笑していると。
隣の可愛い女の子……ウィッチが反応してきた。
首を傾げてる。 可愛い。
でも、油断していると痛い目に遭う。
俺は知っているんだ。
あのポイズンクッキングはヤバい。
一歩間違えれば、ネウロイではなく料理に殺されるのが先になりそうだよ。
「ツンデレってなんですか?」
ニコニコと尋ねるウィッチ。
なんか怖い。
人も生き物だからね、怖い目に遭わされると本能がね……。
「と、特定の人間関係に攻撃的な態度を取りつつ好意的な態度を取る……みたいな?」
「うーん?」
「気にしないで、大した話じゃないさ。 それより……なんで君も戦場に?」
「私も兵士です、手伝いますって言ったらここに配属されました」
そう言って、PA-11を見せてくる。
お揃いですね、なんて喜びながら。
おいおい本部……なんて事を。
いくら人員不足だからって、こんな小さな女の子を戦場に出すなよ。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫です、怪我も治りましたし。 私はタダノさんや皆さんの役に立ちたいです」
「それは嬉しいけどさ。 何も戦場にいなくても良いんだよ? 後方で料理……じゃなくて荷物持ちとかさ」
ウィッチは、魔法力で重い銃器を持てる様になるそうだし。
料理はやめろ。
出来る子もいるのだろうが、少なくとも目の前の子には して欲しくない。
そう思いながら言ったら、機嫌を損ねてしまった。
「むぅ。 タダノさん、信用してませんね?」
「そんな事ないよ……たぶん」
料理は……料理以外なら出来るのかな?
「たぶんってなんですかっ! 私だってやれば出来るところを見せてあげますよ!」
まぁ、うん。
軍隊にいる以上、大なり小なり戦闘訓練は受けているとは思うけど。
問題は、そこではない。
軍隊という事は、規律とか命令系統の話も出て来る筈。
彼女はカールスラント空軍だ。
そして、俺らは地球防衛機構陸軍。
その日本支部だ。
この世界には日本に当たる扶桑皇国はあっても、EDFは存在しないし時代も違う。
EDFは多国籍軍だから大丈夫とかではない。
空軍、陸軍と管轄がそれぞれ違う。
根本的な問題、世界すら違う。
そんな彼女を勝手に戦力として取り込んで良いのかとも思う。
もちろん、こんな小さな女の子を戦場に出す事が、いちばん問題だと思っている。
「原隊に帰れないから留まるのは分かるよ。 でも、君はEDFと一緒にいて大丈夫かい?」
「タダノさんには、恩があります」
「戦いに出なくても、役に立つ事は たくさんあるんだよ?」
「タダノさんの側にいたいんです」
この子、引いてくれないんだけど。
会話が続くに従って、ハイライトの無い目になっていってるし。
銃口も自然と俺の方に持ち上がってるし。
なんか…………ヤバい。 ヤバくない?
どう言ってお引き取り願おうか。
下手な事言うと、命を引き取りそう。
などと焦っていると。
「空から敵が!?」
「対空戦闘!」
「なんだとっ!?」
同じ塹壕内にいた隊員が、空を見上げて口々に叫ぶ。
サンキューネウロイ!
じゃなかった。
戦闘開始だ、集中しなくては。
塹壕から空を見上げれば、空覆う黒い点々。
それがたくさん。
センサー反応を見ると、またも今頃になって敵表示の赤丸が大量に浮かび上がる。
センサーは修理して貰ったのだが、たぶん高高度でも飛んでいて拾わなかったのだ。
「くそっ、第1防衛線を飛び越えて、ここに来てしまったか!」
いつかの、飛行型もそうだった。
あの時も空を飛んでる所為で防衛線を飛び越えてしまい、街が被害に遭った。
空軍が普通にいればな……今は要請以外で駆け付けるのは無理か。
「飛行型の外来生物より楽だと良いが」
「えと? とにかく、攻撃しますっ」
ピョコッと猫耳を頭から生やし、しなやかな尻尾をパンツ……じゃなくてズボンの上辺りから生やすウィッチ。
それ、なんなん?
可愛いし、えっちい。
萌えというヤツ?
