Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
ガリアのネウロイ陣地に定期砲撃を行います。
砲撃終了まで、砲兵隊の護衛をお願いします。
備考:
危なくなったら砲兵陣地を放棄するが、今のところは一方的である。
装備:
PA-11
その他
グレイプに乗せられたと思ったら、今度はガリア方面へと拉致られた。
二等兵だからさ、コキ使われるのは仕方ないと思うよ。
でもさ、ポンポンと人員移動させるか?
ここ、黒海と真逆だぞ。
「不満そうだな只野」
運転席から声を掛けられた。
舗装されてない道なき道故、揺れる車内。
吐きやしないが、イライラを助長させるには十分だ。
「休む間も無くガリア方面に拉致されてんです、そりゃ不機嫌になりますよ」
「そう言うな。 可愛いウィッチも同行してるじゃないか」
言われて"缶詰"を見る。
むさ苦しい各陸軍兵科の隊員らに混ざり、紅一点な、いや。
二点の女の子が目に止まる。
「どうしましたタダノさん?」
「何をジロジロ見ている」
ウィッチとウィッチ。
付き合いある子と、生存者に混ざっていた子だ。
同じ軍服に綺麗な子だけど、性格も容姿も違う。
前者は礼儀正しく、後者はツリ目で厳しそうだ。
成長期なのか、胸はツリ目の方が大きい。
軍服を持ち上げる双山がセクシー。
まだ10代なんだろうが、女の片鱗を見せ始めているっていうね。 目に毒。
どうやら怪我が治ったから、戦線に放り込まれたらしい。
それはウィッチ以外の兵士も同様とのこと。
本部連中はヒドイと思うが、本人達は気にしてなさそうだから複雑だ。
それと相変わらずのパンツ丸出しである。
ズボンじゃないだろソレ。
戦場に出る格好じゃないだろ絶対。
「いや、怪我してないかなって」
誤魔化そう。
すると、二者それぞれ別の態度を示した。
「相変わらず優しいですね。 ありがとうございます」
「ふんっ、問題ない。 それより貴様、イヤラシイ目で見ていたな?」
は?
確かにそうだが、メスガキに高圧的に言われるとイラッとくるね。
「只野、お前はウィッチをそんな目で見てんのか?」
「えっちだな」
「いやらしぃ〜?」
「ははっ、戦場で気が緩み過ぎだぞ?」
笑う隊員たち。
お前らまで……ッ!
小学生じゃないんだぞ!?
でも大人の対応をしてあげよう。
俺は優しいんだ。
「いやいや見ていないよ。 まだ子どもなんだし、背伸びしたい気持ちは分かる。 でも、大人をからかっちゃ駄目だよ?」
嘘である。
胸とかパンツとか見てました、ハイ。
でもグヘヘな目線じゃないぞ。
本当だぞ。
「軍や国が違えどウィッチは上官だ。 私は曹長、お前は二等兵。 不埒な振る舞いをしてきたら、ただじゃおかないからな」
「だから、そんなんじゃ」
「言い訳無用!」
うへぇ。
なんてカタブツ。
階級や規律にうるさいヤツかよ。
EDFには、そういうヤツは少ないから余計に面倒に感じる。
子ども相手だけどさ……苦手だなぁ。
ほら、周りの隊員も苦笑したり、肩をすぼめて見せている。
共通して、子どもの背伸びくらいにしか感じていない様だがな。
「あ、あのぉ」
付き合いのある子がふるふると手を上げて主張する。
「タダノさんは良い人ですよ。 何度も私を助けてくれました」
「それはその男の策略だ! 良い感じになったところを……その、その……パクって行くに決まってる!」
「パクって?」
「言わせる気か!? 純潔を穢されるのだ! そんな事になれば、ウィッチとしての生命は終わるのだぞ! 軍曹、もっと危機感を持て!」
赤くなりながら、俺を悪党扱いして最悪の事態を説明する"曹長ちゃん"。
これには俺や周りの隊員もニンマリである。
「へぇ? 曹長ちゃんはナニを妄想してるのかなぁ?」
「曹長ちゃん!? 上官を馬鹿にしているのか!」
「"上"官じゃなくて年"下"を からかってるんだよなぁ。 それより教えてよ、ナニしたらウィッチが終わるって?」
答えは、だいたい知っている。
他の隊員もだ。
皆に周知されてる情報に含まれていたからね。
これ普通にセクハラでアウトだけど、調子乗ってる曹長ちゃんの弱点を見たら……ねぇ?
「そ、それは……20になる前でも男と女の関係を作ると、それも……えっ、えっ……えっち……すると……例外あれど魔法が使えなくなると言われていてだな……」
真っ赤になって、段々と蚊の鳴く声みたいになる曹長ちゃん。
可愛い。
戦場に着くまで精々俺らのオモチャに、
「タ ダ ノ さ ん ?」
可愛くも冷たい声が当たる。
肩に手を置かれた。
あ、ヤバ……?
本能から振り返れば、そこには馴染みのウィッチ。
ぴょこっと猫耳と尻尾を出していて可愛い。
だけど目元が暗く怒ってる雰囲気。
それでいて笑みを浮かべてるとか、器用。
その謎の気迫に、俺は背筋が震え上がる。
怖えええええ!?
ヤベェよヤベェよ!?
「その辺にしましょうね?