疑問を浮かべてる俺の横で、次にはPA-11を空に向かって撃ちまくる、セミオートで。
「ふむ」
手ブレがある。
構え方も、少し雑。
特に足の位置とか。
そして、当然のように当たらない。
そりゃそうだ。
この子は、遠くで空飛ぶ敵がいたらライフルで戦えと学んだのか?
モノによっては、ライフルに対空用の照準器があったとかなかったとかだが……。
彼女は教わってないだろう。
いや……航空ウィッチだから、学んだ可能性が?
だとしても、それは空での話。
陸では、話は違ってくる。
陸から ちょこまかと飛び廻る害虫を叩き落とすのは容易では無いのだ。
誘導兵器でないなら、距離や飛んで行く先を先読みして予測射撃をしなければならない。
難しい。 少なくとも俺は。
かつて飛行型と交戦する際に「真面目に射撃練習をしていれば良かった」的な事を叫んでいた隊員がいた気がする。
彼女の場合、そんなノリだったのだろうか。
それともEDFの兵器を盲信したのかな。
「うぅ……当たらない」
「このライフルに、アイツらまで届く射程距離は ないよ。 無駄撃ちはやめなさい」
「す、ストライカーユニットがあれば!」
「戦意旺盛なのは良いけど、今この場に無いでしょ。 仮に飛べたとして、君ひとりが空に上がったところで捌けないよ」
「そんなぁ」
素直に諦めて、塹壕にしゃがみこむ。
しゅん、と猫耳が垂れるウィッチ。
可愛い。
そんな、戦場で呑気な事を思った罰か。
空覆い、押し寄せるネウロイの群勢から無数の赤き閃光。
「伏せろォッ!!」
隊員が叫ぶ。
くそっ、この距離からか!?
「伏せるんだ!」
俺は咄嗟にウィッチを庇いながら、塹壕に深く伏せる!
「え、え!?」
ウィッチを覆うようにうずくまった刹那。
ドゴォンッ! ドゴォンッ! ドゴォンッ!!
無数の爆音。
大量の土砂が何本もの柱を形成し、すぐ崩れては土砂の雨となり塹壕内に降り注いだ。
ヘルメットや防弾着に入ってきて気持ち悪い。
ああ、慣れてる。
こんなの珍しくもなんともない。
仲間の血や臓器が入ってくるより良い。
「きゃあッ!?」
一方で悲鳴を上げるウィッチ。
慣れてない。
空軍じゃ、こんな泥臭い経験は無いだろうからな。
陸戦隊じゃなさそうだし、仕方ない。
でも安心させないと。
そう思って、軽く頭を撫でつつ慰める。
「大丈夫! 塹壕に直撃しなければ持ち堪えられる!」
ネウロイどものビームによる威力を推察、そう決めつけて言う。
間断なく地面で炸裂するビームの雨は、EDFの塹壕陣地全体に響き渡る地震となり、俺たち隊員やウィッチの心身を抉り蝕む。
頭越しに飛び交う無数の石破片。
恐怖に足を竦ませ、体を震わせ、想像を超える極限状態に導かれそうになる。
だがしかし。
「EDFの塹壕は堅牢に構築されているんだよ。 塹壕を破壊するには威力が物足りない」
俺やウィッチを安心させるように、強がりを言った。
だけど、間違いではないはず。
空飛ぶ小型のネウロイだからか、ビームの破壊力が劣っているように感じるからだ。
ぼっちで陸戦ネウロイを相手にしたんだ、何となく分かる。
「そ、そうなんですか?」
「ああ。 それに、この戦線に来襲したネウロイのビーム精度は粗い!」
ただ自慢気に速射して物言わせるだけで、景気付けに撃ってるだけなのかと思ってしまう程にだ。
一見すれば大地を抉る弾幕は、一個の部隊を丸々壊滅させるのも造作も無く見える。
だが、EDF製コンクリートで構築された鉄、材木で固められた深い斜傾塹壕線と厚い屋根に保護された掩蔽壕、地中に深く築かれた退避壕に身を潜めれば、俺たちは案外生き延びられるもんだ。
マザーシップの砲撃や、DE202の持つ120ミリを超える重砲の猛撃を喰らえば、話は別だろうけど……。
事幸いにして空と地で対峙する敵に、そんな重砲は確認出来ない。
あってたまるか。
そんな俺に答えるかのように、一筋の閃光が塹壕に飛び込んだ!
ドゴォンッ!
「きゃあああッ!?」
「ぐっ!?」
破片と爆風で軽く転がされる俺とウィッチ。
くそっ、まさかの直撃弾かよ!?
運が悪いな俺も!
「だ、大丈夫か!?」
「はい……私は大丈夫です」
そうだ、他の仲間は!?
同じ塹壕内にいた仲間は、俺らより着弾点に近い!
俺は爆煙の向こうに、狂気の砲撃音に負けないよう大声で叫んだ!
「おい! おいッ!! そっちは無事か!?」
返事がない。
マズい、"吹き飛ばされた"か!?
「……ぐぅッ……」
微かに声が聞こえる。
良かった、死んじゃいない。
ボロとはいえEDF製アーマーだ、陸戦ネウロイのビームに耐えられた強度が小型に負けるワケがない!
「しっかりしろ! 今行く!」
「た、只野……すまねぇ」
俺らと転がされ、泥まみれのPA-11を持ち、グラントM31を背負って塹壕を駆ける。
破片が頭上を飛び交うが、塹壕から飛び出ない限り大丈夫だ。
ヘルメットだってある。
大丈夫……大丈夫だ。
塹壕に溜まる爆煙を掻き分けて、やがて壁や地面に横たわる隊員たちを見つける。
皆ヘルメットの内側から血を流し、腕や脚があらぬ方向を向いている隊員もいる。
「うっ……!?」
ウィッチが、思わず口を覆う。
こんなのマシな方だ。
内臓や血の雨、ヒクつく肉塊が散らばるスプラッターシーンでなくて良かったよ本当に。
「わ、私、衛生兵を呼んで来ます!」
それでも健気に、行動を起こそうとするウィッチ。
うむ。 良い子だ。
「頼む!」
駆け出すウィッチ。
ウィッチは頑丈らしいし、ユニット無しでもシールドを張れる。
きっと大丈夫だ。
爆煙で見えなくなる背中は、決して小さいものではない。
「只野……ッ!」
仲間が息も絶え絶えに、必死に何かを訴えてくる。
「どうした!?」
「俺の、ハァハァ……エメロードを使え!」
そう言って脇から箱状の、ミサイルランチャーを出してくる。
EDFの誘導兵器エメロードシリーズの、それもZ計画的な兵器だった。
「これは"最終作戦仕様"のMEX5エメロード!?」
「使える物は何でも使えって本部がな……! それより、エメロードは使った事あるな?」
「ありますけど、いくら最終作戦仕様でも あの数は……配備されていたネグリング自走ミサイルは!?」
「この攻撃だ。 ハァハァッ、潰されたはずだ……地対空ミサイルが飛翔している様子もないしな……グッ、援軍が来るまで、コレで足掻け! "いつも通り"だ!」
「りょ、了解ッ!」
エメロードを受け取り、直ぐに空へ構える。
本体の電子制御とサングラス・ディスプレイが瞬時に同期。
トリガーを弾き続ければ、視界一杯にロックオン範囲を表す、四角く囲まれた赤線が出現。
その四角にネウロイの群れを収めると、5つのロックオン音と表示がモニタリング。
「墜ちろォッ!」
俺は直ぐにトリガーを離す。
刹那。
バシュッ!
バシュッバシュッバシュッバシュッ!
最終作戦仕様のミサイルが、後尾に白煙を伸ばしながら、5つ連続発射。
ネウロイの群れへと突っ込む。
回避行動を取るネウロイ連中だが、そこは追尾性能の高い最終作戦仕様ミサイル!
容赦なく追いかけ回し、空中で派手な爆発が戦場を照らす。
5つ全ての命中を確認、撃墜する!