「「「「サー! イエッサー!?」」」」
涙目になる曹長ちゃんを横にして。
俺も皆も、思わず"上官"に敬礼をしてしまったのであった。
「おぅ、お前らが俺らの護衛か。 なんかやつれてるが輸送車で酔ったのか? 全くだらしねぇなぁ!」
どっかんどっかん吼えている、 迫撃砲が並ぶ砲兵陣地。
ここで降車し、俺らの顔を見たオッサン砲兵が笑ってきた。
いや、酔ったワケじゃねーよ。
色々あったんだよ、俺らが悪いんだけど。
「ご覧の通り、お前らが来る前から やらせて貰ってるぜ」
「そうみたいですね。 でも俺らが来るまで待った方が良かったのでは?」
「馬鹿野郎、来るまで待つ時間が勿体ねぇ! それに襲撃が怖くて砲兵やってられるかよ!」
勇ましい事で。
取り敢えず、頷いて肯定しておく。
砲兵隊は後方で大砲等でのアウトレンジ攻撃を行うとはいえ、絶対安全ではない。
同じ陣地にいると、砲撃位置を逆算されて攻撃される事もある。
発砲炎やら煙やら、音やらでな。
エイリアンとのドンパチ中は、そんな話は聞かなかったが、想定するべき警戒事項だ。
この世界でも然り。
故に護衛隊が編成されたのは、想像に難しくない。
その辺は砲兵隊も理解している。
それでも危険を犯して、先走っている。
時間が勿体ねぇと言ったが、急ぎたい事でもあったのか?
「俺が砲撃にとやかく言う権限はないのですが、なんで始めたか聞いても?」
視界で少数の隊員らが、各方向へと展開していくのが見える。
曹長ちゃんも軍曹ちゃんも、隊員の背中をついて行っているな。
背後から上官命令とやらでも出しているのかも知れないが、見た目は大人に ついて行く子どものソレ。
可愛い。 料理と冷酷な笑顔やカタブツモードは嫌いだが!
「本部の命令だ。 ガリアのパリを占拠している、ネウロイ野郎どもに嫌がらせをしろってな」
「いえ、それは知っているんですが。 砲撃時間とか、その辺は?」
「俺がヤりたい時にヤる。 ネウロイも滅多に陣地に来ねぇし、急な要請じゃないんでな」
「あぁ……そうですか、はい」
随分テキトーだな、おい。
定期砲撃と聞いたから、時刻通りに決まった砲弾数をパリに撃ち込むかと思っていたよ。
「まぁせっかく来たんだ。 仕事はしてくれよ。 砲撃眺めて終わると思うがな! はっはっはっ!」
「りょーかいッス」
軽く敬礼をして、軍曹ちゃん達の元へ行く。
本当に砲撃を眺めて終わるなら良いが、いちおう警戒しておかないとな。
そう思いながら、側まで行くと。
またも曹長ちゃんが絡んできた。
面倒くせぇ。
「タダノ二等兵、何をサボっていた! 砲兵隊を守るのが我々の任務だろう!」
「守るよ、モチロン」
「全く! EDFは皆、こうなのか? よくこんなんでカールスラントを維持出来ているな!?」
「こんなんだから、維持できている面もあると思うよ」
「ほぅ。 理由を聞かせて貰おうか」
仁王立ちする曹長ちゃん。
腕を組み、ツリ目で俺を睨む。
でも、腕を組んで持ち上がった胸が目に毒ですよ……目を逸らそ。
「あ、あぁ……アレだよ。 アレ。 技術力と仲間想いな面が結束を固めてるからだよ」
「精神論は嫌いじゃないが、お前の言う事は言い訳に聞こえるな」
胸から目を逸らしたのを、特に理由がないと思われたか。
鼻で笑ってるもん、うざ可愛い。
俺は素直に負けたアピールの表情をして、そっぽを向く。
すると可愛そうだと思ったのか、付き合いのあるウィッチ……軍曹ちゃんが声を上げた。
「そ、曹長さん! タダノさんが言っている事も間違いじゃないですよ! 私も目の前で見ましたもん! 曹長さんだって見た事あるでしょう?」
「うぐっ……確かに。 あの未知の兵器群による攻撃、それを扱えるEDF。 それは認めよう、だがタダノ二等兵は」
「タダノさんは、生存者を救う為に自分を犠牲にしようとしたんですよ? ネウロイの群れを相手に、たったひとりで。 それを弱い? そう言うなら、曹長さんでも、私は怒ります!」
「す、すまなかった……そういう意味で言ったんじゃないんだ」
「だったら、どういう意味なんですか?」
「そ、それは……軍規を乱す発言や行動な気がするから」
「気がするだけですよね? 実際どうですか、乱れてます?」
「乱れてるようにしか見えん!」
「その"乱れ"で祖国をネウロイから奪還したんです。 非難するのは簡単ですが、学ぶべきところは多いのでは?」
「……うむむ」
「それに何より、お世話になっているのは私達なんです。 お礼を言っても、文句は駄目ですよ」
「…………」
なんか、俺が入る余地がなかった。
しばし砲撃音だけが鳴り響く。
やがて、曹長ちゃんが俺に向き直ると、
「…………タダノ二等兵」
「うん?」
「すまなかったな」
それだけ言って、今度は曹長が そっぽを向いた。
可愛い。
それと軍曹ちゃん、強い。
「タダノさんっ」
そんな軍曹ちゃんからも、お声がかかった。
ヤダ、ナニを言われるの俺。
「改めて。 祖国を守ってくれていて、ありがとうございます!」
「おう…………俺じゃなくて、EDFだがな」
「タダノさんもEDFです!」
「は、はは……そうだな、うん」
利益があるから、EDFは守ってるんだろうけども。
それでも、こうして礼を言われると恥ずかしいな…………。
またも俺は、そっぽを向く。
向き過ぎて、どこ見てるのか分からなくなったよ。
平和回。 新たな女の子、曹長ちゃんを出してみました。
リアルがシンドイ……俺も可愛い子に褒められたり励まされたい
(妄想