「どうだネウロイ! この時代には殆ど無いだろ? 追尾してくる弾なんて! それもEDF最終作戦仕様! 威力はハンパないから、核を狙わなくても済むぜおい!」
叫びながら、素早くミサイルパックを交換、リロード。
同様に撃ちまくる。
しかし。
「さすがに数が多過ぎるな! 何時もの事だが!」
撃墜してもしても、空覆うネウロイが減らない。
こちらの兵器に怖気ついて退散する様子もなく、ビームを乱射しながら突っ込んで来る。
ヤツらにも恐怖がないのかよ!?
「特攻する勢いだなクソッ!?」
ビームが辺りに弾着、揺れる中。
負けじと 撃ちまくる俺。
焦る。
エメロードを持つ手が、汗で濡れる。
いくら最終作戦仕様で威力があっても、ロックオンは5つまで。
しかも対空戦闘を他にしている隊員が、俺以外いない!
これでは捌き切れない!
ついこの間の、陸戦ネウロイの特攻が脳裏を過ぎた。
このまま突っ込まれれば、ビームが直撃しなくても、俺や負傷した仲間が全滅しちまう!
「やらせるか……! 同じ手に負けてたまるかぁ!」
距離がもうない!
肉眼でネウロイの表面模様が判別出来る程に!
ここで更に俺の精神を追い詰める事が起きる。
予備のミサイルパックが、切れたのだ。
「ああッ、くそっ! 予備のミサイルありますか!?」
「もうない……! 渡したので全部だ……」
「くそっ、こうなったら!」
俺はエメロードを投げ捨て、背負っていた筒状の重火器グラントM31を構える。
ロケット弾で誘導性はない。
それに普及量産型で、威力は劣る。
それでも、それでもやらねば!
「もう良い! お前は良くやった! 退避しろ急げ……ッ!」
「もう嫌ですよ! 見捨てるのは!」
仲間の言葉を拒否しながら、俺はロケット弾を発射。
近い敵に運良く当たり、爆風で周囲のネウロイがよろける。
俺は間髪入れず連続でトリガーを引き、ロケット弾を撃ち続けた。
グラントM31はゴリアスシリーズと違い単発ではない。
筒の中には複数のロケット弾が入っており、コッキング動作のようなモノなしで連続発射可能。
幸い予備のロケット弾もある。
エメロード同様にリロードしては、発射を繰り返した。
「只野二等兵、これは上官命令だ……ッ!」
「都合の良い格好付けの"上官命令"なら、俺も格好付けますよ! 俺もEDFですからね!」
あってないような軍規に背きながら、戦闘を続行する。
本当は怖い。 逃げたい。
俺だけ退避するのは簡単だ。
だが、ここで動けない仲間を見捨てるなんて出来るか!
敵がいよいよ近い。
ビームが塹壕内に何発も叩き込まれる。
爆風が塹壕内を川のようにうねりながら襲ってくる。
だが、俺もEDF隊員。
足に力を入れて踏みとどまる。
ここに着弾しないのはラッキーだと思えば、なんて事はない……!
敵も必死。 俺も必死。
距離が更に縮まる!
グラントM31は爆風での自爆を懸念、不利と判断、投げ捨てPA-11を流れる動作でフルオートにセレクト、構え、空に撃ちまくる!
「うおおおおおおッ!!」
ネウロイが表面に火花を散らしながら、ビームを乱射。
負けじと俺も撃ちまくる。
小銃弾では、直ぐにネウロイを倒せない。
それでも一体くらいは道連れに……!
そのネウロイの闇が視界に埋め尽くす、刹那。
「ゴーン・ワン、対空戦闘開始!」
「ゴーン・ツー、対空戦闘開始!」
無線で若い声が聞こえたと思ったら。
次には大きな光弾の川が、目の前に広がっていたネウロイを押し流してしまった。
「うおっ!?」
目の前のネウロイが爆発四散していき、思わず尻餅をついた。
苦労していたネウロイが消えた。 あっという間に。
『よろしい! ニクス リボルバーカスタム隊、戦闘を開始せよ!』
久しぶりに本部からの、渋いオジサマボイスが無線越しに聞こえ。
直ぐに隊員の返答が聞こえた。
「了解! ネウロイ野郎どもにミサイルを叩き込んでやる!」
「ネグリングのツケを返して貰おう!」
援軍!? 来てくれたのか!
思わず振り返れば、丁度コンバットフレームが2機、機械の足で俺の上を跨いで通過していった。
両腕に長く多砲身の機関砲、リボルバーカノンを装備。
両肩にはミサイルポッドを備え、それぞれから絶え間なく大口径弾やミサイルを景気良く撃ちまくっている。
その様は暴風だ。
金色に輝く廃莢が、それぞれの腕から滝のように流れ落ち、戦場に金の道を作り続けていた。
空を覆っていたネウロイは、あっという間に数を減らしていく。
センサー反応でも、敵性反応を示す赤色が消えていく。
「す、すげぇ。 いつ見ても、ニクスの火力はすげぇよ」
アホみたいに、すげぇすげぇとしか言えない俺。
ひと個人の、兵士の……俺の必死の努力なんて、比ではないのだから。
たった2機。 されど2機。
"隊"とはいっていたが、ニクスは たった2機である。 しつこいようだが。
しかし、その2機のみでネウロイを一掃してしまう。
最終作戦仕様を持ってしても、捌けない数を捌けるんだもんな……。
ニクスが強すぎる。
そりゃ歩兵だけじゃ敵わない相手だと、言われるワケだよ。
笑うしかねぇ。
それとアレはリボルバーカスタムといったか。
従来より上半身の回転速度は速く、高速で移動する物体が狙いやすくなっている。
両肩にはミサイルポッドを搭載。
ロックオンした物体に発射、追いかけ回す。
これらの利点から、対空とは言わず、通常の地上戦闘、素早い敵に大いに役に立つらしい。
ただし。 このコンバットフレーム、重量が増しているのか、機動性が悪い。 素早い機動は難しい。 移動手段としては向かない。
だが、そんなの気にならないくらいにニクスはネウロイを押していた。
強い。 ただただ、そう思う。
「衛生兵を連れて来ました! それから援軍も!」
戦場に似つかわしくない、可愛い声。
再度、振り返ると、EDFの軍服じゃない、猫耳と尻尾を生やした女の子。
その背後には、たくさんの隊員たち。
「みんな……!」
皆、ボロボロなのに、笑顔で肩を叩いてきたり、サムズアップしたりと励ましの言葉を掛けてくれた。
「お嬢ちゃんが、ココがヤベェって教えてくれてな! 駆けつけたぜ!」
「衛生兵! 負傷者を運べ!」
「良く持ち堪えたな只野二等兵!」
「よくぞココを守った!」
「後は任せろ!」
「べ、別に只野二等兵の為じゃないんだからね! みんなの為よ、勘違いしないで!」
「本部も貴重なニクスさんをココに回してくれたしな! 余裕よ!」
「美人の お願いには本部も弱いってな!」
「違いねぇ!」
笑いながら、俺と入れ替わるように塹壕を進み、負傷者を運んだり、塹壕から身を乗り出して発砲、残党を片付け始める隊員ら。
本当……みんな、EDFは良いヤツらだよ。
バカやアホや変態が多いと思っていたけど、良いヤツらだ!
「うぅっ、みんな……ありがとう」
「タダノさん!? どこか痛むんですか!?」
「い、いや大丈夫だよ。 助けを呼んで来てくれて本当にありがとうな」
「はい! タダノさんや皆さんの役に立てて、私も嬉しいです!」
そんな可愛い事を言うもんだから、また頭を撫でて褒めてやる。
えへへ、とウィッチは笑った。
こんな、怖い目に遭っているのに良い子だ。
「ああ、そうだ」
場も落ち着いてきた。
少し笑い話でもして、気持ちも落ち着かせよう。
「はい?」
「さっきの隊員の中に、ツンデレみたいなヤツがいたんだが、分かった?」
「えーと、あっ!」
ポッと頬を赤らめて。
「美人のお願い……のところですか?」
違う。
てか、自分でソコを言っちゃう?
否定しないけどね。
そんなウィッチが可愛いもんだから、また頭を撫でてやる。
えへへ、とまた喜んでくれた。
俺も釣られて笑顔になる。
ありがとう。
俺はまた、心の中で礼を述べた。
少し長めになりました……。
申し訳程度のウィッチ要素。 今後、どうなるのか(未定)。
ツッコミどころもあると思いますが、お兄さん許して。
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